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Precursor

      2019/10/07

先駆者、前兆

カジュアルな会話には出てこない。
口頭よりは文章で使われる。
堅めのニュース記事や評論に顔を出す。

【発音】 prikə́ːrr

日本語の「先駆者」同様、お堅い名詞。

語源はラテン語。 初出は16世紀。

  • 接頭辞 “pre”(前)
  • 名詞 “cursor”(走者)

だから「前を走る人」で「先駆者」。
さらに「前兆」。

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ちなみに 、「カーソル」用途の “cursor” の
初出は1972年。

“precursor” の品詞は名詞のみ。可算名詞である。

< 日常使用は2つ >

(1) 先駆者 → 人間に限らず
(2) 前兆

“precursor”

formal: something that happened or
existed before something else and
influenced its 
development.
(ロングマン、LDOCE6)

【発音】 prikə́ːrr

※ “formal” = 正式、堅めの表現

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◆ 専門分野(可算名詞)

  • 化学「前駆物質
  • 生物「前駆体
  • 物理「先行核

< 頻出パターンは2つ

直後に、前置詞 “to” または “of” をつける。

  • precursor to – “
    → 対象の前置詞 “to”(~にとっての
  • precursor of – “
    → 主格関係の前置詞 “of”(~の

※ 目的の前置詞 “for“(~のための)もあるが、
上記2つに比べると使用頻度は低い

直訳すると、それぞれ異なる意味に感じる。
だが、実質的には同じ内容となる(例文参照)。

英和辞典で “precursor” を引くと、「先駆者」に加え、
「前任者」や「先任者」が連ねる。

著名な英和辞典のほとんどがこの通り。

しかし、普通の職場の「前任者」「先任者」であれば、
“precursor” ではなく、
“predecessor”prédəsèsər が適切。

  • 時代の先駆者
    a precursor of his (her) time
    (彼・彼女の時代にとっての先駆者)
    a precursor to his (her) time
    (彼・彼女の時代の先駆者)
    ーー
  • 革命の先駆者
    a precursor of revolution
    (革命にとっての先駆者)
    a precursor to revolution
    (革命の先駆者)
    ーー
  • ○○技術の先駆者
    a precursor of XX technology
    (○○技術にとっての先駆者)
    a precursor to XX technology
    (○○技術の先駆者)

“precursor” は、上述の意味合いで使う。
したがって、ごく普通の前任者を “precursor”
と称すると、仰々しく嫌味に聞こえるだろう。

“precursor” の主な同義語 

  • predecessor(前任者)
  • forerunner(先駆け)
  • pioneer(開拓者)

※ すべて可算名詞

一方、この3語が “precursor” の同義語で
あることに異存はない。

主要な類語辞典(thesaurus)にも網羅されている。

ここから学べるのは、同義語の主な和訳が、
もとの英語の和訳として適切になるとは限らない
こと。

すなわち、”predecessor” の和訳「前任者」は、
“precursor” の和訳として、数多くの英和辞典に記載
されているが、妥当ではないと私は考える。

「同義語」だから、論理的にはイコールとなるはず。

ところが、実際には

  • 言葉にはそれぞれニュアンスがあり、
    機微な差異が伴うのが常である。

そのため、

  • 同義語扱いされる訳を代入しても、
    「何だか変な感じ」(awkward
    になることが多々ある。

日本語同士でも、珍しくない現象である。

外国語学習で類語辞典を利用する際は、
特に気をつけなければならない。

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コロケーション(連語)辞典」。

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英語を書くための38万例』
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決して万能ではなく、触れていない基礎単語
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※ 詳細は、LDOCE(ロングマン現代英英辞典)

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【参照】辞書の「自炊」と辞書アプリ  

世界中どこにいても、サイト記事を改善できてよい。

◆ 日本語の「コロケーション辞典」なら、この2冊。

弊サイトの作成時にも、よく参照している。

2017年9月現在、アプリ版は存在しない。
しかたないので、2冊とも「自炊」した。

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※ 2冊の比較レビュー
http://tokimaki.hatenablog.com/entry/2016/

  コロケーション【collocation】 

◾️ 文・句における語の慣用的なつながり方。
連語法。
(広辞苑 第七版)

◾️ 文や句において、文法的、意味的に関連する
二つ以上の単語の結合がある程度固定化して
いる関係。  また、その結合のしかたをいう。
(精選版 日本国語大辞典)

◾️ 文や句における、二つ以上の単語の慣用的な
つながり方。連語関係。
(大辞林 第三版)

◆ 既記の「先駆者」に次いで、「前兆」の文例を挙げる。

“A sore throat is a precursor to a cold.”
“A sore throat is a precursor of a cold.”
(のどの痛みは風邪の前兆である。)

“It may be a precursor to earthquakes.”
“It may be a precursor of earthquakes.”
(それは地震の前兆かもしれない。)

“Depression may be a precursor to Parkinson’s disease.”
“Depression may be a precursor of Parkinson’s disease.”
(うつ病はパーキンソン病の前兆かもしれない。)

“Failure is a precursor to success.”
“Failure is a precursor of success.”
(失敗は成功の前兆である。)
→ 失敗は成功の母

“This should not be seen as a precursor to a failure.”
“This should not be seen as a precursor of a failure.”
(これを失敗の前兆とみなしてはならない。)

◆ 英語辞書は「紙」か「電子版」か

1. 初学者は紙中心がよい
2. 学習レベル不問で、併用がベスト
3. 
電子版は持ち運びが楽で、
気楽に確認できるのが利点

初学者  紙は必須
紙中心がよい。できれば、電子版も併用。

※ 日本の一般的な小学生・中学生・高校生
はこの範疇

中級者紙と電子版のいずれか使いやすい方。
併用がベスト。

■ 上級者英語のプロでない限り、電子版のみでよい。
紙も併用するとベスト。



※ 詳細は、英語辞書は「紙」か「電子版」か

 

 

 

 

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