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Wet ink / Wet sign / Wet signature

      2022/05/26

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 11 minutes

本人が自分の氏名を手書きしたもの  ( = 本人の直筆サイン

  •  wet ink  ( wet-ink )
  •  wet sign  ( wet-sign )
  •  wet signature
  •  physical signature
  •  physical sign

この5つは、一般実務では、ほぼ同じ意味合いで使用されている。

すなわち、

■  物理的 ( → wet  )
な「 手書き 」、

ひいては 「 原本 ( wet copy )」

■  電子認証 ( → dry )
と反対の立ち位置

大半の使い方は、こちらを指す。

「 本人が 自分の氏名を 手書きしたもの 」


つまり
ご本人の直筆サイン、 肉筆サイン、 自署。

昔ながらの 「 手書き 」。

■  本来は技術用語として、  別の語義があるのだが、

   実務では、 3つとも 「 自署 」 を意味する。

   ひいては、「 原本 」( wet copy ) を示唆

▼  提出先が、 こう指示(  ” wet ” 指定  )する場面で頻出。


電子認証 ( dry ) は不可です


電子認証
  では受け付けません。

メール提出は ×。 

直筆署名した原本  を郵送などでご提出願います。

▼  提出先の要求は、


直筆 」かつ「 原本 ( wet )

の文書を提出してください

▲   ” wet ” 指定  メール提出 ×、 原本を 持参・郵送

◆  まずは、表題の 「 3つの  ” wet  」  を見ていきたい。

同じく ” wet で、  物理的な  =  physical 

physical signature ”    ” physical sign

については後述する。


◆  ” wet ” には、 形容詞・名詞・自動詞・他動詞がある。

語源は、古期英語 「 濡れた 」 「 湿った 」 ( wǣt )。

【発音】  wét  (1音節)

” wet ” は、「 1音節 ( one syllable )」の単語。

「 音節 」( syllable、シラブル )とは、 発音の最小単位。

1音節だから、 腹の底から  ゲロする  勢いで、 思いっきり、

ウエット


と吐き出し、一息に発声する。

まさに、ゲロ同然の響き。

ウエット


「 発音の最小単位 」に切れ目がない「 1音節 」のため、
一気にゲロする迫力が出る。

ここでは、形容詞 「 湿った 」 の意。

  •  ダイビング用の潜水服 「 ウェット スーツ 」は、 ” wet suit “
  •  「 ウェット シェービング 」では、 肌を 湿らせ、ひげを剃る
  •  ” Wet Paint ” は、「 湿った ペンキ 」で「 ペンキ塗りたて 」

ウエット


直訳は、

  •  ” wet ink ”   湿ったインク 
  •  ” wet sign ”   湿った記号 
  •  ” wet signature ”   湿ったサイン 

いずれも「 自署 」として多用される。

【発音】  sign   /sáin/  1音節
【発音】  signature   /sígnətʃər/   sig-na-ture  (3音節)

” wet ” の直後にハイフンを入れる、
複合名詞 の表記( wet-ink )もある。

加えて、” ink ” の他動詞用法には「 署名する 」の意も含む。

【発音】  íŋk  (1音節)

  • “I have inked a contract with the company.”
    (その会社との契約に署名しました。)
    (その会社と契約を結びました。)

 

◆  語源は、ギリシア語「 紫色のインク 」( enkauston )。

※  同義扱いの 「 インキ 」は、オランダ語  ” inkt ” より

平板で、均一なリズムの日本語では、「 3音節 」の

イ – ン – ク

英語では「 1音節 」なので、 こっちも ゲロ

イン


「 音節 」の日英比較は、  ” integrity ”  で事細かに取り上げた。

 

◇  湿った 」とはいえ、通常は ボールペン でもよい。

wet ” は、自署に用いる
< 筆記具の種類 >よりは、

「 直筆 」及び「 原本 」の指示 が趣旨 

 

wet指定 ならば、直筆 」かつ「 原本

■  「 原本 」を提出 ( 持参 郵送 が一般的 )
■   メール添付は不可 ( 後述 ” dry ” 参照 )


◆  なお、手書きでなく、 ゴム印や印鑑  による署名
( 後述の 「 記名押印 」 や 「 記名 」 )も、” wet ink “、
“ wet sign ”、” wet signature ” に含むとする解釈がある。

