プロ翻訳者の単語帳

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He is in a better place now.

      2024/04/08

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 12 minutes

今はもっと快適な場所にいます。

典型的な弔辞 ( condolenceeulogy ) の一句。

有名人 などの逝去時の弔意によく用いられる。

この世を離れ、 ” a better place ” ( もっと快適な場所 ) に
今頃いますよ、 と表現することで、 関係者を慰めている。

 

◆  ” a better place ”  が、 常に 「 死後の世界 」 を意味
するわけではない。

  • ” She made this world a better place.”
    ( 彼女は世界をよりよい場にしてくれた。)
  • ” The world is a better place now that he’s gone.”
    ( 彼が死んだ今、 この世はよりよい場所になった。)

大きな問題を抱えていた X氏 が、 よりよい環境で元気に暮らし
ているなら、 例えば、

  • ” Mr. X  is in a better place now. ”  
  • ” Mr. X  seems to be in a better place now.”

下記も同趣旨。

  • ” Mr. X  is in a  good place now. ”  
  • ” Mr. X  seems to be in a  good place now. “

X氏 は  ” a  better / good  place  ”  で、 ぴんぴん生きている。

とはいえ、 こと ” in a better place ” は、 亡き者に使われる方
が一般的な模様。

複数人であれば、

  • ” They are in a better place now.”
  • ” They seem to be in a better place now.”
  • ” They are in a good place now.”
  • ” They seem to be in a good place now.”

◆  欧米人の示す哀悼の意 ( pay tribute、 pay homage
は、 日本人とは視点が異なると以前より感じてきた。

そこに興味を抱き、 長らくメディア報道から
悼辞を 収集 してきた。

これまで集めた文言から、5点をご案内したい。

< 選択基準 >

a.  当事者の宗教・宗旨宗派は不問
b.  適切かつ印象的な弔慰
c.  遺された者を慰め、勇気づける内容
d.  基礎的な英文
e.  一般人でも使用可能


設定上、 故人は男性( he )とした。

女性ならば、 主格を ” she ” に置き換える。

  1.  He is in a better place now.
    ( 今はもっと快適な場所にいます。)
  2.  He will never be in pain again.
    ( もう二度と苦しむことはないでしょう。)
  3.  He is in a safer and happier place now.
    ( 今はもっと安全で幸せな場所にいます。)
  4.  He lived long enough to see you succeed.
    ( あなたの成功を見届けるまで長生きしました。)
  5.  He died doing what he loved.
    ( 大好きなことをしつつ旅立ったのです。)


◆  直前には、 次のような言い回しが置かれたりする。

1 ~ 5 と考えることで、 遺された者たちが救われる
と考える発言者の願いを反映する。

  • It makes me happy to know that –
    ( ~ と思えば、私はうれしいです。)
  • We have the comfort of knowing that –
    ( ~ と思うと、私たちも安心できます。)
  • I take comfort in knowing that –
    ( ~ なので、私も安心できます。)
  • We found solace in knowing that –
    ( ~ と知って、私たちも安堵を感じています。)
  • We found peace in knowing that –
    ( ~ と知って、私たちも安らぎを感じています。)


  • We are at peace knowing that –
    ( ~ と思い、私たちも安心しています。)


以上の使用対象は、有名人 限定ではない。

普遍性のある内容であり、 私たちも使える。

この点、 上の 「 選択基準 e. 」 に掲げた通り。

中身が無難であることは、自明 であろう。

どれも実際に多用されている。

◆  では、 1 ~ 5 を順繰りに見ていこう。

基本的な英文ばかりなので、 それぞれ
ポイントを絞って取り上げてみたい。


1.

He is in a better place now.

( 今はもっと快適な場所にいます。)


◆  2つの要点に分けて、考察してみる。

すなわち、 「 時制 」  及び   ” a better place “。

まず、 私たち日本人学習者の苦手な「 時制 」( tense )。

現在形 present ) ” is ” で、 「 今は ~ にいます 」。

” is ”  は、 「 be動詞 」 の三人称単数直説法現在形。

これを  完了形 perfect form ) で言い換えると、


He has gone to a better place.

( もっと快適な場所に行ってしまった。)


結果を表す「 現在完」( present perfect )であり、

今も続いている  ニュアンスを含む。

旅立ってしまって、 今はここにはいない

もしも、 彼が戻ってきたならば、 同じ「 現在完了形 」で表すと、


He has been in a better place.

