英語辞書は「紙」か「電子版」か
2021/02/28
本稿は必要以上に長くなっているので、
結論から述べてみる。
【 結論 】
1. 初学者は紙中心がよい。
2. 学習レベル不問で、併用がベスト。
3. 電子版は持ち運びが楽で、
気楽に確認できるのが利点。
■ 初学者: 紙は必須。
紙中心がよい。できれば、電子版も併用。–
※ 日本の一般的な小学生・中学生・高校生はこの範疇
■ 中級者:紙と電子版のいずれか使いやすい方。
併用がベスト。–
■ 上級者:英語のプロでない限り、電子版のみでよい。
紙も併用するとベスト。–
< 弊サイト内の定義 > ※ 私的な解釈
紙:
机上版、普通版、豪華版など装丁不問で、
テキスト本文が紙上に印字されている辞書。
このサイトでは「 書籍版 」の表現も用いる。
電子版:
本文が紙上になく、電子的な辞書。
電子辞書に加え、CD、DVD、アプリを用いて
電子画面で見る形態も含む。
–
アマゾン「 キンドル 」などの電子書籍・電子本も含む。
自炊本:
市販の紙の本を、スキャンして電子化(主にPDF)
したもの。
自分でスキャンする行為を「 自炊 」という。
–
弊サイトでは、自炊したものに加え、
専門業者に外注してスキャンしたものも含む。
【電子版のリスク、自炊本の強み】
—
—■ 蔵書の「自炊」記録(5)
—■ 蔵書の「自炊」記録(8)
2015年12月に、私は自炊を開始した。
毎月 10~20冊を外注スキャンしている。
2021年2月現在、仕上がった自炊本は
約2,950冊。 引き続き、進めていく。
–
語学学習に電子辞書が珍しくない存在に
なってきたのは、2000年代に入ってから。
その10年前から私は使っていた。
すなわち、1990年代前半。
当時の電子辞書には、ガンガン使える実用本位の
ものはほとんど存在せず、今から考えるとおもちゃ
のような作り。
1990年代前半までの電子辞書は未成熟であり、
「電子ブックプレーヤー」の方が使いやすかった。
8インチCDを挿入して使う、SONY「DATA Discman」
が主力製品。
「電子ブック版」と名打った『広辞苑』(岩波書店)、
『新英和・和英中辞典』(研究社)、
『現代用語の基礎知識』(自由国民社)は、
書籍版とほぼ同額かそれ以上。
外国製の電子ブック版とも互換性があった。–
プレーヤー本体の定価は、58,000円。
↑ 『書斎の本』(自炊本)裏表紙の広告
ビジネス・アスキームック (1990年刊)
https://amzn.to/2tSryfN
‐
「人間の頭ならこぼれますよ」
このキャッチコピーが、1990年当時の技術レベルを示す。
「現代人が知りたい情報を、ボタンを押せば
たちまち答えてくれる」
今なら笑える宣伝文句。–
あの頃は感涙ものの有用性。
インターネットの先駆者の役目を果たしたのは確実である。
このシリーズ3台に、よくまあ投資したわ。
スマホ・タブレット全盛の2021年、ため息がこぼれる。
「人間の頭なら爆発しますよ」の当世か。
◆ 生まれて初めて納得できた電子辞書は、
セイコーインスツル株式会社(SII)の「TR-9500」。
時は、1997年。
↑ 『野口悠紀雄の「超」知的生活法』(自炊本)
アスキー (1997年刊) を見て買った
https://amzn.to/2KASnvY
当時の社名は「セイコー電子工業株式会社」。
起動の速さ、無造作に置ける頑丈な筐体と見た目。
使い勝手は、あたかもプロ仕様の電卓。
実際に早打ちが可能で、電卓と遜色ない使い心地であった。
165 x 120 x 28mm とサイズの大きい一枚板。
キータッチの素晴らしさは、この頃から当時の競合
(カシオとシャープ)を大きく引き離していた。
即座に気に入り、最終的に3台購入した。
定価は 43,500円。
『英和中辞典』『和英中辞典 』(ともに研究社)、
『広辞苑』、『ロジェ II シソーラス(類語辞典)』
が収録されていた。
あれから20年以上経過した2021年の今、
この価格帯の辞書を3台も購入した自分に驚く。
電卓並みにビシバシ打てる快感に夢中になり、
職場と自宅に常備しておきたかったのだ。