「 湿った 」( wet )点で、 条件を満たすからである。

A wet signature is created when a person
physically  marks a document.
Other cultures use name seals to the same effect.

https://www.laserfiche.com

【 参考和訳 】

” wet signature ” とは、人が  物理的に 文書に署名すること。
文化によっては、同じ用途に 印鑑 を用いることがある。

◇  人間の手で書いたり押したりする 「 物理的な 」 サインゆえ、

  •  physical  signature
  •  physical  sign

と表すこともある。

しかし、表題の 「 3つの  ” wet  」 に比べれば、

出番はずっと少ない。


【発音】  physical  /fízikəl/
【音節】  phys-i-cal  (3音節)


◆  形容詞  ” physical ”  には、

身体の 」 「 肉体の 」 「 好色の 」 の意味もある。

  • ”  Let’s  get  physical
    ( 一緒に 寝よう

      オリビア・ニュートン=ジョン( Olivia Newton-John  1948- )
    の 1981年の大ヒット曲   ” Physical ”   の聞かせどころ( さび )。
    世界中で、1000万枚以上売れたものの、 際どい歌詞が物議を醸す。
    卑猥さの隠れ蓑に、 PVなどでは激しく踊れども、 真意はバレバレ。
    むやみやたら官能をそそる、誘惑されそうなエロい表情からも自明。


    【動画】    ※  全長  約 3分40秒
    https://www.youtube.com/watch?v=yPXNZo40ePE
    https://www.youtube.com/watch?v=E-JGTk_WM1k

    1972年   初来日。  来日回数10回以上。
    2015年   被災地の福島で歌ってくれた。
    2021年   旭日小綬章 を受章。

I first visited Japan in 1972 and since then I’ve been back
more than 10 times,   one of my favourite countries and
favourite people.  A particularly memorable moment was
my ” Pray for Fukushima ” concert in 2015 in Fukushima.

https://www.abc.net.au/news/2021-11-03/
dame-olivia-newton-john-to-receive-japans-highest-honour/100589182

Dame Olivia Newton-John to receive Japan’s
highest civil honour, the Order of the Rising Sun

2021年11月3日付

 

◆  ゴム印や印鑑が、 ” wet signature ” として、
実際に通用するかと言えば、 心許ない。

提出先に確認する方が、 一安心できる。

ご本人が近場にいるなら、 サインしてもらう方が早いかも。

日本では「 記名 」だが …

◆  表題の対となるのが、 dry signature “、” dry sign “。

【発音】  drái  (1音節)

  コピー や ファックス を通した署名 のこと。


◆  ” wet ” な原本を、 電子メールの 「 添付ファイル 」 で送ると、

受け手側の取り扱いは、 

” dry ” になってしまう。


からくりは、「 コピー 」 「 ファックス 」 同様。

無論、 送信者の手元の文書は、 ” wet ”  のまま。

この点を理解せずにメールし、 提出期限  が過ぎたら大変。

悲惨だけれども、 なんだか間抜けな話だわ。

” wet ” 指定 の場合、 持参 または 郵便・メール便 で提出しましょう。

 

◆  資力に恵まれた組織であれば、  電子認証 ( 後述 ) を導入可能。

海外と頻繁にビジネスするグローバル企業であれば、 既に活用しているはず。

一方、 それほど余裕のない零細・中小企業などは、 ” wet ” で署名し続ける
しか手立てがなかったりする。

法的効力のある電子認証を取り入れるには、 専門業者と契約する必要があり、
それなりのコストがかかるために、 固定費節減で投資できない事業者も多い。

よって、 メールで受信した電子( dry )署名入りの契約書( PDFなど )を
出力後、 手書き( wet )で署名し、 紙で送り返す( 郵便・メール便 )。

これでは、 電子メールと電子認証の利点を享受しきれない、ちぐはぐな流れ。

すなわち、 次の電子認証のメリットが生かせず、 中途半端な有様。

【 電子認証の利点 】  →  返送不要ゆえに 郵送費 と時間、 さらに 印紙代
 も節約でき、 手間なく 速やかに進められる  ( 手続きの即日完了も可 )

