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Hands-on

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直接関与する、  実地の、  実用向けの


He is a  hands-on  dad.

( 彼はイクメンなのです。)


「 イケメン 」 ではなく、「 イクメン 」。


 いくメン 【育メン】

[ 育児とイケメンの合成語 ]
俗に、子育てを積極的に楽しむ男性。



イケメン

容姿がすぐれている男性。
[ 若者語。「 いけてる( = カッコイイ ) 」
の略に 「 面 」 あるいは 「 メン(men)」 を
つけたものといわれる ]


『 大辞林 第三版 』
松村 明(編集)三省堂、  2006年刊
( 物書堂  アプリ版 )


13年後の第四版では、 語釈が練り直されている。


 いくメン 【育メン】

[ 育児とメン( men = 男 )の合成語 ]
子育てに積極的に取り組む男性。
イクメン。



いけめん

容姿がすぐれている男性。
[ 普通「 イケメン 」 と書く。
「 いけてる( = カッコイイ ) 」
の略に「 面 」あるいは「 メン(men)」を
つけたものといわれる ]



『 大辞林 第四版 』
松村 明(編集)三省堂、  2019年刊
( 物書堂  アプリ版 )
<三省堂HP>


「 イケメン 」 は、 次の通り、2018年1月発売の
『 広辞苑  第七版  』 にも初登場。

「 イクメン 」 は未掲載。


いけめん 【いけ面】

( 「 いけてる 」の略「 いけ 」と顔を表す「 面 」
とをあわせた俗語か。 多く片仮名で書く )
若い男性の顔かたちがすぐれていること。
また、そのような男性。


『 広辞苑 第七版 』
新村 出(編) 岩波書店、  2018年刊
( ロゴヴィスタ  アプリ版 )


いきなり 「 イクメン 」 「 イケメン 」 の語釈。

その理由は、 ” hands-on ”  の ニュアンス

うまく具現する姿が 「 イクメン 」 と考えるため。

ー-

 

これはイメージ。    あくまでイメージ。

「 イクメン 」 の現実は、 大変な模様。

『 大辞林 』 第三版から第四版の語釈の変化が、
13年間の世相の変化を示唆している。

ワーキングマザーとは違った性質の葛藤も伴い、
人知れず苦しむ折も多々あるに違いない。

◆  ” hands-on ” は、形容詞。

名詞 ” hands ”  と  副詞 ” on ” をハイフンで
つなげて形容詞にした 「 複合語 」。

すなわち、「 複合形容詞 」( compound  adjective )。

<  ” hands-on ” の語源  >

初出は1969年。

比較的新しい。

というのは、もともとコンピュータ用語だったからである。

机上の知識でなく、  実際にキーボードを用いて、
現場でコンピュータを動かす様子

hands are on “( 両手が載っている ) の略。

キーボードは両手使いなので、 複数形 hands

それを、キーボード上に載せるので、
接触の副詞 on (上に)。

※  ” on ” を形容詞とする説もある

hands are on
※  ” are ”  は 「 be動詞 」

まさに、 実地訓練OJT ”  =  ” on-the-job training ”
の雰囲気。

【出典】

・ 『 ジーニアス英和大辞典
・ 『 NHK やさしいビジネス英語実用フレーズ辞典 』 2003年刊
・  語源サイト  https://www.etymonline.com/search?q=hands-on

■  なお、hands-off ( 不干渉、 口出ししない )
の類推による、 との説もある

・ 『 ランダムハウス英和大辞典 第2版


◆  成り立ちを詳細に述べたのは、以下の意味合い
に関係するからである。

現在、ビジネス用途では、

現場で自分の手を使い、 しっかり取り組むこと 」。

そこから、「 自ら直接関わること 」「 直接関与する 」。

ひいては、「 直接参加する 」。

これらは、 先述の 「 実際にキーボードを用いて、
現場でコンピュータを動かす 」 から生じる。

日本のプログラミングの教則本や講座でよく使われる
 ハンズオン  」 は、
実際に自分の手を動かして、実践的に理解できる解説
くらいの意味。

  英語学習者に推奨したい プログラミングの書籍紹介
( 図入り )

◆  さらに、 「 机上の知識でなく 」 の側面から、

以上より、同義の形容詞の代表格は、


” hands-on “


doing something rather than just talking about it.

