Pick a fight
2021/08/05
けんかを売る
Are you trying to pick a fight with me ?
( 俺にけんか売ってんの ? )
–
映画やドラマに出てくる決め台詞。
英語に慣れていないと、これを聞き取ることは難しい。
” pick a fight ” は、
ピッカ ファィ
などと聞こえる。
このフレーズを予め知らなければ、相手の発言は
完全に意味不明となるはず。
この点、” What’s your problem ? ”
( なんか文句ある ? )
と同様の危険がある。
–
◆ 現実として、そんな柄の悪い人と対峙する可能性は
低いものの、万一そうなってしまった時に役立つ。
旅行中、トラブルに巻き込まれることもありうる。
「 けんかを売る 」気持ちがなければ、” No, I’m not. “。
” No. ” だけでも通じる。
もごもごしていると、誤解を招きがち。
単に意思疎通ができていないと、察してくれれば
助かるのだが、既に気が立っている相手である。
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◇ 日本人の顔つき( 細めの目 など )に 見慣れていない外国人には、
やたらと にらみつけている表情に見える ことがあるらしい。
–
全体的に 無表情 な様子も、どこか「 不気味 」
相手を いらつかせる
外国人の知人数名に教わった。
–
私たち日本人に付きまとうリスクを、常日頃から念頭に置いておこう。
私自身も何度か誤解され、指摘されて学んできた。
外国人のでかい図体が、 日本人の恐怖を誘う傾向と似ている。
” pick a fight ” は、予防措置 で覚えておいて損はないだろう。
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けんかを 売る
–
◆ ” pick ” には、他動詞・自動詞・名詞がある。
他動詞は非常に多義で、熟語が目立って多いのが特色。
- pick on (いじめる)
- pick one’s nose (鼻をほじる)
- pick one’s teeth (歯をほじる)
- pick out (選び出す)
- pick over (吟味する)
- pick up (回復する)(片付ける)(拾う)(学ぶ)
- pick up the bill (勘定をする)
- pick someone’s brain (知恵を借りる)
- pick someone’s pocket (すりをする)
–
◆ 動詞 ” pick ” は、英単語として最重要レベルにある。
– 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
– 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
– 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
( ロングマン、LDOCE6 の表記より )
語源は、古英語「 ちくりと刺す 」( pīcian )。
現在、このイメージを帯びる意味は少ない。
カタカナ「 ピック 」( 選ぶ )は日本でも普及済み。
根付いた派生表現も少なくない。
- ピッキング
- ピックアップ
- ピックオフ
※ つるはし・アイスピックの ” pick ” は、
< 語源の異なる別物 >扱いする辞書もあるが、
同根とする説もある。
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基本的意味に限っても、他動詞はこれほど多い。
” pick ” の本領は他動詞。
表題でも、他動詞「 仕掛ける 」。
◆ ” fight ” にも、自動詞・他動詞・名詞がある。
語源は、古英語「 戦う 」(feohtan)。
” pick ” と違って多義でない上、語源に沿う。
「 ファイト 」のイメージそのもの。
◆ ” pick a fight ” では、名詞「 けんか 」。
“fight” は、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
目に見えない抽象的な「 闘争心 」は不可算だが、
” fight ” の原則は可算名詞 なので、” a ” がつくのが普通。
- 他動詞 ” pick “( 仕掛ける )
- 不定冠詞 ” a “
- 可算名詞 ” fight “( けんか )
無冠詞の複数形 ” fights ” でも、同じ意味( 例文参照 )。
よって、「 けんかを仕掛ける 」で「 けんかを売る 」。
「 いちゃもんをつける 」とも言う。
” pick a quarrel ( with somebody ) ”
” pick a fight ( with somebody ) ”
to deliberately start a quarrel or fight with someone.
( ロングマン、LDOCE6 )
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■ ” quarrel “
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【発音】 kwɔ́(ː)rl
【音節】 quar-rel (2音節)
- 名詞「けんか」「言い分」※ 可算・不可算
- 自動詞「けんかする」「非難する」
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■ ” deliberately “
–
【発音】 dilíbərətli
【音節】 de-lib-er-ate-ly (5音節)
- 副詞 1.「 入念に 」 2.「 わざと 」
→ ここでは、2.「 わざと 」
◆ ” pick a fight ” は、穏やかな表現ではない印象。
冒頭のように、直接口頭で言うばかりでなく、
ニュース( 文面・音声両方 )などにも出てくる。
この場合、文字通り「 けんかを売る 」というより、
比喩 として用いられるのが一般的 ( 例文参照 )。
対象の前置詞 ” with “( ~ に対して )を伴うことが多い。
- “Don’t pick a fight with him.”
(彼にけんかを売るな。)
– - “Why are you trying to pick a fight with me ? ”
(なぜ、そんなに私にからんでくるの?)
– - “He was trying to pick a fight with her.”
(彼は彼女にけんかを売ろうとしていた。)
– - “She picked fights with boys all the time.”
(彼女は年がら年中、男子にけんかを売っていた。)
– - “We hope he doesn’t pick a fight with the Congress.”
(彼が議会にけんかを売らないことを願っている。)
– - “He is picking fights with media again.”
(彼はまたメディアにからんでいる。)
– - “President Picks a Fight with Athletes”
(大統領が選手たちにからむ) ※ ニュース見出し
◇ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語
【関連表現】
” square off ”
https://mickeyweb.info/archives/26399
( 対決する構えをとる、 対決する、 対戦する )