Could you update me on – ?
2021/01/14
今、〜がどのような状況か、私に
教えていただけますでしょうか。
関係者に対して、
進捗状況を確認する時によく使う。
アメリカ人と仕事をしていると、文面・口頭問わず頻出。
率直な意味は「 状況を教えてくれ 」。
とても便利なシンプル表現なので、ぜひマスターしよう。
ー
■ update
他動詞と名詞がある。 ここでは、他動詞。
“update” の他動詞で最頻出なのは 「更新する」の意。
カタカナ「アップデートする」が意味する内容である。
表題の “update” では「 最新情報を伝える 」の方
が適切な語義。
“update“
3. spoken: to tell someone the most recent
information about a situation.
(ロングマン、LDOCE6)
【参考和訳】
口語:状況の最新情報を他者に伝える
※ 「spoken = 口語 = 話し言葉」とあるが、
実際は業務メールにも頻繁に起用される
<発音>
他動詞と名詞では、発音が異なるため要注意。
アクセント(強勢)が、前後に分かれる。
他動詞は後。 名詞は前。
ここでは他動詞(transitive verb)。
アップデイト↑(ʌ̀pdéit)
【音節】 up-date (2音節)
したがって、”update me” の直訳は、
「 私に最新情報を伝えて 」。
そのプロセスより「教えて」と換言できる。
当該話題に通じている相手であれば、
“Please update me.“(私に教えてください。)
の3語だけでも通じることが多々ある。
–
■ Could you – ?
丁寧な依頼表現 「~していただけますでしょうか」。
文法的には、「もし 仮に 頼んだら~していただけますか」
との「 仮定法 」(subjunctive mood、後述)に基づく。
まだ「この人に頼むぞ!」と決心していない。 ← これが「現実」
–
仮定法 “could you” とは、
遠慮がちに
「もし 仮に 頼んだら…やってくれますか?」
と 仮定しつつお伺いを立てる流れ
すべてが <仮の想定> に過ぎない。 ←「現実」ではない–
仮の設定なので「仮定法」。
–
正式な要請でないゆえ、受け手にとって気が楽。
–
「やってください」に比べ、”No.” と断りやすい。
プレッシャーを与えない面で、配慮のある尋ね方。
–
だから「仮定法」は、丁寧な依頼表現 。
仮定法の「問い」なので、疑問符「?」で閉じる。
–
■ on
関連の前置詞「〜について」。
知りたい対象(目的語)を直後に置く。
“update about” でも正しいが、
“update on” の方が一般的。
【参照】
“elaborate on – “(~を詳しく述べる)
■ 他動詞 “give”(与える)と
可算名詞 “update”(最新情報)を用いて、
Could you give me an update on – ?
と言い換えられる。
可算名詞 なので、不定冠詞 “an”。–
–
<発音>
強さアクセントは、
名詞は前。 他動詞は後。
ここでは名詞(noun)。
アップ↑デイト(ʌ́pdèit)
【音節】 up-date (2音節)
–
◆ 目的格 “me”(私を、私に)は、単数の人称代名詞。
複数であれば、”us”(私たちを、私たちに)。
me / you / him / her / us / them / it
が人称代名詞の目的格。
–
◇ 「人称代名詞」の解説は、ここが秀逸 ↓
ーちょいデブ親父の英文法「人称代名詞」
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目的格 “me” と “us” の他、相手に応じて、
“him”(彼に)、”her”(彼女に)、”them”(彼らに)
も使える。
ー
さらには、具体的な人物名 でもよい。
- “Could you update Bob on your achievements ? ”
(あなたの最新実績をボブに教えていただけますか。)
いずれも、以下の例文に適用できる置き換えである。
- “Could you update me on the project status ? ”
(プロジェクトの進捗状況を教えていただけますでしょうか。)
ー - “Could you update me on your job search ? ”
