~の代理として、 ~を代表して、 ~のために
式典スピーチから日々の事務連絡まで、
所かまわず使われるビジネス慣用句。
文面・口頭を問わない。
使用場面は硬軟不問。プライベートでもOK。
アメリカ英語では、” in behalf of ” と表す場合がある。
「~のために」の意味で同義。
代理・代表は、” on behalf of ” 中心。
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◆ 和訳が確立しており、定訳は次の4つ。
- ~の代理として
- ~を代表して
- ~の代わりに
- ~のために
日英とも、型通りの決まり文言。
双方を置き換えれば、翻訳が仕上がる。
翻訳者は楽ちんである。
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◆ “behalf” は、名詞のみの単語。
【発音】 bɪˈhæf
【音節】 be-half (2音節)
語源は、中世英語「~のそばに」(bihalve)。
LDOCE6(ロングマン)によれば、
” bi “(≒at)+ ” halve / half “(側)で、「~の片側で」
→ “ on (someone’s) side ”( ~ のそばに)
–
◆ 不可算名詞だけで、可算名詞はない。
“behalf” の意味は、
- 味方
- 支援
- 利益
- 大義
この4つも、定訳に準じる。
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◆ 単語 “behalf” の特色は、単独で使われる場面が
極端に少ない点。
” on behalf of ” または ” on – behalf ”
の2パターンばかり見聞きする。
既述の ” in behalf of ” と ” in – behalf ”
を同類とすれば、これらのパターンから外れた
実例に接した記憶が私にはない。
※ 各ダッシュ部には、所有格を入れる(後述)。
現に、3大学習英英辞典(EFL辞典)もろとも、
“behalf” の項目には上記フレーズの解説しかない。
つまり、”behalf” で項目立てされているのに、
単語自体の語釈が存在しない模様。
“behalf“
◇ ロングマン、 LDOCE6
“on behalf of somebody“
(also in behalf of somebody American English)
a) instead of someone, or as their representative.
b) because of or for someone.
◇ オックスフォード、 OALD9
“in behalf of somebody“, “in somebody’s behalf“
(US English) in order to help somebody.
“on behalf of somebody“, “on somebody’s behalf“
1. as the representative of somebody or instead of them.
2. in order to help somebody.
3. because of somebody; for somebody.
◇ ケンブリッジ、 CALD4
“on behalf of somebody“
US also “in behalf of somebody”
“on somebody’s behalf“
US also “in somebody’s behalf”
1. representing.
2. for the good of or because of.
【発音】 bɪˈhæf
【音節】 be-half (2音節)
一見ごちゃごちゃしているが、真面目に読めば、
かなりシンプルだと分かる。
特に見やすいのは、最後のCALD4。
たったこれだけだから、先述の「楽ちん」は
まんざら過言でもない。
3冊すべてが “behalf” の語釈抜きで、いきなり
フレーズを紹介している。
とすれば、やはり単独使用は一般的でないと
結論できるだろう。
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◆ ここで、”on behalf of” を分解してみる。
- on : 根拠・理由の前置詞「~のために」
- behalf : 不可算名詞「利益」「支援」
- of : 目的格関係の前置詞「~の」
【直訳】
~の利益のために
ー-
【定訳】
- ~の代理として
- ~を代表して
- ~の代わりに
- ~のために
“on behalf of – ” では、”of” が目的格関係の前置詞
なので、直後は目的格。
上記3大EFL辞典では、”somebody” と示されている。
”someone” も、“somebody” も、不定代名詞
(an indefinite pronoun)の複合語。
人称代名詞であれば、
me / you / him / her / us / them / it。
一方、”on somebody’s behalf” の “somebody’s”
は、所有格なので、
my / your / his / her / our / their / its。
これらの目的格・所有格は代名詞に限らず、
具体的な氏名でもよい(例文参照)。
→ 「 somebody と someone の違い」
–
◆ 4つの定訳の判別は、その場の状況次第。
個人の代理なのか、集団の代表なのか、
当事者であれば、普通は分かる。
–
- “I accept this award on behalf of my team.”
(我がチームを代表して、この賞を受け取ります。)
ー - “I am pleased to accept this award on Mary’s behalf.”
(メリーの代理として、喜んでこの賞を受け取ります。)
ー - “I have asked her to attend on my behalf. ”
(私の代わりに参加するように彼女に依頼しました。)
ー - “On behalf of the Committee, I’d like to invite you
to the upcoming event. ”
(委員会を代表し、皆様を当イベントにお招きしたい
と考えております。)
ー - “On behalf of the President, I am sending out his
message to the workforce.”
(従業員の皆様に、社長のメッセージを代理で
お送りします。)
ー - “On behalf of the entire community, I would like
to thank you for your efforts.”
(地域全体を代表し、皆様のご尽力に感謝したいと
思います。)
ー - “On behalf of everyone here, welcome back ! ”
(ここの全員を代表し、お帰りなさい!)
ー - “She was sick then, so I signed the letter on her behalf.”
(彼女は当時病気だったので、レターに代理署名しました。)
ー - “We raised funds on behalf of the library.”
(その図書館のために、資金調達しました。)
ー - “Girls went out of their way on my behalf.”
(少女たちは私のためにいろいろやってくれたの。)
ー - “My son asked me to speak to you on his behalf.”
(自分の代わりにあなたに話してくれと息子から
頼まれました。)
ー - “Allow this browser to send crash reports on your behalf.”
(このブラウザーがあなたの代わりにクラッシュレポート
を送信することを許可する。)
– - “Sent on behalf of the Secretary of the Navy”
(海軍長官の代理として送信) ※ メール「件名」
【類似表現】
“fill in for”
https://mickeyweb.info/archives/6085
(~の代役を務める)
“sit in for – ”
(~の代役を務める)
“acting” ※ 形容詞
https://mickeyweb.info/archives/23837
(一時的な代行、代理)