残りの1台は故障時のスペア。
当時は日本の公務員だった。
–
業務上は英語と無縁の行政マンだが、『広辞苑』は重宝した。
電卓と横並びで役所の机に常置していたが、外観が
似ているため、悪目立ちすることなく助かった。
◆ 2015年3月末、SII は電子辞書ビジネスから撤退した。
1979年に日本初の電子辞書「 IQ-3000 」(下記写真)を発売した
シャープ(※)に続き、ソニー( 2006年撤退 )、SIIまで撤退。
–
※ シャープは、一般向けの「 Brainシリーズ 」を販売中
–
【出典】 https://www.asahi.com/articles/photo/AS20160726004227.html
–
電子辞書の国内市場は、2000年代に急成長を迎え、
2007年をピークに、以後10年も経ずして半減。
前出のSIIの撤退宣言( 2014年 )の予想通り、現状は、
市場の成熟に伴い、電子辞書市場が縮小して
いることや、スマートフォン、タブレットなど
スマートデバイスの普及により、電子辞書の
需要の伸びが期待できない
–
◆ 「 英語強化仕様 」の電子辞書市場は、2021年現在、
カシオ計算機 が独走している。
一介のユーザーとして、SII 製電子辞書 の
全期間を見届ける機会に恵まれた。
- 1987年以来、導入期を経て、1990年代から成長期と成熟期
- 21世紀に入り、ほどなく最盛期に到達
- 2010年代は、一転して衰退期
- 2015年の終焉
概ね「 製品ライフサイクル( product life cycle )」に沿う感。
主観を交えて、ざっくりまとめると、SII 製電子辞書 の興隆と衰微は、
- 導入期 introduction ( 1987~1990年代前半 )
- 成長期 growth ( 1990年代後半 )
- 成熟期 maturity ( 2000~2010年頃 )
- 衰退期 decline ( 2010~2015年 )
とっかえひっかえ品を変え、20年以上に渡り、
SII 辞書の追っかけをしてきた果て。
時代の流れといえばそれまで。
何とも言えない寂しさが残る。
アラート設定し、オークションで落札し続ける。
もう二度と新品購入できないため、壊れたら困る。
今ではカシオの電子辞書にもお世話になっているが、
SII は手放せない。 それはそれは大切に扱っている。
撤退は、かえすがえすも、残念な出来事である。
◆ 電子辞書の衰退は「 ガラパゴス製品 」に終わった
ことも関係している。
結局、海外では中国とドイツなど、ごく一部の国で
しか根付かなかったらしい。
アプリ全盛の今となっては、将来性は見込めない。
ー
日本では、授業中のスマホ・タブレット禁止のため、
やっとのことで生き残っている印象である。
「 ガラパゴス製品 」なので、大半の欧米人は、
電子辞書を見たことない。
職場でずらり並べて仕事していると、初めて私の
キュービクルに入ってきた外国人は、例外なく驚く。
「 これはなんだ !! 」
皆、我が許可なく、むんずとつかみ、なでくり回す。
高官すら例外でない。
いい大人が、らんらんと輝く目の光を放つ瞬間。
同時に一様に示す、不気味な未確認物体を見る
かのような、びっくり顔。
まさに “stunned” 。
日常生活では、めったに見られない光景。
役得なのか、何十回も目の当たりにしてきた。
◆ 前置きが長くなってしまった。
私の普段使いは電子版。
2015年頃までは、電子辞書が圧倒的であった。
2021年現在では、アプリ版が優勢。
紙が嫌いなわけではない。
大金かけて自炊中(4,000冊で概算200万円)
なのも、決して紙が嫌だからでない。
–
住居スペースの逼迫 が主な理由である。
日常生活から考えて、紙中心は無理。
スペース問題に加えて、勤務があるから。
定期的に新規投稿できているのは、
電子版のおかげに他ならない。
過去分の改善は週7日、つまり毎日実施している。
紙しかなければ、どだい無謀な話。
◆ 私は公務員(外国政府機関)である。
ー
正職員なので、フルタイムで働いている。
ー
