限界に達する
I maxed out my credit card.
(クレカの限度額を超えてしまった。)
カード社会にありがちの嘆き節である。
- “Go pay it off real quick.”
(さっさと返済しなよ。)
と冷たく応じる私は嫌われるが、
これ以外に言いようがない。
適時に返済できなければ(miss payments) 、
“credit scores“(信用得点)に傷がつき、
経済的信用に響くからである。
“max out” と言ったら、まずクレカ。
句動詞 “max out” の、日常生活における
最頻出用法である。
◆ “max” の由来は、”maximum”(最大)。
これは、他動詞 “maximize” の名詞と形容詞。
他動詞 “maximize”
ラテン語 “magnus”(偉大な)
→ 名詞・形容詞 “maximum”
→ “maximum” + “ize”
※ 接尾辞 “ize” は、形容詞・名詞につけて、
他動詞「~にする」をつくる。
【例】 “actualize“、”apologize“、”sterilize”
主要な英和、英英辞典のどれを調べても、
【俗】または “informal”(時に “slang”)
と “max” には記載されている。
つまり、正式(formal)な言い回しではない。
それが “max” の位置づけである。
◆ ところが、日常使用では “maximum” よりも
重宝されている感がある。
一因は、”maximum” の発音しにくさにある。
【発音】 mǽksəməm
■ “maximum” は、名詞と形容詞のみ
– 名詞「最大量」「最大数」
– 形容詞「最大の」「最高の」
■ “max” は、さらに自他動詞が加わる
– 自動詞「限界に達する」「全力を出す」
– 他動詞「限界に達する」「最高点を記録する」
【俗語】であるはずの “max” は独自の成長を遂げ、
「親」である “maximum” を乗り越えた存在
となっている。
この点、”sync”、“rev”、”recap” に似通う。
表題の “max out” にも、自動詞と他動詞がある。
“max out”
1. to use something such as money or
supplies so that there is none left.
2. to do too much, eat too much, etc.
(ロングマン、LDOCE6)
※ 2.表題は1の用法
ここでの “out” は、句動詞に多い副詞「外に出る」。
最大量(max)の外に出る(out)から、”max out”
◆ クレカ用途の “max out” は他動詞中心。
以下のように、自動詞でも使える。
- “The A/C was maxed out, but it’s still hot.”
(エアコンを最大まで上げているけど、まだ暑い。)
※ “A/C” = air conditioner
– - “We maxed out after five hours.”
(5時間で限界に達してしまった。)
– - “I maxed out on videos last night.”
(昨夜はビデオを観すぎた。)
– - “My Ferrari maxed out at 340 kph.”
(私のフェラーリは時速340キロで最高速度に達した。)
例文にも示されているように、「限界に達した」状態
を描写する機会が多いため、過去形 “maxed out”
の方が多用される。