プロ翻訳者の単語帳

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Walk out

      2020/08/10

(抗議して)立ち去る、 退席する

40年近く、各界の有名人の経歴を好んで読んできた。

新聞と雑誌、1990年代後半以降はインターネットも加わった。

彼らが経てきた試練と努力は、やはり人並み以上。

それを再確認する機会の連続だった。

功成り名を遂げた人物の英文インタビュー中、
私が格別興味を持っていたのは、”walk out“。

英語表現のみならず、対抗手段の自己表現 として。

“walk out” を目にした記事は、おそらく3桁に達している。

  • “So I simply walked out.”
    (だから、さっさと立ち去ったの。)
  • “Then I walked out on them.”
    (まもなく、その会社を去ってやったのです。)
  • “I wanted to walk out on my own terms
    before my time is up.”

    (自分の時代が終わる前に、自分らしく去りたかった。)
    (自分の時代が終わる前に、自分なりに幕を引きたかった。)

  • I walked out and never came back.”
    (私は退席し、決して戻りませんでした。)

  • “I walked out on my job and never looked back.”
    (その仕事から去り、決して振り返りませんでした。)
  • Something inside me snapped, and I walked out.”
    (心の中で何かがブチ切れて、私は立ち去ったのです。)

  • “I walked out of their interview.”
    (インタビューの途中で退席したのです。)

  • I walked out, which turn out to be
    one of the wisest choices I ever made.

    (その場を立ち去ったが、それは人生最高
    の選択の一つとなった。)
  • “To be honest, I’m doing perfectly fine
    without the people who walked out of my life.”
    (正直な話、私の人生から立ち去っていった人々が
    いなくても、
    痛くもかゆくもないのですよ。)

こんな風に淡々と記されていた。

一々銘記している理由は、それがキャリア上の転機
して描写されているケースが多かったからである。

  • 錚々たる名士たちにも、惨めな過去があったんだ
  • 成功したからこそ、こう言えるのだろうな
  • その場を立ち去るなんて、日本人にはできないだろう

などと感心しつつ、若い頃から面白がって読んでいた。
——

◆ “walk out” は、句動詞。

■ “walk” には、自動詞・他動詞・名詞がある。

語源は、古英語「転がる」(wealcan)。

【発音】   wɔ́ːk  (1音節)

基本的意味は、
自動詞「歩く」
– 他動詞「歩かせる」
– 名詞「歩行」

“walk out” は、自動詞の句動詞なので「句自動詞」 。

 

■ “out” は、副詞・形容詞・前置詞・名詞・他動詞・自動詞
と非常に多義で、用法も一筋縄ではいかない。

【発音】   áut  (1音節)

ここでは、副詞「外へ」。  以下の句動詞と同じ用法。

句動詞 “walk out” は、自動詞「歩く」+副詞「外へ」。
直訳は「外へ歩く」だから、「歩いて出て行く」。

抗議・怒りとは無関係に、単純に、
「(出口から)歩いて出て行く」意味もある。
日常的によく使われている。

一方、「立ち去る」「退席する」も多用される。
職場であれば「職場放棄する」が加わる。

“walk out”

1. to leave a place suddenly, especially
because you disapprove of something.

2. to leave your husband, wife etc suddenly
and go and live somewhere else.

3. to leave your job suddenly
because you no longer want to do it.

4. to stop working as a protest.

(ロングマン、LDOCE6)

※ 下線は引用者

【アクセント】  wálk  óut  

“walk-out” は、ハイフンを入れて、
名詞・形容詞にした「複合語」。

複合形容詞   compound adjectives
複合名詞   compound noun

【例】
laid-back“、”unheard-of“、”fill-in“、”well-liked
self-explanatory“、”worst-case“、”wake-up“、
long-overdue“、”well-done“、”so-called“、”go-to”、
unheard-of“、”short-staffed”、”life-threatening
shell-shocked”、”self-inflicted“、”hassle-free

ハイフンなしの名詞 “walkout” は、「退場」「ストライキ」。

【発音】   ˈwɑːk.aʊt
【音節】    walk-out  (2音節)



