先駆者、 前兆
カジュアルな会話には出てこない。
口頭よりは文章で使われる印象。
堅めのニュース記事や評論に顔を出す。
【発音】 prikə́ːrsər
【音節】 pre-cur-sor (3音節)
日本語の 「 先駆者 」 同様、 お堅い名詞。
語源はラテン語。
初出は16世紀。
- 接頭辞 ” pre “( 前 )
- 名詞 ” cursor “( 走者 )
だから 「 前を走る人 」 で 「 先駆者 」。
さらに 「 前兆 」。
「 カーソル 」用途の ” cursor ” の初出は、1972年。
” precursor ” の品詞は名詞のみ。
可算名詞である。
< 日常使用は主に2つ >
(1) 先駆者 → 人間に限らず
(2) 前兆
–
precursorformal: something that happened or
existed before something else and
influenced its development.
( ロングマン、 LDOCE6 )【発音】 prikə́ːrsər
【音節】 pre-cur-sor (3音節)
–
※ ” formal ” = 正式、堅めの表現
–
■ 専門分野 ( 可算名詞 )
- 化学 「 前駆物質 」
- 生物 「 前駆体 」
- 物理 「 先行核 」
< 頻出パターンは2つ >
直後に、 前置詞 ” to ” または ” of ” をつける。
- ” precursor to – “
→ 対象の前置詞 ” to “( ~ にとっての )
– - ” precursor of – “
→ 主格関係の前置詞 ” of “( ~ の )
※ 目的の前置詞 ” for “( ~ のための )もあるが、
上記2つに比べると使用頻度は低め
直訳すると、それぞれ異なる意味に感じる。
だが、実質的には同じ内容となる(例文参照)。
◆ 英和辞典で ” precursor ” を引くと、「 先駆者 」に加え、
「 前任者 」 と 「 先任者 」 が連ねる。
–
著名な英和辞典のほとんどがこの通り。
しかし、 一般的な職場の 「 前任者 」「 先任者 」であれば、
多用されるのは、 ” precursor ” ではなく、
” predecessor “
【発音】 prédəsèsər
【音節】 pred-e-ces-sor (4音節)
- 「 時代の先駆者 」
–
a precursor to his (her) time
(彼・彼女の時代にとっての先駆者)
–
a precursor of his (her) time
(彼・彼女の時代の先駆者)
– - 「 革命の先駆者 」
–
a precursor to revolution
(革命にとっての先駆者)
–
a precursor of revolution
(革命の先駆者)
–ー - 「○○技術の先駆者」
–
a precursor to XX technology
(○○技術にとっての先駆者)
–
a precursor of XX technology
(○○技術の先駆者)
” precursor ” は、 上述の意味合いで使う。
したがって、 ごく普通の前任者を ” precursor ”
と称すると、 仰々しく嫌味に聞こえるだろう。
◆ ” precursor ” の 主たる同義語は、
- predecessor ( 前任者 )
【発音】 prédəsèsər
【音節】 pred-e-ces-sor (4音節)
– - forerunner ( 先駆け )
【発音】 fɔ́rrʌ̀nər
【音節】 fore-run-ner (3音節)
–
- pioneer ( 開拓者 )
【発音】 pàiəníər
【音節】 pi-o-neer (3音節)
※ すべて可算名詞
–
これら3語は、 主要な 「 類語辞典( thesaurus )」 にある同義語。
ここから学べるのは、 同義語の主な和訳が、
もとの英語の和訳として適切になるとは限らない
こと。
” predecessor ” の和訳「 前任者 」は、
” precursor ” の和訳として、 数多くの英和辞典に記載
されているが、 それほど妥当ではないと私は考える。
「 同義語 」だから、 論理的にはイコールとなるはず。
–
日本語同士でも、珍しくない現象である。
外国語学習で類語辞典を利用する際は、
特に気をつけなければならない。
–
◆ この欠点を補う道具が、 「 連語 ( collocation ) 辞典 」。
自然な英文を書く上で、 役立つ代表格がこちら。
–
『 新編 英和活用大辞典 』
( 研究社、 1995年刊 )
※ iOS版
–
決して万能ではなく、 触れていない基礎単語も少なくない。
