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Scam

      2021/08/24

詐欺

「 詐欺 」と言えば、” fraud ” が基本。

【発音】  frɔ́ːd  (1音節)

語源は、ラテン語「 詐欺 」(fraudem)。

生まれからして、立派。

早くも14世紀から、法律英語として確立している。

抽象的な「 詐欺 」の意味では、不可算名詞 である。

個別具体的な「 詐欺行為 」の場合、可算名詞となる。

■  fraud    名詞のみ で、動詞はない


” fraud ” 及び その派生語の形容詞 ” fraudulent
は、関係法令や手順にも正式採用されている。

【発音】  frɔ́dʒələnt
【音節】  fraud-u-lent  (3音節)

  • fraudulent election (不正選挙)
  • voter fraud (不正投票)

専門知識のない一般人が認識できる「 詐欺 」の総称。

  オレオレ詐欺  →  ” telephone scams ” の 一種  



◆  一方の  ” scam “。

【発音】  skǽm  (1音節)

こちらも「 詐欺 」全般を意味する。

けれども、

■  scam  →  名詞 に加えて、動詞もある

–  他動詞 「 だまし取る 」
–  自動詞 「 詐欺を働く 」

【活用形】  scam – scammed – scammed – scamming

  •  ” scam ” を働く者は、scammer
  •  ” fraud ” を働く者は、 fraudster

いずれも、可算名詞。

  • “Cyberscammers  : Pay Up or We’ll Infect Your Family With Coronavirus”
    (サイバー詐欺師 : 支払わなければ、ご家族をコロナに感染させます)
    2020年4月29日付    The Daily Beast
    D–
  • “Feds Suspect Vast Fraud Network Is Targeting
    U.S. Unemployment Systems”
    (米失業保険制度を狙う大規模詐欺ネットワークを
    連邦捜査局が疑う)
    2020年5月16日付    The New York Times
  • “Unemployment claims are the latest target
    for coronavirus fraudsters
    (コロナウイルス詐欺師の最新の標的は失業保険申請)
    2020年5月18日付    The Washington Post


本稿では、名詞の ” scam ” を取り上げる。

◆  ” fraud ” も ” scam ” も、日常英語 ( everyday English words )。

中学生以上の平均的な英語ネイティブであれば、
難なく認識できるレベル。

最大の違いは、法律用語 としての信用度

” scam ” は、法律辞典にまともに取り上げられていない。–  ※  後述

その上、” scam ” は、” fraud ” に比べて「 英単語 」としても非正式。

4大学習英英辞典( EFL辞典 )すべてにおいて、

informal ” 表記のあるのが、” scam

  • LDOCE6 ” ロングマン現代英英辞典 第6版
  • OALD9 ” オックスフォード現代英英辞典 第9版
  • CALD4 ” ケンブリッジ現代英英辞典 第4版
  • COBUILD9 ” コウビルド英英辞典 第9版
    ※  2017年8月1日 初稿時点における各最新版

informal ” とは、「くだけた表現」「非正式」。

formal “( 堅めの表現、正式 )の対をなす、
英語辞書の凡例用語である。

fraud ” が、ラテン語「詐欺」(fraudem)由来であり、
いわば正統派の英単語なのは、既述の通り。

それに引き換え、” scam ” の出自は、なんだか怪しい。

 

< ” scam ” 初出 と 語源 >

1963。
もとはカーニバル隠語。

一説には  ” scheme ” の転化。

ランダムハウス英和大辞典 第2版

◇  ” scheme ” = 策謀(可算名詞)

【発音】  skíːm  (1音節)


” scheme” は、投資詐欺の「 ポンジ・スキーム 」が有名かも。

ねずみ講( pyramid scheme )の一種で、詐欺には違いない。

◆  アメリカには、有力な法律辞典が存在する。

Black’s Law Dictionary
=
ブラックス法律辞典


Amazon Japan / Amazon US


1891年に発刊され、100年以上の歴史を誇る。
判例などに最も引用される辞典である。

英米法を学ぶ学生で知らない者は皆無レベルの存在感

本稿の初稿時点(2017年8月)における最新版
第10版、 2014年刊 )では、”fraud” の解説に
2ページ以上を割いていた。

こんな具合。

Black’s Law Dictionary, 10th Edition
p. 775 – 777  (West Group 2014).

