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Follow through

      2021/10/01

(1)  最後まで約束を守り通す      (2)  最後までやり抜く

この2つの意味は、大して違わない。

二分して分かりやすくしたものの、趣旨は同じ。

大づかみに「 完遂する 」とひと括りにしても、的外れとまでは言えない。

  かんすい 【完遂】

完全に成し遂げること。
最後までやり遂げること。
( 精選版 日本国語大辞典 )

終わりまですっかりなしとげること。
( 明鏡国語辞典 第二版 )


なにがあっても「 最後まで 」「 終わりまで 」突き進むのが、
” follow through “。

それぞれ図で表すと、こんな具合。

(1)  最後まで約束を守り通す


取り決めに従う

(2)  最後までやり抜く

 

目標を遂行する

 

◆  ” follow through ” の暁には、小躍りしたくなる
喜びと、果てしない安堵が胸いっぱいに広がったりする。

あぁ、 やっと終わった …    よかった …

誰しも味わったことのある満足感ではないだろうか。

目的を追求し、立派にやり抜いたのだから、
本人に自信と達成感をもたらすに違いない。

行動力と実力を発揮して生み出した成果。
信用が増し、周囲の評価もぐっと上がる。

こうして、すがすがしい好感を与えるのが、
” follow through ” の基本イメージ。

やり遂げる人は、このような効果に精通している。

◆  ” follow through ” は、句動詞( phrasal verb )。

  • 動詞  ” follow
  • 副詞  ” through

句動詞 ” follow through ” は、自動詞にも他動詞にもなる。

すなわち「 句自動詞 」及び「 句他動詞 」。

句動詞の場合、自他動詞を兼ねるものは少数派である。

「 句自動詞 」または「 句他動詞 」のいずれかが一般的。

< 句自動詞と句他動詞の区別 >

数あるオンライン英英辞書 のうち、
句自動詞と句他動詞の区別が明確なのが、
マクミラン

他に比べると、識別が容易。

※  2021年10月 現在

” follow through “

PHRASAL VERB
[ INTRANSITIVE / TRANSITIVE ]
to continue doing something until it has been completed.

https://www.macmillandictionary.com/dictionary/british/follow-through_1

【発音】  ˈfɑːl.oʊ.θruː
【強勢( アクセント )】  fóllow thróugh 

まずは、「 句動詞 」のおさらい。

前置詞または副詞 と一緒に用いることで、
元々の動詞とは異なる意味 となる複数の単語

これが、句動詞基本定義。

定義を当てはめると、

  •  follow  →  「 元々の動詞
  •  through  →  「副詞」

そして、” follow through ” の内容は、既記の通り、

(1)   最後まで約束を守り通す
(2)   最後までやり抜く

(1) と (2) は、“ follow ” に通じるため
「 異なる意味 」ではないだろう。

したがって、句動詞  ” follow through ” は、
定義にぴたりと当てはまるものではない。

定義にあつらえ向きの句動詞を挙げると、例えば、

  • rule out ”     ※  句他動詞
    ( 排除する、 不可能にする )
  • beef up ”     ※  句他動詞
    ( 強化する、 増強する )
  • square off ”     ※  句自動詞
    ( 対決する構えをとる、 対決する )

「 元々の動詞 」である  ” rule “、” beef “、” square ”
から推測しにくい意味をなす。

皆目見当がつかない「 複数の単語 」セット。

よって、3つとも句動詞の基本的定義に該当する。

いわば「 句動詞中の句動詞 」。

◆  これから表題  ” follow through ” を分解していく。

2単語の中身とつながりを確認し、「 句動詞中の句動詞 」に
なりえない理由を考察してみたい。

■  ” follow ” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

【発音】   fɑ́lou
【音節】   fol-low  (2音節)
【活用形】  follows – followed – followed – following

語源は、古英語「 後についていく 」「 従う 」( folgian )。

どの品詞の語義も、語源に忠実なものが中心。

「追う」と押さえておけば、基本はOK。

–   他動詞  「 ~ に続く 」「 ~ についていく 」
–   自動詞  「 ~ に続く 」「 ~ についていく 」
–   名詞  「 追うこと 」     ※  マイナー用法

自他動詞の基本的意味は重なり合う。

自他動詞を兼ねる ” follow through ” から推察できるように、
” follow ” は自動詞も他動詞も等しく 存在感 が強い

現に、動詞 “follow” は英単語として最頻出かつ最重要。

  • 重要:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出:最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉の頻出:最上位 <トップ1000語以内>
    (ロングマン、LDOCE6 の表記より)

