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By all means

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ぜひとも、なんとしても 

“by all means” は、

by all manner of means

から転じたもの。

“all manner of” は「ありとあらゆる」の意
古めかしい表現なため、一部省略される方向へ。

現在では、表題の<3語ワンセット>が一般的。
文頭・文中・文尾に置ける。

加えて、3語完結も可能。
この場合、話し言葉(口語)が主。

By all means.
(ぜひとも。)

これは定訳のひとつ。

「ぜひとも」ではよく分からない。
この点、日本語も似たようなもの。

次の国語辞典をご覧いただきたい。

  ぜひとも【是非共】

「ぜひ」を強めていう語。
どうしても。かならず。ぜったい。ぜひに。
(大辞林 第三版)

  ぜひとも【是非とも】

是にしても非にしても。
どんなことがあっても。
きっと。ぜひに。
(広辞苑 第七版)

  ぜひとも【是非とも】

どうあっても。なんとしても。
(明鏡国語辞典 第二版)

  ぜひ
二(
強い希望をあらわすことば。どうしても。
(三省堂国語大辞典 第七版)

  ぜひ【是非】
二《
あることの実行・実現を強く望む気持ちを表す。
どうしても。是が非でも。ぜひとも。
(明鏡国語辞典 第二版)

「正しいか、正しくないか」「よしあし」
の「是非」は、名詞
(三省堂国語大辞典 第七版 など)

定訳扱いされるだけあって、3語完結の
“By all means.” の意味と使用場面に
ほぼ重なる。

「ぜひとも」の他、「もちろん」「いいとも
が定訳に近い意味合い。

強い希望強く望む気持ち」なので、
基本は前向きでポジティブな言い回し。

同意>が趣旨で、気持ちよく承諾する印象を伴う。

よって、”By all means.” と短く応じられたら、
相手の好意的な返答と考えてよい。

日英とも「副詞」用法。

「ぜひとも」はともかく、「もちろん」「いいとも」
の1語で応答されたら、すげない返事に聞こえがち。
それが日本語。

しかし、”By all means.” は決まり文句(後述)ゆえ、
心配無用

目上に用いても、通常は問題ない。

例えば、

  • By all means, sir.
  • By all means, ma’am.
    (承知しました。)

sir” と “ma’am” は男女別の丁寧な呼び掛け語。

丁寧語ゆえに「もちろん」「いいとも」とは釣り合い
にくく、「承知しました」くらいが穏当。

快諾>の趣旨は共通する。

◆ 以上は、3語完結の “By all means.” である。

既に述べたように、文頭・文中・文尾でも使える。

「ぜひとも」「もちろん」「いいとも」を意味する
こともあるが、より副詞的な要素が濃くなる。

先ほどの国語辞典を再掲する。

文頭・文中・文尾の用途にも、こちらの語釈が
該当するケースが多い。

  ぜひとも【是非共】

「ぜひ」を強めていう語。
どうしても。かならずぜったい。ぜひに。
(大辞林 第三版)

  ぜひとも【是非とも】

是にしても非にしても。
どんなことがあっても
きっと。ぜひに。
(広辞苑 第七版)

  ぜひとも【是非とも】

どうあっても。なんとしても。
(明鏡国語辞典 第二版)

  ぜひ
二(
強い希望をあらわすことば。どうしても。
(三省堂国語大辞典 第七版)

  ぜひ【是非】
二《
あることの実行・実現を強く望む気持ちを表す。
どうしても。是が非でも。ぜひとも。
(明鏡国語辞典 第二版)

要は、3語完結・文頭・文中・文尾を問わず、
基本的用途は上枠内がほとんどカバーする。

例外的に感じるのは、口頭の

  • By all means, no.
  • No, by all means.
    (いいえ、そんなことありません。)