平日の作文・作画は、早朝・通勤中・休憩時間・深夜
のいずれか。–
数十回に分け、丸一日かけて細切れ投稿し、
醜態をさらしている有様。(休日も大して変わらない)
–
スキマ時間に、ちょこちょこ書いては、更新を繰り返している。
そのため、日中の投稿は「DRAFT」のままが多い。
いわば、常に作業中。
–
使用するワードプレスの「ドラフト保存」は、
なぜかデータ消滅してしまう危険がある。
–
だから、やむを得ず草稿(ドラフト)もアップロードする。
–
公開してしまえば、各種バックアップシステムがフル作動し、
書きかけの文章と図画を守ってくれる。
–
実際問題として、在宅の早朝と深夜はともかく、
通勤電車内で『広辞苑』や『ランダムハウス英和大辞典』
を開けるか、ということ。
いずれも弊サイトではお馴染みの辞書。
紙は、それぞれ3kgを軽く超える。
厚みも10cm以上。
こういう浩瀚なものを、都会のラッシュ時にお披露目
したら、既述の “stunned” では済まされない。
電車内で開くことは非常識に近い。
最も愛用するロングマン “LDOCE6” でさえ、辛うじて
持ち歩けるぎりぎりの寸法。
< 紙の実寸 > 23 x 14.8 x 5.5cm、 重さ 1,600g
–
したがって、普段はアプリ版、電子辞書版・オンライン版
に頼っている。
◆ 確かに、私は「初学者」ではない。
本職が通訳翻訳官であるから、一応「上級」であろう。
私の 普段使いが電子版である最大の理由は、
上記の事情により、紙という選択肢がないから。
職場使用時も、紙を持ち歩く余裕はない。
上述の辞典2冊で6kgを超える。
どちらもオフィス外の通訳現場(オンサイト)に持参
できれば心強いが、辞書のみで6kg超はきつい。
公務員である以上、公文書の方が大事。
こう考えると、電子版以外の選択肢はありえない。
また、キュービクル内の自席で翻訳する際も、
常時参照する辞典は10冊前後 ある。
英語以外にも、国語辞典、類語辞典、専門用語辞典、
時に百科事典。
おまけに、事実確認(fact-check)のための資料。
この辺は、弊サイトの博引旁証から推知いただけることだろう。
辞書を含む書籍の重量を考慮すれば、紙中心は不可能。
どうやっても電子版が主となる。 それが現実。
【参照】 辞書の「自炊」と辞書アプリ
◆ 毎月、せっせと自炊本を量産している理由も、
スペース問題と併せて、資料の物理的移動を避けたい
一心からである。
自炊により、紙を電子版にしておけば、必要な時に、
Wi-Fi 経由でクラウドからダウンロード可能。
「マイ本棚」を手元のタブレットに呼び寄せられるのは、
自炊本のおかげ。
◆ 自炊本のPDFデータは、先述の自炊業者の専用ページに加えて、
ノートパソコン本体、有料のクラウドサービス 及び
ポータブルHDD( 2台、各5TB )に保存中。
合計5ヶ所に分散し、消滅リスクを回避している。
外出先で読む場合は、PDFをタブレット( iPad mini )にコピーする。
◇ 使用 ipad mini → 写真 ( 辞書の「自炊」と辞書アプリ )
Wi-Fi を用いて、クラウドから直接ダウンロードする場合が多い。
300ページ程度の菊判(ほぼA5サイズ)の活字和書なら、
1冊70MB前後。
5秒~30秒でダウンロード でき、至って簡単。
※ Wi-Fi の電波状況により、所要時間に差がつく
( 蔵書の「自炊」記録(6)より再掲)
1990年代半ばの仕事ぶりを振り返ると、
これは夢か現か幻か。
そんな仕事環境に思えてくる。
ところが、こんなのは平均的な社会人であれば、
誰でも構築できるほど、今や身近な環境である。
1990年代とは比べものにならないほど、
技術面で恵まれた時代に生きている私たち。
上掲の広告からも明らか。
このせっかくの利点を自覚し、
可能な限りうまく利用するのが肝要。
近頃のスマホは、1969年の月面着陸時にNASAが駆使した、
全コンピュータの処理能力すら上回る高性能 を誇る。
【参照】 Smartphones: More powerful than NASA’s computing
