涙で言葉を詰まらせる
「 声を詰まらせる 」場面で頻出なのが、
句動詞( phrasal verb ) の ” choke up “。
取材の受け手の感情的な反応として、
メディアにも出てくる表現。
そのような状態を自ら語る際にも使う。
他動詞 ( transitive verb )でも
自動詞 ( intransitive verb )でも使う。
つまり、句他動詞 ( transitive phrasal verb )及び
句自動詞 ( intransitive phrasal verb )になる。
” up ” は、 ここでは 「 いっぱいの状態 」 を表す副詞。
◆ ” choke ” には、他動詞・自動詞・名詞がある。
【発音】 tʃóuk
【音節】 choke (1音節)
【活用形】 chokes – choked – choked – choking
いずれも多義。
表題の意味に加えて、スポーツ( 野球、 テニス )や
技術( エンジン )分野の専門用語として日本でも定着済み。
語源は、 古期英語 「 窒息させる 」「 息を止める 」( ācēocian )。
–
【 ご注意 】
白墨「 チョーク 」は、 ” chalk ” で別単語。
語源は、 ラテン語 「 石炭 」( calx )。
【発音】 tʃóuk
【音節】 chalk (1音節)
◆ 基本的意味は 「 窒息させる 」。
息を詰まらせるから、とても苦しい。
こんな ネガティブイメージが、” choke ” の基本。
多義だが、その多くが「詰まる」から派生している。
主な類語は、 自動詞・他動詞の ” suffocate “。
【発音】 sʌ́fəkèit
【音節】 suf-fo-cate (3音節)
【活用形】 suffocates – suffocated – soffocated – suffocating
◆ ” choke up ” は、人体のみならず、
配管などが「 詰まる 」 時にも使われる句動詞。
既述の通り、句他動詞 ( transitive phrasal verb )及び
句自動詞 ( intransitive phrasal verb )になる。
日常的にも応用が利く。
- “Waste choked up the pipe.”
(ごみでパイプが詰まった。)
◆ もっとも、 物理的な 「 詰まる 」は、 自他動詞 ” clog ”
または句他自動詞 ” clog up ” の方がずっと多用される。
語源は、 中期英語の 「 材木のかけら 」( clogge )。
【発音】 klɑg
【音節】 clog (1音節)
【活用形】 clogs – clogged – clogged – clogging
” up ” は、 同じく 「 いっぱいの状態 」 を表す副詞。
- ” Waste clogged up the pipe. ”
(ごみでパイプが詰まった。)
– - ” Don’t clog up the toilet. ”
(トイレを詰まらせるな。)
– - ” Please flush twice to prevent clogging. ”
(詰まり予防のため、 2度流してください。)
※ トイレの張り紙
◆ 「 詰まる 」だから、原則は ネガティブ イメージ。
一方で、 比較的マイナー用法として、
感動や感謝で胸がいっぱい
になったときも ” choke up ” を使う。
「 息が詰まる 」 状態は共通しているものの、
伴う感情はだいぶ異なるため、和訳に注意する。
- “I thanked my teacher and then choked up.”
(先生にお礼を言ったら、胸が一杯になった。)
◆ 先述のようにメディアでも重宝される。
とりわけ、 表題の
” choke up with tears “
( 涙で言葉を詰まらせる )
◆ ” choke up ” のみだと「 声を詰まらせる 」が一般的。
” with tears “( 涙とともに → 涙ながらに → 涙で )で、
様子が具体的になる。
” with tears ” は、 複数形が原則。
名詞 「 涙 」は可算名詞で、 複数形 ” tears ” が通例。
【発音】 tir
【音節】 tear (1音節)
語源は、 古英語「 涙 」( tēar )。–
例外的に、 ” with tear ” が単数になるのは、
後に所有格が続く場合。
→ ” with tear in my / his / her / their eyes “。
後続がない場合、 通常は複数形。
- “She chokes up with tears.”
(彼女は涙で言葉を詰まらせた。)
– - “I choked up with tears.”
(私は涙で声が出なかった。)
【 ご注意 】
「 引き裂く 」 の ” tear ” は、 別単語。
スペルは同じだが、 発音も語源も異なる。
涙は「 ティア 」、 引き裂くは 「 テア 」。
語源は、 古期英語 「 引き裂く 」( teran )。
【発音】 ter
【音節】 tear (1音節)
【活用形】 tears – teared – teared – tearing
◆ 感情がこみ上げ、思うように発言できない様子。
涙で詰まらせるものは 「 声 」か「 言葉 」。
どちらの和訳でも、 実質は変わらないだろう。
【類似表現】
- ” choke back one’s tears ”
( 涙をのむ、 涙をこらえる )
– - ” fight back one’s tears ”
( 涙をこらえる )
– - ” hold back one’s tears ”
( 涙をこらえる )
– - ” choke up for words ”
( 言葉に詰まる )
– - ” tear up “、 ” well up in one’s eyes ”
( 涙を浮かべる )
– - ” brought to tears ”
( 涙を誘われる )