( もっと快適な場所に行って、帰ってきた。)


どちらも 「 現在完了形 」( present perfect )であるものの、

  •  ” has gone ”  は、「行ったままである 」 との  結果
  •  ” has been ”  は、「 行ったことがある 」 との  経験

悲しくも 「 不帰の客 」 ゆえに、 前者  “ has gone ”  が正しい。

まさに、「 逝ってしまった 」 で、この状態が永遠に続く。

さらに、「 過去形 」 ( past tense ) で表すとすれば、


He was in a better place.

( もっと快適な場所にいました。)


これまた、 不成立なのは言うまでもない。

逝って「 帰らぬ人 」で、 現在もあちらにいるからである。

表題通り、「 現在形 」( present )の  ” is ” が正しい。


◆  「 過去形 」 と 「 現在完了形 」 のニュアンスの違いは、

  • 「 過去形 」 →  単に 過去の事実 」 を  そのまま  述べている
  • 「 現在完了形 」 → 「 過去の事実 に対し、  現在の視点

過去のことなのに、 視点は現在


話題は 「 過去 」 の出来事なのに、 話者の頭の中では、
「 その時から現在までに伴う感情 」 も混じっている。

It’s something at a particular moment in the past that I’m talking about now.



◆  「 現在完了形 」 は日本語にない概念。

過去と現在の視点が合わさった、 情緒的で曖昧な表現。

「 現在完了形 」を用いると、

過去のある時点から現在までの、 継続した状態・動作

が表せる。

過去に起きたことを、 今なお忘れず、 ずっと追いかけている

一度きりではダメで、 現在至るまで、 絶えず続いている状態 が必要。

Events that began in the past and continue up to the present.

要は、  過去と現在のなんらかの変  について言いたい。


  完了形  「 過去はこうだったけど、 現在はこんな状態よ 」 

  現在の状況説明 ( 今は、こうなっています )

当時から見て、

「 その後 」 にあたる、 今の有様( 現状 )まで、 一気に案内

できてしまうのが、 完了形の利点。

◆  一方、

「 過去形 」 であれば、 「 その後 」 は分からない。

なぜなら、  目の付け所は 「 過去 」 のみ  だから。

It’s already finished, so I don’t know.

 

◆  雰囲気を大胆に下品に例えると、

 過去形 ( past tense   やり逃げ

あの時がすべて!

… 「 その後 」 なんて、 知らん


とっくに心は離れて、 今の様子は知らない。

「 その後 」 に関心なく、  単なる 「 昔話 」 にすぎない

 現在完了形 present perfect   ストーカー

今こそ大事!

… 「 今なお 」 引きずる


「 現在 」 に至るまで想い続け、
しつこく現状把握している。

これまでの様子が分かっており、  今の自分に結びつけたい

◆  仕事の懸案事項についてのメールでは、 「 完了形 」 が目立つ。

まだ解決しておらず、 以前から現在に至るまでやり取り している状態。

前出の 「 完了形 」 ( perfect ) の出番である。

 

過去のある時点から現在までの、 継続した状態・動作

を表し、

過去に起きたことを、 今なお忘れず、 っと追いかけている

 

もし 「 過去形 」 だと、 単なる 「 昔話 」  の扱いで、 無関心に響

今後も双方が歩み寄って取り組む、 共同歩調の必要な懸案なのに、

「 過去形 」 で表すと、 どこか 当事者意識に欠けた無責任な印象  

「 あれは終わってますが。 」

一方的に 「 過去 」 扱いされたら不愉快。

だから、 「 完了形 」 が多い。

現在まで続いてきた継続案件 ( ongoing project ) ゆえ、 「 完了形 」 。

情緒的な 「 完了形 」   に対し、  単純だが冷たく事務的な 「 過去形 」

情緒はビジネスにそぐわないとはいえ、 意欲と配慮をアピールできる。

概して、 任務遂行に大切な素質は、

やりっぱなしの場当たり的な 「 やり逃げ 」 姿勢ではなく、   「 過去形 」

執拗に追い求める 「 ストーカー 」 的な粘り強い忍耐力。   「 完了形 」

一緒に仕事をすると分かる違い。

「 やり抜く力 」 は不可算名詞  ” tenacity “、  近年だと  ” grit ” か。

 