画像の拡大


ところが
、この「第10版」(2014年刊)には、

  ” scam ” の項目はない。

正式扱いされていないと考えられる。

◇  どちらも「 詐欺 」を表す日常語

  fraud 正式な法律用語
  scam 正式な法律用語に満たない


にもかかわらず、名詞 “scam” の方を表題に掲げた
理由は、日本で学ぶ機会が少ないと考えるからである。


◆  次いで、2019年に発行された「第11版」も確認してみた。


Amazon Japan / Amazon US

Black’s Law Dictionary, 11th Edition
p. 802 – 805  (Thomson Reuters 2019).

画像の拡大


“fraud” と “fraudulent” の説明に、顕著な改訂はみられない。

そして、相変わらず、

  ” scam ” の項目はない。

埋め合わせに、世界最大の英語辞典 ” OED ” 記載の
“scam” を、本稿末尾に全文掲載した。

◆  “scam” は、インターネットに日々飛び交う言葉。

日常的には ” fraud ” 同然 に使われている

事件の規模は関係なく、被害が金銭中心の詐欺事件では、
“scam” が好まれる傾向が若干見られるくらい。

錚々たるメディアでも、以下の表現は年中見かける。

例えば、経済誌 ” Forbes ” や ” The Economist “、さらに
高級紙とされる ” The New York Time ” や ” The Times “。

  • financial scam
    (金融詐欺)
  • Internet scam
    インターネット詐欺
  • insurance scam
    (保険金詐欺)

  • imposer scam
  • impersonation scam
    (なりすまし詐欺)
  • investment scam
    (投資詐欺)
  • lottery scam
    (宝くじ詐欺)
  • tax scam
    (税金詐欺)

  • marriage scam
    (結婚詐欺)

  • romance scam
    (恋愛詐欺)

  • cryptocurrency scam
    (仮想通貨詐欺–  ※  後述

  • job offer scam
    (就職あっせん詐欺)


  • social media scam
    (ソーシャルメディア詐欺)


  • credit card scam
    (クレジットカード詐欺)

  • charity scam
    (義援金詐欺)

  • ticket scam
    (チケット詐欺)
  • government grant scam
    (給付金詐欺)
  • housing scam
    (不動産詐欺)
  • upfront fee scam
  • advance fee scam
    (前金詐欺、手付金詐欺)
  • timeshare scam
  • upfront fee scam
    タイムシェア詐欺
  • offshore scam
    (オフショア詐欺)

  • phishing scam
    フィッシング詐欺)
  • student loan scam
    (学生ローン詐欺)

  • Nigerian Scam
    ナイジェリア詐欺
  • scam site
    (詐欺サイト)
  • employment scam
    (雇用詐欺)
  • online job scam
    (オンライン求人詐欺)
  • online dating scam
    (出会い系サイト詐欺)
  • college admissions scam
  • college admissions cheating scam
    (大学入試詐欺)–  ※  裏口入学の一種

    <例>
    2019 college admissions scam
    Everything We Know About the College Admissions Scam
    14 Days Behind Bars in Admissions Scam

【参照】

  • Common Scams and Frauds
    (「よくある詐欺」 米国政府の公式サイト)
  • Business Email Compromise(BEC)
    (ビジネスメール詐欺)

 

詐欺注意 !

【出典】  https://www.fbi.gov/image-repository

 

【 参考記事 】    ※  外部サイト  ( 和文 )

世界のビジネスメール詐欺(BEC)の損失額、5年弱で125億ドルに
2018年7月17日付

巧妙すぎて防げるわけがない!  ビジネスメール詐欺はここまで来た
2019年8月21日付

【 PDF 】

・『 ビジネスメール詐欺「BEC」に関する事例と注意喚起
ーー独立行政法人情報処理推進機構、2017年刊、全27頁、8MB


◆  一般人にとっては、堅苦しい専門用語よりも、
発音しやすい同義語の方が親しみやすかったりする。

  専門家でないため、正確性は二の次  

こうして、語感や字面重視で普及することは珍しくない。

世間一般においては、こんな流れの方が、むしろ
自然に定着したりする。

結果的に、非公式の言葉が目立つことになる。

“scam” はその好例。

◆  片や ” fraud ” は、れっきとした法律用語。

歴史もはるかに長く、使用頻度は上回る。

正式には、やはり ” fraud ” なのである。

< 使用頻度 >   

【出典】  コウビルド(COBUILD)/ Collins

fraud  トップ 10,000語以内   /  scam  30,000語以内

 


https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/fraud
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/scam


