プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Conclusive

      2022/09/26

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 16 minutes

決定的な、   最終的な

  • Martian landslides not conclusive evidence of ice
    ( 火星の地滑りは氷の決定的証拠ではない )
  • X report fails to offer conclusive evidence
    ( Xの報告書に決定的証拠の記載なし )

  • Conclusive evidence leads to arrest for 2018 rape
    ( 2018年暴行事件の逮捕に至る決定的証拠 )

  • No conclusive evidence that death penalty has deterrent effect
    ( 死刑が抑止効果をもたらす決定的証拠なし )

  • Conclusive Evidence the 9/11 Planes were NOT REAL
    ( 同時多発テロの飛行機が本物でなかった決定的証拠 )


鮮烈な見映えで、 たちまち人目を奪う5文。

すべて先月2019年10月発表の記事見出しである。

それぞれ参考和訳を添えてみた。

心に響く明瞭さを際立たせるのが、” conclusive evidence “。

決定的証拠 」の意。

【参照】   ” smoking gun

英文を読む目が素早くとらえる  “ conclusive “。
日本語ネイティブの目に飛び込む「 決定的 」。

どちらも確固たる 存在感 を放つ。

どうや!

 


◆  ” conclusive ” の定訳は、「 決定的 」 及び 「 最終的 」。

【発音】  kənklúːsiv
【音節】  con-clu-sive (3音節)

” conclusive ” は、 形容詞。

「 決定的 」 と 「 最終的 」は、 形容動詞

形容動詞( けいようどうし )とは、 日本語の品詞のひとつ。

国語辞典などでは、「 形動 」 と略記する。

英語では、 “ adjective verb ”。

形容詞 と 動詞 が合体して、 “ adjective verb ”。

額面通り、 形容動詞 は 形容詞に重なる要素が多い。

形容詞との最大の違いは、 次のような 「 活用 」 にある。

  •  形容詞  →  「 ~ である 」 をつけることができない 
    【例】  × 小さい である 」    × 臭い である
  •  形容動詞  →  「 ~ である 」 をつけることができる 
    【例】  決定的 である 」    最終的 である
    ※  文語由来の「 タルト型活用 」を除く( 命令形「 ~ たれ 」など )

日本語教育では、 形容詞は 「 イ形容詞 」、 形容動詞は「 ナ形容詞 」。

名詞を修飾する際、 その直前が各々「 い 」、「 な 」 になるため。

  •  形容詞  =  「 イ形容詞 」  =  「 イAdjective 」  =  「 イA 」
    【例】   「 小さ 靴 」   「 靴 」
  •  形容動詞   ナ形容詞 」  =  「 ナAdjective 」  =  「 ナA 」
    【例】   「 決定的 証拠 」   「 最終的 証拠 」


◆  日本最大の国語辞典 と名高い『 日国 』がこちら。

「 形容動詞 」全文である。


日本国語大辞典 第二版 』 第4巻、 p. 1288.
小学館( 2001年刊 )より転載

※  傍線は引用者


「 形容詞 」 全文は、” aware ” 末尾に掲載中。

目を通しても意味不明。

そもそも「 形容動詞 」 なんて聞いたことない。

こんな風に感じたら、日本語の基礎文法が分かっていないかも。

  • 英語の「 形容詞 」は勉強していても、
    国語の「 形容動詞 」を知らない。
  • OED ( “ Oxford English Dictionary ”  第2版、 全20巻 ) は耳にするが、
    日国 ( 『 日本国語大辞典 』第二版、 全13巻 + 別巻 ) は一向に不知案内。

日本の義務教育では、英文法を基礎から丹念に教える。

片や母語の文法はおざなりの感がある。

なんだか惜しい。

  日本語能力を育んだ上での英語教育  

盤石な母語あっての外国語


この点をきちんと理解しないと、 とんでもない事態を招く。

◇  『 日国 』 と ” OED ” は入手済み   →   辞書の「自炊」と辞書アプリ

◆  これから、 しばし話が脱線する。

ご参考までに、 体験談をご紹介してみたい。

先日( 2019年11月1日 )、土壇場で導入延期された
大学入試用の英語民間試験にも関連する。

【 追記 】
2021年7月、 2025年以降の導入断念を正式公表( 文科省 )



「 上から目線 」 に注意しながら、 私の見解を述べる。

過去40年余りで、日本語の読み書きに苦労する帰国子女
やインター出身者の大勢( 3桁 )と接してきた。

※ 「 インター  」 =  インターナショナルスクール( 主に日本国内 )