◆  「 過去形 」 は、 過去の出来事だけ、 客観的に淡々と語る

完了形( 過去 & 現在 )   みたいな、 複眼的な視座はない

現在の気持ちと断絶して、 やけに事的。

単なる 「 昔話 」 だから、 既に興味はなく、 冷めている。

「 昔話 」 なんかに思い入れはなく、 当然 「 事務的 」 になる。 

「 感情 」 が伴わず、 シンプルな思  で、 分かりやすい。

イメージとしては、 並大抵な日本の小学校1〜2年生の作文

に目立つ描写が 「 過去形 」。

「 過去 」に起きたことを、 今の感情抜きで書いている

目線は 「 過去 」 にとどまる  から、 すごくシンプル。

興味ないので、 心がこもるわけなく、 活写しようもない。

思考が行ったり来たりしない   ので、 すっきりしている。

あれこれ考えなくても、 過去の出来事をありのまま表せばよい。

もはや無関心だから、 とにかくシンプルで気が楽な 「 過去形 」。

過去を淡々と客観的・感情抜きで表現する単純さで、 煩わしくない。

本来は 「 完了形 」 で表すべき場面を、 様々な理由により単純化し、
あえて 「 過去形 」 で代用する技法は、 英語ネイティブも採用する。

話し言葉 ( 口語、口頭 )では、 案外普通だったりする。

「 完了形 」 よりは、 「 過去形 」 の方が重宝されがち。

 

【参考】    ※  外部サイト

◆  一例として、 ニュース記事の引用を挙げる。

大物キャスターの不倫発覚で、 同僚の証言がこちら。


[had]  heard a few pieces of gossip,
that he was involved with an anchor.

( あるキャスターと関係しているとの噂は、
私も何度か聞いたことがあります。)


https://people.com/tv/katie-couric-on-being-shocked-by-matt-lauer-behavior-seemed-so-callous/
2021年10月13日付

※  黄ハイライトは引用者


話者 ( Ms. Couric ) は、 もともと 「 過去形 」 で発言していた。

よく知る同僚に関する、 際どく大変不都合な 「 噂 」。

今の様子は知らない 」 

知らぬ存ぜぬと、 しらばっくれる折に、 「 過去形 」 が大活躍。

事務的な 「 過去形 」 で淡々と述べ、 当人を切り離す意欲満々。

英文法に従い、 的確な時制 「 完了形 」 に直すために、
書き手によって、 助動詞  ” had ”   が挿入されている。

” had ” は、 ここでは助動詞 ( auxiliary verb ) である  ” have ”

の過去形 ( past tense )。

「 過去完了形 」( past perfect ) を作り出すために補われた。

それが、 ハイライト部分  [had]  である。

ブラケット [ ] は、 引用した書き手が注釈を加える際に使う。

引用者による補足的説明を、 原文から区別する役目。

ニュース記事のみならず、 学術論文でも一般的な表記法。

【発音】   brǽkit
【音節】   brack-et (2音節)

和文の引用文中では、 亀甲( きっこう )括弧〔 〕を用いる。

なお、 ブラケット [ ] は、 音声記号を括るにも起用される。

[ ]  の代わりに、 スラッシュ // で括る場合もある。

【発音】   slǽʃ
【音節】   slash (1音節)


言語学者の慣習としては、

  •  [ ]   …   物理的な音
  •  //   …   抽象概念の音素

[ ]  は、 最も正確な表音の「 精密表記 」 とみなすことも。

言語学者の用いる正式名は、

  •  [ ]   …   square  brackets
  •  //   …   oblique  strokes

「 音節 」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。

” integrity ” にて、「 音節 」 の日英比較を深掘りした。

( 図入り )

 

 

◆  もうひとつの要点は、 ” a better place “。

可算名詞 ” place “( 場所 )なので、不定冠詞 ” a ” がつく。

定冠詞を用いて、 ” He is in the better place now. ”
と表すこともある。

この場合、 特定・限定された 「 もっと快適な場所 」 の印象
を帯びる。

名詞  ” place ” には、 不可算名詞もある。

語源は、 ラテン語 「 広い通り 」( plātea )。

【発音】   pléis
【音節】   place (1音節)

つかみどころのない、 抽象概念の 「 場所 」 は不可算。

  •  ” time and place ” ( 時間と場所 )

上記も、 通常は概念的に使う。

特定・限定されていないので、 ” time ”  も  ” place ” も
不可算の用法となる。

可算・不可算は、” in place ” で事細かに触れた。


◆  表題では、物故者が「 今いる場所 」。

よって、用途が特定された具体的な場所  として、
可算名詞の ” place ” となる。

” better ” は、名詞 ” place ” を直接飾るため、
副詞でなく形容詞。

【発音】   bétər
【音節】   bet-ter  (2音節)

better ”  は多義で、 名詞・副詞・形容詞・
他動詞・自動詞がそろう。

語源は、 古英語 「 すぐれている 」( betera )。

“ best ” と同語源であり、 ともにポジティブな語感を帯びる。

  •  副詞 ” better ” 「 よりよく 」
    →  ” well ”  と  ” very much ”  の比較級
  •  形容詞 ” better ” 「 よりよい 」
    →  ” good ”  と  ” well ”  の比較級

