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Well-liked

      2019/05/06

人に好かれている、人気がある  

人を褒めることは、容易ではない。

特に組織においては、関係者への気遣いが必須であり
特定の人を手放しで褒めちぎることは難しい。

また、双方の立場と表現次第で、周囲に与える印象
が左右されたりする。

「誉め殺し」などの邪悪な動機がなくても、当てこすり
をかすかに覚え、額面通りに受け取れない場合もある。

塵労に揉まれ、斜に構えた大勢の社会人の前で、個人を
褒める行為は、ある種の危険を伴う。

思いもよらない嫉妬を招き、仕事がしずらくなるなどして、
褒められた側が迷惑を被るケースも珍しくない。

褒めたり、褒められたりを喜べる素直さは大切だろう。
しかし、そんな無邪気さは、早ければ幼少期に喪失する。

こうして人間心理は複雑で、厄介なものである。

その複雑さに、的確に対応する伝達手段を学ぶのが語学。
他者との無用な波風を避けるべく、嫌でも頭を使う。

とりわけ外国語の学習が老化防止><認知症予防
に効果があると検証されたのは、当然に思える。
【参照】「自分の世界」が広がる英語

いくつになっても学べるのは、幸せなことであろう。

◆ “well-liked” は、比較的よく使われる褒め言葉。

メディアによる好意的な人物評及び生徒・学生の通知表
・推薦状に活用される。

多くの人から好かれている」状態を指す。
すなわち「人気がある」こと。

にんき【人気】
名詞
2. 世間の、それを好ましいものとして迎える感情。
人々の気受け。世間の評判。じんき。
(精選版 日本国語大辞典)

日本語「人気」は、名詞(上記青字)。

片や、英語 “well-liked” は、形容詞
「人気のある」状態なので、形容詞

品詞が異なるので、要注意。


【参照】
・ “aware” は動詞でなく、形容詞
・ “vocal” は動詞でなく、形容詞 
・ “sick” は名詞でなく、形容詞
・ “limbo” は形容詞でなく、名詞


◆ 今回調べた英英辞典7点のうち、4点が
“well-liked” または “well liked” で項目立てしていた。

なんと4点すべての語釈が、完全一致している。

  liked by many people. 

・ CALD4、ケンブリッジ
・ Collins English Dictionary 12th Edition、コリンズ
Macmillan Dictionary、マクミラン
Merriam-Webster、メリアム ウェブスター

※ コリンズは “popular” も併記する

一方、
・ LDOCE6(ロングマン)
・ OALD9(オックスフォード)
・ COBUILD9(コウビルド)
には、項目立てされていなかった。

well-liked” と “well liked” は、両方とも形容詞
ハイフンなしは、名詞などの後に置く場合(post-positive)。

だが、普段使いでは厳密に区別されていない模様。

“well-liked” の方が一般的であるため、表題に
据えた上、本稿中の表記もハイフン入りで統一した。

◆ では、いつものように、表題を分解してみたい。

“well-liked” は、2語をハイフンでつないだ
複合形容詞」(compound adjectives)。

2語以上の語が他の語を修飾する場合、
その2語以上の語をハイフンで結び、
複合修飾語」(compound modifier)と呼ぶ。

特に、修飾される語が名詞の場合が「複合形容詞」。
表題もこれに該当。

複合形容詞(※)の例

laid-back“、”unheard-of“、”fill-in“、”go-to
self-explanatory“、”worst-case“、”wake-up“、
well-done“、”so-called“、”life-threatening
unheard-of“、”short-staffed”、”well-established“、
long-overdue“、”shell-shocked”、”self-inflicted“、
hassle-free

※ 複合名詞(compound nouns)兼用も含む

“well-liked” の構造は、複合形容詞の基本に沿う。

  • 連結形well-(よく、十分に)
  • 動詞の過去分詞  “liked(好まれた)

“liked” は、他動詞 “like” の過去分詞形。

前置詞 “like”(~に似て、~のように)とは、
語源の異なる別物
【参照】”like you’ve done for me“、”and the like

  • 動詞「好き」→ 古英語「喜びを与える」(līcian)
  • 前置詞「~のように」→ 古英語「似ている」(gelīc)

発音は完全に同じで、1音節の「イク」(láik)。

◆ 「好き」の “like” には、自他動詞と名詞がある。

– 他動詞「好き」「好く」「好む」「望む」
– 自動詞「好む」「望む」
– 名詞「好み」 ※ 通常は複数形 “likes”

“well-liked” では、他動詞「好く」の過去分詞なので、
「好かれた」。

上掲赤枠の通り、これに連結形 “well”(よく、十分に)
を加えて「よく好かれた」で、「人気がある」。

◆ 先述したように、”well-liked” は褒め言葉として多用される。

連結形 “well-” と結合した形容詞は、総じてポジティブ。

「よく、十分に」の意味が加わるからである。
日本語でも「よく、十分に」ときたら、プラスの内容を
期待する傾向がみられる。

◆ 日常で頻繁に見聞きする複合形容詞を15件挙げる。

中級学習者であれば、きっと一度は目にしている。

  1. well-balanced (バランスのとれた)
  2. well-behaved (行儀よい)
  3. well-done (よく焼けた、よくできた)
  4. well-dressed (身なりのよい)
  5. well-educated (教養のある)
  6. well-established (確立した、定評のある)
  7. well-fed (栄養十分な)
  8. well-founded (根拠の確実な)
  9. well-informed (精通している)
  10. well-intentioned (善意の)
  11. well-kept (隠し通された、手入れされた)
  12. well-known (有名な)
  13. well-meant (善意の)
  14. well-off (裕福な)
  15. well-paid (給料のよい)

これらの理解は難しくないだろう。

構造は、連結形 “well-” に動詞の過去分詞を足したもの
意味は、概ね動詞を継承する。 だから、推測しやすい。

◆ 留意すべきは、“well-” が「接頭辞」でない点。

連結形(combining form)が正しい。
日本の参考書の一部は、2つを混同して説明している。

独立した副詞・形容詞 “well” から生じた点で、
単独使用できない接頭辞と異なる。

■「接頭辞」prefix

単語の意味を変えたり、広げたりする。

【例】”un”(否定する)
unrelenting“、”unrealistic

 

■「連結形」combining form

組み合わせて新しい用語を作りだす
技術・科学・医学など、理系の専門分野で重宝される

【例】”self”(自ら)
self-explanatory“、”self-inflicted

※ “well-established” より再掲

普段は意識しなくてもよいが、英文法上は、
「連結形」と「接頭辞」は区別すべきものである。


“He is a well-liked leader.”
(彼は人気のあるリーダーです。)

“She is well-liked by students.”
(彼女は学生に人気がある。)

“He was well-liked and respected.”
(彼は人気があり、尊敬されていた。)

“Your son is well-liked by his friends.”
(息子さんは友達から好かれています。)

“This is a well-liked library.”  ※ 名詞を修飾
(これは人気のある図書館です。)

“X is a well-liked amusement park.”  ※ 名詞を修飾
(Xは人気のある遊園地です。)

◆ “well-liked” は形容詞。

よって、直接名詞を飾る場合などでなければ、例文が示すように、
be動詞” (下線部) に続くパターンが最も一般的。

この理由は、“aware” にて詳説している。
英文法の基本なので、おさらいしていただければ幸い。

“well-liked” は、”be動詞” につけるだけで使える。
さらに、日本語の「人気がある」同様に、
他意や嫌味の生じる余地は少ない。

使い勝手抜群であり、褒め言葉として重宝される
のにも納得がいく。

 

 

 

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