幾らか投資し、新たな<利器>を受容する
勇気と決断が、皆様の未来を変える。
市販のアプリや電子本は、紙と同額かそれ未満で買える。
電子辞書は高いものの、一度買えば5年間は使える。
–
毎日使っても、パソコンより長持ちする計算。
自炊は少しずつ実行すれば、大金は不要。
日々あらゆる締切と闘うプロにとって、
紙にこだわりすぎるのは、非効率すぎて愚かと言える。
もっとも、そんなプロはおそらく皆無。
お金をいただくプロと、お金を支払って学習する学生。
立場が違えば、方法や視点も違ってくるのは当然である。
逆に初学者が、紙が必要な基礎固めの段階をすっ飛ばす
のは、長い目で見て大変危険であると私は考える。
ー
どんな分野のプロにも、———
—お金を払って学ぶ時代があった。
この点は押さえておきたい。
◆ そこで、初学者が紙を持つ重要性 をご説明したいと思う。
まず、次のテキストをご覧に入れたい。
汚すぎるテキスト。
ー
かつて私が使ったものである。
ー
1999年7月に受けた国連英検の公式指定テキスト。
仕事の合間を塗って、遮二無二勉強していた。
己の頭の悪さを開示するようで恥かしい。
それでも、どうにか「特A級」に合格できた。
ー
だが、そんなことはどうでもよい。
学習には書き込みやマーキングが役立つ可能性を
示すのが目的。電子版では難しい作業に違いない。
あくまでも私のやり方である。
勉強法は人それぞれ であり、まっさらな教科書
で合格できる優秀な方も大勢おられるはず。
辞書についても同様で、書き込みすることなく、
上手に活用される学生・学習者も数多いだろう。
しかし一般論として、筆記具を握り、自ら手を動かす
ことは、記憶するための手頃で安価な勉強法とされる。
書く行為が記憶を助けるということは、
研究によって証明されている。
例えば、
【学術論文】 ※ 外部サイト、英文
ハイライトなどのマーキングは電子版でも可能で、
入力用の「手書きペン」を用いて直接書き込む
こともできるようになってきている。
さらに、それを保存する機能もあったりする。
それでも、従来の筆記具で思う存分書きなぐる
レベルには、まだまだ及ばない。
※ 2021年2月 現在
あまつさえ問題なのは、ぱらぱらめくる自由さが
欠けていること。
勉強中、教科書を何気にめくっただけで、何らかの
ヒントをつかんだ経験はないだろうか。
空間記憶( spatial memory )と深い関係がある現象。
電子版の場合、順次スクロールする必要がある。
ジャンプ機能もあるが、そうすると中間を見られない。
紙ならば、めくる度合いに融通が利くため、もっと
要領よく確認できたりする。
特定済みの単語や文字列であれば、検索すれば出てくるが、
記憶があいまいな場合は見つけにくい。
これが、電子版の顕著な弱点である。
「あの辺にこのような説明があった」など、不確実な
記憶から該当箇所に当たりをつけるには、現時点では
自らの手でめくるやり方に分があるかもしれない。
要するに、
記憶の定着との関係で、
初学者が電子版のみで学ぶのは、
心許ない
と私は考える。
【学術論文】 ※ 外部サイト、英文
–
◆ 最後に、電子版の利点について述べてみたい。
ふと疑問に感じたことを、早めに解決する。–
これができれば、意欲を維持したまま学習が進む。
–
それを可能にしてくれるのが、重量の縛りのない電子版。
使用するツールの選択次第で、己の知的要求を満たす
環境を比較的簡単に構築できることは、既に記した。
内容の充実度に比例して、重くなる傾向のある紙と違い、
収録内容を自分好みにコントロール可能。
若干の手間暇かけて環境構築を試みると、電子版の
果てしない潜在力に気づく。
何度も記す通り、私の普段使いは電子版。
電子辞書中心だったのは、2015年頃まで。
ー
2021年現在は、アプリ版が優勢なのも、
環境構築の自由度に魅せられた
からである。
◆ 私が使っている主な辞書アプリは、次の通り。
2021年 2月28日 現在
以下、「 iOS版 」 「 Kindle版 」 「 CD-ROM版 」 のいずれか。
「 Android版 」 がある辞書も多い。
–