悲惨に尽きる。

れっきとした日本人なのに、 読み書きに相当問題がある
せいか、 陰で「 変な外人 」呼ばわりされていたりする。

以下、 ” once and for all ”  より再掲。


職業柄、 外国生まれの日本人と関わる機会が多い。

日本語で正規の教育を受ける機会のほとんどなかった方は、
日本語の日常会話に( 一見 )不自由はなくても、
和文を書くことが苦手なケースが大半である。

例えば、 日本語の聞き取りを「 ローマ字 」で書き取る。

日本語をペラペラ話しているように見えるのに、
自分の話している日本語を「 ひらがな 」「 かたかな 」
で書き起こせない。

漢字については言わずもがな。

和訳も難ありで、 口頭で一通り和訳できても、
それを文面に落とすことができなかったりする。

和文を読み上げてあげると、立派な英訳に仕上げる。

にもかかわらず、 その和文原文を、満足に読めない。


「 この人の頭は、 どうなってるの …

間近で従事すると、 良くも悪くも驚く。

在外教育施設( 日本人学校 )の先生方と話すと、
似たような話で持ち切りになる。

素人目には 奇怪に映るが、 決して珍しくない事例。

こんな有様を 「 バイリンガル 」 と称せるか。

アニメ・映画・ドラマを観まくって、 日本語が堪能になる
外国人もいるが、 同程度の日本語が書ける人は皆無な印象。

このタイプは 「 聞く・話す 」 特化型 が中心を占める。

先述したように、 まったく書けなくても、 なんら珍しく
ないのだが、 世上にはなかなか流布しない裏事情であろう。

 

◆  日本語の4技能 ( 聞く ・ 読む ・ 書く ・ 話す )のうち、
最も難易度が高いとされるのは 「 書く 」。

【参照】   ” Please be aware that – ”


日本語ペラペラの YouTubers の動画を観ていると、
ネット検索かける際に、 日本語ではなく母語の英語
を使っていたりする。

日本関連の調査をするには、 日本語で検索する方が格段に
効率的なのだが、 どうやら 「 書く 」 のは不得意なのか。

  しげしげと観察すれば、 察知可能
→  川端・芥川・三島が読めても、 ほとんど書けない人も多い

◆  第一言語( 母語 )は、 環境・知能などに問題がなければ、
自然に習得できるよう 「 人間の本能 」 にプログラムされている。

普通に育った子が、 文法を勉強する前から、 母語となる現地語
を話せるようになる、主な理由である。

特殊な環境・才能に恵まれた人であっても、 厳密に検証すると、
彼らの一部は、  なんと 「 セミリンガル 」( 後述 ) に分類
されることもある。

 

◆  母語と外語とでは、 習得過程が異なるため、 特殊な環境・
才能に恵まれた人を除けば、 読み書きを含む文法を別途
学ばない限り、 外語としての「 4技能 」は身につかない。

このため、 英語ネイティブの児童向けの教材を用いた成人の
英語学習は、 表面的には合理的に思えるものの、 必ずしも
合目的とは言えないと感じる。

ネイティブ児童の発音ルール 「 フォニックス( phonics )」
を取り入れる手法と同根の難点。

母語と外語の習得過程を区別しておらず、 前提がおかしい。

 

◆  日本語ペラペラの外国人が用いる日本語の講演原稿・台本・
台詞・カンニングペーパーが、 ローマ字表記で構成される
場面は少なくない。

ひらがな・かたかな・漢字では、 充分読めないらしく、
和文原稿をローマ字変換する作業を私は何度も担当した。

まさか、 ローマ字原稿だなんて、 視聴者には思いもつかない。

初めて目にすると、 息が止まるほど、 びっくり仰天する原稿。

舞台裏 のすっぱ抜き話でなく、 ざらにありふれた手順なのだ。

口上はうまく、 いささかのよどみもないのだから、 さすが。

しかし、 「 日本語の達人 」 と称するには、 まあまあ微妙。

中級以上の英語に熟達している日本語母語話者の英文原稿は、
ほぼ例外なく原文の英語のままであり、 著しく対照的である。

中級者は、 ちゃんと英語で読める。

表音のみで表意文字を持たない英語と、
表音・表意を併用する日本語の特異性。

語学上、 看過できない懸隔である。

脳内で 「 表意文字 」 を同時処理しきれないからだと考えられる。

【原文】 日本語 ( 表音・表意 )  →  【変換】 ローマ字 ( 表音 )

