行き過ぎ、過剰
おどろおどろしい字面で、一度見たら忘れにくい。
「行き過ぎ」「過剰」を意味する不可算名詞。
口頭でも文面でも使われる。
– 名詞「過剰」「行き過ぎ」「過剰殺傷」
– 自動詞「過剰殺傷する」
– 他動詞「過剰殺傷する」
接頭辞 “over”(過度に)+ 動詞 “kill”(殺す)
で「過剰殺傷」が原義。
過剰殺傷とは、核兵器で大量に破壊すること。
しかし、通常「過剰殺傷」の意味で “overkill” が
使われる機会は少ない。
不可算名詞「行き過ぎ」がほとんど。
日常はそこまで物騒でないから当然だろう。
主な類義語は、不可算名詞 “excess“(過剰)。
“overkill” =
more of something than is necessary or desirable.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】ˈəʊvəˌkɪl
上記 “LDOCE6” には、名詞用法しか記載されていない。
オックスフォード(OALD9)、ケンブリッジ(CALD4)、
コウビルド(COBUILD9)も同様である。
すなわち、4大EFL辞典(ノンネイティブ学習
に、”overkill” の動詞は一切見当たらなかった。
ネイティブ用も名詞のみ。
“overkill” =
noun
1. the capacity of a nation’s nuclear weapon stockpile
to kill many times the total population of any given
nation.
2. much more of something than is necessary,
appropriate, etc.; esp., an excess of effort in attempting
to achieve some end.
(Webster’s New World College Dictionary, 5th Edition)
よって、動詞用法は無視しても支障はないだろう。
なお、一部のネイティブ向け辞典には、
動詞も掲載されている。
例えば、”Merriam-Webster“(オンライン版)
◆「行き過ぎ」「やり過ぎ」と言いたい場面は年中生じる。
出番の多い英語は、
- I went overboard.
- I fell overboard.
- I went too far.
- Don’t overdo it.
- I crossed the line.
- It’s over the top.
- It’s too much.
これほど頻出でないものの、”overkill” も時たま使われ、
新聞・ニュース・会議などに出てくる。
“This is overkill.”
(これは行き過ぎです。)
“Those magazine reports are just overkill.”
(これらの雑誌記事は実に行き過ぎです。)
“We simply need a cell phone. A tablet would be overkill.”
(携帯電話で十分。タブレットは行き過ぎだ。)
“Offering many sales in a month is overkill.”
(ひと月で何度も特売するのはやり過ぎです。)
“I think your detailed analyses are overkill.”
(あなたの詳細な分析は行き過ぎだと思います。)
◆ また、実際にはあまり見聞きしないが、
主な英和辞典では、次の2つが基本表現とされている。
- “ – amount to overkill “(~はやり過ぎもいいところ)
- ” – exercise in overkill “(~はやり過ぎの見本)
インパクトのある “overkill” は印象に残りやすい。
今、ここで覚えてしまおう。
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◆ 私の場合、軍関係の会議で初めて聞いた。
意味が分からず、「何を殺すの?!」と仰天。
そそくさと辞書を引き、会議後に、
“I guess that’s overkill.”
(それってやり過ぎでは。)
と上司にコメント。
しれっと生意気に活用し、その日のうちに記銘した。
【類似表現】
“overdo” ※ 自動詞・他動詞
(やりすぎる)
“go overboard”
https://mickeyweb.info/archives/831
(やり過ぎる。行き過ぎる。)
“overly” ※ 副詞
https://mickeyweb.info/archives/32305
(過度に)