First and foremost
2020/10/28
真っ先に、何よりも
口頭・文面を問わない決まり文句。
文頭・文中・文末すべてOK。
<3語ワンセット>で “the” はつかない。
類似表現がかなり多い意味合いだが(後述)、
その中でも応用範囲が広く、知的で上品な表現である。
ぜひご自分で使えるようにしておくとよい。
“first” と “foremost” のどちらも “f” で始まり、
韻を踏んでいる(頭韻法、いんとうほう、 head rhyme、alliteration)。
【発音】 əlìtəréiʃən
【音節】 al-lit-er-a-tion (5音節)
“The words first and foremost rhyme.”
「頭韻」の反対は「脚韻(きゃくいん)」。
この “end rhyme” の一例は、”nitty-gritty“。
ー
◆ 「いの一番に」が定訳のひとつとされるのは、
こちらも韻を踏んでおり、和訳にぴったりとされるから。ー
いのいちばん【いの一番】
(いろは順番付の1番の意から)
まっさき。最初。
(広辞苑 第七版)
言いやすく耳触りがよいので、話者にも聞き手にも
好まれるフレーズ。
【参照】 “The sooner, the better.”
◇ 英語の頭韻(head rhyme、alliteration)は、
有名な商標名・固有名詞にも多く採用されている。
- Big Ben
(ビッグベン)
– - Coca-Cola
(コカコーラ)
– - Intel Inside
(インテル社のキャッチコピー)
– - World Wide Web
(ウェブサイト)
– - Donald Duck
(ドナルド・ダック)
– - King Kong
(キング・コング)
– - Mickey Mouse
(ミッキー・マウス)
– - Minnie Mouse
(ミニー・マウス)
– - Peter Parker
(スパイダーマン)
頭韻で我が子を命名した知人は少なくない。
ー
◆ “first” には、形容詞・副詞・名詞がある。
【発音】 fə́ːrst
【音節】 first (1音節)
–
語源は、古英語「最上級」(fyrst)。
基本的意味は、この語源に沿う。
– 形容詞「第一の」「最初の」「一番の」
– 副詞「第一に」「最初に」「一番に」
– 名詞「最初のもの」「最初の部分」
“first” は、ピュッと威勢のよい1音節(one syllable)
で、英語ネイティブには好まれる発音。
→ 音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照
–
◆ 最も基本となる、形容詞 “first” の英単語全体の位置づけは、
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
いずれも最上位である。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)
しかし、表題の “first” は、形容詞ではなく、副詞「第一に」。
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
形容詞に比べると、書き言葉としての頻出度が一段格下。
–
◆ “foremost” には、形容詞と副詞がある。
【発音】 fɔ́rmòust
【音節】 fore-most (2音節)
–
語源は、中期英語「最初の」(formest)。
こちらも、語源通りなので分かりやすい。
– 形容詞「真っ先の」「第一の」「最重要な」
– 副詞「真っ先に」「第一に」「最重要の」
ここでは、同じく副詞「最重要な」。
したがって、”first and foremost” の直訳は、
「第一に、かつ、最重要な」。
<最重要ゆえ、最優先>を示す、<3語ワンセット>の副詞用法。
平たく言えば、「何よりも」「何はともあれ」。
定訳は「いの一番(に)」。
“first and foremost”
used to emphasize the most important quality,
purpose, reason etc.
(ロングマン、LDOCE6)
※ 下線は引用者
名詞用法として「最優先事項」
“the first and foremost priority“
という言い回しもある。
可算名詞 “priority” を直接飾る形容詞の
役割なので、序数・最上の “the” がつく。
だが、”first and foremost” のまま用いる方が多い。
この方が、文頭・文中・文末のどこでも使えて
便利である。
–
◆ 和訳は、文脈に合わせて工夫する。
–
上記の直訳では、不自然になる場合が多い。
また、定訳とされる「いの一番(に)」は、日常使用
ではきごちないため、実際はめったに使われない印象。
<文頭>
“First and foremost, I need to save money.”
(とにかく、貯金をしなければ。)
“First and foremost, go see a doctor.”
(何はともあれ、医者に診てもらいなさい。)
“First and foremost, we have to cut the cost.”
(真っ先に節約しなくてはならない。)
“First and foremost, do not pay any money.”
(とにかく、お金を一切支払わないこと。)
<文中>
“What he needs first and foremost is a
sense of belonging.”
(彼に何よりも必要なのは帰属感である。)
“I would like to first and foremost express
my gratitude to all of you.”
(何よりも最初に、皆様にお礼を申し上げたい。)
“The rule here, first and foremost, is no smoking.”
(ここでの最重要のルールは禁煙です。)
<文末>
“We should have done this first and foremost.”
(まず最初にこれを実行すべきだったのだ。)
“My job comes first and foremost in my life.”
(私の人生では、仕事が最重要である。)
“Go talk to your doctor first and foremost.”
(とにかく主治医に相談しなよ。)
とにかく、きちんと歯磨きしなさい
–
【類似の頻出表現】 ※ “first” 入り
- “first of all“
(まず第一に)
– - “in the first place“
(まず第一に、そもそも)
– - “first things first“ ––– ※ 頭韻法、”thing” は複数形
(まず重要なことから始めて)
– - “first thing in the morning”
https://mickeyweb.info/archives/5059
(朝一番に)
【その他の類似表現】
- “most importantly”
https://mickeyweb.info/archives/11090
(最も重要なことは )