(就職活動の状況を教えていただけますでしょうか。)
ー - “Could you update me on your schoolwork ? ”
(学校の勉強がどうなっているか教えていただけますか。)
ー - “Could you update me on your schedule ? ”
(今後のご予定を教えていただけますでしょうか。)
ー - “Could you update me on the progress of my order ? ”
(私の注文の処理状況を教えてくださいませんか。)
ー - “Could you update me on progress to date ? ”
(現在に至るまでの進捗を教えていただけますか。)
ー - “Could you update me on your progress ? ”
(あなたの進捗状況を教えてくださいませんか。)
ー - “Could you update me on your life ? ” ※ 冗談半分に
(あなたの人生の最新情報を教えて → 近況を教えて。)
ー - “Could you update me on the status of her case ? ”
(彼女の案件の進捗について教えていただけますか。)
ー - “Could you update me on the weather ? ”
(天気予報を教えていただけますか。)
ー - “Could you update me on the smoking policy ? ”
(最新の喫煙方針について教えていただけますか。)
ー
◆ “Please update me.” の3語でも通じる場合がある、と上述した。
例文の “Could you” を “Please” に置き換えても、
要求表現としての趣旨は変わらない。
仮定法の「質問」ではなくなるため、疑問符「?」の代わりに、
ピリオド「.」で結ぶ。
ただし、<使用上の注意> がある。
副詞・間投詞 “please”(どうか)には「命令形」が続く
のが原則のため、状況と相手によっては、失礼が生じる。
“please” の弱点 :
■ 時に押しがましく、または子ども扱い
■ 慇懃無礼で嫌味な印象を伴うリスク
■ 命令調に聞こえがちで、目上を怒らせる
→ 詳細は、”Take good care of – “
” Please V (= 動詞)” のパターンを、
「 半命令形 」
と称することもある。
例えば、目上に対して、いきなり、
Please update me on your schedule.
とメールを打てば、通常、
- 「今後のご予定を教えて ください」となる。
ところが、場合によっては、
- 「今後のご予定を 教えよ」「教えろ」
と、命令の勢いを放つ可能性 もある。
生意気。
これぞ、「ください」の弱み であり、“please” の弱点 そのもの。
–
上司なら、カチンと来ても不思議でない。
Could you update me on your schedule ?
は相手を選ばず、ずっと無難である。
“Could you” にも「命令形」が続くものの、既記のように、
こちらは「仮定法」を用いた 低姿勢な言い回し。
ー
<仮の想定> に基づく問いかけであり、控え目な感が強い。
遠慮がちに
「もし 仮に 頼んだら…やってくれますか?」
遠慮がちとは、「恐る恐る」「こわごわ」「ひどくかしこまって」。
ー
「命令」には程遠い。 –だから無難。
ー
次の「併用型」は、どちらかと言えば “could you” の美点を引き継ぐ。
Could you please update me on your schedule ?
しかし、若干くどくて、時に嫌味 な印象を帯びる 危険 が高まる。
- どうかお願いですから、 ← “please”
今後のご予定を教えていただけますでしょうか。 ← “could you”–
こんな具合。
–
だが平時であれば、他者の言葉遣いを曲解しないのが普通。
それゆえ、ほぼ問題なく使える。
[T]he word “please” can convey a sense of impatience or insistence.
So it ironically could be a bit more polite to just say “Could you – ? “.
