Act out
2021/08/26
態度に出す
子ども( 幼稚園児 ~ 10歳代くらい )の反抗的な
言動や、社会人の問題行動を表す時によく出てくる。
–
■ 句動詞 ” act out ” の大意は2つ
(1) 役を演じる、 実演する
(2) 態度に出す
(1)は、見せ場で演じること。
すなわち、演劇や実物宣伝などで、
期待された役 をこなすこと。
–
または、普通に「 行動を起こす 」ことも、”act out”。
いずれも文字通りで、特にひねりはない。
–
(2)は、感情的に態度で示す こと。
この場合、怒りを伴う ネガティブ感情 が中心。
自制できず、かんしゃくを起こす 感じ。
周囲に 期待された行為でない 点で、(1)と大きく異なる。
–
” act out “
2. to express your feelings about
something through your behavior or
actions, especially when you have been
feeling angry or nervous.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 ˌækt ˈaʊ̯t
※ 下線は引用者
(1)は字面通りなので、本稿では(2)を取り上げる。
–
◆ ” act ” には、名詞・自動詞・他動詞がある。–
【発音】 ǽkt (1音節)
–
基本的かつ頻出で、多義である。
語源は、ラテン語「 行う 」(agere)。
基本的意味は、
– 名詞 「行為」「法令」「演技」
– 自動詞 「行動する」「務める」「演じる」
– 他動詞 「演じる」「装う」
ここでは、自動詞「行動する」。
–
◆ “ out ” は、副詞・形容詞・前置詞・名詞
・他動詞・自動詞と非常に多義。
【発音】 áut (1音節)–
語源は、古英語「 外へ 」(ūt)。
–
ここでも、副詞「 外へ 」。
と同じ用法である。
【参照】 句動詞の副詞 “out” 30例
よって、”act out” の直訳は「 外へ行動する 」。
転じて、「 外に向かって、感情を出す 」。
だから、「 態度を出す 」。
◆ 出す感情を明記する時としない時の両方ともありうる。
- “She often acts out her distress.”
(彼女は悩みをしょっちゅう態度で示す。)
– - “His wild instinct is ready to act out.”
(彼の野生本能がいつ目覚めてもおかしくない。)
– - “He is talented but he often acts out.”
(彼は才能はあるが、かんしゃくを起こしがち。)
–– - “She began to act out with the onset of puberty.”
(思春期が始めると、彼女は態度に出し始めた。)
–またか …
◆ ” act out ” は、心理学用語 でもある。
–
< 抑圧された感情 > を外に出すことで、
< 心の傷 > などに対処する。
例えば、毒親 への抑圧された憎しみを、そのまま
主治医に 投影( project )し、その 医者に対して
怒ることを、” act out ” と表現する。
- “She acted out her traumas by talking with her doctor.”
(彼女は主治医に話すことで、トラウマを表出した。)
◆ ” act out ” は、日常でも用いる。
–
冒頭に記したとおり、子どもや社会人
の問題行動を表す際の典型表現。
心理学用語でもあることから分かるように、
知的ですっきりした言い回し である。
–
◇ 手に余る者の言動を他者に説明する上で、
下品にならずに済む。
そのため、
◇ 監督責任が問われる、親・先生・上司
に好んで使われる印象がある。
「 部下の態度がひどくて 」と言いたければ、
- “My subordinate acts out so often.”
(かんしゃく起こしてばかり。)
まず、あらましをシンプルに伝える。
さらに聞かれれば、具体例を出す。
最初から悪事をぶちまけると、
監督者の素質を疑われかねない。
子ども・学生・部下の問題行動には、
それなりの理由があることが多いからである。
背景を考察せずに、” act out ” を責めても、
問題は改善しないだろう。
◇ 勇気を出して、徹底的に話し合う ことは、
双方にとって無駄にならない はず。
たとえ、話が平行線のまま終わったとしても、
時間をかけて向き合ったその事実と心意気が、
その後の風向きを変えることは珍しくない。
–
【類似表現】
- “get worked up”
https://mickeyweb.info/archives/555
(かっかと興奮する)
ー - “have an attitude”
(反抗的な態度をとる)
ー - “act up”
(身勝手に振る舞う)
ー - “disgruntled”
https://mickeyweb.info/archives/18231
(不満を抱いた)
ー
ー
ー
【注意】
- “He is acting out of character.”
(彼は柄にもない振る舞いをしている。)
ー
副詞 “out” が結合してできる表現は、”act out”
ではなく、”out of character”(柄にもない)。
ー
まとまりに線を引くとこうなる。
正)”He is acting out of character.”
誤)”He is acting out of character.”