■  「 直筆 」( wet ) の文書   

すなわち  ” wet copy ”  を  PDF  にしたものは、

「 原本 」 として通用しない。


要するに、  「 物理的 」 で  “ wet ” な
「 手書き署名 」 「 ゴム印 」 「 印鑑 」 「 ハンコ 」 を、

以下に加工したものは、 どれも 「 原本 」  として通用しない。  

PDFコピーファックス電子メール スクショ

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

” dry ” になってしまう。


もし、 ” wet ” 指定  であれば、 アウト。



◆  法的効力のある ” dry ” 署名を採用するには、 専門業者との契約必須。

これが基本。

取引する双方が電子認証を導入していない限り、 電子メールでは完結しない。

結果的に非効率に陥るが、 私の経験上は珍しくなく、 現実的にやむを得ない。

移行期は、 新旧入り交じるのが世の習い。

電子認証の普及に伴い、 その確かな利便性から ” wet ” 指定 は減少
していくと考えられるが、 後に述べるように、 完全消滅はないだろう。

電子認証dry )と  物理的 署名( wet )は、 おそらく併存していく。

 

◆  ” dry signature ” の直訳は、「  乾いたサイン 」。

後掲の 「 デジタル署名 」 もろとも、カラッと乾いた印象である。

  •  衣類用 「 ドライクリーニング 」 は、 “ dry clean(ing) ”
  •  「 ドライ アイス 」 は、 ” dry ice ”  で、 もともと商標
  •  眼球の表面が  乾くドライ アイ 」 は、 ” dry eye “

例えとしての 「 直筆 」が、” wet ” なのは想像できよう。

◇  「 原本 」の英訳  

  原本は、本質的に  唯一の存在  なので、
定冠詞 ” the ”  が原則。

  ただし、特定の原本ではなく、単なる呼称  としての
「 原本 」には不定冠詞も使う。

なぜなら、どんな原本でも用をなし、唯一の存在でないから。

【 例 】  ” wet ink copy—-※  後述

  原本が複数枚に渡ったり、種類が多数ある場合、
「 複数の文書 」を意味する複数形の単語
documents    documentations  など )
を付け加えて、無冠詞 または  “ the ”。

  日常実務では、枚数や種類にかかわらず、シンプルな
the original ” と “ the original copy ”  が 多用される。

【発音】  original   /ərídʒənəl/  o-rig-i-nal  (4音節)
【発音】  copy   /kɑ́picop-y  (2音節)


【 ご注意 】

  この用法の  “copy ” は「 原稿」の意味合い

【誤】  × 写し  × 控え  × コピー  

・ a  wet ink copy  =  直筆の「 原本
・ a  wet copy  =  同上   ←  原本そのもの

【誤】  × 原本のコピー 」


一般的には、こう考えてよい。

×  ” 〇〇 copy ” は 「 〇〇 の  写し 」  ←   原本

「 原本 」

  •  the original
  •  the original copy
  •  the original paper
  •  the original version
  •  the original  ____
    【例】  manuscript( 原稿 )
  •  original document(s)
  • wet ink original
  • wet ink document(s)
  • wet ink documentation(s)
  • wet ink version
  • wet ink copy
  • wet copy

< ” copy ”  語源 >

ラテン語 「  たくさん 」( cōpia )  →  「 たくさん 書く 」
→  「 原本を たくさん 写し取る 」  →  「  複写 する 」

 

▼ 「 複写 」「 写し 」 以外 の意味 ( 名詞 ” copy ” ) ▼

■  1部・1冊・1枚
■  原稿
■  広告文  

  •  a  translated copy  =  翻訳版   ←  翻訳版の「写し」ではない
  •  a  translated version  =  同上
  •  a  duplicate copy  =  副本   ←  副本の「写し」ではない
  •  a  copy of the DVD  =  そのDVD1枚   ←  コピーしたDVDではない
  •  a  copy of the book  =  その本1冊   ←  コピーした本ではない
  • ” We need to provide a  translated copy  to her. ”
    ( 彼女には  翻訳版  を提供する必要があります。)

英和辞典の語釈はあいまいなものが多く、やや紛らわしい感触。

 

