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Originally

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当初は、 もともとは、 出身は

仕事でもプライベートでも、事情説明の際に、
「当初は」という言葉を用いることがよくある。

■  今は違うが、最初は こうだった

との意味合い。

時に言い訳がましく聞こえるが、ビジネスでは
論理的な弁解を要する場面が少なくない。

相手にどう聞こえようとも、きっちり説明しなくて
はならない機会は多々生じる。

◇  ” originally ” は、経緯 を説明するのに
便利な副詞。

【発音】   ərídʒənəli
【音節】   o-rig-i-nal-ly  (5音節)

当初は 」 同様、その糸口をつかむのに役立つ。

相手にとっても、話頭が過去に遡ることが分かる。


◆  “originally” は副詞のみ。

形容詞・名詞 “original” に、接尾辞 “ly” を加えたもの。

“original” の語源は、ラテン語「原典」(orīgināle)。
基本的意味は、語源に沿ったものばかり。

–  形容詞 「最初の」「独自の」「初公開の」「原文の」
–  名詞 「原本」「実物」

様態の接尾辞 “ly” を足して、副詞 “originally” に。

 

◆  “originally” は、上記を一部引き継ぐ。

–  副詞 「最初は」「当初は」「本来は」「そもそも」「独自に」

“originally”

in the beginning, before other things happened
or before things changed.

(ロングマン、LDOCE6)

【発音】   ərídʒənəli
【音節】   o-rig-i-nal-ly  (5音節)


◆  ビジネス用途の例を挙げる。

“originally” は、文頭・文中・文末で使うことができる。

さらに、

人間について用いる場合は「出身は」。

語源「原典」に従い、人の由来を表す。

人の「最初」なので、「出身は」「生まれは」。

このような人物紹介は、“originally” の独擅場。

最頻出に近い使い道である印象。

日常的な “originally” の場合、この用途が目立つ。

 

◆  ところで、人の外観などから、出生やバックグランド
を直接尋ねることの是非は、<ケースバイケース>と考える。

副詞 “originally” をきっかけに、ここで考察してみたい。

Where are you from originally ? 
Where are you originally from ?

(ご出身はどちらですか?)

過去40年以上で、何十回と耳にした言葉である。
使い手と受け手の両方の立場から接してきた。

小・中学生の頃は、平然と口にしていた質問。

動機は相手のエキゾチックな容姿への憧れ。

実に無邪気なものである。

数十年もの月日が流れた今では、そうはいかない。

様々な事情によって、出自に神経質な人は少なくない。

例えば、1970年代、80年代の米国には、”boat people”
(ボートピープル)と称される移民が多数存在した。

ベトナムなどからの難民である。

何人かと親しくさせていただいたが、ご自分の故郷について、
うれしそうにべらべら話す人もいれば、口をつぐむ人もいた。

戦禍から逃れてきた人たちが、一様ではないことを直に学んだ。

人知れず苦しみと痛みを長年抱え、
自分の生まれ育ちを断固語らずに、

忍んで生きている人々は数多い。

ごく普通そうに見える日本人にも大勢いる。

複雑な生い立ちを、負い目に感じている人も珍しくない。

現在では、先の質問を  “ a sensitive topic
( 慎重な取り扱いを要する話題 )として私はとらえている。

「マナー」というよりは、大人の「常識」かもしれない。

そのため、相手の個性をよく知った上で伺うことにしている。

そもそも、自分には関係ないこと

性質的に、知る必要がないこと
Don’t  need  to  know

典型的な ” DNTK ”  ( ←  頭文字語  initialism )に他ならない。

きつめで、感情的な単語 ” need ” を起用。

【参照】  ” I hope you understand. ”

 

とにかく、根掘り葉掘り、ほじくってよい内容ではない。

したがって、

迷った場合は、一切触れない

この判断を見誤り、気まずい思いをしたことが何度かある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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