私たちは ~ を大変楽しみにしています。
自他動詞の ” excite ” は、日本の学校教育で、
「 興奮する・させる 」「 刺激する・させる 」
と教わる。
【発音】 iksáit
【音節】 ex-cite (2音節)
【活用形】 excites – excited – excited – exciting
語源は、ラテン語「 繰り返しそそのかす」( excitāre )。
- 接頭辞 ” ex “( 外へ )
- 動詞 ” cite “( 感情を呼び起こす )
→ citāre ( ciēre「 動かす 」の反復形 )
こうふん【興奮】
1. 感情の高まること。
( 広辞苑 第七版 )
–
とすれば、” excite ” は、ビジネスにふさわしい表現
とは言いがたい。
なぜなら、 一般的に感情的になる場でないからである。
ところが、 実際には ” excite ” は職場でも多用される。
文書・口頭を問わず、しょっちゅう見聞きする。
それも、組織の幹部や管理職がよく使う。
彼らが、年がら年中「 興奮 」しているからだろうか。
そうではない。
–
■ ビジネスで使う ” excite ” は、
進展への期待にあふれる高揚感や喜び
を表す場合が多い。
–
この際、感情は高まるから「 興奮 」に違いない。
しかし、「 興奮 」と表現すると、なんだか違和感を覚えがち。
どことなく職場にそぐわない。
高揚感にあふれた喜びを表していることは理解できる。
日本語の「 興奮 」は、時に「 コーフン 」と表記する。
むやみやたらと感情の高まる印象が強い。
–
こうふん【興奮】
1. 感情の高まること。
2. [生] 刺激によって細胞や生体が休止状態から活動状態
へ変化すること。感覚細胞や神経細胞では、活動電位が発生
することと同じ。個々の細胞の興奮は、物質代謝の変化、筋収縮、
分泌などを伴い、全身的な活動状態へと導かれる。
3. 精神活動がある限度をこえること。精神病者や飲酒の際などに
見られる。
( 広辞苑 第七版 )
こうふん【興奮(昂奮・亢奮)】
1. 刺激を受けて 感情がたかぶること。
2. 刺激を受けて肉体の組織・器官の活動が活発になること。
( 明鏡国語辞典 第三版 )
–
語釈「2」にあるように、実は専門用語としても確立した語。
だが、こちらは世間一般には親しまない内容と考えられる。
日常語の「 興奮 」からは、めちゃくちゃ気分が高ぶる姿が思い浮かぶ。
–
◆ 一方、英英辞典はどうか。–
” excite “
(1) to make someone feel happy, interested, or eager.
(2) to cause a particular feeling or reaction.
(3) to make someone feel sexual desire.
( ロングマン、LDOCE6 )
【発音】 iksáit
【音節】 ex-cite (2音節)
–
ビジネスで使われる ” excite ” は、主に(1)。
「 満足、興味、意欲を他者にもたらすこと 」
とある。
したがって、” excite ” (1) –≠–「 興奮 」と言っても過言ではない。
ここがポイント。
英和辞典を引くと、自動詞も他動詞も「 興奮 」「 刺激 」が優勢。
冒頭の通りである。
(1) を示す日本語の動詞は、なかなか見当たらない。
–
◆ そこで、和訳時は意を汲んで工夫する。
■ 表題の ” We are very excited to – ” は、
対外的なリリース文書 や スピーチでも目立つ。
・ 新製品の発表 ( product launch )
・ 合併事業の開始 ( merger proceedings )
・ 新事業への参入 ( start a new business )
門出に立つ組織の幹部が好んで用いる。
–
「 とても興奮している 」 と和訳すると、 上掲 ” LDOCE6 ” の
語釈(2) や (3) を想起してしまい、 変に聞こえがち。
(2) to cause a particular feeling or reaction.
(3) to make someone feel sexual desire.
とりわけ、(3)の ” feel sexual desire ” は困る。
” excite ” が 「 エロい匂い 」を放つ危険性については、
” thrilled ” で、 深掘りしている。
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第七版 ( 2018年1月発行 ) に 初登場 !
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◆ ポイントを再確認する。
◇ ビジネス用途の ” excite ” は、主に (1) –
(1) to make someone feel happy, interested, or eager.
使用場面によって異なるが、うれしい気持ち を、
例えば 「 大変楽しみにしている 」 と和訳する。
-
We are → I am ( 主格 + be動詞 )
-
very → really ( 副詞 )
-
to → about ( 前置詞 )
–
このような置き換えで、いろいろ応用が効く。
表題は、あくまでも一例である。
- “We are very excited to take part in this exposition.”
(この展示会に参加することを、我々は大変楽しみにしています。)
– - “We are very excited about the exposition.”
(我々は展示会を大変楽しみにしています。)
– - “We are very excited to distribute the newsletter.”
(こちらのメルマガを配布できることを、大変うれしく思います。)
– - “We are really excited about having him in our class.”
(彼を迎え入れることをクラス一同、とても喜んでいます。)
– - “We are very excited to launch a new service in April.”
(4月からの新サービス開始を、大変楽しみにしております。)
– - “We are excited to offer you our new menu.”
(皆様に新メニューをご提供することが楽しみです。)
– - “We’re so excited to have you on board ! ”
(あなたにご入社いただき、本当に喜んでおります。)
– - “We are excited to announce that she has signed the contract.”
(彼女が契約書にサインしたことを発表できることに喜んでいます。)
(彼女が契約書に署名したことをお知らせできることをうれしく思います。)
– - “We were excited to report to work after a long leave of absence.”
(私たちは、長期休暇後に出勤するのがうれしかった。)
(私たちは、長期休暇を終えて出勤することを喜んだ。)