プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Take action

      2021/05/09

行動を取る、   行動を起こす 

颯爽と行動する姿はかっこいい。

あれこれ理由をつけて、実行しない輩が大勢いる中、
果敢に動ける気っ風は痛快で、見ていて気持ちよかったりする。

腰が重く、屁理屈をこねてばかりの人々に比べれば、
行動する者の方が、概ね得るものが大きいと考えられる。

これを裏付ける言葉の一例。

There are risks and costs to action.
But they are far less than the long range
risks of comfortable inaction. 

( 行動にはリスクとコストが伴う。だが長期的に見れば、
何もしない安逸より、リスクもコストもはるかに低くなる。)

John F. Kennedy(1917-1963)
ジョン・ケネディ 第35代米国大統領


◆  先日、偶発的な作業を終えてみて、改めてそう感じた。

訳あって、早朝に出勤したところ、通路口の廊下に、
なにやら黒い物体が転がっている。

なんだろう

近づいてみると、犬のフンのよう。
どこかのワンコの置き土産らしい。

一般向けの行政用語として、よく ” dog waste ” と称される。
ペット全般のフンであれば、” pet waste “。

“waste” は可算名詞でもあるが、この用途では 不可算名詞

【発音】    wéist
【音節】  waste  (1音節)

より身近な名称は、” dog poop ” ( 犬のうんち )と
pet poop ” ( ペットのうんち )。

【発音】    púːp
【音節】  poop  (1音節)

「 うんち 」用途の  ” poop ” も、不可算名詞

飼い主に後始末を促す標識は、住宅街の至る所に散見される。


通称  “dog poop”



まさか  …  なんで、こんな場所に? 

人影なく閑散としている始業時刻前の職場。
うららかな初夏の空気が心地よいはずのオフィス。

誰かが踏んづけたら大変。

ぷうんと悪臭が立ち込めたら最悪。
生ものだから、放っておくと腐るかも。

ああ、どうしよう。

これぞまさに、今そこにある危機

私は、第一発見者なのだ。
知ら存ぜぬでは済まされない。

私たちの 職場環境 を守らなければ

 Get action.  Seize the moment. 

( 行動を起こせ。 きっかけをつかめ。)

Theadore Roosevelt(1858-1919)
セオドア・ルーズベルト 第26代米国大統領

天啓のごとく舞い降りた名言。  

そうだ、自分できれいにしよう。

いつやるか   今でしょ。

  • ” The time for action is now. “
  • ” Now is the time to act. “
  • ” I must act now. “

頭に渦巻く焦りを抑えつつ、トイレのモップを勝手に拝借してくる。

  • ” I took action quickly to clean the dirty floor. ”
    ( 汚れた床を掃除するため、私はすばやく行動を起こした。)

Take action to clean up dog poop



モップを洗い、デスクに戻り、そ知ら顔して終日従事した。

なんだか不思議なくらい、気分爽快。

その日は、驚くほど仕事がはかどった。

 Action is eloquence. 

( 行動は雄弁である。)

William Shakespeare(1564-1616)
ウィリアム・シェイクスピア  劇作家


こうは言っても、変に知れ渡ると今回は困る。

とりわけ、早番出勤の 朝イチ の仕事として、

  • ” I got rid of dog waste. ”
    ( 犬の糞を一掃しました。)

と業務報告するのは、ちょっとはばかられる。

結局、皆に黙っていたものの、勇を鼓してやってよかった。

【参照】   “「Gmail」で作る単語帳


◆  行動を起こすには、目的や動機を要する。

活動の源となる、体力・気力などのエネルギーも欠かせない。

意欲があっても、ある程度の条件が整わない限り、
身動きできない難関が降って湧くのが人生。

制約要因は、資力と時間ばかりでない。 

それゆえに、万難を排して前進する人は評価される。

行動には、ありとあらゆる要因が作用し、もたらす影響は様々。
本人の資質に左右されるケースも少なくない。

とにかく行動を起こせば、座視では得がたい、なにかを吸収できる。


◆  行動を推奨する言い回しは、数多く存在する。

  • Any action is often better than no action.
  • Thinking will not overcome fear but action will.
  • Action is a great restorer and builder of confidence.
  • Action will delineate and define you.
  • Vision without action is merely a dream.
  • High achievers move into action immediately.
  • Action without a name is meaningless.
  • Action breeds confidence and courage.
  • We have total control over how we take action.
  • Infuse your life with action.

ふつふつたぎるエネルギーがほとばしる、威勢のよい英文。

リズム感にあふれ、和訳するのは差し出がましい気がする。

中級学習者であれば、ひと目でさっと読み取れるだろう。

表題の “ take action ” は、これらの要約に近い。

行動力が放つ前向きな気概を、2語で一挙に示す印象。

定訳は「 行動を取る 」または「 行動を起こす 」。

take action

to do something;
to act in order to get a particular result.

