何がそんなにおかしい ?
3語完結 “What’s so funny ? ” でも使われる口語。
【発音】 fʌ́ni
その後に言葉が続く言い方も、ごく普通。
大抵の場合、関連の前置詞 “about“(~について)
を直後につけて内容を示す。
- “What’s so funny about that ?”
(それのどこがおもしろいの?)
– - “What’s so funny about her ? ”
(彼女の何がおもしろいの?)
– - “What’s so funny about his joke ?”
(彼の冗談のどこがおもしろいのさ?)
– - “What’s so funny about getting fired?”
(解雇されることの何がおもしろい?)
“What’s so funny – ? ” の特色
多彩な表情があり、
言い方や状況次第で、
ニュアンスに大差がつく
例えば、
◆ 朗らかに笑いながら
“What’s so funny ? ” と言えば、
「そんなおもしろいか~」
–
お互い痛快な感じ。
–
–
◆ 嫌味を帯びた、ねちねちした口調なら、
「これのどこがおもしろいの?」
–
どこか開き直った様子。
–
–
◆ 舌鋒鋭く詰問する “What’s so funny ? ”
なら、「ふざけんな、なに笑ってんだ!」
–
本気で怒っている。
–
–
どのパターンも多用される。
その場にいる人であれば、判別は難しくない。
雰囲気や発言者の表情から、無理なく分かるはず。
この3文は代表例だが、発言者の感情も意味も完全に異なる。
疑問代名詞 “what“(なに) を用いる疑問文のため、
いずれも疑問符「?」で閉じるのが基本。
“what’s“ は、”what is”、”what has”、”what does”
の省略形。ここでは “what is”「何がある」。
“so” には、副詞・接続詞・間投詞がある。
ここでは、程度の副詞「それほど」「そんなに」。
“funny” には、形容詞と名詞(まれ)がある。
<語源> ※ 初出は、1756年
・ 不可算名詞 “fun”(楽しみ)
・ 接尾辞 “y”(形容詞をつくる)
形容詞「おかしい」「おもしろい」が基本的意味で、
ここでもその通り。
“funny” の意味のうち、押さえておきたいその他が、
次に挙げる「奇妙な」と「疑わしい」の2つ。
真逆に近いが、よく見聞きする用法である。
2. unusual, strange, or difficult to explain.
【例文】“What’s that funny smell ? ”
3. appearing to be illegal, dishonest, or wrong.
【例文】“There’s something funny going on here.“
(ロングマン、LDOCE6) ※ 下線は引用者
【発音】 fʌ́ni
“What’s so funny ? ” とだけ文面提示されても、
意味合いを的確に汲み取ることは困難。
「何がそんなにおかしい?」などと和訳するしかないが、
これが必ずしも十分でないことは、先述の説明で理解
できるだろう。
–
◆ 英語学習中によくみられるのが、次のような現象。
初学者だった頃の方が、質問に対して即答できる。
初級、中級と実力が向上するにつれ、知識量が増し、
同時に迷いも増えていくからである。
以前はたやすく思えた、一見簡単な質問にも疑問ばかり。
徐々に勉強がきつく億劫になり、自信を失い、
ついに学習をやめてしまう。
中途半端な(「挫折した」と表すことが多い)学習者が
やたらと目立つのが、日本の英語教育の特徴と感じる。
しんどい段階(“plateau“ = 努力しても、進歩が
見られない停滞期、プラトー)をどうにか乗り越えれば、
別世界が拓けるのに。
もったいない。
【参考】 ※ 外部サイト
◆ 本稿の “What’s so funny ? ” を例にとると、
文法的には基礎レベル。
決して難しくない。
初学者であれば、「何がそんなにおかしい?」
と即座に訳すだろう。首をひねることなく。
ところが、中級以上の英語力の持ち主であれば、
多重の意味合いが理解できるため、回答しにくくなる。
つまり、上掲3つのニュアンスをパッとイメージし、
ある種のためらいが生じる。
「そんなおもしろいか?」と「ふざけるな!」では、
言っていることが全然違う。 だから混乱する。
すっきりしないので、精神的にも負担になる。
こんな状態が延々と続き、学習がつらくなってくる。
だが、考えてみよう。
日本語の「何がそんなにおかしい?」でも、やはり
言い方や状況によって、ニュアンスに大差がつく。
「きりがない」 それが語学。
言葉は生き物であり、社会の変化に伴い、進化し続ける。
言語やコミュニケーションとは、 本質的にそういうもの。
こう 割り切る覚悟 が、「 挫折 」 防止には必要と考える。
” no need ” に、 英語産業の内幕と推奨事項を事細かに記した。
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英文学に欺かれたるが如き不安の念
夏目漱石 『 文学論 』 序 ( 1907年刊 )
外国語なら、ますます不安がつきまとう。
当然だろう。
むしろ「 底なし沼 」 であるおかげで、 飽きることなく、
フレッシュな気持ちで、 一生続けられるとも考えられる。
英語に限らず、「 学問 」 全般に共通する性質であろう。
40年以上、 毎日英語に接してきた私は、 今も楽しく学べている。
プロといえど、 「 きりがない 」 点も受容しているからである。
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【参照】
“try to – ”
https://mickeyweb.info/archives/23268
(~するようにしてみてください。)
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【関連表現】
“It’s not funny. ”
https://mickeyweb.info/archives/719
(笑いごとではないのよ。)