( 映画・演劇の ) 興行収入
英語の ラジオニュース を聞いていると、
” box office ” がしょっちゅう出てくる。
年がら年中である。
【発音】 ˈbɑksˌɑfɪs
題名に加え、 監督・俳優名や劇中音声が流れたりするので、
映画について話していることは察することができる。
だが、 肝心の ” box office ” が意味不明では、
理解はおぼつかないだろう。
後述の通り、アメリカのニュースには欠かせない。
ぜひ覚えておきたい。
–
◆ 名詞 ” box office ” の主な意味は2つ。
ー
青字がポイント。
–
“ box office ”
- [C] the place in a theatre,
cinema etc where tickets are sold.
–- [singular] used to describe how successful
a film, play, or actor is, by the number of
people who pay to see them.
( LDOCE6、 ロングマン )
【発音】 ˈbɑksˌɑfɪs
–
< 参考和訳 >
- ( 可算名詞 )
映画館・劇場などの チケット売り場
– - ( 単数名詞 )
チケットを購入した観客数 で、
映画・劇・俳優の成果を示すもの
※ 「 単数名詞 」( singular noun )とは、
単数扱いされるのが一般的な名詞。
英英辞書では “ S ” または “ sing ” と略記
されたりする。
◆ 今の ” box office ” は、 日常会話でもニュースでも、
「 2 」 がほぼすべて。
チケットの売り上げ を指し、「 興行収入 」 と換言できる。
ただし、 厳密にはイコールではない。
–
–
こうぎょうしゅうにゅう 【興行収入】映画産業で入場料の売り上げのこと。
また、 ある映画作品におけるその総額。
興収。 ボックス-オフィス。( 大辞林 第四版 )
–こうしゅう 【興収】
《 「 興行収入 」の略 》
入場料に有料入場者数をかけた金額。
特に映画界で使う。 ボックスオフィス。( デジタル大辞泉 )
–
それぞれ語釈全文。
” box office ” の定訳が、「 興行収入 ( 興収 )」である。
「 動員観客数 」「 興行成績 」「 興行収益 」
もよく使われる。
「 1 」は、語源でもある。
初出は1786年。
–
今では、「 チケット売り場 」は、 ” ticket office ” や
” ticket booth ” の方が主流。
【 語源 】
チケット売り場の多くが箱型だったため、
” box office ” と呼ばれていた。
–
この ” box office “( チケット売り場 ) が、
「 2 」 の興行収入・興行成績 に派生。
–
現在は 「 1 」 よりも、はるかに頻出用法。
「 興行収入 」の場合、 定冠詞 ” the ” を
つけるのが通例。
–
◇ 形容詞 として用いる場合、
ハイフンを入れて ” box – office ” と記す
( 複合形容詞 compound adjective )。
実際には、 ハイフンなしも見かける。
意味は名詞に重なる。
1. チケット売り場の
2. 興行収入の
–
” box office ” の定訳は、「 興行収入 ( 興収 )」。
加えて、
「 大当たり 」「 大人気 」「 ドル箱 」
といった意味まで記載するのが、 次の英和辞典。
近頃は 「 大ヒット 」 が一般的かもしれない。
- “The 1980 movie was slammed by critics,
but was a box office hit.”
(その1980年公開の映画は、批評家からは酷評されたが、
大ヒットした。)
–
◆ ニュースには欠かせないが、” box office “。
–
業界関係者でもない限り、 自ら使う機会は多くないはず。
通常の英語学習者であれば、 この英語を
見聞きした際に、意味が把握できればOK。
ニュースで使われる ” box office ” には、
パターンがある。
–
–
◆ 名詞と形容詞の代表的用法は、 次の通り。
さっと目を通していただければと思う。
※ ハイフンは入れていない
- a box office success
- a box office hit
( 大ヒット作 )
ー - a box office disaster
- a box office flop
- a box office bomb
( 大失敗作 )
ー - a box office draw
- a box office attraction
- a box office star
( 人気者 )
ー - the top box office
( 興行成績1位 )
ー - the box office gross
( 興行総収入 )
ーー - ” set a new box office record “
- ” broke box office records “
- ” beat box office records ”
( 興行成績の記録を塗り替えた )
ーー - ” X became success at the box office.”
- ” X was a big hit at the box office.”
( XXは興行面でヒットした。)
ーー - ” X was number one at the box office
for five weeks in a row.”
( XXは5週連続で興行成績第1位であった )
— - “The film made $100 million at the box office.”
(その映画は1億ドルの興行収益を上げた。)
ーー - “X failed at the box office”
- “X did not perform well at the box office.”
( XXは興行面で失敗した。)–
– - “X bombed at the box office.”
- “X flopped at the box office.”
( XXは興行面で大失敗した。)
※ 自動詞 ” bomb “、” flop” = 大失敗に終わる、大コケする
ー
【 興行収益ランキングの有名サイト 】 ※ 英文
◆ 米国のニュースを視聴していると、
映画の興行収入についての報道は、
「 時事扱い 」 されていることに気づく。
政治・経済や事故・事件と並び、
ごく普通に報道されている印象。
–
一方、 日本では「 芸能扱い 」。—
社会現象になるほど、大ヒットしない限り、
一般ニュース枠には入ってこない。
–
報道するキャスター・アナウンサーの
顔ぶれも異なる場合が多い。
ワイドショーなどで取り上げられるのが、 関の山か。
両国間には、 映画市場規模の違いに加えて、
社会的な位置づけ、人々の認識にも大差がある。
–
「 映画や演劇なんか、 娯楽に過ぎない 」
–
日本の世間一般における認識は、 こんな風か。–
そうであれば、制作費の 資金調達 に辛酸をなめる
クリエイターらが目立つのも、 不思議でない。
黒澤明 ( 1910-1998 )は、 ご自宅を担保に入れて映画を
撮り、 それでも資金に行き詰まって自殺未遂 ( 1971年 )。
ヴェネツィア国際映画祭やベルリン国際映画祭など数々で受賞し、
世にも輝かしい名声を得た後ですら、 これほど深刻な資金難に
苦しんだ。