https://english.stackexchange.com/questions/331515/
【参考和訳】
“please” が、「いらだち」や「強要」を感じさせることもある。
“please” をつけない “Could you – ? ” の方が若干丁寧になりうる。
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◆ 以下の日本語の違いに似ている。
-
「~してください」 → 命令調になる可能性あり → 上司カチン
-
「~していただけますでしょうか」 → 腰が低く、反発回避
日頃から折り合いが悪い部下から届いたメールだとすれば、
どちらが感じ悪いだろうか。
- 今後のご予定を教えてください。
- 今後のご予定を教えていただけますでしょうか。
ー
◆ 「~ください」= “please” と学校教育で教わった。
敬語のうち「尊敬語」または「丁寧語」の役割。 基本はその通り。
- 尊敬語 → 相手側や話題の主の動作・状態を敬い、高めて待遇
- 丁寧語 → もっぱら受け手(聞き手・読み手)を敬い、丁寧に
◇ 併せて押さえておきたい国語の知識が、こちら。
日本語「ください」は、命令形 が変化したもの
国語辞典4点の語釈から、「命令」に関する箇所をハイライトしてみた。
■ ください【下さい】
(「くださる」の命令形「くだされ」の口語形)
1. いただきたい、頂戴したいなど相手に事物を請い求める
意を表す。
2. 動詞の連用形または漢語に添えて、相手に懇願する意を表す。
(ア)尊敬を表す接頭辞「お」「御」の付いた動詞の連用形
または漢語の下に付く。
(イ)助詞「て」を伴うこともある。
(広辞苑 第七版)
–
■ ください【下】
五(四)段活用動詞「くださる(下)」の 命令形「くだされ」
の変化したもの。一説に、「くださいまし(ませ)」の略
ともいう。
現在、標準口語では、この形が、「くださる」の命令、要求表現
として用いられる。
動詞用法をはじめ、「行ってください」「御覧ください」のような、
補助動詞用法もある。
(精選版 日本国語大辞典)
–
■ ください【下さい】
[動詞・補助動詞「くださる」の命令形]
相手にものをたのむときに使う。
(三省堂国語辞典 第七版)
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■ ください【下さい】
動詞「下さる」の命令形。本来は「くださいまし(ませ)」
で、その「まし(ませ)」の略された形。(以下略)
(大辞林 第三版)
念には念を入れて、上掲『精選版』の本家本元に当たる『日国』もチェック。
『日本国語大辞典 第二版』第4巻、p. 881、
小学館(2001年刊)より転載–
これが全文。-ー
『精選版』の記述に加え、「補注」「用例」「発音」
が添えられている。
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◆ 近頃、日本の公衆トイレの張り紙が変わってきている。
- トイレはきれいにお使いください。
- いつもきれいにお使いいただき ありがとうございます。
前者の旧態依然とした事務的文言から、
後者の感謝あふれるメッセージへ。
「ください」と一方的に命令されている気分にとらわれる
利用者の反発を避けて、自発的な協力を促すのが目的。
効果上々らしい。
–
「 言葉の力 」に、改めて気づかされる話である。
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–
◆ 以上より、「ください」は「命令形」につながる。
となれば、先述の “please” のリスク が「ください」
にも当てはまるのは、単なる偶然ではないと考えられる。
すなわち、
■ “please” も「ください」も、命令形に関連する。
––→ 状況と相手によっては、失礼が生じる。
–
【参照】
・ “need” や “want” は「差し迫った要求」 → 対人用途では高リスク –
–
【注意】
(1)
“please” の弱みに触れたが、これは大人向けの留意点。
小学生くらいまでは、保護者らが、
- “Say please.” (お願いしますと言いなさい。)
などとうるさく促して、“please” の活用を教え込むことが多い。
学童期は、嫌味・皮肉の概念に縁のない生活が普通なので、
“please” のリスクを学ぶには、時期尚早。
- “Say thank you.” (ありがとうと言いなさい。)
- “Say hello.” (あいさつしなさい。)
- “Say excuse me.” (すみませんと言いなさい。)
- “Say sorry.” (ごめんなさいと言いなさい。)
これらも、同時期に刷り込む。
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(2)
「仮定法」の「法」(mood)は、「感覚・気分」の意味合い。
「方法」または「法律」のニュアンスはない。
話者の気持ちに沿った述べ方や他者への働きかけを示す、
「心的態度」の文法用語である。
伴う「感覚・気分」次第で、動詞の形は変わる。
この「動詞の形」のシステムが「法」(mood)。
英語には、3つの「法」がある。
- 「直説法」(indicative mood)
- 「仮定法」(subjunctive mood)
- 「命令法」(imperative mood)
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【類似表現】
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・ “Keep me posted.”
https://mickeyweb.info/archives/73
(情報を随時お知らせください。)
・ “Keep me in the loop.”
https://mickeyweb.info/archives/2545
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