【 マイナー用法 】    ※  ” Loud and clear. ”  参照

無線では、「 了解 」を表す決まり文句。

市民ラジオ由来の表現とされる。

Do you copy ?  ” ( 聞こえますか
→   ” Copy that ! ” ( 了解 ! )。
→   ” Copy ! ” ( 了解 ! )。

” I have received your transmission. ”  ひいては
” I understand what was said. ”  の意。

無線に限らず、社内メールの返信でも見かける。

  •  ” Copy.”  ( 了解しました。)
  •  ” Copy that.”  ( その件、了解しました。)
  •  ” Copy on this.”  ( この件につき、了解しました。)
  •  ” Copy on that.”  ( その件につき、了解しました。)
  •  ” Copy all. ”  ( 全部了解しました。)

メールの件名や返事に、 こうして出てくる場合、

  • Good copy ”  ( 興味深いお知らせ )

「 2語ワンセット 」で、 ” interesting news ”
LDOCE、  Merriam-Webster ) のこと。

→  目上に対する「 了解 」の可否 についても、
Loud and clear. ”  参照


◆  さらに、

■  digital signature ( デジタル署名 )
■  electronic signature ( 電子署名 ) 


これらも  ” wet ink “、” wet sign “、” wet signature ”
に  該当しない

どちらも  “ dry ”  signature  である。

一般実務における 「 デジタル署名 」「 電子署名 」は、
「 原本 」の概念にあまりそぐわない。

そもそも、 何枚でも印刷( print out )できてしまう。



◆  もっとも、 先に触れた通り、  専門業者と契約し、 法的効力のある
電子認証を導入すれば、 “ dry ” なのに、 実務上は「 原本 」 に準じる。

有効な 「 原本 」 が複数生じる  ものの、  本来の役割が異なるから可。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

しかしながら、  ” wet ” 指定 があれば、 これでは通じない。

これぞ間違いやすい点で、提出先の要求 に従わないと、 先に述べた悲劇をもたらす。

電子認証で大抵OKだが、 ” wet ” 指定 されていれば、「 直筆 」 かつ 「 原本 」

実に分かりにくい感覚だが、 電子認証に使い慣れると簡単に理解できるようになる。

◆  電子認証に慣れると、 ” wet ” 指定  が面倒で煩わしく、 時代遅れに感じる。

わざわざ送るなんて、 「  時間・手間暇・人件費・郵送費・印紙代 のムダ

「 電子認証なら今日中に終わるのに、 締結完了のため、来週まで待つのか 

「 仕事を増やさないでよ 」 と勝手な恨み節がぶうぶう出てしまったりする。

◇  本人確認 と 認証 こそ、
デジタル署名 ・ 電子署名 の役目

電子認証 ( → dry )

  • “Please digitally sign on the document.”
    (この文書にデジタル署名をお願いします。)

Wet ”  では ない 代表例

電子認証 ( → dry )

 

以下は例示。

【 例1 】  ” digital signature ” ( デジタル署名 )

【 例2 】  ” digital signature ” ( デジタル署名 )


【 例3 】  ” electronic signature ” ( 電子署名 )


電子サインと電子署名で業務プロセスを変革
アドビ システムズ 株式会社
https://www.adobe.com/content/dam/dx-dc/pdf/jp/adobe-sign-electronic-and-digital-signatures-wp-jp.pdf
2021年4月 発表
※  PDF 全11頁、287KB

【 ご注意 】

  上記資料で、アドビー社が「 電子サイン 」と和訳するものは、
本稿の「 電子署名 」( electronic signature )を指す。


◇ 
” electronic signature ” の定訳は「 電子署名 」

本稿も定訳に従った。

  日本政府のサイトでも「 電子署名 」

『 電子署名及び認証業務に関する法律 』

施行日 : 2016年4月1日

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=412AC0000000102

【参考英訳】  日本法令外国語訳データベースシステム
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/


  米国の電子署名法  ” E-Sign Act ”  は、2000年施行

▼  米政府発行
Electronic Signatures in Global and National Commerce Act
https://www.govinfo.gov/content/pkg/PLAW-106publ229/pdf/PLAW-106publ229.pdf
2000年6月30日付
※  PDF 全14頁、223KB


