(1) 排除する (2) 不可能にする
日常会話ではあまり聞かないが、
ニュースには欠かせない句動詞。
–
特に、司法判断や警察の捜査結果の報道時によく出る。
His death has been ruled a suicide by the officials.
(当局により、彼の死因は自殺と判定された。)
◆ “rule” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
【発音】 rúːl
【語形変化】rules – ruled – ruled – ruling
語源は、ラテン語「ものさし」(regula)と
「規定する」(regulare)。
基本的意味は、
– 名詞「規則」「支配」
– 他動詞「統治する」「裁定する」「線を引く」
– 自動詞「統治する」「裁定する」「抜群である」
“rule” は多義だが、このように語源から推測しやすい。
「規則」=「ルール」はその典型である。
–
◆ 表題 “rule out” の “rule” は、他動詞「線を引く」。
–
これに副詞 “out” を加えたもの。
句動詞に伴う副詞 “out” の意味は複数あるが、
ここでは「外へ」。
–
こちらの句動詞と同じ用法。
よって、”rule out” は「線を引き、外に出す」。
すなわち「排除する」「除外する」を意味する。
他動詞の句動詞なので、句他動詞(transitive phrasal verb)。
“rule out”
1. to decide that something is not possible or suitable.
2. to make it impossible for something to happen.
(ロングマン、LDOCE6)
線を引いて外に出す → (1) 排除する → (2) 不可能に
この流れで派生した。
–
◆ しかし、実際の “rule out” は、すんなり把握しにくい。
“exclude” など、最初から排除を意味する1語の動詞と異なり、
“out” と合体して句動詞になり、ようやく否定を表す。
しかも、二重否定で使われる傾向が見られる。
次の3文は実際のニュースで用いられたもの。
瞬時に意味をつかめるだろうか。
- “I do not rule out any conversation with the company.”
(その企業との対話の可能性を、私は否定しない。)
– - “The coach did not rule out her long-awaited return.”
(長く待ち望まれた彼女の復帰の可能性を、コーチは否定しなかった。)
– - “He does not rule out the use of military force against the country.”
(その国に対する軍事力行使の可能性を、彼は否定していない。)
いずれも “rule out” を副詞 “not” で否定するため、
「否定していない」。
–
否定の意味をもつ語が重なり、結果的に肯定を意味する。
そう難しくはないが、慣れるまでは分かりにくいだろう。
和訳時は肯定に変換せず、否定語を残すのが通例。
–
◆ 以下のような基本文を理解してから、
二重否定に進むとよい。
- “My suggestion has been ruled out.”
(私の提案は却下された。)
– - “The police ruled out robbery as the motive.”
(その動機として、警察は強盗を否定した。)
–
- “The other explanations have been ruled out.”
(その他の説明は排除された。)
–
- “He ruled out–his return to politics.”
(彼は政界復帰の可能性を否定した。)
–
- “The police have ruled out foul play.”
(警察は事件性を否定した。)
–
- “The image ruled out the presence of cancer.”
(画像はがんの存在を否定した。)
–
- “Drinking and smoking were ruled out as possible causes.”
(飲酒と喫煙は考えられる原因から排除された。)
<関連表現>
■ “overrule”(判決を覆す)
【発音】 óʊvɚrùl
【語形変化】overrules – overruled – overruled – overruling
※ 品詞は他動詞のみ