<英語関連>
- “Oxford English Dictionary, 2nd Edition, Version 4.0”
※ OED最後のCD-ROM版 ( 2017年8月以降は、オンラインで提供 )
↑ 「 縮刷版 」も入手済み ( → 自炊した ) - “LDOCE6” ロングマン現代英英辞典 第6版
※ 「 アプリ版 」は、第5版 ( → 第6版アプリ短所は後述 ) - “OALD10” オックスフォード現代英英辞典 第10版
↑ 2020年3月発売 ( 写真入り短評 )
■ 『 OALD10 活用ガイド 』( 山田茂 早稲田大学教授、PDF、旺文社 ) - “CALD4” ケンブリッジ現代英英辞典 第4版
- “COBUILD9” コウビルド英英辞典 第9版 ( → 短所解説 )
- Longman Business English Dictionary
- Collins English Dictionary, 12th Edition
- Webster’s New World College Dictionary, 5th Edition
( → 書籍版の解説 ) ※ 日本人にお勧めのネイティブ向け辞書 - Oxford Collocations Dictionary for Students of English
- Oxford Learner’s Dictionary of Academic English
- Roget’s II: New Thesaurus ※ ロジェ類語辞典
- The American Heritage Dictionary of Idioms, 2nd Edition
- リーダーズ英和辞典 第3版+リーダーズプラス
- ジーニアス英和大辞典
- 研究社 新和英大辞典 第5版
- 研究社 新英和大辞典 第6版
- ランダムハウス英和大辞典 第2版
- 小学館 オックスフォード 英語コロケーション辞典
- 新編 英和活用大辞典
- NEW 斎藤和英大辞典
- 熟語本位 斎藤英和中辞典 新版 CD-ROM付
<国語関連>
- 広辞苑 第七版
- 精選版 日本国語大辞典
- 大辞林 第四版
- 三省堂国語辞典 第七版
- 明鏡国語辞典 第二版
- 角川類語新辞典
- 日本語大シソーラス−類語検索大辞典
- 日本語シソーラス 類語検索辞典 第2版
- 研究社 日本語コロケーション辞典
- 三省堂 類語新辞典
- 旺文社 漢字典 第二版
- 全訳 漢辞海 第四版
- 角川新字源 改訂新版
- 三省堂 全訳読解古語辞典 第五版
- 旺文社 全訳古語辞典 第五版
全部「 iPad mini 」に入れて持ち歩いている。
◇ 使用 ipad mini → 写真 ( 辞書の「自炊」と辞書アプリ )
便利この上ない。 お勧め。
- ネットワーク環境不要
- 紙の辞書と電子辞書に勝るコスパ
(無償アップデートなど) - 複数の端末で同時使用可能
- 書籍版よりも安価または等価
- 相互リンク(連携、串刺し検索)するアプリもある
- 収録内容を自分好みにコントロール可能
- 重量への考慮が不要で、持ち歩き可能
–
世界中どこにいても、サイトを日々改善できるのは、
本来10kg以上になるはずの文献を、こうして携帯
しているから。
「自炊」した参考書 も同様に活用中。
まったくもって素晴らしい時代だ。 心底感謝。
–
◆ アプリ版は、複数の企業(ロゴヴィスタ、物書堂、
ビッグローブ など)が 同一辞書を販売している
ケースが少なくない。
使い勝手に差があるため、選択には要注意。
改訂履歴・版数・各種レビューを調査し、ご自分に合った
ものを選ぶとよい。
LDOCE6のように、 まともに機能しない<純正品>
も売られていたりする( 注意喚起!)。
※ 詳細は、LDOCE(ロングマン現代英英辞典)
–
◇ 辞書アプリ購入時の注意点
既記の通り、複数企業が同一辞書を販売している。
適切なアプリを選ぶためのチェックポイントを挙げる。
いずれも、当該アプリの販売サイトなどに掲載されている。
–
■ 改訂履歴 (Version History)
