当てこすり、当てこすりを言う
“innuendo” をご存知であろうか。
見たことない方も多いかもしれない。
発音が独特。ìnjuéndou
◆ 名詞・自動詞・他動詞である。
– 名詞「当てこすり」「当てつけ」「ほのめかし」
– 自動詞「当てこすりをする」
– 他動詞「当てこすりをする」
- あてこする【当て擦る】=
他の事にかこつけて、遠まわしに皮肉や悪口を言う。 - あてこすり【当て擦り】=
当て擦ること。また、その言葉。 - あてつける【当て付ける】=
2. はっきりそれと言わずに、何かにかこつけて
悪く言う。あてこする。 - あてつけ【当て付け】=
あてつけること。あてこすり。
(広辞苑 第七版)
“innuendo” =
a remark that suggests something sexual
or unpleasant without saying it directly,
or these remarks in general.
(ロングマン、LDOCE6)
※ 下線は引用者
法律用語では、副詞「すなわち」及び名詞「説明条項」
などを意味する。
日常から疎遠な専門用語なので、本稿では取り上げない。
◆ 日英とも、一般人の日常会話では、
なかなか出てこない単語である。
よって、知らなくても普通は困らない。
だが、ニュースや新聞・雑誌の評論
ではたまに見聞きする。
◆ LDOCE6 の下線部にあるように、
特に「性的」な当てつけに使われる。
相当な不快を伴い、受け手にとって実質的な中傷。
したがって、神経を逆撫でするような、
ぴりぴりした雰囲気を醸し出すのが、
“innuendo”。
単語そのものは中立的で、悪意は込められていない。
使用上は陰湿でネガティブである。
◆ 語源は、ラテン語「暗示」(innuendo)。そのままだ。
日常使用では多義でなく、先述の通り、
「当てこする」「当てこすり」。
可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
同義語は、”insinuation“(ほのめかし)、
“implication“(含意)、”slur“(中傷)など。
(オックスフォード、Oxford Thesaurus 2)
また、”snub“(鼻であしらう、無視する)は、
当てこすりを示唆する他動詞・名詞・形容詞。
◆ めったに出てこないくせに、
いざ出現すると、文脈上の<キーワード>
になることが多い。
それが、”innuendo” の特徴。
◆ そのため、事前に知っているかどうかで、
その場における理解度がだいぶ違ってくる。
そもそも発音(ìnjuéndou)を知らなければ、
聞き取れないに違いない。
頻出ではないにも関わらず、
本稿で取り上げた理由はここにある。
意味は推測しにくい。
字面からのヒントはゼロに近い。
発音は検討つかない。
これほどユニークな英単語は、
かえって忘れにくかったりする。
良い機会なので、ここで覚えてしまおう。
いずれニュースで出会った際に、
ぴんとくれば幸いである。
- “There are a lot of rumors and
innuendos about you out there.”
(あなたについてのうわさと当てつけが、
だいぶ飛び交っているけど。)
– - “His story was full of sexual innuendos.”
(彼の話は性的な当てつけだらけだったわ。)
– - “I’m sick and tired of innuendos about
my private life.”
(私のプライベートについての当てこすりには、
うんざりしています。)
– - “This ad was banned for sexual innuendo.”
(性的なほのめかしのため、この広告は禁止された。)