( オックスフォード、OALD9 )

【発音】  ˈhændzˈɑːn


◆  その他、 マイナー用法として、 文字通り、
「 手動の 」 「 実際に手で操作する 」も意味する。

しかし、 日常的にはあまり出てこない使い道。

技術分野で使うカタカナ 「 ハンズオン 」 は、 この意味中心。

基本的に、” hands-on ” は、 ポジティブな印象  の形容詞である。

特にビジネス視点から見ると、ネガティブな要素は感じにくいはず。

「 イクメン 」 についても同様。

ただし、 「 直接関与する 」 → 「 何でも自分でやりたがる 」
とのよくない解釈もある。

これまたマイナー用法。

めったに見聞きしないが、 英英辞書には記載されている。


” hands-on “


a hands-on person is involved in something

and does not let other people do all the work
and make all the decisions.

マクミラン

※  下線は引用者

 

< 下線の参考和訳 >

他の人にはすべての仕事やすべての決断を
させようとしない。

→   自分で抱え込む、またはしゃしゃり出て、
他人から権利を奪う 煩わしい


◆  ” hands-on ” は形容詞なので、 名詞の前に置くのが大原則。

だが、 次のような使い方も珍しくない。

” hands-on ” は、名詞の前になく、 述語になっている。

自らが「 文の要素 」となる、「 叙述的用法 」の形容詞としての使い方。

この「 叙述的用法 predicative use )」の形容詞は、名詞を説明する。

「 名詞+動詞 」の後、 または「 名詞 」の後に来るのが原則。

英和・和英では「 叙述 」、英英では  ” not before noun ”
などと表記されている。

名詞前に置き、 名詞を直接修飾する「 限定的用法( attributive use )」
の形容詞と対をなす。

※  「 用法 」 の直前の 「 的 」 が抜けても同義

◆  よい機会なので、 ここで基礎文法のおさらい。

aware ” より、再掲する。

日本語の形容詞は 「 用言 」 の一つで、
単独で述語  になることができる。

  •  私は 悲しい
  •  彼女は きれい
  •  それが 楽しかった


太字は形容詞 ( adjective )。

「は」 と 「が」 は、 助詞postpositional particle )。

名詞・代名詞の後ろに置き、
他の語との文法的関係を示す語。

前置詞 ( preposition ) の反対の 後置詞 ( こうちし )。

それが、 日本語の助詞。    ※  後述

◇  『  』 の語釈全文を後掲

一方、 英語の形容詞は 「 be動詞 などの
助けを借りないと、 述語になれない。

日本語の形容詞に比べて、
力が弱いから。

  • I am sad.
  • She is beautiful.
  • It was fun.


黒の下線部が  ” be動詞 “。

※  be動詞 」  be、am、was、been、will be、is、were、are


要するに、英語の形容詞は、

  弱すぎて、述語として自立不能。

先述の文例を比べると、


< 日本語の形容詞 > 
単独で述語  〇  

強くて独立している ので「 助詞 」が欠けても可。

少なくとも「 話し言葉 」なら、大抵問題ない。

何もつかなくても、「 述語 」として、 立派に自立。

  私、悲しい
  彼女、きれい
  それ、楽しかった

  < 英語の形容詞 >  単独で述語  ×  

弱くて依存している
ので、「 be動詞 」などは 不可欠

よって、以下は完全に間違い。

×  I sad.
×  She beautiful.
×  It fun.

「 be動詞 」 などと 組み、述語になれば、名詞の前に限定
されないで済む
ということ。

” I like to be hands-on.” では、” be ”  が「 be動詞 」。

◆  ” hands-on ” は、公私不問で幅広く使われる。

辞書の指標では重要・頻出に至らないものの、後掲するように、
決まり文言として多用されるものが存在する。

冒頭の「 イクメン 」もこのパターン。

「 イクメン 」  =  ” a hands-on dad ” にかなり重なる。

◆  日本の厚生労働省が「 イケメンプロジェクト 」
を立ち上げたのが、2010年。

男性の育休取得率を上げる狙いがあった。

同年6月、「 イクメンという言葉をはやらせたい 」と
国会で発言した当時の労働大臣に端を発する。

そこから、「 育児に積極的な男性 」として、
一般社会に普及していった流れ。

” hands-on ” 以上に、成り立ちが作為的である。

したがって、 解釈によっては、「 イケメン 」が
” hands-on dad ” にならない場合もありうる。

その逆も然り。

一般的なニュアンスの一致として、< ほぼ同義 >
くらいに考えていただければと思う。

◆  次の7つは、 辞書の例文に頻出な上、 実際に活用
されている言い回し。

  • hands-on training
    hands-on course

    ( 実地訓練 ) ( 実地講座 )

