完全に回復する
主に<健康>と<経済>の回復に使う。
ニュースでは、この2分野がほとんど。
口頭・文面を問わない。
「完全に元通りになる」
との喜びが込められたポジティブ表現。
過去形なら、”made a full recovery”。
◆ 発音時は、”full” に強いアクセントを置く。
アクセントの強さを数値化すると、
だいたい次のような感じ。
※ 発音はクリック
「FU」発音時は、上顎前歯を下唇に接触させ、
一気に息を吐き出す。
同時に舌を口内でわずかに丸めて「LL」。
実際は「フォー」か「フー」と聞こえ、
「LL」は聞き取れないだろう。
カタカナ発音「フル」では通じない。
この直後に続くのが「R」(recovery)
なので、日本人にはなかなか難しい。
“full recovery” を何度も唱えると、
発音向上に役立つ。
“make a full recovery” の直訳は、
「完全に回復する」で、何らひねりはない。
◆ “make” には、名詞・自動詞・他動詞
があり、非常に多義。
ここでは、他動詞「~に達する」で、
成功した状態を示す。
◆ “full” も多義。
形容詞・名詞・副詞・他動詞・自動詞
がそろう。
古英語「満ちた」(full)の語源通りで、
「いっぱい」が共通イメージ。
ここでは、形容詞「完全の」。
“full” の基本的意味の一つで、
同義語は “complete”。
よって、”make a complete recovery”
と言い換えられる。
◆ “recovery” は、名詞のみ。
自他動詞 “recover”(回復する)に
接尾辞 “y” をつけて、形容詞にしたもの。
別説によれば、古フランス語「回復」が語源。
“recovery” は、可算名詞(countable)と
不可算名詞(uncountable)を兼ねる。
可算名詞の代わりに、単数名詞を併記する辞書もある。
「単数名詞」(singular noun)とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞。
英英辞書では “S” または “sing” と略記される。
可算名詞の単数形と同じく
不定冠詞 “a” “an” のつくことが多い。
可算名詞の記載がないのに、”a” “an” のつく名詞は、
単数名詞であるケースが多い。
だが、厄介なことに、論が分かれることも少なくない。
よく理解できなければ、複数の辞書で確認するとよい。
◆ オンライン辞書6点で、”recovery” を比較してみた。
「不可算名詞」(uncountable)はすべてに明記
されていたものの、それ以外にはばらつきが見られた。
- ロングマン
[singular, uncountable]
– - オックスフォード
[uncountable, countable, usually singular]
– - ケンブリッジ
[singular or uncountable]
–
- コリンズ ※ variable noun = 変化名詞
[variable noun, uncountable]
– - マクミラン
[singular/uncountable]
–
- メリアム ウェブスター
[uncountable, countable, usually singular]
※ リンク付き
“make a full recovery” の “recovery” は、
可算名詞または単数名詞である。
よって、冠詞 “a” をつける。
“recovery” が複数であれば、
“make full recoveries” で冠詞なし。
※ 複数形はあまり使われない。
◆ 形容詞 “full” はなくても、”a” はつく。
- “make a recovery”
(回復する)
– - “make a quick recovery”
(早く回復する)
— - “make a surprising recovery”
(驚くほど回復する)
冒頭の通り、”make a full recovery” はめでたいこと。
ニュースでも重宝されるパターン表現である。
- “She is expected to make a full recovery.” ※ 頻出
(彼女は全快の見込みです。)
– - “It seems difficult for the economy to make a full recovery.”
(経済が全面的に回復するのは難しそうだ。)
– - “Our economy has made a full recovery.”
(わが国の経済は本格回復した。)
– - “She made a full recovery from self-inflicted pain.”
(彼女は自分に課した苦悩から完全に回復した。)