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Consensual

      2020/10/16

合意に基づく  

性的暴行のニュース報道によく出る形容詞。

加害者とされる側は、

■  consensual sex (act)

合意に基づく性交渉

だったと主張する。

対して、被害者(性別不問)はそれを否定する。

■  non-consensual sex (act)

合意のない性交渉

未来永劫不変の争点である。

◇  “non-” = 否定の接頭辞(非・不・無)



◆  今回調べた英英辞典6冊すべての例文で、
“consensual sex” が挙げられている。

“consensual” は「合意に基づく

1語で示す形容詞の代表格

【発音】   kənˈsɛnʃʊəl
【音節】    con-sen-su-al  (4音節)


【参考】      ※  外部サイト

「同意のない性行為」にNO!  スウェーデンの性犯罪規定
https://forbesjapan.com/articles/detail/32564
2020年2月26日付

 

◆  日常会話にはあまり出てこない法律用語でもあるが、
ニュースに加え、実務で出会う機会は珍しくない。

例えば、

  • consensual agreement
    (合意に基づく契約)
  • consensual contract
    (諾成契約)
  • consensual marriage
    (合意に基づく婚姻)
  • consensual divorce
    (合意離婚)(協議離婚)
  • consensual relation
  • consensual relationship
    (合意に基づく関係)


◆  “consensual” の品詞は形容詞のみ。

語源は、ラテン語「同意する」(consentīre)から
生じた名詞 “consensus”(合意、コンセンサス)に
接尾辞 “al” を加えたもの。    ※  末尾の “s” は落とす

“al” がつくる形容詞の意味は、「~の(性質の)」。

【例】

  • postal (郵便の)
  • tribal (部族の)
  • accidental (偶然の)
  • seasonal (季節の)

したがって、”consensual‘ は「合意の」で、
「合意に基づく」となる。

◆  なお、似た成り立ちで同義の “consentual”
もあるが、通常は “consensual” を用いる。

   “consentual” は、3大学習英英辞典(EFL辞典)はおろか、

著名な “Black’s Law Dictionary“ (◇) にも記載がない。

◇  1891年に発刊後、130年以上の歴史を誇り、
判例に最も引用される『ブラックス法律辞典』。

2018年2月14日初稿時点の最新版は、
2014年刊の「第10版」。


Amazon Japan / Amazon US

“consensual”

formal
1. which people in general agree with.
2. (of an activity) which the people
taking part have agreed to.

(オックスフォード、OALD9)

【発音】   kənˈsɛnʃʊəl
【音節】    con-sen-su-al  (4音節)

※  下線は引用者

“formal” 表示なので、やはり堅い言い回し。

語源とOALD9から自明なのは、”agree”(同意する)
を前提とすること。

当事者が同意したから、合意に至っている。
そんな状態を示す形容詞が “consensual”。

  どうい 【同意】
2. 同じ意見。同じ意思。
3. 他人の意見に賛成すること。

  ごうい【合意】
意志が一致すること。法律上は契約当事者
の意思表示の合致をいい、契約の成立要件
となる。

(広辞苑 第七版)

要は、きちんと理解した上で、お互いにその状況を
受け入れている様子。

内容は問わないため、次の2例とも “consensual”。

◆  ちなみに、日本国憲法第24条
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し(以下略)」
の英訳は以下の通り。

Article 24
Marriage shall be based only on the
mutual consent of both sexes . . .

【首相官邸版より】    http://japan.kantei.go.jp/

  •  形容詞 “mutual“(相互の)
  •  不可算名詞 “consent“(同意)

下線の2語「相互の同意」で「合意」を表現している。
これを “consensual” で言い換えると、こんな感じ。

“Marriage shall be based only on the
consensual decisions made by both sexes . . .”

下線部の構造は、

  •  形容詞 “consensual“(合意に基づく)
  •  可算名詞 “decision“(決断)

ここでは名詞を飾っているので、文法的には
難しくはないだろう。

◆  片や “consensual” を述語で用いる場合は、
「be動詞」に続くのが基本。

その理由は、”consensual” が形容詞だから。

以下、”aware” からの再掲。

日本語の形容詞は用言の一つで、
単独で述語 になることができる。

  • 私は悲しい
  • 彼女はきれい
  • それが楽しかった

太字は形容詞。
「は」と「が」は、助詞postpositional particle)。

名詞・代名詞の後ろに置き、
他の語との文法的関係を示す語。
前置詞(preposition)の反対の 後置詞(こうちし)。

それが、日本語の助詞。

※  本稿末尾に『』語釈を全文掲載している

◆  一方、英語の形容詞は「be動詞などの
助けを借りないと、述語になれない。

日本語の形容詞に比べて、
力が弱いから。

  • I am sad.
  • She is beautiful.
  • It was fun.

