とてつもない、 どでかい
程度が甚だしい状態を示す形容詞(及び副詞)が、” whopping “。
【発音】 (h)wάpɪŋ
【音節】 whop-ping (2音節)
基本は「 大きい 」で、かさ張っている状態。
ひいては、強意の「 すごい 」に派生した。
イメージとして、よく合う和訳の代表例は、
- 「 大きい 」 → 「 どでかい 」
- 「 すごい 」 → 「 とてつもない 」
どでかい
形容詞
( ドは接頭辞 )非常に大きい。 とてつもなく大きい。
とてつもない【 途轍も無い 】
非常に度をはずれているさま。 途方もない。
( 広辞苑 第七版 )
–
でかすぎ
◆ ” a whopper ” は 「 どでかい もの」。
さらに「 大ぼら 」。
可算名詞である。
【発音】 hwɑpər
【音節】 whop-per (2音節)
視覚的に思い浮かべることができるため、
理解は難しくない。
だが、使用場面に合わせて和訳するには、
時に工夫を要する(例文参照)。
–
◆ 今回調べた英英辞典8点のうち、7点に
” informal ” 表示があった。
すなわち、非正式でくだけた表現。
ニュース報道にも起用される “whopping” だが、
ニュース用途で「どでかい」は使いづらい。
意味は分かるものの、和訳しにくい単語
の典型である。
” whopping ” の単純さは、以下8点の英英辞典の
語釈から明らか。
” whopping “
■ very large.
(LDOCE6、ロングマン)
■ very big.
(OALD9、オックスフォード)
■ extremely large.
(CALD4、ケンブリッジ)
■ If you describe an amount as whopping,
you are emphasizing that it is large.
(COBUILD9、コウビルド)
■ uncommonly large.
(Collins English Dictionary 12th Ed.)
■ extremely large.
(Macmillan Dictionary)
■ very large, impressive, etc.
(Merriam-Webster’s Learner’s Dictionary)
■ extremely large;
also extraordinary, incredible.
(Merriam-Webster)
【発音】 (h)wάpɪŋ
【音節】 whop-ping (2音節)
しびれるような簡明さ。
” big ” または ” large ” で、全8点が説明されている。
このうち、唯一 ” informal ” 表示がなかったのは、
Merriam-Webster( オンライン版 )。
8点の英英辞典は、< 形容詞 >のみ示す。
しかし、以下3点の「 英和大辞典 」は、< 副詞 >も
併記する。
副詞の 意味は、「 とてつもなく 」「 途方もなく 」
「 桁違いに 」「 非常に 」「 すごく 」「 ばかに 」。
意味合いは、形容詞にそのまま重なる。
例えば、
形容詞 「 すごい 」 → 副詞「 すごく 」
このような場合、英英辞典が表記を省略することは
珍しくない。総じて微差なので略してしまうのだ。
そのため、” whopping ” は形容詞中心に考えてよい。
同じ意味合いであれば、品詞の違いなど意識しない。
それが日常用法。
–
◆ ” whopping ” は、1620年代から使われている。
語源は、自他動詞 ” whop” の現在分詞が形容詞
になったもの。
形容詞によくあるパターンである。
” whop ” の基本的意味は、
- 他動詞 「 たたきつける 」「 完勝する 」
- 自動詞 「 どしんと落ちる 」
- 名詞 「 どしん(音)」
強い勢いを発する動詞 “whop” を引き継ぎ、
形容詞「どでかい」「とてつもない」に発展した。
英英8点の語釈を振り返ると、強意の副詞
” very “、” extremely “、” uncommonly “
がついて回る。
どこまでも 極端 なのが、” whopping ” の特色。
とにかく、普通でない度合い。
- “A whopping 81 percent of people lie
during job interviews.”
(採用面接では、81%もの人が嘘をつく。)
無茶な表現を避けがちのメディア報道でも、
使われているので不思議な気もする。
芸能・スポーツなどのエンタメ分野のみならず、
政治・経済の堅い記事でも目にする。
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◆ 今月2018年7月発表のニュース見出しを訳してみる。
- “Australia adds whopping 500,900 jobs in June”
(オーストラリアが6月に50万900人の大幅雇用増)
– - “X leaves whopping £17,850 tip at hotel”
(Xが大金1万7,850ポンドのチップをホテルに渡す)
– - “Whopping 90% jump in M&As in January-June period”
(1-6月期のM&Aは90%大幅増)
– - “XX is valued at a whopping US$20 billion”
(XXの評価額は高額200億ドル)
– - “Report suggests that a whopping 81%
of initial coin offerings are scam”
(81%もの新規仮想通貨公開は詐欺との報告)
– - “X splurges a whopping £155,000 on 15 outfits”
(Xが洋服15点に15万5千ポンドの大金散財)
– - “2018 FIFA World Cup –
The Whopping World Cup Prize Money”
(2018年FIFAワールドカップの高額賞金)
– - “XX Railways train delays: Whopping 38%
were delayed in last three months”
(XX鉄道の電車遅延:過去3ヶ月で38%も遅れた)
– - “Comic Sales Down a Whopping 6.5% in 2017″
(2017年のマンガ売上高6.5%大幅減)
– - “Texas Hospital delivers a whopping
48 babies in 41 hours”
(テキサスの病院で41時間に48人もの赤ちゃん誕生)
◆ 以上10例は、どれも真面目な社会・経済記事である。
“whopping” の和訳は、やはり難しい。
先に「 意味は分かるものの、和訳しにくい単語 」と記した。
はたしてその通りであった。
無理に訳出すると、何だか安っぽくなる。
日本語の見出しにはそぐわないこともあると考え、
< 強意の助詞 >の「 も 」を起用してみた。
いかがだろう。
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◇ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語