不和、不和になる
一時的なトラブルや些細なすれ違いは対象外。
日常的な「けんか」は “feud” ではない。
長く、根深く、重苦しい不和。
それが “feud”。
【発音】 fjúːd
広辞苑の語釈にて、”feud” が明示されている。
けっしゅう【血讐】
(feud)危害を受けた個人に代って
その血縁者の集団が加害者に復讐すること
広辞苑 第六版
すぐ仲直りするような<気軽さ>は皆無。
イメージはドロドロ(down and dirty)。
“feud”
– 名詞「不和」「確執」「宿恨」「反目」
– 自動詞「争う」「反目する」
「宿恨」
年来のうらみ。宿怨。
(広辞苑 第六版)
an angry and often violent quarrel between
two people or groups that continues for a long time.
(ロングマン、LDOCE6)
※ 下線は引用者
名詞で使われることが多く、自動詞はマイナー用法。
名詞は、可算名詞と不可算名詞を兼ねるが、
原則は可算名詞で “a” がつく。
【発音】 fjúːd
◆ 衆生界には「けんか」「口論」「不和」が
絶えないためか、英語表現も多数ある。
そのうち、日常的に多用されるものを挙げる。
- “altercation“(名詞)
激しく声を張り上げる口論
→ ヒステリックな印象なのだが、なぜか
<職場での口論>として好まれる
– - “argument“(名詞)※ 頻出
意見の相違による口論または議論
→ 論理的で、感情的でない印象を与える
ために、品よく無難
– - “brawl“(自動詞・名詞)
派手な口論、騒々しく口論する
→ 公衆の面前でギャーギャー騒ぐ
ため、ガキっぽい印象
– - “conflict“(自動詞・名詞)
対立する、衝突
→ 実際の戦争から文学作品内の対立まで、
広範な衝突を指す
– - “dispute“(自動詞・他動詞・名詞)
論争・紛争、論争する
→ 法的な争いが中心
_– - “fight“(他動詞・自動詞・名詞)※ 頻出
戦う、戦い
→ 「けんか」「争い」の総称で、
日常から戦争まで幅広くカバー
–– - “quarrel“(自動詞・名詞)
口論する、(米)軽めの口論(英)深刻な口論
→「口げんか」の総称
“feud” は頻出単語ではない。
にもかかわらず、頻出語を含む上記7語に比べて、
時事やビジネス記事で比較的目立つ。
一因として、堅めのメディアの場合は、日常的な口論
や不和を取り上げる機会が少なく、相対的に “feud” が
突出するためだと考える。
よくあるトラブルについて紙面を割いて解説するのは、
ハウツー系の特集記事であり、時事・ビジネスにはそぐわない。
それに対し、”feud” は長期的で根深い反目を表すため、
<紛争の背景>をなす事例が少なくない。
世間を賑わす大企業の「お家騒動」が好例で、
“family feud” などと揶揄される。
企業に限らず、国家内外に広がる紛争にも “feud” は出てくる。
複数の人間が集まる集団や組織に「不和」はつきもの。
成立後の歴史が長くなれば、「確執」や「宿恨」の生じる
土壌もできやすくなる。
さらに、組織の規模が大きくなるほど、利害関係者は増す。
ドロドロの内情が暴露されるたびに “feud” の出番が増え、
紛争関連の記事に登場しやすくなる傾向がある。
“We had a feud over money.”
(お金のことで、私たちはもめたのです。)
“They have a bitter feud over land.”
(土地をめぐって、彼らはひどく争っています。)
“I’m having a feud with my annoying neighbors.”
(うざいお隣さんと反目しています。)
“She was embroiled in a family feud.”
(彼女は家族間の争いに巻き込まれた。)
“It’s time to settle feuds with my toxic parents.”
(毒親との確執を収める時期が来た。)
“a blood feud“ 血讐
“a family feud” 家族間の争い、内輪もめ、「お家騒動」
『クイズ100人に聞きました』
“Family Feud” は、アメリカのクイズ番組名として知られる。
1976年から現在に至るまで、40年以上も続く長寿番組である。
アンケートの回答に基づき出題される、家族対抗戦。
TBS『クイズ 100人に聞きました』(1979~1992年)は、
その日本版である。
【参照】 ※ 外部サイト