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Follow through

      2020/07/01

(1) 最後まで約束を守り通す    (2) 最後までやり抜く

この2つの意味は、大して違わない。
二分して分かりやすくしたものの、趣旨は同じ。

完遂する」とひと括りにしても、的外れとまでは言えない。

  かんすい【完遂】

完全に成し遂げること。最後までやり遂げること。
(精選版 日本国語大辞典)

終わりまですっかりなしとげること。
(明鏡国語辞典 第二版)

何があっても「最後まで」「終わりまで」突き進むのが、
“follow through”。

それぞれ図で表すと、こんな具合。

(1)  最後まで約束を守り通す

取り決めに従う

(2)  最後までやり抜く

 

目標を遂行する

 

◆ “follow through” のあかつきには、小躍りしたくなる
喜びと、果てしない安堵が胸いっぱいに広がったりする。

あぁ、やっと終わった …  よかった …

誰しも味わったことのある満足感ではないだろうか。

目的を追求し、立派にやり抜いたのだから、
本人に自信と達成感をもたらすに違いない。

行動力と実力を発揮して生み出した成果。
信用が増し、周囲の評価もぐっと上がる。

こうして、すがすがしい好感を与えるのが、
“follow through” の基本イメージ。

やり遂げる人は、このような効果に精通している。

◆ “follow through” は、句動詞(phrasal verb)。

  • 動詞 “follow
  • 副詞 “through

句動詞 “follow through” は、自動詞にも他動詞にもなる。
すなわち「句自動詞」及び「句他動詞」。

句動詞の場合、自他動詞を兼ねるものは少数派である。
「句自動詞」または「句他動詞」のいずれかが一般的。

<句自動詞と句他動詞の区別>

数あるオンライン英英辞書のうち、
句自動詞と句他動詞の区別が明確なのが、
マクミラン

他に比べると、識別が容易。

※ 2020年7月現在

“follow through”

PHRASAL VERB
[INTRANSITIVE / TRANSITIVE]
to continue doing something until it has been completed.

https://www.macmillandictionary.com/dictionary/british/follow-through_1

【アクセント】   fóllow thróugh  

まずは、「句動詞」のおさらい。

「前置詞または副詞と一緒に用いることで、
元々の動詞とは異なる意味となる複数の単語」

これが、句動詞基本定義。

定義を当てはめると、

  • “follow” →「元々の動詞
  • “through” →「副詞」

そして、”follow through” の内容は、既記の通り、

(1)  最後まで約束を守り通す
(2)  最後までやり抜く

(1) と (2) は、“follow” に通じるため
「異なる意味」ではないだろう。

したがって、句動詞 “follow through” は、
定義にぴたりと当てはまるものではない。

定義にあつらえ向きの句動詞を挙げると、例えば、

  • rule out”    ※ 句他動詞
    (排除する、不可能にする)
  • beef up”    ※ 句他動詞
    (強化する、増強する)
  • square off”    ※ 句自動詞
    (対決する構えをとる、対決する)

「元々の動詞」である “rule”、”beef”、”square”
から推測しにくい意味をなす。

皆目見当がつかない「複数の単語」セット。

よって、3つとも句動詞の基本的定義に該当する。
いわば「句動詞中の句動詞」。

◆ これから表題 “follow through” を分解していく。

2単語の中身とつながりを確認し、「句動詞中の句動詞」に
なりえない理由を考察してみたい。

■ “follow” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

【発音】   fɑ́lou
【活用形】  follows – followed – followed – following

語源は、古英語「後についていく」「従う」(folgian)。
どの品詞の語義も、語源に忠実なものが中心。

「追う」と押さえておけば、基本はOK。

– 他動詞「~に続く」「~についていく」
– 自動詞「~に続く」「~についていく」
– 名詞「追うこと」    ※ マイナー用法

自他動詞の基本的意味は重なり合う。

自他動詞を兼ねる “follow through” から推察できるように、
“follow” は自動詞も他動詞も等しく存在感が強い

現に、動詞 “follow” は英単語として最頻出かつ最重要。

  • 重要:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出:最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉の頻出:最上位 <トップ1000語以内>
    (ロングマン、LDOCE6 の表記より)