全項目、最高ランクの位置づけを誇る。

◆  おまけに、SNSが隆興する昨今、カタカナ「 フォロー 」
の出番もひっきりない。

日本の世間一般に普及し、日頃から身近に感じるレベル。

特定の人を「 フォローする 」と言えば、固定読者になること。
「 フォロアー 」は 名詞 ” follower ” で、その固定読者を指す。

【発音】   fɑ́louər
【音節】   fol-low-er  (3音節)

『 広辞苑 』の「 1. 追跡 」の範疇であり、” follow ” の語源に沿う。

  フォロー【follow】

1. 追跡すること。
2. 補い助けること。
(広辞苑 第七版)

※  語釈該当引用


一方、「 2. 補い助けること 」は、和製語に近い。

” follow ” 単独で、他者を支援する意味合いは、英語にはないと考える。

今回、4大学習英英辞典( EFL辞典 )に加えて、
ネイティブ用辞書など5点 の ” follow ” を丹念に調べてみた。

結果として、” help ” や ” assist ” 周辺の語義は見つからなかった。

名詞 ” follow-up ” または 句動詞  ” follow up ” であれば、
その要素を若干含むかもしれないが、それよりは、

  •  継続調査
  •  追跡調査
  •  追い打ちをかける

これらの方が、普通の意味。

相手のためというより、目標達成に向けた補足・補強 に主眼を置く。

むしろ、事務的で、利己的な印象。

純粋な「 他者の補助 」を意味する ” follow ” を、私は見聞きしたことはない。

好意的に他者を助ける  ” follow-up ” にも、ほとんど接したことがない。


にもかかわらず、調べた 国語辞典5点 全部が、その種の「 補う 」を記す。

そのため、「 2. 補い助けること 」は和製語に近いと考える。

◇  動詞  ” follow ” の基本イメージ  

■  目標達成のために、ひたすら追い続ける
■  執念深いほど、
生真面目な執拗さを帯びる

真摯な「 追求 」こそ、” follow ” の持ち味。

だが、ガツガツしたしつこさは、対人関係では嫌われがち。

“ follow ” は、思いやりから漂う、心温まる雰囲気とは無縁である。

既述の「 すがすがしい好感 」とは、主に実行力に対する称賛。

上掲の図を、今一度ご覧いただければと思う。

「 最後まで 」「 終わりまで 」従う真剣勝負の世界。

「 新人をフォローする 」みたいな、親身な情はそぐわない。

「 部下をフォローした 」と業務報告すべく、

  • ”  I followed her.  “

見上げた話だが、この表現はまずい。

ことによると
「  彼女を尾行した  になってしまう。

助けるどころか、ストーカー。


日本流の「 フォロー 」 = 「 2. 補い助けること 」
ならば、上記の英文の方が適切。

シンプルな上、変に勘ぐられないで済む。

英語ネイティブもよく使う。


◆  一途なひたむきさが持ち前の  “follow” に、
副詞  ” through ” を付け足すとどうなるか。

” through ” もまた、 生一本な性質を有する。

■  “through” には、前置詞・副詞・形容詞がある。

【発音】  θru  (1音節)

→  “ th ”  [ θ ]  の発音は、” smooth out ” 参照

語源は、古英語「 通して 」( thurh )。

” follow ” と同じく、語源に忠実な語義中心。

–  前置詞  「 ~ を通り抜けて 」「 ~ を貫いて 」「 ~ を通して 」
–  副詞  「 通り抜けて 」「 ずっと 」「 通しで 」「 最後まで 」
–  形容詞  「 通り抜けられる 」「 直通の 」

漢字「 」を多用する、この一覧から読み取れるように、
「 通る 」「 貫通 」の意味合いばかりで、まさに語源通り。

ゴールを目指して、一筋を貫く様子が  ” through ” であり、
自律的でポジティブな語感を放つ。


◆  ” sit through ”  より再掲すると、

 

 

前置詞と副詞の  ” through ” は、重要度・頻出度とも最上位を占める。

こちらも、動詞  ” follow ” と同様。

“ follow through ” では、副詞の ” follow “。

若者に人気の和製俗語「 スルー 」は、煩わしさを「 切り抜ける 」
ための、胸のすくような対抗手段を表す。


以下、” shrug off ”(受け流す、あしらう)より、これまた再掲。

  スルー【 through 】

■  原義は通過などを意味する前置詞・副詞・形容詞
俗に、やり過ごすこと。気にしないこと。無視すること。
(大辞林 第三版)

