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Overly

      2024/04/15

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過度に   

< 行き過ぎ > を表す副詞。

主たる定訳は 「 過度に 」。

【発音】  óuvərli
【音節】  o-ver-ly (3音節)

行為や状態そのものでなく、過剰な要素を問題視
するため用いるのが主用途。

「 過度に 」と同様に、
好意的なで使われる機会は少なめ。

これぞ、同義の 副詞too very との大きな違いである。

  たった1語で、さらりと 指摘非難 できるから便利。

使い方は比較的簡単なので、ご自分で使えるようにしておくとよい。

 

◆  手始めに、辞書チェック。

定訳があるので、最初は国語辞典から。

どれも全文。

  かど【過度】

  適切な程度を超えていること。 度を過ごすこと。
また、そのさま。
( 大辞林 第四版 )

  普通の程度を超えていること。 また、そのさま。
いきすぎるさま。 なみはずれ。
( 精選版 日本国語大辞典 )

  適当な程度を超えていること。
( 明鏡国語辞典 第三版 )

 

  度が過ぎる 

  限度を ひどく 超えている
( 広辞苑 第七版 )

  普通の程度はなはだしく 超える。
( 大辞林 第四版 )

※  下線は引用者


俗語なら「 ぶっとぶ 」のイメージが近いかもしれない。

  ぶっとぶ【(打っ)飛ぶ】

〔俗〕
3.  常識では考えられない ほど、めちゃくちゃになる。
( 三省堂国語辞典 第七版 )

※  下線は引用者
※  語釈の該当項のみ引用

どの語釈も苛烈な点に着目。

独自性や努力を認める温かい眼差しはなく、
「 なにやってんのよ 」 と呆れ果てている感じ。

本来ならば、賞賛に値する行為であっても、
「 過度 」 がつくと逆効果になってしまう模様。

その際、 本人の健康のためなど、 もっともらしい理由
がついて回るのは言うまでもない。

辞書の例文を示すと、

  • 過度の勉強 」( 三省堂国語辞典 第七版 )
  • 過度の運動 」( 明鏡国語辞典 第三版 )

「 勉強せよ 」「 運動せよ 」との掛け声を形なし
にしてしまう内容である。

「 普通 」「 常識 」から外れると、「 適切な程度 」を越える。

そうなると、 爪弾きを受けやすくなるのが、 衆生界の掟。

頑張る人なら、 不満が生じても不思議でない。

  • 人並み外れた努力がいけないの
  • 「 過度 」って、誰の基準よ

外れ値( outliers )的な存在が警戒されるのは、
世界の歴史が証明している。

いつの世も、 改革者は誤解と不信に見舞われがち。

心ない評を 物ともせず、 次元を突き抜ける覚悟と才能
がなければ、 開花結実は難しい。

過ぎたるはなお及ばざるが如し 」などと御託を並べる
凡百の 外野に負けて しまうケースが大半。

「 過度 」扱いで、 あえなく終了。

かくして異材はつぶされる。

無残なものである。

 

◆  では「 過度 」を前提に、 8点の英英辞典を見ていこう。

  ” overly ”  

  too or very.
( LDOCE6、ロングマン )

  (before an adjective) too; very
( OALD9、オックスフォード )

■  too; very
( CALD4、ケンブリッジ )

  Overly means more than is normal, 
necessary, or reasonable.
( COB9、コウビルド )

  very much, or too much
( Macmillan、マクミラン )

  to an excessive degree : TOO
( Merriam-Webster、メリアム ウェブスター)

■  too; excessively
( Collins English Dictionary, 12th Edition )

■  too or too much; excessively
( Webster’s New World College Dictionary, 5th Ed. )

【発音】  óuvərli
【音節】  o-ver-ly (3音節)


非常にすっきりとした語釈ばかりである。

” overly ” の初出は、 1050年以前。
( ランダムハウス英和大辞典 第2版 )

見かけによらず、古い単語である。

◇  too “、” very “、” excessively ”  が共通語


英英8点中、7点がいずれかの 副詞adverb )を含む。

ここでは、 ” COBUILD ” のユニークな解説が際立つ。
※  →  短所 もある

それでも、 ” more than is normal  ”  とあるので、
先述の 「 普通の程度を超えている 」 の通り。

3つの共通語は、 中級学習者 にとっては、 常用語レベル。

既に触れたように、 ” too ” と ” very ” はネガポジ不問。

 