    実機に触れる ことを主眼とする教育訓練や講座。

    既述のように、 日本のプログラミングの教則本や
    講座でよく使われる 「  ハンズオン  」 は、
    実際に自分の手を動かして、実践的に理解できる解説
    ほどの意味。

    一方、” OJT ” ( on-the-job training ) は、
    現場で  働きつつ  仕事を覚えることが趣旨。
  • hands-on experience
    ( 実地体験 )

    ※  無冠詞の不可算名詞が通例
  • hands-on management
    ( 実務にも 直接従事する経営陣 )
  • hands-on manager
    ( 実務にも直接従事する、プレーイングマネージャー )

    ※  否定的な解釈では、実務まで微細に管理しようとする、
    うざい マネージャー
  • hands-on parenting
    ( 積極的な子育て )

    ※  ” hands-on parents “( 子育てに積極的な両親 ) も同様
    ※  片方の親なら、 複数語尾 ” s ”  なく  ” a hands-on parent “
  • hands-on activities
    ( 体験活動 )

    ※  教育課程としてのボランティア活動など
  • hands-on approach
    ( 現場主義 )

” hands-on ” の成り立ちを押さえておけば、
7つとも理解は難しくない。

 

【関連表現】

hands down
https://mickeyweb.info/archives/26312
( 楽々、 断然 )


◆  日本最大の国語辞典   の名を誇る 『 日国 』。

「 助詞 」 全文は、 以下の通り。



日本国語大辞典 第二版 』 第7巻、 p. 357.
小学館( 2001年刊 )

※  傍線は引用者


おまけに、「 形容詞 」 全文。



日本国語大辞典 第二版 』 第4巻、 p. 1287.
小学館( 2001年刊 )

※  傍線は引用者


緑の傍線が、 既記の

英語の形容詞は「 be動詞 などの 助けを借りないと、述語になれない

に該当する。

◆  英語も「 印欧語 」。

インド・ヨーロッパ語族( the Indo‐European languages )とも言う。

インド・ヨーロッパ語族系統図


画像の拡大

【出典】  小学館 日本大百科全書 ( ニッポニカ ) より



「 印欧語 」 と 「 形容動詞 」 は、 ” conclusive ”  で取り上げている。

◆  日本語の文の種類は、3種類に大きく分けられる。

1.  名詞文
2.  形容詞文
3.  動詞文


1.  「 名詞文 」  →  述語に名詞が使われる

1-1   私は学生です。
1-2   父は今ニューヨークです。

2.  「 形容詞文 」  →  述語に形容詞または形容動詞が使われる

2-1   富士山は美しい。(形容詞)
2-2   京都は有名である。(形容動詞)

3.  「 動詞文 」  →  述語に動詞が使われる

3-1   彼はそこに行きました
3-2   私は昼食を食べました

上記を英訳してみる。

青字は動詞 ( 下線部は 「 be動詞 」 )。

1-1   I am a student.
1-2   My father is in New York now.

2-1   Mt. Fuji is beautiful.
2-2   Kyoto is famous.

3-1   He went there.
3-2   I ate lunch.

– 
動詞が「 3. 動詞文 」に用いられることは言うまでもない。

ところが、

「 1. 名詞文 」 と 「 2. 形容詞文 」 にも
動詞 be動詞 ) が使われている。


日本語の「 1. 名詞文 」「 2. 形容詞文 」には動詞はないのが普通なのに、

英語になると、必ず 動詞 が出てくる。

名詞文 」 「 形容詞文 」 「 動詞文
すべて に、 英語では 動詞 が使われる。


日本語と英語の大きな違いである。


【参照】  日本語と英語の違い  ( 図入り )

 

 

 

 





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