黒の下線部が “be動詞“。

be動詞be、am、was、been、will be、is、were、are

要するに、英語の形容詞は、
  弱すぎて述語として自立不能。

先述の文例を比べると、

  <日本語の形容詞>  単独で述語 ○  

強くて独立しているので「助詞」が欠けても可。
少なくとも「話し言葉」なら、大抵問題ない。

私、悲しい
彼女、きれい
それ、楽しかった

  <英語の形容詞>  単独で述語 X  

弱くて依存している
ので、「be動詞」などは不可欠
よって、以下は完全に間違い。

X  I sad.
X  She beautiful.
X  It fun.

形容詞の力量の違いが、直接文法に表れているのだ。
重要なので、以上おさらいしてみた。

◆  例文でも確認してみよう。   下線が be動詞。

  • “He insisted that the sex was consensual.”
    (彼は性交は合意の上だったと主張した。)
  • “I believe everything is consensual.”
    (すべてが合意の上だと信じている。)
  • “Their relationships were consensual.”
    (彼らの関係は合意の上でした。)
  • “We had engaged in sex, but it had been consensual.”
    (性交渉はありましたが、それは合意の上でした。)
  • “Sexual shoots were consensual.”
    (性的な撮影は合意の上だった。)

  • “Everything I have done has been consensual.”
    (私のやったことすべては合意の上でした。)
  • “The bullying had been consensual.”
    (そのいじめは合意の上だった。)

上記は、形容詞 “consensual” 自らが「文の要素」となる「叙述用法」。

次のように、名詞を直接修飾する「限定用法」でも使われる。

  • “The law cracks down  on non-consensual distribution
    of sexual content.”
    (その法律は、合意のない性的コンテンツの配信を
    取り締まる。)
  • “All non-consensual recording of conversations
    at the workplace is prohibited.”
    (この職場における会話の秘密録音は、全面禁止されている。)

    ◇  “non-”  =  否定の接頭辞(非・不・無)

【参照】       ※  外部サイト

・ 形容詞の「叙述的用法」と「限定的用法」
・ 形容詞の限定用法と叙述用法

  • 英語の形容詞の用法は2つ
    →  「限定用法」と「叙述用法」
  • 日本語の形容詞の用法は3つ
    →  「限定用法」と「叙述用法」と「副詞的用法

◆  日本最大規模の国語辞典の名を誇る『日国』がこちら。

「助詞」全文である。


日本国語大辞典 第二版』第7巻、p. 357、
小学館(2001年刊)より転載

おまけに、「形容詞」全文。


日本国語大辞典 第二版』第4巻、p. 1287、
小学館(2001年刊)より転載

緑の傍線が、既記の

英語の形容詞は「be動詞などの助けを借りないと、述語になれない

に該当する。

◆  英語も「印欧語」。

インド・ヨーロッパ語族(the Indo‐European languages)とも言う。

「印欧語」と「形容動詞」は、”conclusive” で取り上げている。

 

◆  日本語の文の種類は、3種類に大きく分けられる。

1.  名詞文
2.  形容詞文
3.  動詞文

1. 「名詞文」  →  述語に名詞が使われる

1-1  私は学生です。
1-2  父は今ニューヨークです。

2. 「形容詞文」  →  述語に形容詞または形容動詞が使われる

2-1  富士山は美しい。(形容詞)
2-2  京都は有名である。(形容動詞)

3. 「動詞文」  →  述語に動詞が使われる

3-1  彼はそこに行きました
3-2  私は昼食を食べました

上記を英訳してみる。  青字は動詞 (下線部は “be動詞”)。

1-1  I am a student.
1-2  My father is in New York now.

2-1  Mt. Fuji is beautiful.
2-2  Kyoto is famous.

3-1  He went there.
3-2  I ate lunch.

動詞が「3. 動詞文」に用いられることは言うまでもない。

ところが、

「1. 名詞文」と「2. 形容詞文」にも
動詞be動詞)が使われている。

日本語の「1. 名詞文」「2. 形容詞文」には動詞はないのが普通なのに、

英語になると、必ず動詞が出てくる。

「名詞文」「形容詞文」「動詞文」
すべてに、英語では動詞が使われる。

日本語と英語の大きな違いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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