Originally
2025/03/12
当初は、 もともとは、 出身は
仕事でもプライベートでも、 事情説明の際に、
「 当初は 」 という言葉を用いることがよくある。
■ 今は違うが、 最初は こうだった
との意味合い。
時に言い訳がましく聞こえるが、変化の激しいビジネスでは
論理的な弁解を要する場面が少なくない。
相手にどう聞こえようとも、 きっちり説明しなくて
はならない機会は多々生じる。
–
◇ ” originally ” は、 経緯 を説明するのに便利な副詞。
【発音】 ərídʒənəli
【音節】 o-rig-i-nal-ly (5音節)
「 当初は 」 同様、その糸口をつかむのに役立つ。
相手にとっても、話頭が過去に遡る ことが分かる。
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◆ ” originally ” は副詞のみ。
形容詞・名詞 ” original” に、 接尾辞 “ ly ” を加えたもの。
” original ” の語源は、 ラテン語「 原典 」( orīgināle )。
基本的意味は、 語源に沿ったものばかり。
– 形容詞 「 最初の 」「 独自の 」「 初公開の 」「 原文の 」
– 名詞 「 原本 」「 実物 」
様態の接尾辞 ” ly ” を足して、 副詞 ” originally ” に。
◆ ” originally ” は、上記を一部引き継ぐ。
– 副詞 「 最初は 」「 当初は 」「 本来は 」「 そもそも 」「 独自に 」
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originallyin the beginning, before other things happened
or before things changed.( ロングマン、LDOCE6 )
【発音】 ərídʒənəli
【音節】 o-rig-i-nal-ly (5音節)
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◆ ビジネス用途の例を挙げる。
“ originally ” は、文頭・文中・文末で使うことができる。
- ” It was originally scheduled for last year.”
( それは当初は昨年用に予定されていた。)
– - ” This song was originally performed by X.”
( この歌は、もともとXが歌ったものである。)
– - ” They deleted the plan that was originally proposed.”
( 当初提案されていた計画を彼らは削除した。)
– - ” This was written in Japanese originally .”
( これはもともと日本語で書かれていた。)
–
- ” This story originally appeared on P.”
( この記事の初出は、P誌に掲載されたものです。)
– - ” This article originally appeared in The New York Times.”
( この記事の初出は、ニューヨークタイムズ紙です。)
– - ” View as it originally appeared. ”
( 初出記事のままご覧いただけます。)
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- ” That dictionary originally belonged to me.”
( あの辞書はもともと私のものでした。)
– - ” She originally refused to sign on the paper.”
( 当初、彼女は署名を拒否した。)
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- ” I originally planned to stay for just a day.”
( 当初は一泊の予定だったのですが。)
– - ” The outcome was better than what we originally expected.”
( 我々の当初の予測より、よい結果が出た。)
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- ” Originally, we had ten members in our team.”
( 当初、このチームには10名いた。)
–
- ” The term is originally US military slang.”
( その表現は、米軍のスラング由来である。)
–
- ” That book was originally published in 2016.”
( あの本はもともと2016年に出版されている。)
– - ” Showa Day was originally established as Greenery Day
to celebrate the birthday of Emperor Showa.”
(「 昭和の日 」は、もともと「 みどりの日 」として、
昭和天皇の誕生日を祝うために設けられた。)
– - “T his company was originally very small.”
( この会社は最初はとても小さかった。)
さらに、
人間について用いる場合は 「 出身は 」。
語源 「 原典 」 に従い、 人の由来を表す。
人の 「最初」 なので、 「 出身は 」 「 生まれは 」。
- ” She originally came from Tokyo.”
- ” Originally she came from Tokyo.”
( 彼女は東京出身です。)
– - ” The family originally came from Japan.”
- ” Originally the family came from Japan.”
( その一家は日本から来ました。)
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- ” Originally, he was born in New York.”
( 彼はニューヨーク出身です。)
– - ” Jack was named as John originally.”
( ジャックはもともとジョンという名前だった。)
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- ” Originally she was born in a Catholic home.”
( 彼女はカトリックの家庭で生まれた。)
– - ” Originally he was born as a wealthy prince.”
( 彼は金持ちの王子として生まれた。)
– - ” He was originally put up for adoption and
brought back home years later.”
( 彼はもともと養子に出され、数年後に生家に
連れ戻されている。)
このような人物紹介は、 “originally” の独擅場。
最頻出に近い使い道である印象。
日常的な ” originally ” の場合、 この用途が目立つ。
◆ ところで、人の外観などから、出生やバックグランド
を直接尋ねることの是非は、「 ケースバイケース 」 と考える。
副詞 ” originally ” をきっかけに、 ここで考察してみたい。
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Where are you from originally ?Where are you originally from ?
( ご出身はどちらですか? )
–
過去40年以上、 何十回と耳にした言葉である。
使い手と受け手の両方の立場から接してきた。
小・中学生の頃は、 平然と口にしていた質問。
動機は相手のエキゾチックな容姿への憧れ。
実に無邪気なものである。
数十年もの月日が流れた今では、 そうはいかない。
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様々な事情によって、 出自に神経質な人は少なくない。
例えば、 1970~80年代の米国には、 ” boat people ”
( ボートピープル ) と称される移民が多数存在した。
ベトナムなどからの難民である。
何人かと親しくさせていただいたが、 ご自分の故郷について、
うれしそうに べらべら話す 人もいれば、 口をつぐむ人もいた。
戦禍から逃れてきた人たちが、 一様ではないことを直に学んだ。
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人知れず苦しみと痛みを長年抱え、
自分の生まれ育ちを断固語らずに、
忍んで生きている人々は数多い。
–
ごく普通そうに見える日本人にも大勢いる。
複雑な生い立ちを、 負い目に感じている人も珍しくない。
現在では、 先の質問を “ a sensitive topic ”
( 慎重な取り扱いを要する話題 ) として私はとらえている。
「 マナー 」 というよりは、 大人の 「 常識 」 だろう。
そのため、 相手の個性をよく知った上で伺うことにしている。
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そもそも、自分には関係ないこと
性質的に、知る必要がないこと
( Don’t need to know )
–
” DNTK ” ( ← 頭文字語 initialism )に他ならない。
きつめで、 感情的な単語 ” need ” を起用。
【参照】 ” I hope you understand. ”
根掘り葉掘り、ほじくってよい内容ではない。
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迷った場合は、 一切触れない
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この判断を 見誤り、 気まずい思いをしたことが何度かある。