強い否定である。

平たく言えば「それは絶対違う!」

“by all means” は、「前向きでポジティブな言い回し」
なのではなかったのか。

検討してみたい。

“no” =「いいえ」に異論はないはず。
片や “by all means”。  実は “no” を修飾する役目にある。

上枠で緑ハイライトした次の語釈が、おおよそ当てはまる。

つまり、”By all means, no.” は「必ずNo」「絶対No」。
換言した「それは絶対違う!」の方が直訳に近い。


文脈上「そんなことありません」と和訳したもの、
こうして分析してみれば、矛盾はないことに気づく。

すなわち、”by all means” とは「基本は前向き」に違いない。

無論、肯定版もある。  持前の積極性を発揮できている。

  • By all means, yes.
  • Yes, by all means.
    (ええ、ぜひとも。)


◆ 日本語の「ぜひとも」と “by all means” の意味合いが、
かなり似通うことは確認できた。

そこで、「基本は前向きでポジティブな言い回し」である
ことを、4大学習英英辞典(EFL辞典)でチェックしてみよう。

黄ハイライトは要点。

“by all means ! “
spoken  → 話し言葉・口語
used to mean ‘of course’ when politely
allowing someone to do something or 
agreeing with a suggestion.
(LDOCE6、ロングマン)

“by all means” 
used to say that you are very willing for 
somebody to have something or do something.
(OALD9、オックスフォード)

“by all means”
used to give permission.
(CALD4、ケンブリッジ)

“by all means”
convention  → 伝統的表現法
You can say ‘by all means’ to tell someone that 
you are very willing to allow them to do something.
(COBUILD9、コウビルド)

※ 青字:引用者による追加

なかなか個性的で楽しい語釈。

なんとも素っ気ないのが “CALD4” で、端的に
「”give permission”(許可する)ために使う」。

“allow” も “agree” も、これの同義語の範疇にある。
ここでの “allow” は他動詞、”agree” は自動詞。

さらに、”very willing”(前向きに)(快く)
が加われば、先述の<快諾>そのものだろう。


◆ “COBUILD9” は、”convention”(伝統的表現法)と記す。

まさに、先に触れた「決まり文句」であることを裏付ける語。

常套句・慣用句などの決まり表現については、文法解釈に
時間をかける意義は薄いのが一般的である。

英語学習者として、文法面を理解することは大切
なのだが、基礎文法習得の目的には<特殊すぎる>
ケースが多いためである。

その中で、”by all means” の構造は、比較的単純。

冒頭にあるように、こちらが本来の形。

by all manner of means

  • 前置詞 “by“(~によって) ※ 手段
  • 形容詞 “all“(すべての)
  • 名詞 “manner“(やり方)
  • 前置詞 “of“(~の) ※ 所属関係
  • 名詞 “means“(手段、方法)

【発音】  míːnz

※ “It means a lot to me.” 参照

既記の通り、”all manner of” は「ありとあらゆる」
直訳の「すべてのやり方の」から「ありとあらゆる」。

これまた<3語ワンセット>だが、古びた表現のきらい
があり、昨今は見聞きする機会が少なくなっている。

したがって、“by all manner of means” は、
「ありとあらゆる手段によって」。

“by all means” は、これが略された形だから、
意味自体は変わらない。

 「ありとあらゆる手段によって」→「ぜひとも

この流れは、日本語からも理解可能であろう。

再び上掲の国語辞典を引用すると、「ぜひとも」は、

相当強引な態度だが、「ありとあらゆる手段」と来れば、
当然そうなる。

 「ありとあらゆる手段によって」
→「ぜひとも」→
very willing

“by all means” は、こんな具合に符合する。

 

◆ 3語完結の実例は、既にご紹介した。

以下、文頭・文中・文尾の使用例を挙げる。

“LDOCE6” に “spoken” とある通り、話し言葉
が中心となる。

実際の使い方を調べると、直後のコンマの有無には、
ばらつきが見られる。

<文頭>


<文中>

 

<文尾>

 

【関連表現】

 

 

 

 

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