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Annul

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無効にする

芸能記事でよく見かける表現が、

  • annul one’s marriage
    (~の婚姻を無効にする)
  • marriage annulment
    (婚姻無効)※ 名詞形

“divorce”(離婚)、”split”(別れる)
と同じくらい、年がら年中見かける。

◆ 無論、婚姻以外にも “annul” は使われる。
契約選挙・判決・法令などである。

だが、日常的には結婚関係が圧倒的に頻出

その一因は、婚姻無効の表現は
“annul” と “annulment” が原則なのに対し、
その他の用途では同義語が複数あるからだろう。

なので、本稿でもこの用途中心に取り上げる。

◆ “annulment” の場合、”divorce” と異なり、
最初から婚姻が成立せず、婚姻の効力が
生じなかったものとして扱われる。
さかのぼって消えてしまうのが “annul”(無効にする)。

そのため、離婚歴もつかない点で、
「離婚」と大きく異なる。

婚姻無効の原因は、国によって異なる。
例えば、「重婚」(”bigamy”)は、日米を
含む多くの国で無効原因とされている。

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◆ “annul” の語源は、ラテン語「ゼロにする」。
だから、無効(遡及し、一切なかったことに)
そのものである。

品詞は他動詞のみで、意味は単純である。
「無効にする」「破棄する」。

◆ 名詞形は、”annulment”。
「無効宣言」「無効判決」。
通常、婚姻について指すのが一般的。
具体的な無効は可算名詞で、
抽象的な無効の行為は不可算名詞となる。

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◆ 「離婚」を禁じる宗教は少なくない。
その代表が、カトリック(Roman Catholic)。
教義としては、現在も離婚できない。

そのため、<婚姻無効>の制度が重宝される。
最初から婚姻が成立しなかったのだから、
「離婚」ではないという論理である。

とすれば、論理的には “marriage” とも
称さないはずだが、”annul”、”annulment”
ともに、”marriage” に伴うのが通例(例文参照)。

日本人の感覚では不自然に感じるかもしれない。
しかし、米国などでは、決して珍しいことではない。

“annul” と “annulment” をやたらと目にする
背景には、このような宗教的な事情もある。

“She requested for an annulment of her marriage.
(彼女は婚姻無効を求めた。)※ 可算名詞
“The couple has filed for annulment.”
(夫婦は婚姻無効の訴えを起こした。)※ 不可算名詞
“My first marriage was annulled after two months.”
(私の最初の結婚は、2ヵ月後に無効となりました。)
“He sent her a clear signal that he wants to
annul their marriage.”
(結婚を無効にしたい意思を、夫は妻にはっきり伝えた。)

“The company annulled its contract with him.”
(その会社は、彼との契約を解除した。)
The election was annulled.”
(その選挙は無効となった。)
“The law was annulled.”
(その法は無効となった。)
“The ruling was annulled.”
(その判決は無効となった。)

※ 「無効」「取り消し」「解除」は、法律的に
意味が異なるが、日常使用として和訳した。

 

 

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