改訂履歴にて、最終更新日とバージョン を必ず確認する。
自社製アプリの改善(バグ修正など)に
積極的な企業とそうでない企業がある。
リリース後、放置される高額アプリもある。
このようなアプリは、OSの大型アップデート後に
不具合が生じがち。
最悪の場合、ろくすっぽ起動できなくなる。
問い合わせても、なしのつぶて。
改善の目処が立たないまま、いつまでも使えない。
決して珍しくない話。
ぬかりなく改訂されている、他社製アプリは、
大型アップデート後も、問題なく作動したりする。
–
■ 版数 (Version)
異なる版が、同時販売されていることは普通にある。
例えば、
- A社 最新版の第7版
- B社 旧版の第6版
- C社 第7版及び第6版
実に紛らわしい。
「書籍版」辞書の発行日を下調べして、当たりをつけて
おかないと、望まない旧版アプリを入手するはめに。
「書籍版」から、数年遅れてアプリ版が発売される
場合もよくあるので、待つべきか検討する。
–
■ 性能 (Features)
実装されている特徴・特性は、使いやすさの決定打。
気軽に使える感覚が大事。
たやすく使えないと、使わずじまいになってしまう。
例えば、電子辞書の特長である、ジャンプ機能がどの範囲まで有効か。
例文にも適用されるか。
アプリ画面の外観(Preview)からも、自分との相性 が見えてくる。
【参考記事】
・ 辞書アプリの実力(ビッグローブ、2013年)
http://manabi.biglobe.ne.jp/special/nikkeitrendy/
【参照】
■ 語義の配列 → 発生順(歴史主義)か頻度順か
■ 「自炊本」「紙」の辞書を含む 使用辞書一覧
—-→ 世界最大 “ OED ” と 日本最大『 日国 』入手済み
現時点の自分に必要なアプリをインストールし、
不要になれば削除する。
自身の成長に合わせて、コンテンツを入れ替える。
これぞ電子辞書には難しい、アプリの優位性 である。
肌身離さずまとっているスマホ・タブレットを取り出し、
その場でさっと疑問点を解消できる のは、爽快な
ばかりでなく、記憶定着の上でも理にかなっている。
この利点は、初学者も享受できれば、なおよいと思う。
例えば、
- 机に向かう時は 紙中心
- 外出時のちょっとした 確認作業 は電子版
こうした「 二刀流 」は、
- 学習上のマンネリ・退屈・飽き・意欲低下を遠ざける
その分、少々値が張るが、少しずつそろえていけばよい。
「 投資に値するか 」を決めるのは、その後の実行次第
であろう。
◆ 語学は接触(学習)し続けた者が伸びる。
言語習得の決め手は、持続性。
高校卒業時が「英語力のピーク」なんて、もったいない。
–
英語学習は、資格・受験・キャリアなどという
目標にとどまらず、
情報収集 と 老化防止 にも役立つ
紙でも電子版でも、ご自身のライフスタイルと能力
に見合った方法を取り入れ、うきうきわくわく
楽しく学び続けられる環境づくり
を心がければ、限りある人生を満足させやすい
と私は考える。
ー
ー
ー
【参考文献】
■ 電子教科書使用時の紙ノートの必要性に関する比較研究
<https://www.cret.or.jp/files/772c4c4d6440bfb8ab52f643e91607aa.pdf>
2012年3月3日付 ※ PDF 全8頁、460KB
→ 電子教科書の単独使用に比べ、「紙ノート」を併用する方が学習効果が高い
–
■ “The Pen Is Mightier Than the Keyboard
Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking”
<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797614524581>
2014年4月23日付
→ 「手書き」の学習効果は「キー入力」を上回るー
ー
■ “A modern smartphone or a vintage supercomputer:
which is more powerful?”
