期待薄、大胆な試み
It’s a long shot.
(期待薄だ)
(大いなる挑戦だ)
ハイリスク・ハイリターンな挑戦を
表すことの多い可算名詞。
場合によっては、成功率がほぼ皆無。
一か八かのまぐれ当たりをねらう博打なので、
端的に「期待薄」。
競馬の “long shot” は「穴」を指す。
日本でも「ロングショット」という。
「LS指数」は、穴配当の的中を示す指数。
“a long shot horse” は「勝ち目のない穴馬」。
“long shot” = 大胆な試み
解釈と印象は、状況次第でどちらもあり
- ポジティブな「大穴(大もうけ)」
- ネガティブな「見込みなし」
“long shot“
someone or something with
very little chance of success.
(ロングマン、LDOCE6)
LDOCE6は、ネガティブな解釈のみ記す(上記)。
OALD9では、ポジティブな要素が加わる(下線)。
“long shot“
an attempt or a guess that is not likely to be
successful but is worth trying.
(オックスフォード、OALD9)
※ 下線は引用者
LDOCE6は「成功の見込みがほぼない人や対象」で、
身も蓋もない。
一方、OALD9は「試してみる価値はある」(下線)と続く。
やわな語感のある “long shot” だが、時事批評やニュース
論評の場で、冒頭の一文を見聞きすることは珍しくない。
◆ “long” には、形容詞・副詞・名詞がある。
語源は、古英語 “lang”(長い)。
全品詞の基本的意味は、カタカナ「ロング」と重なる。
すなわち、距離・時間・背丈などの長さが
長いことを指す。
ここでは、最も基本の「長い」距離を表す形容詞。
◆ “shot” の語源は、古英語「射撃」(scot)。
名詞・形容詞・動詞がある。
このうち名詞(可算と不可算を兼ねる)は非常に多義。
基本的意味は、
– 名詞「発射」「打撃」「憶測」「試み」
– 形容詞「玉虫色の」「擦り切れた」
– 動詞「弾丸を込める」「試みる」(他動詞)
※ “shoot“(撃つ)の過去・過去分詞形 “shot”
とは同根であるが、厳密には区別される
ここでは、名詞「打撃」。
サッカー・テニス・ビリヤードなど球技の
「ショット」と同じ意味合い。
可算名詞なので、不定冠詞 “a” がつく。
関連表現の “Give it a shot.“(やってみれば)
の “shot” は「試み」。
“a long shot” でも「試み」と解釈できなくもない
が、こちらは “long” 込みで初めてイディオムをなす。
片や、”Give it a shot.” には形容詞がない。
“shot” 自体が「試み」を意味する。
以上より、”long shot” の直訳は「長い打撃」。
可算名詞なので “a long shot” が通例で、
複数形は “long shots” となる。
語源は、長距離から標的を狙う様子。
まさに「長い打撃」。
カタカナ「ロングショット」は、
ゴルフの<長打> や被写体を遠くから撮影する
<遠写し>を指す。
いずれも、難易度の高いテクニック。
うまくいけば素晴らしい。
先の OALD9 の描写する通りである。
◆ 使用上は、be動詞に続くのが基本パターン。
すなわち、be、am、was、been、will be、
is、were、are などの直後に置く。
- “It’s a long shot, but it might work.”
(期待薄だが、うまくいくかも。) - “I know that’s a long shot, but I want to try it.”
(見込みないのは分かっているけど、トライしたいの。) - “This no longer seems like a long shot.”
(これはもはや期待薄に見えない。) - “I will bet on a long shot.”
(見込みはないけど、賭けてみるわ。) - “I won’t take long shots.”
(危険な賭けはしないの。)
◆ “by a long shot“(断然)
→ “by far” と同義
- “He is the biggest troublemaker we had by a long shot.”
(彼はこれまでの問題児で断トツだ。) - “She is smartest by a long shot.”
(彼女は断トツで優秀だ。) - “He is late by a long shot.”
(彼は断然遅い。)
◆ “not by a long shot“(全然~でない)
→ “not at all”、”not in any way” と同義。
副詞 “not” の代わりに、縮約形の否定でもよい。
- “The feud isn’t over by a long shot.”
(紛争は全然終わっていないよ。) - “They didn’t win by a long shot.”
(彼らは全く勝てなかった。) - “Not by a long shot ! ”
(とんでもない!)(絶対だめ!)(そんなばかな!)