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Pick a fight

      2018/12/10

けんかを売る

Are you trying to pick a fight with me ?
(俺にけんか売ってんの?)

映画やドラマに出てくる決め台詞。

英語に慣れていないと、これを聞き取ることは難しい。
“pick a fight” は、「ピッファィ」などと聞こえる。
このフレーズを予め知らなければ、相手の発言は
完全に意味不明となるはず。

この点、”What’s your problem ?
(なんか文句ある?)
と同様の危険がある。

現実として、そんな柄の悪い人と対峙する可能性は
低いものの、万一そうなってしまった時に役立つ。
旅行中、トラブルに巻き込まれることもありうる。

「けんかを売る」気持ちがなければ、”No, I’m not.”。
No.” だけでも通じる。

もごもごしていると、誤解を招く。

意思疎通ができていないことを、見て取ってくれれば
幸いなのだが、既に気が立っている相手である。

日本人の顔つき(細めの目など)に慣れていない外国人には、
やたらとにらみつけている表情に見えることがあるらしい。

全体的に無表な様子も<不気味>に感じられ、
相手をいらつかせる
傾向が少なからずあるようだ。

この流れは、常日頃から押さえておきたい。
私自身も何度か誤解され、指摘されて学んできた。
外国人のでかい図体が、日本人の恐怖を誘う傾向と似ている。

“pick a fight” は、予防措置で覚えておいて損はない。


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◆ “pick” には、他動詞・自動詞・名詞がある。
他動詞は非常に多義で、熟語が目立って多い
のが特色。

  • pick on(いじめる)
  • pick one’s nose(鼻をほじる)
  • pick one’s teeth(歯をほじる)
  • pick out(選び出す)
  • pick over(吟味する)
  • pick up(回復する)(片付ける)(拾う)(学ぶ)
  • pick up the bill(勘定をする)
  • pick someone’s brain(知恵を借りる)
  • pick someone’s pocket(すりをする)

“pick” は、英単語として最重要レベルにある。
口語・文面とも、頻出は<トップ1000語以内>。
重要も<トップ3000語以内>。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

語源は、古英語「ちくりと刺す」(pīcian)。
だが、このイメージを帯びる意味は少ない。

カタカナ「ピック」(選ぶ)は日本でも普及済み。
根付いた派生表現も少なくない。
「ピッキング」「ピックアップ」「ピックオフ」

※ つるはし・アイスピックの “pick” は、
<語源の異なる別物>扱いする辞書もあるが、
同根とする説もある

“pick” 

  • 他動詞「精選する」「摘み取る」「仕掛ける」
    「こじ開ける」「突く」「抜き取る」「暴く」
  •  自動詞「つつく」「精選する」「摘む」
  •  名詞「選択」「収穫量」【発音】pík

基本的意味に限っても、他動詞はこれほど多い。
“pick” の本領は他動詞。
表題でも、他動詞「仕掛ける」。

◆ “fight” にも、自動詞・他動詞・名詞がある。
語源は、古英語「戦う」(feohtan)。
“pick” と違って多義でない上、語源に沿う。

「ファイト」のイメージそのもの。

“fight”

  • 他動詞「戦う」「試合をする」
  •  自動詞「戦う」「努力する」「けんかする」
  •  名詞「戦い」「けんか」「試合」「闘争心」【発音】fáit

“pick a fight” では、名詞「けんか」。
“fight” は、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
目に見えない抽象的な「闘争心」は不可算だが、
“fight” の原則は可算名詞なので、”a” がつくのが普通。

他動詞 “pick”(仕掛ける)+
不定冠詞 “a” + 可算名詞 “fight”(けんか)

無冠詞の複数形 “fights” でも、同じ意味(例文参照)。

よって、「けんかを仕掛ける」で「けんかを売る」。
「いちゃもんをつける」とも言う。

“pick a quarrel (with somebody)”
“pick a fight (with somebody)” 

to deliberately start a quarrel or fight with someone.
(ロングマン、LDOCE6)

⬛ “quarrel”

  • 名詞「けんか」「言い分」※ 可算・不可算
  • 自動詞「けんかする」「非難する」
    【発音】kwɔ́(ː)rl

⬛ “deliberately” = わざと(副詞)
—-【発音】dilíbərətli

“pick a fight” は、穏やかな表現ではない。
冒頭のように、直接口頭で言うばかりでなく、
ニュース(文面・音声両方)などにも出てくる。

この場合、文字通り「けんかを売る」というより、
比喩として用いられるのが一般的(例文参照)。

対象の前置詞 “with“(~に対して)を伴うことが多い。

  • “Don’t pick a fight with him.”
    (彼にけんかを売るな。)
  • “Why are you trying to pick a fight with me ? ”
    (なぜ、そんなに私にからんでくるの?)
  • “He was trying to pick a fight with her.”
    (彼は彼女にけんかを売ろうとしていた。)
  • “She picked fights with boys all the time.”
    (彼女は年がら年中、男子にけんかを売っていた。)
  • “We hope he doesn’t pick a fight with the Congress.”
    (彼が議会にけんかを売らないことを願っている。)
  • “He is picking fights with media again.”
    (彼はまたメディアにからんでいる。)
  • “President Picks a Fight with Athletes”
    (大統領が選手たちにからむ)※ ニュース見出し

※ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

 

【関連表現】
“square off”
https://mickeyweb.info/archives/26399
(対決する構えをとる、対決する、対戦する)

 

 

 

 

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