◆ 仕事関係の “walk out” の場合、解釈は
一様にならないので、注意を要する。

  1. 一時的な退席や職場放棄
  2. 完全に辞める

    2-1.  私物を取りに戻ってくる
    2-2.  二度と踏み入れない(私物の所有権を放棄)


◆ 何十年も社会人をやっていると、
“walk out” が必要と思える場面にも遭遇する。

下手に感情的になり、取り返しのつかない事態を招くより、

<無言で立ち去る方が賢明>

な場合も多々あると私は考える。

暴れずに、
その場から去ってしまえば、
後日どうにか弁解できたりする

例えば、

I got a sudden stomachach.
急な腹痛に襲われたのです。

※ 2語の “stomach  ache“(腹痛)と同義

暴れずに、その場を離れよ

下痢生理をほのめかし、世界中で使える。
誰しも身に覚えがある苦痛なので、

詮索されにくいのが「腹痛」。

【参考】   英語で伝える「お腹が痛い」    ※ 外部サイト


こうした緊急時には、無断で移動しても、
「やむを得ない」と容認されたりする。

◆ 実際、私はそうしてきた。

腹に据えかねて、そのまま帰宅したことさえある。
25年余りの期間で、数回のみだが。

“walk out” で救われたこともあれば、
失ったものもある。

だが、5年以上経って、それぞれを振り返ると、
自分としては、総じて後悔はない。

関係者にご迷惑をかけたはずだが、
結果的に大したことなかった。

無論、”walk out” は、お勧めできる行為でない。
社会人として、失格かもしれない。

にもかかわらず、<選択肢>の一つとして、
常に持ち合わせておけば心強い。

◆ 実際に実行するかは別として、

静かに立ち去る勇気

選択肢に加えるということ。

  • その場からすっと消えて、一息入れる。
  • 話し合ってもだめなら、時間を置く。

それがお互いのためにもなる

  極端な言動に出る前に「休む」

  疲れ果てて、正常な判断力が壊れる前に、
  とにかく「休む」

従業員であれば、有給休暇があるだろう。

休むことは大切。
リフレッシュすれば、きっと違う景色が見えてくる。

しばらく休んでもだめなら、もう潮時かもしれない。

転職するのも手。

自滅的な我慢は、もう結構。

新天地を目指そう

一般の日本人が享受できる職業選択の自由」は、実は

世界でも指折り なのだ。

世界トップレベルで自由な日本人

自由が保証されている のに、もったいない。

【参考】   ※ 外部サイト
The Henley Passport Index “Global Ranking”
日本のパスポートは世界最強 (CNN日経

さっさと逃げよう

堂々と walk out してやれ。

 死に物狂いで「本気」になれば、
どうにかなるのが人生

体力・気力が残っている うちに、思い切って動こう。

憎まれ口がたたけるなら、まだ間に合う。

  それ以降は「危険」が高まる。

【参考】  おすすめの退職代行サービスランキング 8選  
※ 外部サイト

自らの体験上、以上のように感じる。

【参照】   “disgruntled“、  “転職とは、一緒に働きたいと思ってもらうこと


◆ 再び、冒頭黄枠内の発言をご覧いただきたい。

日本の学校では教えてくれないが、

「自衛手段」の “walk out” を意識することは重要。

自分の命より、学校や仕事が大事なんてことはない。

  • “If she choose to walk out, so be it.”
    (彼女が立ち去ることを選ぶとすれば、
    それならそれでよい。)
  • “President Walks Out of Negotiations”
    (大統領が交渉の場から退席)    ※  見出し

【類似表現】

■  walk off
■  walk away
(立ち去る)

→  いずれも “walk out” より、
抗議・怒りの意味合いは薄め。

趣旨は、大同小異の句動詞である。

・  “Walk away from people who will never understand.”
(無理解の人から立ち去れ。)

・  “I walked away from the company.”
(その会社から立ち去った。)
(その会社を自分から辞めた。)

・  “X explains why he walked away from acting.”
(Xが俳優業から立ち去った理由を語る)
※  見出し

◇ 同趣旨の表現:

・ “I left the company on my terms.”
・ “I left the company on my own terms.”
(自分の希望通りにその会社を辞めたんだ。)

 


【関連表現】

【参考】  ※ 外部サイト

 

 

 

 

 

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