無理しないでください。
直訳は「義務があると感じないで」。
つまり「しなくてはならないとは思わないで」。
意訳して「無理しないで」。
依頼した側が、依頼を受けた側の
負担を気遣って用いる堅めの表現。
その人の本来業務以外のタスクを
指示する際に使うことが多い。
依頼人本人の場合の発言趣旨は、
「あなたにやってもらいたいけど、
そんなに無理はしないで」。
周辺の人がそっと使う場合は、
「本人に頼まれたからって、
無理してやらなくてもいいからね」。
依頼しておきながらも、
<無理してやるな>と声をかけている。
受け手の混乱を招きかねないため、
強制力を伴う業務命令としては不完全だろう。
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◆ “obligate” には、他動詞と形容詞がある。
– 他動詞「義務を負わせる」「義務づける」
– 形容詞「義務を負わされた」
語源は、ラテン語の「義務づける」。
堅い単語であり、普通の小学生は使わないだろう。
語源に忠実な意味中心で、多義でない。
日本語の「義務」同様に、法律・契約で多用される。
名詞は “obligation“(義務、可算・不可算名詞)。
他動詞では、受身が通例。
つまり、動詞は “obligated” が原則。
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特に、”not obligated” のパターンが重要。
表題の<3語完結>はこの一例。
◆ “Do not feel obligated.”(Don’t = do not)
この後に “to” を続ければ、
◆ “Do not feel obligated to – ”
(~をする義務があると感じないで)
つまり「~をしなくてはならないとは思わないで」。
意訳して「無利して~をやらなくてもいいからね」。
この2つを理解すれば、”obligate” の基本はOK。
形容詞用法も、難なく分かるようになる。
“not” 抜きの肯定文も、難しくない。
※ その他、「恩義を感じる」などの意味も
あるが、文語的で日常使用とは言えない。
“Can you do this for me ?
Don’t feel obligated, though.”
(これをお願いしていい?
でも、無理しないで。)
“You are not obligated to do that.”
(そんなことする義務はない。)
(そんなのしないでよいのに。)
“I felt obligated to help him out.”
(彼を助ける義務を感じた。)
(彼を助けなくてはと思いました。)
“I was obligated to pay fees.”
(料金を払う義務があった。)
(料金を払わなければならなかった。)
“A witness is obligated to tell the truth.”
(証人は真実を述べる義務がある。)
(証人は真実を述べなくてはならない。)
“Teachers are obligated to protect students.”
(教師は生徒を守る義務がある。)
(先生は生徒を守らなくてはならない。)
“Don’t feel obligated to reply to unsolicited emails.”
(一方的に届いたメールに返信する義務はありません。)
上記の通り、和訳次第でイメージは変わる。
とりわけ、「義務」を用いるか否かで
文の堅さが違ってくる。
文脈と状況に応じて、適宜翻訳する。
【類似表現】
“have an obligation”
(義務がある)
“no obligation”
(義務なし)