プロ翻訳者の単語帳

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Racial slur

      2020/06/08

人種差別的な中傷

国際社会において、あらゆる差別の中でも
深刻とされるのが人種差別。

人種は生来的であるため、本人に責はない。

◇ 人種(race):先天的(遺伝的)
◇ 民族(ethnicity):後天的(文化的)

人種差別は、その行為者の本質(本音)の表れと
解釈されることが多く、人格面を疑われてしまいがち。
それは、数々の失脚の歴史が証明している。

人種差別行為によって、キャリアに傷をつけた
政治家、高官、組織幹部、芸能人、スポーツ選手
は枚挙に暇がない。


◆「人種差別的な発言」の頻出表現はいくつかある。

ニュースによく出てくるのは、
表題 “a racial slur” に加えて、以下3つ。

「人種差別的な発言」

  • a racial comment
  • a racial statement
  • a racial remark

※ すべて、”racial” → “racist” に置換え可能
※ すべて、他動詞 “make“(~を行う)を伴い、
「人種差別的な中傷をする」

<表題に “slur” を選んだ理由>

他の3つは、中級以上の英語学習者なら、ほぼ理解
でき、かつカタカナ語としても見聞きするから。

一方、”slur” は違う。
語感と発音(slə́ːr)から検討すると、今後もカタカナ語
として定着する可能性は低いだろう。

だが、英語としてはガンガン出てくる上、
意味を推測しにくいので、きちんと学ぶ必要がある。
だから、表題として “slur” が最適と考えた。

◆ “slur” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

基本的意味は、
– 他動詞「おろそかにする」
– 自動詞「もごもご話す」
– 名詞「中傷」

ここでは名詞(可算名詞)。


◆ “racial” は、形容詞のみ。

名詞 “race”(人種)+ 接尾辞 “ial”(~に関する)
で、「人種上の」。

よって、”racial slur” は「人種上の中傷」、
つまり「人種差別的な中傷」。

特定の中傷1件なら単数形となる。
“made a racial slur”
人種差別的な中傷をした)

実際は、複数形 “slurs” で使われる方が多い。
そもそも差別的なことを口にする人は、
1件のみに収まらないだろう。

先述の3つの同義語でも、複数形が多用される。

◆ ウェブニュースは、次のような記事であふれている。

“The manager resigned over racial slurs.”
(そのマネージャーは人種差別的な中傷で辞職した。)

“The article was full of racial slurs.”
(その記事には人種差別的な中傷が満載されていた。)

“His racial slurs raised eyebrows.”
(彼の人種差別的な中傷は人々を驚かせた。)
(彼の人種差別的な中傷はひんしゅくを買った。)

“She apologized for racial slurs.”
(彼女は人種差別的な中傷を謝罪した。)

“His racial slur estranged them.”
(彼の人種差別的な中傷が、彼らの仲を引き裂いた。)

“He yelled racial slurs at a customer.”
(彼はお客様に大声で人種差別的な中傷をした。)

“The lawyer railed against these racial slurs.”
(その弁護士は、これらの人種差別的な中傷を
激しく非難した。)

“Racial slurs were thrown at her.”
(彼女に人種差別的な中傷を浴びせた。)

“Using offensive racial slurs is inexcusable and disgusting.”
(侮辱的で人種差別的な中傷を使うことは、許しがたく不快である。)

“No one in their right mind would
openly use a racial slur.”
(人種差別語を公然と使うまともな人はいない。)

We do not accept racial slurs.”
(人種差別的な中傷を禁じます。)

“He was vulnerable to racial slurs.”
(彼は人種的中傷を受けやすかった。)

“We need to get tough on racial slurs.”
(人種差別的な中傷への対策を強化すべきだ。)

“Tolerating racial slurs was a fact of life then.”
(人種的な中傷に耐えることは、当時の現実だった。)


◆人種差別問題が、長らく対岸の火事だった日本。

今や時代は大きく変わっている。

2018年、訪日外国人旅行者が史上最高を更新した。
前年比 8.7%増で、3,119万 2千人。
(日本政府観光局 2019年1月16日発表)

これほど外国人を迎え入れた年は、いまだかつて存在しない。

国内のスポーツ会場でも、サポーターによる
人種差別行為が大きな問題となったりしている。

1990年代までの日本であれば、大して注目されなかった
模様の事件ではないだろうか。

言語の違いは明確だが、まるで違う次元で、
問題の火種はくすぶっている。

2016年6月には「ヘイトスピーチ対策法」が施行された。

世界的時流と国連の見解を受けたものである。

外国人慣れしていない日本人にとって、
適切な接し方の基本を学ぶ必要性は、
否応なく高まってきている。



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