全項目、最高ランクの位置づけを誇る。

◆ おまけに、SNSが隆興する昨今、カタカナ「フォロー」
の出番もひっきりない。

日本の世間一般に普及し、日頃から身近に感じるレベル。

特定の人を「フォローする」と言えば、固定読者になること。
「フォロアー」は 名詞 “follower” で、その固定読者を指す。

『広辞苑』の「1. 追跡」の範疇であり、”follow” の語源に沿う。

  フォロー【follow】

1. 追跡すること。
2. 補い助けること。
(広辞苑 第七版)

語釈該当引用

一方、「2. 補い助けること」は、和製語に近い。

“follow” 単独で他者を支援する意味合いは、英語にはないと考える。

今回、4大学習英英辞典(EFL辞典)に加えて、
ネイティブ用辞書など5点の “follow” を丹念に調べてみた。

結果として、”help” や “assist” 周辺の語義は見つからなかった。

名詞 “follow-up” または 句動詞 “follow up” であれば、
かすかに要素を含むかもしれないが、これらの意味も、
継続調査」「追跡調査」「追い打ちをかける」が普通。

相手のためよりは、目的に向けての補足に主眼を置く。
むしろ利己的な印象。

「他者の補助」を意味する “follow” を、私は見聞きしたことはない。
好意的に他者を助ける “follow-up” にも、ほとんど接したことがない。

にもかかわらず、調べた国語辞典5点全部がその種の「補う」を記す。
そのため、「2. 補い助けること」は和製語に近いと考える。

  動詞 “follow” の基本イメージ  
目標達成のために、ひたすら追い続ける
執念深いほど生真面目な執拗さを帯びる

真摯な「追求」こそ、”follow” の持ち味。
だが、ガツガツしたしつこさは、対人関係では嫌われがち。

“follow” は、思いやりから漂う、心温まる雰囲気とは無縁である。
既述の「すがすがしい好感」とは、主に実行力に対する称賛。

上掲の図を、今一度ご覧いただければと思う。

「最後まで」「終わりまで」従う真剣勝負の世界。
「新人をフォローする」みたいな親身な情はそぐわない。

「部下をフォローした」と業務報告すべく、

  • “I followed her.”

見上げた話だが、この表現はまずい。

ことによると
彼女を尾行したになってしまう。

助けるどころか、ストーカー。

日本流の「フォロー」=「2. 補い助けること」
ならば、上記の英文の方が適切。

シンプルな上、変に勘ぐられないで済む。
英語ネイティブもよく使う。


◆ 一途なひたむきさが持ち前の “follow” に、
副詞 “through” を付け足すとどうなるか。

“through” もまた、生一本な性質を有する。

■ “through” には、前置詞・副詞・形容詞がある。

【発音】  θru
→  “th”(θ) の発音は、”smooth out” 参照

語源は、古英語「通して」(thurh)。
“follow” と同じく、語源に忠実な語義中心。

– 前置詞「~を通り抜けて」「~を貫いて」「~を通して」
– 副詞「通り抜けて」「ずっと」「通しで」「最後まで」
– 形容詞「通り抜けられる」「直通の」

漢字「」を多用する、この一覧から読み取れるように、
「通る」「貫通」の意味合いばかりで、まさに語源通り。

ゴール目指して一筋を貫く様子が “through” であり、
自律的でポジティブな語感を放つ。

sit through” より再掲すると、

 

前置詞と副詞の “through” は、重要度・頻出度とも最上位を占める。
こちらも、動詞 “follow” と同様。

“follow through” では、副詞の “follow”。

若者に人気の和製俗語「スルー」は、煩わしさを「切り抜ける」
ための、胸のすくような対抗手段を表す。

以下、”shrug off”(受け流す、あしらう)より、これまた再掲。

  スルー【through】

■ 原義は通過などを意味する前置詞・副詞・形容詞
俗に、やり過ごすこと。気にしないこと。無視すること。
(大辞林 第三版)

 〔俗〕聞き流すこと。やり過ごすこと。無視。
(明鏡国語辞典 第二版)


