完結させる、終わらせる
日常生活には堅すぎて好まれないが、
ビジネスでは重宝する単語。
「完結させる」がぴったりで、「終わらせる」の意。
完結とは、「完全に終わること」(広辞苑 第六版)。
かんけつ【完結】
〘名〙
完全に終了してまとまること。続いていた
物事などがすっかり終わること。
(精選版 日本国語大辞典)
かっちり堅い言い回しなので、普段遣いには重すぎる。
だが、次の3場面では多用される。
1)合意・契約
“finalize an agreement”(合意をまとめる)
“finalize a contract”(契約をまとめる)
2) 計画・原稿
“finalize a plan”(計画を決定する)
“finalize a script”(原稿を仕上げる)
3) 離婚
“finalize a divorce” ※ 頻出
(離婚を成立させる)
和訳は「まとめる」「決定する」「仕上げる」
「成立する」とあるが、すべて「完結させる」
ことを指す。
このように日本語が分かれるのは、それぞれの
場面に合う「完結させる」の言い方があるため。
分野不問の英単語としては<頻出>には至らない。
また重要度は<トップ6,001~9,000語以内>で、
それほど重要ともいえない。
ところが <Academic Word List>(※)入り
しており、ビジネス同様、高等教育では頻出である。
※ 英語圏の大学教科書の頻出単語570語
(以上、ロングマン LDOCE6 の表記より)
堅くて重くて日常会話で敬遠される一方、産学官軍
の実務で重宝される代表例が “finalize” である。
“finalize”
to finish the last part of a plan, business deal etc.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 ffaɪ.nəl.aɪz(finalize ファに強勢)
名詞として、派生した語はこちら。
“finalization”
不可算名詞 (完結、確定、決定)
– “the finalization of death sentence”(死刑の確定)
【発音】 faɪ.nə.ləˈzeɪ.ʃən(finalization ゼイに強勢)
“finalize” には、他動詞と自動詞がある。
語源は、”final“(形容詞・名詞)に接尾辞 “ize”
を加えたもの。
“-ize” は、英語で最も多用される接尾辞のひとつで、
主に自動詞をつくる。
イギリス英語では “-ise” とつづられることもあるが、
現在では “-ize” が席巻しつつある。
“finalize” の初出は1922年なので、比較的新しい。
上記LDOCEのとおり、意味は単純。
ほとんど “finish” で置き換えられるほど。
ただ、既述したように、より適切な単語が各場面で
存在するのは、どの言語にも言えることだろう。
“finalize” の場合、黄枠内がそれに該当する。
とりわけ、「3. 離婚」では、”finalize” が目立つ。
◆ 先の3場面を押さえておけば、基本はOK。
1)合意・契約
“The US and Japan finalized the agreement this month.”
(今月、日米の合意がまとまった。)
“The contract was finalized and signed.”
(契約書がまとまり、調印された。)
2) 計画・原稿
“The plan will be undisclosed until all the details have finalized.”
(全詳細が決定するまで、計画は開示されない。)
“I finalized the draft of the script.”
(原稿のドラフト版を仕上げました。)
3) 離婚
“I just want to finalize my divorce and get it over with.”
(とにかく離婚を成立させて、けりをつけたいの。)
“”I breathed a sign of relief when my divorce was finalized.”
(離婚が成立した時、私は安堵のため息をついた。)