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Slam

      2021/01/04

激しく非難する

<ニュース見出し>でよく目にする動詞のひとつ。

エンタメ系など、さほど堅くない記事中心に起用される。

【発音】  slǽm  1音節)

◆ 「非難する」を意味する動詞は少なくない。

◇  動詞 「非難する」 実用トップ6
 ※  私見

  1.  criticize  (自動詞・他動詞)
  2.  blame  (他動詞・名詞)  ※  弱い非難
  3.  attack  (自動詞・他動詞)   ←  「非難」は他動詞のみ
  4.  accuse  (自動詞・他動詞)
  5.  condemn  (他動詞のみ)
  6.  denounce  (他動詞のみ)

上記6つに比べると、”slam” の重要度は低い。

「非難」の意味としては、次のすべての英和辞典で、
【話し言葉】 または「口語」と明示されている。

自ら使えなくても、一目で意味が分かれば
間に合うレベルの単語である。

その程度にもかかわらず、本稿でご案内する理由は、
<見出し>にやたら多用される からである。

 

◆  見出しは記事内容の要約であり、中身を読むべきか
どうかの 判断基準 を示す。

したがって、見出しのキーワードを読み取れない
ことの
潜在的な機会損失は少なくない と考える。

そのため、見出しによく出る表現を優先させる
方針を弊サイトでは採用している。

メディア側も、販促などマーケティングのため、
一目瞭然の平明な表現に努める。

見出し作りに叡智を集めているのだから、
英語学習に非常に役立つ。

 

◆  “slam” の語源は、擬声語(ぎせいご)。

【発音】  slǽm  1音節)

擬声語」とは、実際の音を真似た言葉。
擬音語 (オノマトペ、 onomatopoeia) とも言う。

【参照】  “tingling sensation (ASMR)”、  “ring a bell

日本語の擬声語で似通うのは、

  •  バタン

  •  ドカン

  •  ドシン

◆  イメージは、バスケの 「 スラム ダンク」 (slam dunk)。

または 「 ドアを バタン と閉める 」 (slam the door)。


ドカン 」 とリングに 叩きつけ (slam)、
沈める (dunk)ダンクショット


「 ドアを バタン と閉めないでください 」


◆  “slam” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

基本的意味は、

–  他動詞 「バタンと閉める」 「ドシンと置く」 「強打する」
–  自動詞 「バタンと閉まる」 「ドシンとぶつかる」
–  名詞 「バタン(との音)」 「強打」

【活用形】    slams  –  slammed  –  slammed  –  slamming

  • “I slammed down the books on the desk.”
    (机に本をドシンと置いた。)
  • “He slammed the brake.”
    “He slammed on the brake.”
    (彼はブレーキを思いきり踏んだ。)
  • “The door slammed shut.”
    (ドアがバタンと閉まった。)
  •  “Hurricane X slams Louisiana, kills six”
    (ハリケーンXがルイジアナを襲撃、死者6名)
    ※  見出し
  • “Coronavirus Slams Houston Hospitals”
    (コロナウイルス、ヒューストンの病院を襲う)
    ※  見出し

 

◆  「グランドスラム(Grand Slam)」とは、
スポーツなどにおける主要大会の優勝を独占すること。

野球なら「満塁ホームラン」の俗称。

総なめすることだが、トランプのブリッジでは、早くも
1892年の初出が確認されている。

「大勝」を意味する名詞  “slam” の語源には諸説ある。

「 バタン 」「 ドカン 」「 ドシン 」といった、猛烈な語感
の流れを引く点については、異論はない模様。

 

◆  地味な落ち着きと静けさに欠けるものの、”slam”
の基本的な意味合いは、あくまでも中立的である。

なお、「スラム街」は、”slum”で別単語。

スペルも発音も異なる。

【発音】  slʌ́m   (1音節)

いずれも「1音節(one syllable)」なのが共通点。

ゲロする勢いで、「ス」と一気に吐き出す。

  •   

「音節」(syllable、シラブル)とは、発音の最小単位。
日本語の場合、原則として「仮名一字が1音節」。

そのため、音節を意識する機会は乏しい。

→  音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照

 

◆  こちらの基本から派生したのが、「 激しく非難する
さらには 「 酷評する 」の意。

  •  バタン

  •  ドカン

  •  ドシン

こうして乱暴に叩きつける様子から、
他者を責めとがめる「非難」の意味が生じた。

  •  ピシャリ

  •  ピシャ

中立的な基本的用法から、一線を画した使い方で、
用法としては【話し言葉】または【俗語】
とされている。

■  インパクトがあるため、集客が見込める表現
■  その反面、堅めのメディアからは
敬遠の印象

以下にも、同じ傾向が見られる。

 

◆  今年2017年のニュース見出しを見ていこう。

  • “X Slams Y for Comments About Late Father”
    (亡父へのYのコメントをXが非難)
    -|
  • “P Slams Q’s Racial Slurs
    (Qの人種差別的中傷をPが非難)
  • “M Slams N for Cheating”
    (MはNの浮気を非難)
  • “X Slammed for Defending Y”
    (YをかばったXに非難)
  • “Y Slams Media Speculation about Plastic Surgery”
    (整形疑惑のYがマスコミの憶測を非難)
  • “President Slams Congress”
    (大統領が議会を非難)
  • “K Slammed for Offensive Comments”
    (侮辱的発言でKに非難)
  • “X Slams Women Who Voted for Y”
    (Yに投票した女性たちをXが非難)
  • “School Slammed Over Anthem Walkout
    (国歌ボイコットで学校に非難)

出るわ、出るわ。

3分間の「タイトル検索」で、これだけ採集できた。

有名人の発言や言い合いには、話題性があり、
なにかと注目されやすい。

既に触れた通り、見栄えがするので、重宝される。

 

◆  2018年以降のニュース報道からも、追加でご紹介。

  • “President Slams Reporter as Fake News
    (大統領が記者をフェイクニュースで非難)
  • “Scientist slams ‘chaotic’ conditions on quarantined cruise ship”
    (科学者が検疫クルーズ船の「無秩序」状態を非難)
  • “Scientist slams X on TV”
    (科学者、テレビでXを非難)
  • “X and Y Slam Grammys for Being ‘Corrupt’”
    (グラミー賞は「腐っている」と非難するXとY)
  • “President slams whistleblower, suggests treason”
    (大統領、内部告発者を非難し、反逆を示唆)

<タイトル検索>

  • 単一キーワード  intitle:
  • 複数キーワード  allintitle:


現在形 “slams” で「タイトル検索」した理由

「見出し」の場合、
1) 現在形は、過去の出来事にも用いられる
2) 現在形は、現在・過去の両方を表す

◇  「見出し」英語の解説は、ここが秀逸  ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

 

【類似表現】

“lambaste”
https://mickeyweb.info/archives/14647
(酷評する、非難する)

“point the finger”
https://mickeyweb.info/archives/22974
(公然と非難する、責める、名指しする)

“lash out”
https://mickeyweb.info/archives/25403
(食ってかかる、激しく非難する)

 

◆  なお、自動運転の要となる「SLAM 技術」は、
Simultaneous Localization and Mapping” の
頭字語(acronym)。

「自己位置推定と環境地図作製」の意。

デバイス自身の居場所(現在地)を推定するSLAM技術は
自律飛行するドローンにも搭載されている。

読み方は一緒だが、本稿の “slam” とは、もとより無関係。

 

 

 

 

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