占める
- Meetings are taking up much of my time.
(会議にかなりの時間が取られてしまう。)
–- His folder is taking up too much space
on the shared drive.
(彼のフォルダは、シェアドライブの
スペースを取りすぎ。)
職場で耳にするぼやき。
事務職にありがちの悩みである。
“take up” は仕事でもよく使われる句動詞。
よって、例文はすべてオフィスから採用した。
“take up” には、句自動詞と句他動詞がある。
句動詞の各用法にも、一般動詞と同じく「自動詞」
(目的語なし)と「他動詞」(目的語あり)がある。
それぞれ「句自動詞」と「句他動詞」という。
「句自動」「句他動」と略記。
「句動詞」とは、一般動詞に前置詞または副詞を伴い、
元の動詞と異なる意味を表す動詞。
「句自動」「句他動」 の区別は、”follow through” で詳述した。
“take up” の場合、句他動詞が非常に多義。
日常的に多用されるものを挙げる。
<句他動詞>
- 始める
“She takes up her assignment next week.” - 引き受ける
“He took up challenges.” - 応じる
“He took up the job offer.” - 占める
“His stuff takes up half of the room.”
<句他動詞>
- 再開する
“Let’s take up where he left off.”
多義な句他動詞でも、公私問わず頻出なのが、
「占める」。
本稿では、とりわけ便利な2つを取り上げる。
(1)take up space
(空間を占める → 場所を取る)
–
(2)take up time
(時間を占める → 時間を消費する)
“take up something”
to fill or use an amount of space or time.
(オックスフォード、OALD9)※ 下線は引用者
他動詞 “take”(取る)に、ぎっしり詰める様子を示す
副詞 “up”を組み合わせた句動詞。
強引にふさぐ感じが出て、比較的分かりやすい。
でんと据えて、陣取る状態。
“space”(空間)なら占拠、”time”(時間)なら空費。
どうしてもネガティブなイメージが浮かぶ。
どちらの名詞も、可算・不可算兼用だが、
ここでは2語とも不可算名詞。
単数の無冠詞が通例。
–
–
◆ “ time ” には、名詞・形容詞・他動詞・自動詞 がある。
【発音】 táim (1音節)
ー
語源は、 古英語 「 時 」「 時間 」( tīma )。
ー
圧倒的に使われるのは名詞 ( noun )。
不可算 ( countable ) と 可算 ( uncountable )を兼ねる。
基本的知識は、 以下の通り。
–
◇ 「 時 」は、 個数として数えられないので、
無冠詞の 「 不可算名詞 」 が基本。
この場合でも、「 この時間 ・ あの時間 」 など
「 区別 」する場合は、 可算名詞。
何時何分、 何月何日など 「 出来事 」 の時間
を示す場合も、 「 可算名詞 」 が原則。
次の差異が分かるだろうか。
-
–
Do you have time ?
–
( 今、お時間ありますか ? )
-
–
Do you have the time ?
–
( 今、何時でしょうか ? )–
現在の時刻 ( current time ) を他者に尋ねる英語表現として、” What time is it ? “ と学校では学んだりするが、
これは実は相当ぶしつけな尋ね方。
「 今、何時 ? 」 同然の響き。
露骨でむき出しゆえ、 いきなり聞かれた側は不快かも。
赤の他人やさほど親しくない人に時間を聞くには、 先述の
” Do you have the time ? ” ( 今、何時でしょうか ? )
–
名詞 “ time ” については、 いかなる辞書を調べても、
不可算が優先 されている( uncountable noun )。
よって、 「 ” time ” の基本は不可算名詞 」 と覚える。
“ take up time ” の “ time ” も、不可算名詞。
–
–
◆ 職場で実際に接した発言をご紹介する。
こなれた和訳にしてみた。
(1)take up space ( 空間を占める → 場所を取る )
- “This printer takes up too much space.”
(このプリンター、邪魔。)
– - “I don’t want this app to take much space.”
(こんなアプリに容量を取られたくない。)
– - “Which files are taking too much disk space ? ”
(どのファイルが大きすぎなの?)
– - “This equipment takes up no floor space.”
(この機器は床を占めません。)
– - “Photos are taking up too much space on our hard drive.”
(ハードドライブに写真を入れすぎ。)
–
- “My dual monitors are taking up too much space on my desk.”
(デュアルモニターが自分の机上を奪っている。)
–
- “Windows is taking up too much space.”
(ウィンドウズは容量が大きすぎ。)
–
(2) take up time ( 時間を占める → 時間を消費する )
- “You are taking up too much time on the phone.”
(あなたの電話は長すぎる。)(長電話がひどすぎ。)
–
- “This task is taking up too much of your time.”
(この仕事に時間を取られすぎだよ。)
– - “My boss takes up too much personal time.”
(プライベートな時間に上司が食い込んでくるの。)
– - “I won’t take up much of your time.”
(それほどお時間をいただきませんから。)
– - “We need to outsource tasks that are taking too much time.”
(時間がかかりすぎる仕事は外注しないと。)
–
- “You are taking up time unnecessarily.”
(あなたは必要以上に時間をかけすぎる。)
–
- “Those audits are taking up too much time.”
(これらの監査の時間的負担が重すぎる。)
ー
◆ なお、” taking space ” のマイナー用法として、
< 存在感 の大きさ > を示すことがある。
–
悪口に使う場合が目立つ。
- ” She is taking up too much space. “
これは物理的なスペースを指していない。
–
” breathing space “( 精神的余裕 )のこと。
「 彼女は( 私の )精神的余裕を奪いすぎ 」 の意。
はっきり言うと、 「 彼女はうざい 」。
–
【類似表現】
“eat up” ※ 句他動詞
(食う)
(1)eat up space(場所を食う → 場所を取る)
(2)eat up time(時間を食う → 時間を消費する)