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Workforce

      2020/01/05

(1)そこで働くすべての人 (2)労働人口

「従業員」は、可算名詞の “employee”。
日本の学校ではこう教わる。

その通りなのだが、実務では “workforce” も多用される。
口頭・文書ともに、見聞きする機会は多い。
音声と文面のニュースでも同様。

“workforce” 

all the people who work
in a particular industry

or company, or are available to work in a particular
country or area.
(ロングマン、LDOCE6)

【発音】 wə́ːrkfɔ̀ːrs

※ 下線は引用者

◆ “workforce” は名詞のみ。

2語の “work force” の表記もあるが、まれ。

上記 LDOCE 通りの意味で、

(1) 特定の業界または会社で働くすべての人
ひいては「労働力

(2) 特定の国または地域の労働人口

基本は(1)。
両者の判別が難しい場合もある。


“workforce” は可算名詞だが、
集合的な「単数名詞」と「複数名詞」を兼ねる点が特徴。

すなわち、”workforce” のスペルのまま、
単数扱いと複数扱いのどちらもありうる。

冠詞は、定冠詞 “the” または所有格
(our、their、your、its など)が通例だが、
不定冠詞 “a” の場合もある。

冠詞も単複も複雑である

トップマネジメントの公式通知やスピーチでは、
その組織で働く人を “our workforce” と表現する
ことが少なくない。

 

「我が社で働くすべての人」

 

業種によっては、”our employees” よりも普通である。

◆ 私の現職場がそれに該当する。

雇用形態が多様であるためか、”employees” は
ほとんど出てこない。

“workforce” の視点

個々の従業員ではなく、

「働く人すべて

正規・非正規は、不問

「我が社で働くすべての人」という言い回しは、
日本語ではどこか不自然なため、「我が社の従業員」
などと和訳するのが通例となっている。

◆ ここで、「従業員」の定義を見てみよう。

“employee” 

someone who is paid to work for someone else
.

(ロングマン、LDOCE6)

和訳:他人に雇用されている人

 

「従業員」

業務に従事している人。
(広辞苑 第六版)

雇われて業務に従事している人。
(大辞林 第三版)

雇われてある業務に従事している人。
デジタル大辞泉

「労働者」
(1)肉体労働をしてその賃金で生活をする者。
(2)労働力を資本家に提供し、その対価として
賃金を得て生活する者。肉体労働をなす者に限らず、
事務員などをも含む。賃金労働者。

「雇用」
当事者の一方(労務者)が、相手方(使用者)に対して、
労務に服することを約し、相手方がこれに報酬を与える
ことを約する契約。

「雇う」
賃金や料金を支払って、人や乗物を自由に使える状態におく。

「労働力」
生産物を作るために費やされる人間の精神的および
肉体的な諸能力。労働力の具体的な発現が労働である。

(広辞苑 第六版)

※ 下線は引用者

“workforce” の定義と違うのが、緑の下線。

「雇用」(賃金」を含有)の要素が加わっている。
※ 『広辞苑』以外

単に働くすべての人」と定義する “workforce” と異なる。
翻訳者から見ると、看過できない相違点である。

“our workforce” は「我が社の従業員」よりも、

包括的な「我が社で働くすべての人」の意味合い

一見、同じ意味に感じるかもしれない。

しかし、短期雇用の「アルバイト」や「派遣」の労働者
を「従業員」と称することに、抵抗を感じる人は、
日本では少なくない。

「従業員」の定義からは、何ら問題ないはずである。
どちらも「雇われて業務に従事している」から。

ところが、正社員・正職員側だけでなく、アルバイト・派遣
の方にも、すんなり受容しがたい傾向が根強くみられる。

責任負担や待遇面での格差を考慮すれば、確かに一理ある。

「従業員」という十派一絡げの呼称に、双方から反発が生じても
不思議でない。

結果として、本来の定義にもかかわらず、慎重に取り扱うべき
言葉となってしまったのが「従業員」。
日本の山積する労働問題の生んだひずみの一端である。

◆ この点、”workforce” は安全である。

先述の通り、そこ働くすべての人を指す。

“workforce” 

そこで働く全員
ひいては 全体としての労働力

※ (1) の意味

ここに神経を刺激する要素は見当たらない。

雇用形態・給料・職位は、
無関係な “workforce”

トップマネジメントが好んで用いる一因である。

この意味合いを汲む表現は、日本語に見当たらない。
そのため、“workforce” も「従業員」と和訳せざるえない

 

(1) 特定の業界または会社で働くすべての人・労働力

  • “We need to do away with the aging workforce.”
    (高齢の従業員を処分する必要がある。)
  • “The industry’s workforce has been cut by 30%.”
    (その業界の労働力は30パーセント削減された。)
  • “Most of our workforce are women.”
    (我が社の従業員のほとんどが女性である。)

  • “We have a 500-plus workforce.”
    (我が社には500名余りの従業員がいる。)
  • “The company is increasing its female workforce.”
    (その会社は女性従業員を増やしている。)
  • “We should hire highly-skilled workforce.”
    (熟練の従業員を雇用するべきだ。)

  • “We have a highly-motivated workforce.”
    (我が社は意欲満々の従業員に恵まれている。)

 

(2) 特定の国または地域の労働人口

  • “Our generation enters the workforce soon.”
    (我々の世代がまもなく労働人口に加わる。)
  • “The workforce is growing in this industry.”
    (この業界の労働人口は増大している。)

  • “Japan’s workforce is shrinking.”
    (日本の労働人口は減少している。)

  • “We want women back into the workforce.”
    (労働人口に女性を戻したい。)

  • A half of the local workforce is unemployed.
    (地元の労働人口の半数が失業中である。)

  • “We have a workforce shortage in the nursing industry.”
    (介護業界では労働人口が不足しています。)
  • “The workforce problems are likely to get worse.”
    (労働人口の問題は悪化しそうである。)

  • “Researchers point to women’s increased presence
    in the workforce.”
    (研究者は、労働人口における女性の増加を挙げる。)
    (研究者は、女性の社会進出について指摘する。)

繰り返すが、(1) と (2) の区別があいまいなケースも珍しくない。

 

 

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