~ を無視してください
前言撤回 や 行き違い 時の 釈明文言 として主に使う。
趣旨は、
「 あれは無視してください 」 と伝えること
- ” Please disregard. ”
(どうか無視してください。)
と2語で完結することもある。
しかし、その目的語が続く方が普通。
無視の対象は、先に送った文書など。
( メール、レター、請求書 など )
その理由を一筆添えるのが礼儀。
また、相手にお願いする立場の使用が多いため、
副詞または間投詞の “please” と組むのが一般的。
–
◆ “disregard” には、名詞と他動詞がある。
【発音】 dìsrigɑ́ːrd
【音節】 dis-re-gard (3音節)
アクセントは最後に来る。
–
共通イメージは「故意に無視する」。
– 名詞「無視」
– 他動詞「無視する」「軽視する」
- 接頭辞 “dis“(~しない )
- 動詞 “regard“(注目する)
だから「注目しない」で「無視」に。
- “I’m facing criminal charges for disregarding the law.”
(私は、法律を無視して、刑事罰に問われています。)
– - “We disregarded auditors and overpaid contractors.”
(監査人を無視した結果、契約業者に払い過ぎてしまった。)
–
◆ 類義語の筆頭は、”ignore”(他動詞・名詞)。
■ “ignore” の方が、語勢がつよい印象
■ 「 ガン無視 」 レベルの冷たい雰囲気
【発音】 ignɔ́ːr
【音節】 ig-nore (2音節)
“ignore” は、より日常に馴染んだ動詞だが、時にすげなさを伴う。
■ “disregard” は、上品でソフトな印象
■ “ignore” に比べて、ビジネス向き
【発音】 dìsrigɑ́ːrd ignɔ́ːr
【音節】 dis-re-gard (3音節) ig-nore (2音節)
現実として、対外的には「無視して」と書きにくいだろう。
このような表現のさじ加減に、翻訳者の力量が現れる。
「 どうぞご放念ください 」
は、日本のビジネス場面で、割かし見られた言い回し。
近頃は、なかなか目にしない。
ほうねん【放念】
- 気にかけないこと。心配しないこと。放心。
(大辞林 第四版)
– - 心にかけないこと。心配しないこと。
(精選版 日本国語大辞典)
「多く手紙文で使う」と明記するのが、『明鏡国語辞典 第二版』。–
- “Please disregard this reminder if you have already paid.”
- “If you have already paid, please disregard this reminder. ”
(既にお支払い済みでしたら、どうか本督促状はご放念ください。)
(既にご入金済みの場合、本督促状と行き違いですのでご了承ください。)
– - “Please disregard this email if you have already submitted it.”
(既にご提出済みでしたら、なにとぞご容赦ください。)
– - “Please ask your assistant to disregard.”
(アシスタントの方に、この件を無視するようお伝えください。)
– - “Please disregard these notifications.”
(それらの通知は破棄してください。)
– - “Please disregard. Mr. X will translate for this event.”
(先のメールは無視してください。
このイベントの通訳は、X氏が担当することになりました。)
– - “If you are no longer using this account, please disregard this message. ”
(既に当アカウントを利用していない場合、このメッセージは無視してください。)
– - “I inadvertently sent you the card. Please disregard.”
(私の不注意によりお送りしたカードは、
お手数ですが破棄いただけますでしょうか。)
– - “If you did not go to the party, please disregard this message.”
(パーティに参加されなかった方は、本メッセージの対象外となります。)
– - “Please disregard any announcements in relation to the disaster drill.”
(防災訓練用の放送ですので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。)
–
■ 「ログインアラート」の典型文言
→ 不正予防用に送付される通知
If this was you, you can disregard this message.
(あなた様がご本人であれば、このメッセージは破棄してください。)
(ご自分で実行されたならば、本メッセージは無視してください。)
不正アクセスの可能性が生じた際、本人に注意を促すための確認メール。
1つ目の指示代名詞 “this” とは「ログイン」する行為を指す。
「ログイン」の別称である「サインイン」行為でも使う表現。
【直訳】
もし(if)、これ(this = ログインまたはサインイン)が
あなた(you)であった(was)ならば(if)、
あなた(you)はこのメッセージ(this message)を
無視(disregard)できます(can)。
◆ 以下、メールの実物。
米国のアマゾンより。
自らログイン・サインインしたのであれば、
“It was me.” (それは私だった)。
とすれば、無視(disregard)してよい。
日本のアマゾンは、こんな感じ。
こちらも同様。
If you initiated this download,
you can disregard this message.
【直訳】
もし(if)、このダウンロード(this download)を
あなた(you)が始めた(initiated)ならば(if)、
あなた(you)はこのメッセージ(this message)を
無視(disregard)できます(can)。
自らダウンロードしたのであれば、やはり無視してよい。