■  〔俗〕聞き流すこと。やり過ごすこと。無視。
(明鏡国語辞典 第二版)


◆  ” through ” は、ひたすら追求の ” follow ” と似た者同士で、相性抜群。

2語が 組む 相乗効果により「 完遂 」するまでの描写が強化されていく感じ。

動詞 ” follow ” と内容がかぶるため、
元々の動詞とは異なる意味 」を旨とする
句動詞の定義から外れる。

その反面、” follow through ” の一貫性は理解しやすく、強みとなる。

中級学習者 なら、英文の語釈もすっと把握できる。

” follow through “

■  to do what needs to be done to complete
something or make it successful.
(LDOCE6、ロングマン)

” follow through (with something) ”
” follow something through

■  to finish something that you have started.
(OALD9、オックスフォード)

【発音】  ˈfɑːl.oʊ.θruː
【強勢(アクセント)】  fóllow thróugh  


◆  句動詞として、2つの意味があることは冒頭で触れた。

(1)  最後まで約束を守り通す

  • ”She failed to follow through on her commitment.”
    (彼女は約束を守らなかった。)
  • “The government did not follow through on policy promises.”
    (政府は方針の公約を守らなかった。)
  • “It is important to follow through all the rules.”
    (すべてのルールに従うことが大切である。)
  • “How to Follow Through on Your New Year’s Resolution”
    (新年の抱負を守り通す方法)
  • “To follow through is to take action that has been planned.”
    (遂行するとは、計画された行動を起こすことです。)

 

(2)  最後までやり抜く

  • “How to follow through with your marathon”
    (マラソンを完走する方法)
  • “My son wants to be a doctor.
    Hopefully, he will follow through.”
    (息子は医者になりたがっている。
    達成できればいいのですが。)
  • “Don’t just say it, let’s follow through on it.”
    (口先だけでなく、これをやり抜きましょう。)
  • “He never follows through to the end.”
    (彼は最後までやり抜いたことがない。)
  • “We will follow through on tougher background checks.”
    (より厳しい身元調査を遂行します。)

以上は、(1) と (2) の区別が比較的容易な文。

◆  続いて、応用編。

先月 2019年8月から9月発表のニュースから抽出。

  • “US and China follow through on tariff threat”
    (米中が制裁関税を発動)
  • “The US administration wants China to follow through 
    on its promise to buy more US agricultural products.”
    (米国政府は、米農産物の購入量を増やすとの約束を
    守るよう中国に求めている。)
  • “China did not follow through on its plan to buy more
    American agricultural products.”
    (中国は米農産物の購入量を増やす計画を守らなかった。)
  • “UN Chief Appeals for Donors to Follow Through on
    Ebola Pledges”
    (国連事務総長、エボラ公約を守るよう援助団体に懇願)
  • “G7 should follow through with African aid promises.”
    (G7はアフリカ支援の約束を守るべきである。)
  • “President talks tough to adversaries –
    but doesn’t always follow through
    (敵に対して強気な発言をする大統領、
    だが遂行するとは限らない)

(1) か (2) か、迷いそうなものも含まれる。

しかし、両者の意味
は大同小異。

それほど神経質になる必要はない。

この点も、冒頭で述べた。

 

◆  本稿で挙げた用途は、日常会話及びビジネス場面である。

スポーツで使う ” follow through ” は、日英ともども有力らしい。
今回調べた英英・英和・国語辞典のすべてに載っていた。

名詞の初出は1869年。 ゴルフのスイングから始まった模様。

とんと不案内な分野なので、めぼしい語釈をそのままご紹介する。

  フォロースルー【 follow-through 】

■  野球・テニス・ゴルフなどで、打球の際、
最後まで振り切ること。
(精選版 日本国語大辞典)

■  [球技で]投球や打球のあと、うでをそのまま
ふりきる動作。
(三省堂国語辞典 第七版)

次いで、EFL辞典から2点。

” follow through “

■  phrasal verb with follow (verb)
to complete the movement of hitting, kicking, or 
throwing a ball by continuing to move your arm or 
leg in the same direction.
( CALD4、ケンブリッジ )

” follow-through “

■  noun [singular]
the continued movement of your arm after you 
have hit the ball in tennis, golf etc.
( LDOCE6、ロングマン )

※   [ singular ] とは、「 単数名詞 」のことで、
単数形で使われるのが一般的な名詞

【発音】  ˈfɑːl.oʊ.θruː
【強勢(アクセント)】  fóllow thróugh  

 

 

 

 

 

 

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