Bridge the gap
2020/01/05
ギャップを埋める、橋渡しをする、架け橋になる
「橋渡しをする」「架け橋になる」の定訳。
別の他動詞を用いる、以下3つもほぼ同義。
- close the gap
- fill the gap
- stop the gap
ビジネスの場で、いずれも自然に使われている。
特筆すべき点はなく、文法も比較的シンプル。
カタカナで根付いた「ブリッジ」と「ギャップ」
のイメージ通りで、理解は難しくない。
その割に、意義深いため、自己アピールに役立つ。
安定した表現なので、上手に使えれば格好よい。
ー
◆ “bridge” には、名詞・他動詞・自動詞・形容詞
がある。
【発音】 brídʒ
語源は、古英語「丸太」(brycg)。
これを資材にして造られたのが「橋」である。
メインは名詞で、可算名詞が原則。
※ トランプの「ブリッジ」は不可算名詞
カタカナ「ブリッジ」は、多くの分野で活躍中。
■ ブリッジ【bridge】
- 橋。橋梁。跨線橋。
- 列車の車両と車両との間にある場所。
- 船橋。艦橋。
- 架工歯(かこうし)。
- 眼鏡の左右のレンズをつなぐ部分。
- 弦楽器の駒。
- トランプ遊戯の一。オークション・ブリッジ、
コントラクト・ブリッジなど。 - レスリングで、あお向けになって、頭と両足を支え
として体を橋状に反らせること。 - コンピューターネットワークで、ケーブルを流れる
データを中継する機器。
■ はしわたし【橋渡し】
- 橋をわたすこと。橋をかけること。
- なかだちをすること。また、その人。仲介。
■ かけはし【架橋・懸橋】
4. はしわたし。とりもち。なかだち。
(広辞苑 第六版)
名詞に次いで大事なのが、他動詞。
それ以外はマイナー用法で、3大EFL辞典
をはじめ、名詞と他動詞のみ記載する辞典が多い。
– 名詞「橋」「船橋(デッキ)」「ブリッジ」
– 他動詞「橋を架ける」「空白を埋める」
– 自動詞「(鋳造で)堅さの異なる層を作る」
– 形容詞「橋かけとなる程度」
“bridge the gap” では他動詞で、上掲の基本そのもの。
語形変化は、bridges – bridging – bridged。
–
◆ “gap” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
【発音】 gǽp
語源は、古ノルド語「割れ目」(gap)。
こちらもメインは名詞で、可算名詞である。
– 名詞「割れ目」「空白」「欠員」「格差」
– 他動詞「割れ目を作る」「すき間を調整する」
– 自動詞「すき間ができる」「裂ける」
表題では、可算名詞「割れ目」または「空白」。
“bridge” 同様、ここでは基本的用法である。
–
単数で用いる場合が多いが、複数でも使う。
この表現では、内容の単複は厳密に、区分されて
いない印象がある。
先述のように、簡潔な文法で構成された表現である。
文脈に合わせて、適切な和訳を判断する。
- the gender gap (男女格差)
- the generation gap (世代間の断絶)
- a pay gap (賃金格差)
- a cultural gap (文化の違い)
- a language gap (言葉の壁)
- a communication gap (意思疎通の欠如)
冒頭の「橋渡しをする」「架け橋になる」
との定訳をそのまま適用する場面も多い。
大半の意味合いは大同小異で、相反しない。
解釈の難しいケースは、そうそうないということ。
◆ 気になるとすれば、冠詞 “the” だろう。
“gap” は可算名詞なので、英文法によれば、
不定冠詞 “a” が基本となるはず。
確かに “bridge a gap” も使う。
両方とも間違いではない。
にもかかわらず、表題に選んだのは “the”。
理由は簡単で、実際に見聞きするのは “the” が
多いため。
その場の当事者の立場で、想像していただきたい。
「ギャップを埋める」「橋渡しをする」は、
どんな文脈に出てくる表現だろうか。
何らかの隔たりや格差、温度差を埋めるため、
周囲と議論する状況が一般的には想定できる。
-
「違い」 の調整はどうするか
-
「すき間」 を埋める方法はあるか
ビジネス会議では、”gap” 自体を議題に含め、
その問題を解決する手段を検討したりする。
この場合、その特定(”the”)の “gap” を俎上に
載せている。
代替可能または未定で不定(”a”)の “gap” ではない。
だから、定冠詞 “the” が多用される。
関係者であれば、既に把握している内容。
それを徹底的に議論する会議。
参加する以上、事前に知っているから “the”。
あるいは、洗い出しを終えて、特定済みだから “the”。
もっとも、評論家のように一般論として論じる際や、
初回会議などではこの限りでない。
- “We need to bridge the gap between the two.”
(両者間の溝を埋めなければならない。)
– - “How should we bridge the gap between teams.”
(チーム間の溝をどう埋めればよいのか。)
– - “I want to bridge the gap between two countries.”
(私は2国の架け橋となりたい。)
– - “This tax reform will bridge the gaps.”
(今回の税制改革は格差を埋めるだろう。)
– - “My work is to bridge language gaps.”
(言葉の架け橋として私は雇われた。)
–
- “She is trying to bridge the gap between siblings.”
(彼女は兄弟間の格差を埋めようと努めている。)
– - “Job opportunities are key to bridge gender gaps.”
(男女格差を埋めるには、雇用機会がポイントとなる。)
–
- “It seems impossible to bridge the gap
between rich and poor.”
(貧富の差を埋めるのは不可能に思える。)
ー - “We need to take baby steps to bridge the gaps.”
(少しずつ違いを埋めていく必要がある。)–
【関連表現】
- “burn one’s bridge“
(退路を断つ)
ー - “stopgap“—※ 間に合わせの埋草
(当座しのぎの) 形容詞
(当座しのぎの手段) 名詞ー
【発音】ˈstɒpˌɡæp