  世界各国の電子サイン情報へのリンク( 英文 )

▼  アドビ システムズ 株式会社
https://www.adobe.com/trust/document-cloud-security/cloud-signatures-legality.html

 

電子署名、脱ハンコで急拡大  3年後は200億円市場に

2020年10月13日付

新型コロナウイルス禍で「脱ハンコ」が進むなか、
電子署名の利用が急増している。

(中略)

電子署名はオンラインで契約を結ぶ際、契約者本人であることなどを
証明するのに必要となる。

(中略)

背景には電子署名の方式が2つに分かれていることがある。


「 電子署名、脱ハンコで急拡大 3年後は200億円市場に 」
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64908610S0A011C2TJ2000/
2020年10月13日付

  『 電子契約サービスに関するQ&A
総務省 ・ 法務省 ・ 経済産業省 

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/denshishomei_qa.pdf
2020年7月17日付

※  PDF 全3頁、221KB


かつて、署名は 「 自署 」が原則であった。

今では、「 記名押印 」や「 記名 」も広く採用されている。

◆  日本のビジネス慣習上、法律的な証拠能力の有効性は、
次の順とされている。

  1.  署名捺印
  2.  署名
  3.  記名押印
  4.  記名
  •  「 署名 」  本人が氏名を筆記具で書く
       →  wet inkwet signwet signature
  •  「 記名 」  ゴム印・印刷・代筆を含む
  •  「 捺印 」「 押印 」  印章を押すこと

【参考記事】     ※  外部サイト

  『 押印についてのQ&A
内閣府 ・ 法務省 ・ 経済産業省 

https://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf
2020年6月19日付

※  PDF 全5頁、137KB


  『 地方公共団体における押印見直しマニュアル 』
内閣府

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html


近年、世界標準の実務にて定着しつつあるのが、
dry ” の「 デジタル署名 」( 上図参照 )。

◇  本人確認 や 改ざん防止機能 の実用性
から、認証用 に導入された。

wet ink “、” wet sign “、” wet signature
では ない


文書を電子的にやり取りするのが日常になって以来、
自署やハンコ代わりに使われている。

 

◆  それでも、自署を要する場面はまだまだ健在だ。

  日本語では、

自署 」「 自筆 」「 手書き 」「 直筆 」「 署名 」「 肉筆

  近頃、とみに見聞きするようになった英語が、

wet ink “、” wet sign “、” wet signature


直筆サインを求められる機会は、今後も消えないだろう。

一般組織では、2010年頃 から散見


電子認証
の導入に伴う新しい表現

 

■  wet ink

■  wet sign

■  wet signature

直筆 かつ 原本     ポイント


◆  昔は、もっぱら  ” handwritten signature ”  だった。

電子認証 の導入後は、” wet ” ばかり目にする印象。

in は、手段前置詞 ~ を使って ~ で


直 筆

 

wet指定 ならば、直筆 」かつ「 原本

■  「 原本 」を提出 ( 持参 郵送 が一般的 )
■  メール添付は不可 ( 上述の通り ” dry ” に )

 

◆  ” wet ink “、 ” wet sign “、 ” wet signature ”
の基本的意味を解説する英文サイトは数多く存在する。

また、直筆を求める要求事項( requirements )には、
” wet ”  を 引用符 で囲んだものが、今なお少なくない。

  • A  ” wet “ signature is required on Page 3.
    (3頁目に「 直筆 」サインをお願いいたします。)
  • Please ” wet “ sign and return the attached form.
    (別紙に「 直筆 」でご署名の上、 ご返信ください。)

2022年現在、世間一般には、そう認知されていない証左であろう。

  • “All signatures on the document must be wet ink.”
    (その文書上の署名は 自署 に限ります。)
  • This document must be wet ink signed by the CEO.”
    (この文書への署名はCEOが 自署 すること。)

  • “All signatures must be wet ink originals.”
    (すべての署名は 直筆 でなければならない。)
  • “All documents must be certified in wet-ink by the spouse.”
    (配偶者は、すべての文書に 直筆 で署名すること。)

