など、 及び同類のもの
文面中心の<3語ワンセット>。
文中または文末につける副詞的表現「 など 」。
例示に用いるが、特色のある ” and the like “。
その他の主な「 など 」は、次の通り。
–
< 類似表現 >
中立的 = 他意のない「 など 」
- etc. / et cetera ※ ラテン語「 その他 」
→ “et (and) cetera (the others)” - and more
- and others
- and so on
- and so forth
ネガティブ文脈で多用されがちな「 など 」
- whatnot
※ 中立的な意味合いで使うこともある
など 【等・抔】
[助詞](副助詞)
1. ある語に添えて、それに類する物事が他にもあることを示す。
2. それだけに限定せずやわらげている。
3. (引用句を受けて)「大体そんなことを」の意を表す。
4. その価値を低めていう。相手の言ったことをしりぞける心持で、
特にとり立てて示す。 否定的・反語的表現を伴うことが多い。
( 広辞苑 第七版 )
一方、” and the like ” の特色は、
同類の 事物を並べる時の「 など 」
→ 「 このようなもの 」 としての 「 など 」
–
” whatnot ” と同様に、直前のコンマは
あったりなかったりする。
その適否は、文法書により論が分かれる。
メディア報道を含む日常使用を調べると、
確かに両方ありな感じで、 ゆらいでいる。
–
◆ 「 このようなもの 」としての「など」
を示す根拠は “like”。
動詞「好き」の “like” ではない。
–【参照】”well-liked”
前置詞「~に似て」「~のように」の “like”。
–【参照】”like you’ve done for me”
語源が異なる。別物である。
– 動詞「好き」→ 古英語「喜びを与える」(līcian)
– 前置詞「~に似て」→ 古英語「似ている」(gelīc)
発音は完全に同じ(láik)。1音節の「ライク」。
「好き」の “like” は動詞中心。自他動詞と名詞がある。
「~に似て」は前置詞中心。その他の品詞は非常に多い。
形容詞・副詞・接続詞・名詞・自動詞もある。
◆ ここでは名詞。可算名詞のみ。
圧倒的に使われる前置詞 “like” に比べ、
名詞 “like” を目にする機会は少ない。
マイナー用法である。
初めて見ると、浮いて見えるのが名詞 “like”。
以下5文をご覧いただきたい。
一読して、意味をつかめるだろうか。
- “I have a lot of likes and dislikes.”
(私は好き嫌いが多い。)
– - “We will never see her like again.”
(彼女のような人は二度と表れないだろう。)
– - “Don’t be friends with the likes of him.”
(彼のような人々と友達になるな。)
– - “I will contact the likes of the directors
and managers.”
(ディレクターやマネージャーのような方々
に連絡してみます。)
– - This YouTube video has a million likes.”
(このユーチューブ動画には、100万件以上
の「いいね」がついている。)
–
表題を除けば、この5つが 名詞 ” like ” の代表例 である。
名詞 “like” をきちんと把握していれば、どれも簡単。
表題など、お茶の子さいさい だろう。
“and the like” は、例2、3、4 と重なる用法(緑字)。
すなわち、可算名詞 “like” は「~のような人・物」。
「同様な人」「同様な物」を指す。
無生物でもよい。
–6. “It was a great movie.
––––I’ve never seen the like before.”
–––(素晴らしい映画だった。
–––このようなものは観たことない。)
「同様」= 同じさまであること。
「同類」= 同じ種類。同じたぐい。
(広辞苑 第七版)
例3と4が複数形 “likes” なのは、指している内容が
直前に並べた複数の「人々」「方々」であるから。
一方、表題が単数形 “like” なのは、この用法
では単数名詞となるからである。
(OALD9、オックスフォードによる)
「単数名詞」(singular noun)とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞。
英英辞書では “S” または “sing” と略記されたりする。
ここでの “and”(及び)は、”the like”(同様な人・物)
を追加で加えるための接続詞 。
可算名詞なので、不定冠詞の “a like” でもよさそうだが、
表現として “and the like” で確立している。
“and the like / and such like” =
and similar things.
(ロングマン、LDOCE6)
“and the like” =
and other similar things.
(ケンブリッジ、CALD4)
調べた6点の英英辞書の解説は酷似しており、
形容詞 “similar” のオンパレード。
すなわち、上掲の広辞苑の「同様」「同類」と等しい。
◆ また、この LDOCE6 にあるように、
“and such like” とも記す。
“such” には、形容詞と代名詞がある。
語源は、古英語「そのような」(swilc)。
代名詞の場合、”such” 単独で名詞となる。
一般名称の代わりに、直接個別に機能するのが、
「代名詞」。
■ 代名詞 “such” の例:
- “Such is life.”
(それが人生。) - “I have never seen such.”
(そんなの見たことない。) - “Princes, princesses and such.”
(王子、王女などのお歴々。)
“and such like” の “like” は、先述のように可算名詞。
名詞 “like” を飾る以上、この “such” は形容詞。
◆ 以上で、”and the like” の解説は終わり。
ポイントは、名詞 “like” の意味と用法。
既記の<例文1~6>を自力で読み取ることができれば、
名詞 “like” の基本は理解できている。
力試しとして、締めの5文にトライしてみよう。
- “We need to request support from the police,
the fire department, the hospital and the like.”
(警察、消防署、病院などに支援要請しなければ
ならない。)
– - “There are cages for dogs, cats and the like.”
(犬、猫、その他の動物のためのケージがある。)
– - “She stays fit by walking, jogging and the like.”
(彼女はウォーキングやジョギングなどで
体型を維持している。)
– - “I love to watch actors, actresses, models,
and the like.”
(俳優、女優、モデルなどを見るのが好き。)
– - “We need money for healthcare, education
and the like.”
(教育や健康管理などにお金が必要なのよ。)
以上の和訳は一例である。
“and the like” が含む “similar“(同様、同類)
の意味合いを込めて訳すのは難しい。
「~と同類の」とすると、いかにも翻訳といった、
不自然な印象を帯びてしまう。
その結果、無難な和訳「など」が定訳となっている。
名詞 “like” の基本を把握できている方にとっては、
「など」ではニュアンスが伝えきれていない
ことは自明であろう。
受験英語と異なり、実務の和訳においては、
自然な日本語との兼ね合いを考慮し、どのように
折り合いをつけるかが問われる。
ー
【類似表現】
“whatnot”
https://mickeyweb.info/archives/25021
(など、その他いろいろ、その他もろもろ)
“so-and-so”
https://mickeyweb.info/archives/29618
(誰それ、誰々、何とか)