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Bridge the gap

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ギャップを埋める、橋渡しをする、架け橋になる

「橋渡しをする」「架け橋になる」の定訳。
別の他動詞を用いる、以下3つもほぼ同義。

ビジネスの場で、いずれも自然に使われている。
特筆すべき点はなく、文法も比較的シンプル。
カタカナで根付いた「ブリッジ」と「ギャップ」
のイメージ通りで、理解は難しくない。

その割に、意義深いため、自己アピールに役立つ。
安定した表現なので、上手に使えれば格好よい。

◆ “bridge” には、名詞・他動詞・自動詞・形容詞
がある。

【発音】 brídʒ

語源は、古英語「丸太」(brycg)。
これを資材にして造られたのが「橋」である。

メインは名詞で、可算名詞が原則。
※ トランプの「ブリッジ」は不可算名詞

カタカナ「ブリッジ」は、多くの分野で活躍中。

■  ブリッジ【bridge】

  1. 橋。橋梁。跨線橋。
  2. 列車の車両と車両との間にある場所。
  3. 船橋。艦橋。
  4. 架工歯(かこうし)。
  5. 眼鏡の左右のレンズをつなぐ部分。
  6. 弦楽器の駒。
  7. トランプ遊戯の一。オークション・ブリッジ、
    コントラクト・ブリッジなど。
  8. レスリングで、あお向けになって、頭と両足を支え
    として体を橋状に反らせること。
  9. コンピューターネットワークで、ケーブルを流れる
    データを中継する機器。

■  はしわたし【橋渡し】

  1. 橋をわたすこと。橋をかけること。
  2. なかだちをすること。また、その人。仲介。

■  かけはし【架橋・懸橋】

4. はしわたし。とりもち。なかだち。

(広辞苑 第六版)

名詞に次いで大事なのが、他動詞。

それ以外はマイナー用法で、3EFL辞典
をはじめ、名詞と他動詞のみ記載する辞典が多い。

– 名詞「橋」「船橋(デッキ)」「ブリッジ」
他動詞「橋を架ける」「空白を埋める」
– 自動詞「(鋳造で)堅さの異なる層を作る」
– 形容詞「橋かけとなる程度」

“bridge the gap” では他動詞で、上掲の基本そのもの。
語形変化は、bridges – bridging – bridged。

◆ “gap” には、名詞・他動詞・自動詞がある。

【発音】 gǽp

語源は、古ノルド語「割れ目」(gap)。
こちらもメインは名詞で、可算名詞である。

名詞「割れ目」「空白」「欠員」「格差」
– 他動詞「割れ目を作る」「すき間を調整する」
– 自動詞「すき間ができる」「裂ける」

表題では、可算名詞「割れ目」または「空白」。
“bridge” 同様、ここでは基本的用法である。

単数で用いる場合が多いが、複数でも使う
この表現では、内容の単複は厳密に、区分されて
いない印象がある。

先述のように、簡潔な文法で構成された表現である。
文脈に合わせて、適切な和訳を判断する。

冒頭の橋渡しをする」「架け橋になる
との定訳をそのまま適用する場面も多い。

大半の意味合いは大同小異で、相反しない。
解釈の難しいケースは、そうそうないということ。

◆ 気になるとすれば、冠詞 “the” だろう。
“gap” は可算名詞なので、英文法によれば、
不定冠詞 “a” が基本となるはず。

確かに “bridge a gap” も使う。
両方とも間違いではない。

にもかかわらず、表題に選んだのは “the”。
理由は簡単で、実際に見聞きするのは “the” が
多いため。

その場の当事者の立場で、想像していただきたい。
「ギャップを埋める」「橋渡しをする」は、
どんな文脈に出てくる表現だろうか。

何らかの隔たりや格差、温度差を埋めるため、
周囲と議論する状況が一般的には想定できる。

ビジネス会議では、”gap” 自体を議題に含め、
その問題を解決する手段を検討したりする。

この場合、その特定(”the”)の “gap” を俎上に
載せている。
代替可能または未定で不定(”a”)の “gap” ではない。

だから、定冠詞 “the” が多用される。

関係者であれば、既に把握している内容。
それを徹底的に議論する会議。

参加する以上、事前に知っているから “the”。
あるいは、洗い出しを終えて、特定済みだから “the”。

もっとも、評論家のように一般論として論じる際や、
初回会議などではこの限りでない。

 

【関連表現】

 

 

 

 

 

 

 

 

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