  • “Must be wet signature and not digital signature.”
    自署 が必要で、デジタル署名は不可です。)
  • “We will require your wet signature for documentation.”
    (文書には 自署 していただきます。)
  • Wet signatures of all his creditors are needed to
    exonerate him.”
    (彼を免除するには、債権者全員の 直筆サイン が必要です。)
  • “All certificates will be signed electronically and no
    longer contain a wet ink signature.”
    (すべての証明書は電子署名を採用し、手書きの署名 は廃止されます。)
  • “A wet signature is an alternative to a digital signature.”
    直筆サイン は、デジタル署名の代わりになります。)
  •  “Electronic signatures to replace ‘wet ink’ signatures
    自署 から電子署名へ移行)     ※  見出し

 

【類似表現】

■  ” sign off ”  

  •  他動詞  ” sign “( 署名する )
  •  副詞  ” off “( 完全に、すっかり )

他動詞の句動詞だから「 句他動詞 」( transitive phrasal verb )。

副詞 ” off ” は、” top off “( 締めくくる )と同じ用法。

意味は 「 署名して承認する 」。

要は、承認のサインをする こと。

日常業務で重宝する句動詞である。

主な使用場面は、次の2つ。

  1. 承認権限のある部門・人物による 決裁

  2. 契約書・合意書の 締結

 

■  ” autograph

【発音】  ɔ́ːtəgræ̀f
【音節】  au-to-graph  (3音節)

–  名詞  「 自筆 」「 有名人のサイン 」     ※  可算・不可算兼用
–  他動詞  「 自署する 」「 自筆で書く 」     ※  自動詞はない
–  形容詞  「 サイン入りの 」「 肉筆の 」

  •  an autographed copy of her book
    …  単数形、特定作品のサイン本1冊
  •  autographed copies of her book
    …  複数形、ある特定の作品のサイン本がたくさん
  •  autographed copies of her books 
    …  複数形、複数の著作物のサイン本がたくさん
    ( 当該著者のサイン入りの本 )
    ※  その著者が男性なら、 所有格は ” his “

意味合いは表題に重なるものの、 普通のビジネス向けではない。

◇  文芸 が主用途

すなわち、文学 学問 芸術  一般。

著作者  または  芸能人  などの 有名人に使うのが通例。

autograph letter
( 手書きの手紙 )    ※  タイプ打ちでなく、肉筆

autograph letter,  signed
( 署名入り肉筆手紙 )

autograph manuscript
( 手書きの原稿、 肉筆原稿 )

autograph manuscript,  signed
( 署名入り肉筆原稿 )    【 略 】  a.ms.s.

【発音】  mǽnjəskrìpt
【音節】  man-u-script  (3音節)

 

【参考記事】     ※  外部サイト

■  脱ハンコで攻勢。
電子契約 “ 国内利用1位 ” VS “ 世界1位 ” それぞれの闘い方
https://www.businessinsider.jp/post-230201
2021年2月25日付

■  行政手続きの認め印全廃 婚姻届や車検 実印は継続
【和文】
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66173380T11C20A1AM1000/
【英文】
https://asia.nikkei.com/Politics/Japan-to-drop-seal-requirement-in-99-of-administrative-procedures
2020年11月13日付

■  弁護士の解釈「電子署名」と「電子サイン」の違い
https://toyokeizai.net/articles/-/375564
2020年9月30日付

■  ハンコは「抵抗勢力」か 印章制度の本質と過度なデジタル化の危険
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200812/pol/00m/010/013000c
2020年8月13日付

■  「脱ハンコ」へ整備加速  電子書類の公的認証、年内に  テレワークの拡大契機
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59355130Q0A520C2EE8000/
2020年5月21日付

■  在宅勤務で「電子印」広がる 慣行見直し加速か
https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/200521/ecd2005210655001-n1.htm
2020年5月21日付

■  「紙」「ハンコ」「手書き」の三悪を撲滅せよ
アフターコロナ、「IT後進国」の日本は生まれ変われるか
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00868/050100079/?P=4
2020年5月12日付

■  英語の「サイン」の書き方・使い方・求め方
https://eikaiwa.weblio.jp/column/knowledge/tourism/signature_autograph
2016年11月8日付
↓↓↓

自筆署名は「 信頼 」と「 信用 」そのもので、

意思表示 」と「 自己同一性 」の証明手段

 

 

 

 

 

 

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