両者の違いは、 ” better yet ”  で詳しくご説明している。

「 よりよい場所 」 だから、 弔意としての用途を考慮
すると、和訳は「 より快適な場所 」 くらいになる。

キリスト教であれば、 神のもとで霊魂が永久の
祝福を受ける天国、 すなわち神の国が該当する。

” a better place ” そのものは、 変哲もない表現である。

現世であるこの世、つまり「 地上 」に比べて、
” better ” な ( よりよい ) 場所を指すのみ。

したがって、 宗教・宗旨宗派は問わないと考えられる。


2.
He will never be in pain again.

( もう二度と苦しむことはないでしょう。)


◆  ” be in pain ”  がポイント。

” pain ” には、名詞・他動詞・自動詞がある。

【発音】   péin
【音節】   pain (1音節)

語源は、 ギリシア語 「 罪 」( poinē )。

身体または精神の激しい苦痛を幅広く表す語。

先述の ” place ” 同様、 可算名詞と不可算名詞がある。

原則は不可算名詞で、 特定箇所の痛みが可算名詞。

これが、 基本的な考え方。

【参照】  “ worry “、 ” concern “、 “ wonder

ここでも不可算。

特定の苦しみでないから。

生きる苦しみや病む苦しみという、誰の人生にも
つきまとう抽象的な苦痛を指す。

不可算名詞のため無冠詞。

状態を示す前置詞  ” in “( ~ の状態で ) を伴う
” in pain ” の直訳は「 苦痛の状態で 」。

転じて、「 痛みがある 」「 苦しむ 」の意。

「 be動詞 」つきの  ” be in pain ” は、「 苦しんでいる 」。

” I am in pain. “( 私は苦しんでいます。)
と同じ自動詞  ” be ” である。

will never be in pain ” は、
「 二度と( 決して )苦しむことはないでしょう 」
と単純未来( simple future )を示す。

殊にイギリス英語なら、 ” shall never be in pain ”
とも言える。


3.
He is in a safer and happier place now.

( 今はもっと安全で幸せな場所にいます。)


◆  これは「1」と同じ構造。

” a better ” の代わりに、
” a safer and happier place ” なので、
「 もっと安全で幸せな場所 」となる。

” better ” 同様、比較級 を用いる。

  •  ” safe ”  →  ” safer ” ( もっと安全な )
  •  ” happy ”  →  ” happier ” ( もっと幸せな )

「1」と同じく、” in ” は場所の前置詞「 ~ に 」。
” is ” は、三人称の単数現在形のbe動詞「 ~ ある 」。

” safer and happier “(もっと安全かつ幸せ)
との全体が可算名詞 ” place ” にかかるので、
不定冠詞 ” a ” はひとつだけ。

” a safer and a happier place ”  とする場合、
「 もっと安全な場所ともっと幸せな場所 」
と2つに分かれるはずだが、 日常使用では
同義扱いされている感がある。

「 もっと安全で幸せな場所 」 とは、
「1」と同様、 苦しみの絶えない人間界から
解放された楽園を指す。


4.
He lived long enough to see you succeed.

( あなたの成功を見届けるまで長生きしました。)


◆  受け手 ” you ” よりも、 故人がずっと年配に
あたるケースが多い。

祖父母や親、 恩師など。

本人が、 まだ海の物とも山の物とも知れない頃から
目を掛け、 温かく見守り、 成長に目を細めつつ支援。

ついに功成り名遂げた後、 ほどなく他界。

  •  ああ、 あれほどお世話になったのに  …
  •  まともに恩返しする前に、 死んじゃった  …

自責の念が尽きないことは、 容易に想像できる。

もう取り返しがつかない。

なんとも泣かせる話である。

激しい後悔と悲嘆に暮れている姿に、 声を掛ける
としたら、 この「4」だろう。

ポイントは、 ” to see you succeed “。

” to ” は、 他動詞 ” see ” ( 見る ) にかかる前置詞。

” succeed ” は、 自動詞 「 成功する 」。

【発音】   səksíːd
【音節】   suc-ceed  (2音節)