◆  一方、” excessively ” は、” overly ” に近似している。

すなわち、 中立的でなく、 ネガティブに偏る用途。

” excessive ” と ” over ” の語源が似通うからこうなる。

  • excessive “( 過度の、 過大な )    ※  形容詞

    【語源】
    名詞  ” excess “( 超過 )+ 接尾語  ” ive “( ~ の性質をもつ )
    →  ” excess ” の語源は、ラテン語 ” excessus “( 逸脱 )

    【発音】  iksésiv 
    【音節】  ex-ces-sive (3音節)

    【発音】  iksésivli
    【音節】  ex-ces-sive-ly (4音節)

  • over “( ~ を越えて、 ~ より上で )    ※  前置詞・副詞

    【語源】
    古英語  ” ofer “( ~ を越えて上に )

    【発音】  óuvər
    【音節】  o-ver (2音節)

「 越える 」  →  「 行き過ぎ 」の成り立ちが、もろに重なる。

様態を表す接尾語  ” ly ” を加えても、語源はそのまま。

したがって、 ネガ寄り用法は変わらない。

2語そろって、悪口 に最適。

◆  さっそく、 悪態チェック。

会議中、せっせと 集めた表現 である。

当事者が、 事の 背景 を説明していた。

社内だが、 公式の場。

槍玉に挙げられた側は、 それなりの地位におられる方も多い。

当然、 物言いに注意するはずだ。

 

なんや、こいつ

 

  • “He was being overly friendly and I guess kind of groping me.”   
    (彼はなれなれしくなり、私を触っていたような気がします。)

    ◇  ” guess ”  及び  ” kind of ” で、 言葉をにごしている
    ※  ” guess ”  →  他動詞・自動詞・名詞 「 推測( する )」

  • “He was overly trying to be my friend.”
    (彼はやたらと友達になりたがったのです。)

    ◇  ” trying ” は、 ここでは現在分詞 ( present participle
    →  過去進行形 ( past continuous )

  • “She is overly sensitive and I really don’t know what to do.”
    (彼女は極端に神経質なので、もうお手上げなのです。)

    ◇  パワハラ告発に、上司が弁明

  • “He was overly ambitious and overly confident.”
    (彼は野心的すぎで、自信過剰でした。)

    ◇  同僚の暴走で、顧客からクレーム


  • “She is overly jealous of other people who approach her boss.”
    (自分の上司に近づく人々に、彼女はやけに嫉妬するのです。)

    ◇  周囲ともめる、同僚女性を分析

  • “He is an overly judgemental boss.”
    (彼は批判的すぎる上司なのです。)
    (彼は決めつけすぎる上司なのです。)
    (彼は細かすぎる上司なのです。)

    ◇  必要以上に管理したがる上司は、 ” a  micromanager

    ーー
  • “I was overly naive back then.”
    (あの頃の私は、あまりにも世間知らずでした。)

    ◇  純真さの「 ナイーブ 」は、和製語に近い

  • “They are overly optimistic about this project.”
    (このプロジェクトに対して彼らは楽観的すぎです。)

    ◇  怠惰な相手チームを批判

  • “But I didn’t want to get overly involved in the project.”
    (しかし、そのプロジェクトに深入りするのも嫌だった。)

    ◇  自己保身

  • ” Highway tolls are overly expensive in Japan.”
    ( 日本の高速道路料金は高すぎる。)

    ◇  高速道路の料金所でトラブル

  • “Japanese staff was overly polite and wouldn’t
    leave us alone.”
    (日本人スタッフは丁重すぎて、放っておいてくれなかった。)

    ◇  「 おもてなし文化 」の弊害。   うざい らしい。

  • “We got overly excited and broke the window.”
    (私たちははしゃぎすぎて、窓を割りました。)

    ◇  社内イベントで器物損壊

  • “She seemed overly concerned about the upcoming audit.”
    (彼女は今度の監査について、ひどく心配していた様子でした。)

    ◇  突然、退職した部下に対する思い

  • “The document was full of overly technical terms.”
    (この文書には専門用語が多すぎる。)

    ◇  難しすぎると、とっつきにくくなる

◆  自制する話し手の姿勢を看取でき、なかなか好印象。

◇  ” too ” に比べ、知的な言い回しが利点  

繰り返すが、行為( 動詞 )や状態( 形容詞 )そのものでなく、
過剰な要素を取り上げるために用いるのが基本。

雑言抜きの状況説明は、雰囲気をかき乱さないので、
出席者を安心させる。

さらりと指摘・非難できるから便利
と上述したのは、 このようなメリットを指す。

品位を保ちつつ、行き過ぎ を指摘するのに役立つ ” overly “。

この点、 日本語の「 過度に 」同然といっても過言ではない。

日英とも応用が効くので、 ぜひ押さえておきたい。

 

【類似表現】

 

 

 

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