◆  2語とも、「詐欺」関連では欠かせないものの、
英単語全体から見れば、さほど重要でも頻出でもない。

LDOCE6( ロングマン )の指標比較

  名詞  “ fraud

  • 重要:<6001~9000語以内>
  • 書き言葉頻出:3000語圏外
  • 話し言葉頻出:3000語圏外

【発音】  frɔ́ːd  (1音節)

 

  名詞  “ scam

  • 重要:9000語圏外
  • 書き言葉頻出:3000語圏外
  • 話し言葉頻出:3000語圏外

【発音】  skǽm  (1音節)

 

◆  なお、“scum”(浮きかす) と混同しない ことは大切。

俗語としては、「 精液 」「 人間のくず・かす 」を指す。

” scam ” と重なる、ネガティブイメージ。

スペルも酷似し、平板で、均一なリズムのカタカナ発音「 ス – カ – ム 」
(3音節)では、一緒に聞こえてしまいがち。

英語では、両方とも「 1音節( one syllable )」。

腹の底から ゲロする 勢いで、「 」と一気に吐き出す。

「音節」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。

1音節は「 発音の最小単位 」に切れ目がないため、ゲロ凄みが出る。

日本語の場合、原則として「 仮名一字が1音節 」。

そのため、音節を意識する機会は乏しい。

→  「音声」「音節」の詳細と日英比較は、” integrity ” 参照


” scum ” も、日常的に見聞きする。

しかし、品格がぐっと下がる。

卑語でも 禁忌語 でもないが、” scam ” と異なり、
上記メディアには、 めったに出てこない。

推して知るべし。

 

【関連表現】

“deceptive”
https://mickeyweb.info/archives/8375
(1) 人をだまそうとする    (2) 誤解を招く

詐欺師

◆  “ The Oxford English Dictionary ” ( OED )  の ” scam ” 全文がこちら。

“Scam.”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.


初出は「1963年」とある。

前記の『ランダムハウス英和大辞典 第2版』と合致する。

◆  既に挙げた “fraud” との相違点を繰り返すと、

■  fraud    名詞のみで、動詞はない

■  scam  →  名詞に加えて、動詞もある


名詞 “sb.“(substantive)も、動詞 “v.“(verb)も、
まず “slang” (スラング)と明示されている。

◇  ” sb. ”  =  substantive

「 実質的な 」「 かなりの 」に加え、文法用語としては、
名詞の 」「 名詞的な 」を意味する形容詞。

これまで何度も強調してきた通り、由緒正しい “fraud”
よりは、格下の位置づけであることを裏打ちする印象。

◆  “ The Oxford English Dictionary ” (オックスフォード英語辞典)は、
OED “ (オーイーディー)の略称で知られる。

[公式サイト]  →   http://www.oed.com/

1884年にイギリスで刊行が始まり、最新版の第2版は1989年刊。

全20巻、2万1730頁、29万1500の見出し語、62kg。

世界最大の英語辞典である。

語義の配列は、頻出順ではなく、発生順の「歴史主義」。
成り立ちを、系統的にたどれる利点がある。

▼ 「 縮刷版 」及び「 CD-ROM版 」も発売されている  ▼

[ 両方入手済み ]  →   辞書の「自炊」と辞書アプリ

“ OED ” 編集主幹の James Murray 博士  ( 1837-1915 )
については、” in place ” で触れている( 写真入り )。

 

 

【 参考記事 】    ※  外部サイト  ( 英文 )

【発音】  kríptoukʌ̀rənsi
【音節】  cryp-to-cur-ren-cy  (5音節)

 

 

 

 

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