新進気鋭の、前途有望な
話題の若手アーティストや新興企業を表す際に出てくる。
【発音】 ʌ̀pənkʌ́miŋ
文面・音声・映像などのメディアを問わない。
好意的なフレーズで、春秋に富む者を引き立てている。
しんしんきえい【新進気鋭】
新進で意気込みが鋭いこと。
また、その人。
(広辞苑 第六版)
きらりと輝く潜在的才能を認めてこその表現。
大きな期待を寄せている証である。
◆ “up” には、副詞・前置詞・形容詞・
名詞・自動詞・他動詞がずらりとそろう。
非常に重要かつ多義で、共通イメージは「上がる」。
ここでは、形容詞「上に向かう」。
–
◆ “coming” には、形容詞と名詞がある。
自動詞・他動詞・名詞の “come” から派生した。
形容詞 “coming” の主な意味は2つ。
(1)「来るべき」「今度の」 ※ “upcoming” とほぼ同義
(2)「新進の」「有望な」
いずれも「向かって進行する」意味から生じた。
“I’m coming.“(そちらに向かっています)の
自動詞 “coming” と同じ。
使用者(評者・話者など)や目的地の方向から見れば、
「やってくる」ことになる。
“up and coming” では(2)だが、流れは同一。
「向かって進行」→「やってくる」→
「来るべき」→「新進の」→「有望な」
◆ 接続詞 “and” は「及び」でも間違いではない。
しかし、ここでは状態の同時性を示す
「~しながら、同時に~する」
の解釈の方が適切である。
【例】
- “up and running“(稼動している)
- “sleep and dream”(眠りながら夢を見る)
- “walk and text”(歩きながらメールする)
※ いわゆる「歩きスマホ」を指す
したがって、
“up and coming“
- 上に向かいながら(up)
- 同時に(and)
- こちらにやってくる(coming)
■「新進気鋭の」「前途有望な」が主な定訳
“up and coming” は<3語ワンセット>の決まり文句。
ハイフンなしの場合、「be動詞」に続くのが基本パターンになる。
なぜなら、「状態」を表す「形容詞」の役割を担う熟語だから。
※「be動詞」= be、am、was、been、will be、is、
なぜ「be動詞」に続くのかは、”aware” や ”vocal about” で詳述した。
一方、ハイフン入りの “up-and-coming” は、形容詞そのもの。
名詞の前に限り用いられる。
英英・英和辞書ではハイフン入りの形容詞の
説明がほとんどだが、be動詞に続くハイフンなし
と意味は同じ。
“up-and-coming”
likely to become successful or popular.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 ʌ̀pənkʌ́miŋ
■ 可算名詞 “up–and–comer” は派生語。
「注目の新人」「有望な人」「出世頭」の意。
冒頭の通り、温かく期する眼差しの “up and coming”。
盛んな勢いの成り立ちも、これまでの説明から分かるだろう。
軽やかなリズムの発音(ʌ̀pənkʌ́miŋ)も、
明るい未来を示唆する感じがする。
「アッペンカミン」などと聞こえる。
“up and coming” は、実際のところ、
<投資対象として品定め>された結果だったりする。
資本主義社会に欠かせない側面のため、
大半がそうであっても不思議でない。
現に、有望な投資物件(特に土地)によく使われる。
“an up-and-coming Hollywood actress”
(前途有望なハリウッド女優)
“up-and-coming young ball players”
(前途有望な若手の野球選手たち)
“She is an up-and-coming author.”
(彼女は新進気鋭の作家である。)
“I think his team is up and coming.”
(彼のチームは前途有望である。)
“This company is up and coming. ”
(この会社は前途有望である。)
“Rich people are looking for homes in
up and coming neighborhoods.”
(富裕層は前途有望な地区にある家を探している。)
“This area seems to be up and coming.”
(この地域は前途有望に見える。)
–
–
【類似表現】
“In the making”
https://mickeyweb.info/archives/19430
(製作中の、~の卵)