◆ “through” は、ひたすら追求の “follow” と似た者同士で、相性抜群。

2語が組む相乗効果により「完遂」するまでの描写が強化されていく感じ。

動詞 “follow” と内容がかぶるため、
元々の動詞とは異なる意味」を旨とする
句動詞の定義から外れる。

その反面、”follow through” の一貫性は理解しやすく、強みとなる。

中級学習者なら、英文の語釈もすっと把握できる。

“follow through”

to do what needs to be done to complete
something or make it successful.
(LDOCE6、ロングマン)

“follow through (with something)”
“follow something through

to finish something that you have started.
(OALD9、オックスフォード)

【アクセント】 fóllow thróugh  


◆ 句動詞として、2つの意味があることは冒頭で触れた。

(1)  最後まで約束を守り通す

  • ”She failed to follow through on her commitment.”
    (彼女は約束を守らなかった。)
  • “The government did not follow through on policy promises.”
    (政府は方針の公約を守らなかった。)
  • “It is important to follow through all the rules.”
    (すべてのルールに従うことが大切である。)
  • “How to Follow Through on Your New Year’s Resolution”
    (新年の抱負を守り通す方法)
  • “To follow through is to take action that has been planned.”
    (遂行するとは、計画された行動を起こすことです。)

 

(2)  最後までやり抜く

  • “How to follow through with your marathon”
    (マラソンを完走する方法)
  • “My son wants to be a doctor.
    Hopefully, he will follow through.”
    (息子は医者になりたがっている。
    達成できればいいのですが。)
  • “Don’t just say it, let’s follow through on it.”
    (口先だけでなく、これをやり抜きましょう。)
  • “He never follows through to the end.”
    (彼は最後までやり抜いたことがない。)
  • “We will follow through on tougher background checks.”
    (より厳しい身元調査を遂行します。)

以上は、(1) と (2) の区別が比較的容易な文。

◆ 続いて、応用編。2019年8月~9月発表のニュースから抽出。

  • “US and China follow through on tariff threat”
    (米中が制裁関税を発動)
  • “The US administration wants China to follow through 
    on its promise to buy more US agricultural products.”
    (米国政府は、米農産物の購入量を増やすとの約束を
    守るよう中国に求めている。)
  • “China did not follow through on its plan to buy more
    American agricultural products.”
    (中国は米農産物の購入量を増やす計画を守らなかった。)
  • “UN Chief Appeals for Donors to Follow Through on
    Ebola Pledges”
    (国連事務総長、エボラ公約を守るよう援助団体に懇願)
  • “G7 should follow through with African aid promises.”
    (G7はアフリカ支援の約束を守るべきである。)
  • “President talks tough to adversaries –
    but doesn’t always follow through
    (敵に対して強気な発言をする大統領、
    だが遂行するとは限らない)

(1) か (2) か、迷いそうなものも含まれる。

しかし、両者の意味
は大同小異。
それほど神経質になる必要はない。
この点も、冒頭で述べた。

 

◆ 本稿で挙げた用途は、日常会話及びビジネス場面である。

スポーツで使う “follow through” は、日英ともども有力らしい。
今回調べた英英・英和・国語辞典のすべてに載っていた。

名詞の初出は1869年。 ゴルフのスイングから始まった模様。

とんと不案内な分野なので、めぼしい語釈をそのままご紹介する。

  フォロースルー【follow-through】

■ 野球・テニス・ゴルフなどで、打球の際、
最後まで振り切ること。
(精選版 日本国語大辞典)

■[球技で]投球や打球のあと、うでをそのまま
ふりきる動作。
(三省堂国語辞典 第七版)

次いで、EFL辞典から2点。

“follow through”

■ phrasal verb with follow (verb)
to complete the movement of hitting, kicking, or 
throwing a ball by continuing to move your arm or 
leg in the same direction.
(CALD4、ケンブリッジ)

“follow-through”

■ noun [singular]
the continued movement of your arm after you 
have hit the ball in tennis, golf etc.
(LDOCE6、ロングマン)

※  [singular] は「単数名詞」のことで、
単数形で使われるのが一般的な名詞。

【発音】  ˈfɑːl.oʊ.θruː

 

 

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