<https://www.phonearena.com/news/A-modern-smartphone-or-a-vintage-supercomputer-which-is-more-powerful_id57149>
2014年6月14日付
→ スマホと過去のスパコンの性能比較ー
ー
■ “Overcoming screen inferiority in learning and calibration”
Computers in Human Behavior
Volume 35, June 2014, Pages 455-463
<https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0747563214001149?via%3Dihub>
2014年6月付
→ 「紙」より記憶・理解が劣る「電子版」–
–
■ タブレット教材と紙・タブレットの ブレンド型教材の比較研究
<https://hakuoh.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1606&file_id=21&file_no=1>
2015年3月1日付 ※ PDF 全16頁、1.05MB
→ タブレット単独よりは、「紙」を併用する方が、学習教材として優れている
–
■ NIKKEI STYLE
「スマホでは代替できない、衝撃的なコスパの電子辞書」
<https://style.nikkei.com/article/DGXMZO99862860Q6A420C1000000?channel=DF260120166490>
2016年4月28日付
→ 電子辞書の魅力は「コスパ」と「使い勝手の良さ」
–
■ 朝日新聞デジタル・ヘッドライン
「電子辞書、学生に根強い人気 授業中のスマホ禁止で?」
<https://www.asahi.com/articles/ASJ7V46LDJ7VULFA00P.html>
2016年7月27日付
→ 電子辞書の歴史と衰勢
ー
■ Gemma Walsh (2016) Screen and Paper Reading Research –
A Literature Review, Australian Academic & Research Libraries, 47:3, 160-173, DOI:
10.1080/00048623.2016.1227661
<https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00048623.2016.1227661>
2016年9月付
→ 「紙」は「電子版」より全体像がつかみやすく、記憶に残りやすい
ー
■ “タブレットで勉強” ってほんとうに効果はあるの?
“紙で勉強” と科学的に比較してみた
<https://studyhacker.net/columns/edtech-notebook>
2016年9月18日付
→ 細かい作業と暗記には紙、流れの把握にはディスプレイがよい
–
■ “Your smartphone is millions of times more powerful than
all of NASA’s combined computing in 1969”
<https://www.zmescience.com/research/technology/smartphone-power-compared-to-apollo-432/>
2017年9月10日付
→ スマホの性能は、月面着陸時のNASAのコンピュータ以上ー
ー
■ “Don’t throw away your printed books:
A meta-analysis on the effects of reading media on comprehension”
<https://www.uv.es/lasalgon/papers/Delgado%202018%20dont%20throw%20away%20your%20printed%20books.pdf>
2018年9月付 ※ PDF 全39頁、1.13MB
→ 「紙」は「デジタル版」より文章理解が進む
–
■ “Are Audiobooks As Good For You As Reading? Here’s What Experts Say”
<http://time.com/5388681/audiobooks-reading-books/>
2018年9月6日付
→ オーディオブックと「電子版」の理解度は互角、「紙」はよりよい
–
■ 「読書は紙がいいのか?それとも電子書籍がいいのか?」問題
にとりあえずの結論が出てた件
<https://yuchrszk.blogspot.com/2018/09/blog-post_67.html>
2018年9月24日付
→ 文章の内容問わず紙が優位、時間無制限ならデジタルも負けない
ー
■ 長く記憶に残る「手書き学習」のススメ
<https://manabi-with.shopro.co.jp/manabico/1273/>
2019年8月28日付
→ 「手書き」の方が、情報を長く記憶し、新しいアイデアを理解する
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■ 「紙の本なくならない」ページめくる動作にカギ
<https://www.sankei.com/life/news/190917/lif1909170009-n1.html>
2019年9月17日付
→ 記憶形成には、直観的に理解できることが重要。 本の厚みや
紙の肌触りなどで五感を活用できる紙なら、より効果的に記憶できる。
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■ 日本政府が進める「デジタル教科書」の “ 不都合な真実 ” 5年間使った
小学校が「紙の教科書」に戻したワケ
<https://www.dailyshincho.jp/article/2020/12220615/?all=1>
2020年12月22日付
→ 諸外国でも、「紙」の方が集中力・理解力が高く、学習効率がよい