(メリアム ウェブスター)
https://www.merriam-webster.com/dictionary/take%20action


◆  ” take ” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

【発音】    téik
【音節】  take  (1音節)

語源は、古ノルド語「つかむ」「取る」(taka)。

「 なにかをつかみ取る 」という意味合いの他動詞こそ、
“take” の最も基本となる。

  • 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
    (ロングマン “LDOCE6” 指標より)

他動詞 “take” は、数ある英単語全体から見ても、
最頻出かつ最重要。

【活用形】   takes – took – taken – taking

“take” は、どの品詞も極めて多義であり、語源にとどまらず、
幅広い分野に存分に派生した語。

◆  表題の “take” も他動詞。

ただし、語源そのままの「 なにかをつかみ取る
よりは、「 手段を 講じる 」の語義がここでは適切。

  こうじる【講じる】
「講ずる」に同じ。
(広辞苑 第七版)

〈考え/くふうし〉ておこなう。はかる。
(三省堂国語辞典 第七版)

  こうずる【講ずる】
考えをめぐらせて行う
方法・手段を考える。
(広辞苑 第七版)

問題を解決するための手段・方法を考えて
実施する
(大辞林 第三版)

※  語釈該当引用

以下の他動詞 “take” と同じ用法。

  • take measures  (措置を講じる
  • take a precautionary measure  (予防措置を講じる
  • take every possible means  (できる限りの手段を講じる
  • take a precaution  (予防策を講じる
  • take emergency steps  (緊急措置を講じる

下線部「 講じる 」は、すべて「 取る 」に置き換えることができる。

語源通りの「 なにかを つかみ取る 」ではなく、実施する「 講じる
とはいえ、”take” で「 取る 」だと、
日本語と重なるため覚えやすい。

【参照】   “take a stand

◆  “action” は、名詞及び他動詞。

【発音】    ǽkʃən
【音節】  ac-tion  (2音節)

語源は、ラテン語「行われた」(āctus)。

“act” はもとより、”actual”、”exactly”、”react”、”agent”、
“agitate” も同源(『ジーニアス英和大辞典』より)。

他動詞「実行する」は、「主に商業関係者用語」
(『ランダムハウス英和大辞典 第2版』より)。

つまり、普段使いでは名詞用法がほとんど。

ここでもそう。

名詞 “action” もまた、最頻出かつ最重要レベルの英単語。

  • 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
    (”LDOCE6″ 指標より)

これまた多義だが、他動詞 “take” と異なり、
広がりは限定されている。

すなわち、語源の「行われた」から想像できる語義中心。

  • 行動
  • 手段
  • 活動
  • 動き
  • 行い

加えて、専門性を帯びる意味は、

  • 法的手段・訴訟
  • 戦闘
  • 競技
  • 作用
  • 影響

感覚的に分かるものが多い。

カタカナ「アクション」が根付いているおかげでもある。

「行動」「動作」「演技」を意味するので、矛盾はない。

  • アクション映画
  • アクションフィギュア
  • アクションゲーム
  • アクションスター
  • アクションヒーロー

共通点は活発な動きが顕著な様子。
先述の「行動力が放つ前向きな気概」に満ちている。

これらのイメージと相まって、”action” が
動的な「行動」
である点の理解は難しくない。


演技始め!



◆  表題の “take action” には冠詞がない。

とすれば、”action” は不可算名詞なのだろうか。

実は、”不可算名詞と可算名詞を兼ねる。
そのため、”action” の内容に応じて冠詞の有無が決まる

ところが、この区別が厄介。
判然としないケースが多くて一筋縄ではいかない。

可算・不可算が明記してある辞書に従い、
先ほどのリストを振り分けてみる。

使用辞書は『ジーニアス英和大辞典』及び 3大学習英英辞典
(EFL辞典)の “LDOCE6″、”OALD9″、”CALD4” の合計4点。

有力な『リーダーズ英和辞典 第3版』、『研究社 新英和大辞典 第6版
新編 英和活用大辞典には、可算・不可算は明記されていない。

  • 行動  →  不可算
  • 手段  →  不可算
  • 活動  →  不可算
  • 動き  →  不可算 
  • 行い  →  可算  
  • 法的手段・訴訟  → 可算及び不可算  
  • 戦闘  →  可算及び不可算  
  • 競技  →  不可算  
  • 作用  →  不可算  
  • 影響  →  不可算  

◆  論が分かれた名詞がいくつかあった。

例えば、法的手段・」は『 リーダーズ英和辞典 第3版
では、可算名詞。

片や “LDOCE6” と “OALD9” と “CALD4” では、
可算及び不可算
(countable, uncountable)。

実例を調べると、確かに両方見られる。

法的手段を取る 」として、可算名詞の “take an action”、
“bring an action”、”raise an action” と表現されている。

