~以上の、~強の
<見出し>でも口頭でも、頻出の数量表現のひとつ。
その割には、学校で学ぶ機会が少ない。
「XX」を数字・記号とすれば、”XX-plus”。
【例】
- “8-Plus Dead in School Shooting”
(学校の銃乱射で8名以上死亡) ※ ニュース見出し
“XX-plus” で完結するのがポイント。
基準となる数(XX)を超えていることは確かだが、
具体的な数値が不明な時に重宝する言い回し
◆「プラス・マイナス」の “plus” は、
日本人にも馴染み深い英語であろう。
品詞は多いが、多義でない。
語源は、ラテン語「より多くの」(plus)。
どれも語源に忠実で、基本的意味は分かりやすい。
– 前置詞「~を加えて」「~を足して」
– 接続詞「その上~」「さらに~」
– 副詞「その上」「さらに」
– 形容詞「プラスの」「~以上の」
– 名詞「正数」「余剰」
– 他動詞「加える」「増やす」
カタカナの「プラス」同様、ポジティブそのもの。
※「利点」を表すなら、”benefits” や “advantages”
の方が一般的
そのため、企業名や商品名にも多用される “plus”。
“minus” の扱われ方と比べると、鮮明な違いを感じる。
◆ 表題の “– plus” は、形容詞。
たったこれだけで、数量に加える「~以上」「~強」
を表すことができる。
コンパクト命の<見出し>に重宝されて当然。
“Over XX” や “Under XX” と同じ考え方。
野球やサッカーなどの「U-18」は、”18 and under”
を意味する形容詞で、18歳を含む。
◆「~余りの」であれば、同じく形容詞の
- – odd
- – something
- – some
- -strong
- “150-odd pages”(150ページ余り)
- “26-odd years”(26年余り)
- “1,000-odd yen”(千円余り)
- “twenty-something years old (20何歳か)
- “thirty-some books”(30数冊)
- “a 100-strong workforce“(100名余り従業員)
しかし、”plus” と比べると、これらが<見出し>
を飾ることは少ない。
語学では、数量表現は避けて通れない。
中級以上の学習者であれば、基本は押さえておきたい。
「~以上」の基本表現 ※ XX に数字を入れる
【注意】厳密な「以上」であれば、XX も含む。
よって、単なる “more than” や “greater than”
は不正確。日常使用では、ごっちゃになっている
ことも多い。日本語にも同じ傾向がある。
- more than XX ※ 最頻出
- XX or more
- at least XX
- greater than XX
- XX or greater
- higher than XX
- XX or higher
「基本」以外
- XX and up
- XX or over
- just over XX
- a little over XX
上記がすべて2語以上なのに対し、形容詞 “– plus” は1語のみ。
「XX」を数字・記号とすれば、”XX-plus”
商品名の「○○+」(読み:○○プラス)と重なる。
○○(=旧バージョンの名称)を上回ることを表すため、
ポジティブな印象を与える。
【例】
- “A+” は、”A” より優秀な成績
- “iPhone 8 Plus” は、”iPhone 8” より機能向上
本稿では、ネーミングではなく見出しを取り上げる。
見出しの場合、”XX-plus” の XX は数字中心
- XX 以上
- XX 強
- XX 超
※「ハイフン」なしの表記も可(例文参照)
◆ 今年2017年のニュース見出しをご紹介。
“400-Plus Injured After Mass Shooting”
(銃乱射事件で400名以上が負傷)
“50 PLUS DEAD IN VEGAS”
(ラスベガスで50名以上が死亡)
“50,000-Plus People Visit Museum”
(5万人以上が記念館を訪問)
“40 Plus Women Looks Better Than Ever”
(かつてないほど美しい40歳以上の現代女性)
“20 Plus-Size Women Rocking Bikinis”
(サイズ20超の女性がビキニを着こなす)
※ “rock”「着こなす」「キメる」= 米俗の他動詞
※ 米国のサイズ20とは、日本のサイズ19または5L
◆「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語
【参考】「プラスドライバー」は和製英語
英語の一般名称は、”Phillips screwdriver“。
ねじ会社の社名から一般名称になった。
固有名詞由来なので、“P” は大文字が正式。
“screwdriver” を略して、 “screw” または “driver” とも。
「マイナスドライバー」も和製語
英語では、”flathead screwdriver” または “slot screwdriver”
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研究社 英語の数量表現辞典〈増補改訂版〉
トム・ガリー (監修), 研究社辞書編集部 (編集)
2017年刊
2007年刊の旧版から、本文が1割増。
全689ページ。64トピック+1,500見出し。
研究社の堅実さを示す良書。
2017年現在、最高級の数量辞典と私は考える。
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