( never、both、unless など )
しかも、 発行は1995年。
だが、2017年9月( 初稿時点 )では、 ベストチョイスに近い。
これを上回るものは、 なかなか見当たらない。
この辞典や 『 ランダムハウス英語大辞典 』 は、
アプリ版 で持ち運べるからうれしい。
–
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アプリ版は、 複数の企業 ( ロゴヴィスタ、物書堂、
ビッグローブ など ) が同一辞書を販売している
ケースが少なくない。
–
※ 2023年3月31日付で、 ビッグローブ辞書はサービス提供終了
–
使い勝手に差があるため、選択にはご注意。
改訂履歴・版数・各種レビューを調査し、 ご自分に合った
ものを選ぶとよい。
LDOCE6のように、 まともに機能しない<純正品>
も売られていたりする ( 注意喚起!)。
◇ 詳細は、LDOCE(ロングマン現代英英辞典)
–
◆ 両大辞典を含め、私の辞書は<電子版>中心。
–
アプリ版のない辞書・書籍は、「自炊」して電子化 し、
「 iPad mini 」 に入れて、 毎日活用している。
◇ 使用 ipad mini → 写真 ( 辞書の「 自炊 」と辞書アプリ )
–
世界中どこにいても、 サイト記事を改善できてよい。
–
◆ 日本語の 「 コロケーション辞典 」なら、 この2冊。
–
弊サイトの作成時にも、 よく参照している。
–
2017年9月現在、 アプリ版は存在しない。
しかたないので、 2冊とも 「自炊」 した。
ー
- 『 てにをは辞典 』( 2010年刊 ) ← 特にお勧め
- 『 てにをは連想表現辞典 』( 2015年刊 )
小内一編集、三省堂
–
◇ 2冊の比較レビュー
http://tokimaki.hatenablog.com/entry/2016/
–
コロケーション【 collocation 】
■ 文・句における語の慣用的なつながり方。
連語法。
( 広辞苑 第七版 )
■ 文や句において、文法的、意味的に関連する
二つ以上の単語の結合がある程度固定化して
いる関係。 また、その結合のしかたをいう。
( 精選版 日本国語大辞典 )
■ 文や句における、二つ以上の単語の慣用的な
つながり方。 連語関係。
( 大辞林 第三版 )
–
◆ 既記の 「 先駆者 」 に次いで、 「 前兆 」 の文例を挙げる。
- “A sore throat is a precursor to a cold.”
“A sore throat is a precursor of a cold.”
( のどの痛みは風邪の前兆である。)
– - “It may be a precursor to earthquakes.”
“It may be a precursor of earthquakes.”
( それは地震の前兆かもしれない。)
– - “Depression may be a precursor to Parkinson’s disease.”
“Depression may be a precursor of Parkinson’s disease.”
( うつ病はパーキンソン病の前兆かもしれない。)
– - “Failure is a precursor to success.”
“Failure is a precursor of success.”
( 失敗は成功の前兆である。)
→ 失敗は成功の母
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- “This should not be seen as a precursor to a failure.”
“This should not be seen as a precursor of a failure.”
( これを失敗の前兆とみなしてはならない。)
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◆ 英語辞書は 「 紙 」 か 「 電子版 」 か
1. 初学者は 紙中心 がよい。
2. 学習レベル不問で、併用がベスト。
3. 電子版 は持ち運びが楽で、気楽に確認できるのが利点。
■ 初学者: 紙は必須。
紙中心がよい。できれば、電子版も併用。–
※ 日本の一般的な小学生・中学生・高校生は、この範疇
■ 中級者:紙と電子版のいずれか使いやすい方。
併用がベスト。–
■ 上級者:英語のプロでない限り、電子版のみでよい。
紙も併用するとベスト。–
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◇ 詳細は、英語辞書は「紙」か「電子版」か