誤解を防ぐため、形容詞 “legal”(法律上の)を追加して、
“take a legal action”、”bring a legal action”、”raise a legal action”。

しかし、不可算名詞の “take legal action”、”bring legal action”、
“raise legal action” も普通に出てくる。

特に “take legal action” は、無冠詞・単数が目立つパターン。

違いを調べたが、通常の使用では同義扱いされている模様。
となると、3大学習英英辞典の両様説に軍配が上がる。

こうして、錚々たる辞書間でも争いがある場合の珍しくない
のが、可算名詞と不可算名詞の区別。

私たち日本人学習者が不得意とする「冠詞」に直結するため、
本来であれば表記は欠かせないはず。

単純に割り切れない以上の性質を思えば、先の有名どころ
英和辞書が、
この記載を避ける一因となっていると推察できる。


◆  上記の調査結果によると、多用されがちの “action” は、
「不可算名詞」
が主流と考えられる。

同時に、

■  ” action ” 次第で、” take an action ” もある

■  ” take actions ” も、日常的に見聞きする

  • “We are taking actions to protect students.”
    (学生を守るために、さまざまな対策を行っています。)
  • “Set goals and take actions to accomplish your dream.”
    (夢を実現するには、目標を立て、対策を講じることだ。)

それでも、ごく抽象的な行動を取る 」は不可算名詞が原則。

同様に、漠然として、つかみどころのない「 手段を取る 」も、
無冠詞・単数の ” take action “。

◇  日頃、取り立てて考えることなく用いる
行動を取る 」 「 行動を起こす なら

  take action  

冠詞なしの2語が自然

この場合の ” action ” は、不可算名詞

【参照】   in place“、 “paperwork“、 “acting


◆  何度も述べるように、”take action” は 能動的な 行動を表す2語。

その力強さを、さらに感じ取っていただければと思う。

次の回覧は、典型的な行政用途。

台風への備えに必要な用品を紹介し、事前準備を促している。

 


  • “We must take action to stop bullying.”
    (いじめをやめさせるため、行動を起こさねばならない。)
  • “My teacher took action to stop bullying.”
    (私の先生はいじめをやめさせるため行動を起こした。)

  • “The government has taken drastic action.”
    (政府は思い切った行動を取っている。)

  • “The school has taken action against bullying.” 
    (その学校はいじめに対処している。)

  • “There are a lot people out there taking action
    against this president.”
    (今の大統領への反対行動を取っている人が大勢いる。)
  • “Students are taking action for change.”
    (学生たちは変化に向けて行動を起こしている。)
  • “There is no need to take action.”
    (行動を起こす必要はない。)  (対応は不要。)

  • “To follow through is to take action that has been planned.”
    (遂行するとは、計画された行動を起こすことです。)

  • “Their team took action based on feedback.”
    (彼らのチームはフィードバックに基づき行動した。)

  • “Don’t just wait.  We need to take action.”
    (待つばかりでなく、我々も行動しないと。)

  • “Users should take action as soon as possible.”
    (使用者はできるだけ早く行動に移ること。)

  • “I want to take action today.”
    (本日、
    実行したい。)

  • “If you want to voice opposition, take action here.
    (異議申し立てをするには、こちらをクリックしてください。)

  • “Please take action by Friday this week.”
    (今週の金曜日までに、ご対応をお願いします。)

  • “Please take action to review your apps.”
    (使用アプリのレビューをお願いいたします。)

  • “We are prepared to take action to protect the safety
    of our employees.”
    (従業員の安全を守るために行動する用意はできている。)

  • “President takes action on international embarrassment.”
    (大統領は、国際的な恥に対して行動する。)

  • “The government has decided to take action to stem
    the outbreak of Coronavirus.”
    (政府は、コロナウイルス流行を阻止する行動を取る
    ことを決めた。)
  • “G7 ready to take action to stem coronavirus risks”
    (G7、コロナウイルスの危険を阻止する態勢)
    ※  ニュース見出し

 

 

◆  情報セキュリティ関連の警告にも使われる。

 

 

 

 

◆  これまでは、行動することの大切さをご案内してきた。

だが時には、世間一般に対して、「 無行動 」「 不作為
を要請する場面もある。

例えば、凶悪犯の指名手配。

今月2019年7月公表の実物がこちら。

否定の形容詞 ” no ” を加えると、” take action ” の逆に

※  顔写真はモザイク加工

  • ” If seen,  take no action.  
    Do not approach.

    Call 911 immediately. ”

    「 見かけたら、なにもしない  こと。
    近寄るな。
    直ちに110番。」


◆  次いで、外付けHDD(ハードディスク)の “take no action”。

HDDをパソコンに接続した直後に出てくる、操作の選択画面である。

 

 


【関連表現】

“Action Required”
https://mickeyweb.info/archives/3719
(要行動、対応必須)

 

 

 

 

Sponsored Link




Jetpack

 - 英語, 英語フレーズ