率直な、露骨な
口頭・文面の両方で使う。
意味が推測しにくいので、事前に知らないと
理解不能であろう。
頻出ではないが、覚えやすく印象深い表現
なので取り上げてみたい。
一見、近年発生した派生語に見えるが、
実は16世紀(1571年)から使われている。
“point” と “blank” をハイフンでつなげた
複合語(compound word)。
【発音】 ˌpɔɪntˈblæŋk
ハイフンを入れない1語の表記(pointblank)
もあるが、用法は同じ。
–
◆ “point-blank” には、形容詞と副詞があり、
両者の意味はほぼ重なる。
日常的に、形容詞か副詞か意識することなく
使われるパターンである。
– 形容詞「率直な」「露骨な」「至近距離の」
– 副詞「率直に」「露骨に」「至近距離に」
どちらかと言えば、ネガティブな流れで
使われることが多い。
“point-blank”
1. if you say or refuse something point-blank,
you do it directly and without trying to
explain your reasons.
2. a gun fired point-blank is fired very close
to the person or thing it is aimed at.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 ˌpɔɪntˈblæŋk
※ 下線は引用者
◆ 語源は、フランス語のアーチェリー用語
(pointé à blanc)。
標的の中心部に難なく射ち込める「至近距離」。
転じて、「直接の」「率直な」「露骨な」。
ーー
「単刀直入」と語源が似ている。
こちらは中国由来で、一人で刀を携えて(単刀)、
敵陣に斬り込むこと。
転じて、すぐに本題に入ること。
–
–
どちらも、回りくどさ抜きで、
<まっすぐ進む>様子を示す。
比喩として「率直な」「露骨な」
に派生した点も共通している。
■ 普段は「至近距離」よりも、
「率直な」「露骨な」の方が多用される。
物理的な距離は、出番が少ない話題だからである。
(1)「至近距離」
“He shot the target point-blank.”
(彼は標的を至近距離から撃った。)
“She was shot at point-blank range. ”
(彼女は至近距離から撃たれた。)
“He fired point-blank at them.”
(彼は彼らを至近距離から撃った。)
“at close range“ と同義。
(2)「率直な」「露骨な」
同義語は多い。
以下は形容詞だが、接尾辞の有無を除き、
副詞でも同義語はほぼ共通となる。
- upfront
- straight
- frank
- blunt
- candid
- outright
- flat
- direct
“point-blank” は、これらの語に比べ、
<取り付く島もない><けんもほろろ>
のように「びしゃり」とはねつける勢いが強い。
語源からも推察できるだろう。
よって、無礼さはトップレベル。
“point-blank”
NOT POLITE:saying something very clearly in
very few words, without trying to be polite or pleasant.
(ケンブリッジ、CALD4)
※ 下線は引用者
◆ ぶっきらぼうで露骨。
自制の努力もなく、失礼そのもの。
配慮に欠ける(2)はイメージがよくない。
伴う動詞も、ネガティブ多し。
和訳次第で印象に大差が出るため、
文脈を考慮して和文にする必要がある。
–
◆ 次の例文では程度に差をつけ、2つずつ和訳した。
口頭でも文面でも使える内容ばかりである。
“I asked him a point-blank question.”
(彼に単刀直入に質問した。)
(彼にずけずけ質問した。)
“He met with a point-blank refusal from her.”
“She refuse him point-blank.”
(彼女は彼をぴしゃりと断った。)
(彼女は彼をあからさまに拒絶した。)
“She declared point-blank that she would
never see him again.”
(彼女は彼に二度と会わないと率直に述べた。)
(彼女は彼に二度と会わないと露骨に言い切った。)
“They told me point-blank that I was fired.”
(会社から単刀直入に解雇を告げられた。)
(いきなり会社から首を告げられた。)