語源は、 ラテン語 「 後に続く 」( succēdere )。

–  自動詞 「 成功する 」「 相続する 」
–  他動詞 「 後任になる 」「 次いで起こる 」

” lived ” は、 自動詞 「 生き延びる 」 の過去形。

特に < 主語+live+to do > の場合、
生きた結果 ~ する 」 の意味がある。

さらに、 ” live long enough to ” は、
長生きして ~ する 」。

  •  主格  ” he “( 彼は )
  •  他動詞の過去形  ” lived “( 生きた )
  •  形容詞  ” long “( 長い )
  •  副詞  ” enough “( 十分に )
  •  結果の前置詞  ” to “( ~ になるまで )
  •  他動詞  ” see “( 見る )
  •  目的格  ” you “( あなたが
  •  自動詞  ” succeed “( 成功する )

よって、 直訳は、

彼は長生きした結果、あなたが成功したことを見た

弔文としてはそっけないので、 少々工夫して、

彼はあなたの成功を見届けるまで長生きしました

など。

  •  立派になったあなたを、しっかり見てもらえた。
  •  あんなに喜んでいたから、ちゃんと恩返しできた。
  •  だから、そんなに悲しまなくてもいいんだよ。


5.
He died doing what he really loved.

( 大好きなことをしつつ旅立ったのです。)


◆  比較的若くして、事故死した人を悼む言葉。

いわゆる   ” an untimely death ” ( 早すぎる死 )
である。

危険の伴う業務の他、 スポーツや趣味をしていて死亡する
事例も該当する。

” died ” は、 動詞 ” die ” の過去形 ( past tense ) と
過去分詞形 ( past participle )。

ここでは、 自動詞「 死んだ 」の 過去形。

” dead ”  は動詞ではなく、
形容詞 「 死んでいる状態 」。

行為ではなく、 状態だから形容詞

” doing what he really loved ” がポイント。

” doing ” は、他動詞  ” do ” の現在分詞形( present participle )。

「 まさに ○○ している !!
「 まさしく ○○ しつつある !!

こうした  能動的な生感覚  が、 現在分詞形の持ち味である。

【参照】   ” Moving forward ”、  ” Just checking in

ここでは、

「 まさに やっている !!
「 まさしく やりつつある !!

その対象となる ” what he really loved ” は、

  •  関係代名詞  ” what “( こと、もの )
  •  主格  ” he “( 彼が )
  •  副詞  ” really “( 本当に )
  •  他動詞の過去形  ” loved “( 愛した )

よって「 彼が本当に愛したこと 」。

日本語の「 愛した 」は強すぎるため、
「 彼が大好きだったこと 」くらい。

よって、直訳は、

「  彼は大好きなことをやりつつ、死んだ  」

やや間抜けな様相だが、あくまでも、
遺された者に対する慰めを旨とする。

死は悲しいが、 遅かれ早かれ訪れるもの。

大好きなことをしつつ昇天したのだから、
ご本人としては、 そう残念でないはず。

日本人には新鮮味を感じるような言い様だが、
「 5 」は事故死による早世( premature death )
によく出てくる。



◆  締めくくりとして、 個人的にぐっときた弔詞をご紹介したい。

神様を 笑わせてやれ


2014年8月に亡くなった、米俳優の
ロビン・ウィリアムズ ( 1951-2014 )
を悼む掲示版。

抱腹絶倒の傑作コメディを幾多も残してくれた、
ロビンを称える力強い3語である。

MAKE GOD LAUGH

この ” Make god laugh. ” は 「 命令形 」(  imperative form )の文。

相手に何かを求める際、 動詞の  原形  から始める文が英語の命令文。

命令形・命令文とは、「 文の形式 」 の文法用語。

「 命令 」 の 「 機能 」  を表すわけではない。


単なる 「 文の形 」 にすぎないのだが、 大勢が間違って理解している。

もっとも、 命じる際に多用されるため、 悪印象・誤解を与えてしまい、

反発を食らいがちなのも事実なので、 要注意。

別稿  ” Could you update me on – ? ”  で詳らかにした ( 図入り )。

 


【 元長官の死去を伝える大統領の声明 】    ※  米ホワイトハウス

” A Proclamation on the Death of Madeleine Korbel Albright ”
( マデレーン・オルブライトの死去を伝える声明 )

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/
presidential-actions/2022/03/23/a-proclamation-
on-the-death-of-madeleine-korbel-albright/

2022年3月23日付

→  米大統領が、法令に基づき半旗掲揚の命令をしている。
オルブライトは、 米国初の女性国務長官( 1937-2022 )。

 



『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ die 1 ”  の語法より
<大修館書店HP>

【「 死 」関連表現  】

 

 

 

 

 

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