こういった実情は明るみに出ない。

語学力を判定するには、 「 4技能 」 を万遍なく精査すること
が望ましい。

以下、 ” no need ”  より再掲。


英語を盛んに使って仕事する実務家は、 TOEIC に構わない方が大半。

天下に威勢を示す TOEIC の弊害を、 苦々しく受け止める人も目立つ。

高得点なのに即戦力から程遠い、 多数の社会人にお会いするとこうなる。

洋画どころか、 定例会議で聞き取れないのだから、 発言には至らない。

まるで冗談だが、 よくある実話。

ナレーターやキャスターら、 プロのしゃべりに慣れてはまる、落とし穴。

プロ音声と違い、 速度も口調も間合いも容赦のないのが、リアルな社会。

もごもごしてる間に、びゅんびゅん意見が飛び交い、スルーされてお終い。

敢えないものである。

一体、なにを試験してるのか、 との疑念と警戒心が沸き起こってくる。

「 TOEIC満点 」 と自惚れを口走れば、 笑い者にならぬとも限らない。

話題の糸口になりえないくらい、 皆一様に歯牙にも掛けない印象。

「 すごいけど、 よくそんなヒマあるな … 」  本音はこんな感じか。

「 録音相手に、 なにやってんのやら … 」  空しくならないのかねぇ。

生身の人間相手に勤しんでくれば、 人為的な匂いを敏感に嗅ぎ取る。

「 ごっこ遊び 」。

人間相手に英語を使う機会が増えてくると、 こう感じるようになる。

録音音声は模造品にすぎないと、 まざまざと実感できるようになる。

実際にやり取りして得る体験は、 試験とは別物であることが分かる。

容易に感づく。

試験と違い、 理解できなければ、 確認させていただくこともできる。

羨望の的となる 「 TOEIC満点 」 を誇負する振る舞いが、 大概の
実務家の目にどのように映っているか、 ご想像いただければと思う。

◆  どの言語習得も不十分で、 運用能力が欠如した状態を、

 セミリンガル  」 または 「  ダブル・リミテッド  」という。

  • 接頭辞  ” semi ” ( 半 ) + 形容詞  ” lingual ” ( 言語の )
  • 形容詞  ” double ” ( 2重の ) + 形容詞  ” limited ” ( 限られた )

日本語も英語も、そこそこできる。

けれども、聞く・読む・書く・話す の「 4技能 」が、どれも中途半端。

そのため、渡世に通用しない。

そうした生徒さんの作文を引用する下記記事を、ぜひご覧に入れたい。

【参考】 –  ※  外部サイト

母語を学ぶことと外語を学ぶこと
http://qianchong.hatenablog.com/entry/2014/08/02/000000
2014年8月2日付

◆  日本の英学界に偉大な貢献を果たした、 抜群に優秀な頭脳の持ち主、
神田乃武 ( 1857-1923 ) と  津田梅子 ( 1864-1929 ) のお二方さえも、
帰国後しばらくは、 日本人のご家族と話すために、 通訳者を要していた。

漁船遭難後、 生還し、 江戸幕府に登用された ジョン万次郎 ( 1827-1898 )。
日米和親条約の締結に携わり、 官立機関の教授としても大活躍したものの、
来日した旧友と再会した晩年は、 通訳者なくして英会話が成立しなかった。

 

◆  職場であれば、 日本語ネイティブに陰口をたたかれ、
邪険にされても致し方ない。

仕事がやたらと増えてしまうからである。

一緒に働く と、 その厄介さがよく分かる。

繁忙期には、 とりわけ頭にくる。

–   いい年して、なに学んできたんだよ
–   でもきっと、ご本人のせいだけでない。
–   たぶん、環境にも問題があったのだ。

同情するとはいえ、 後の祭 に近い。

残念ながら、 改善は現実的に困難。

努力できる方なら、 社会に出る前に手を打っているはず。

さらに、 海外を拠点にして働く選択肢もあったに違いない。

そうしないのには、 訳ありの事由が潜んでいる模様。

言葉の面にとどまらない、基礎学力の不足  が典型。

特に、抽象的思考 の感覚がつかみにくい様子が見受けられる。

こうなると、概念・観念 に関する抽象的表現は望むべくもない。

憶測 にすぎないとしても、 ともに働けばおおよそ見当がつく。

プロジェクトなどで、 頻繁にやり取りするまでは、 判明しがたい。

談笑だけでは見て取れず、 はたと行き詰まってから驚愕するはめに。

協同一致して、 事に当たる関係者にとっては、 頭が痛く怖いこと。

やや込み入った段取りが生じるたびに、 トラブルが相次いだりする。

◆  そのような方とのチーム業務は、 極力避けていることを潔く白状する。

聞き苦しい弁解は皆の迷惑になるため、 都合を並べ、 ひたすら逃げる。

あの異様なプライドに気を配りつつ、 質の高い業績など私には不可能。

ご当人の 一生 が左右されるとすれば、 酷なものだ。

「 言語獲得の 臨界期( りんかいき )」、
” the  critical period  of language acquisition

の存在をふと思う。

◆  周囲のモノリンガルの英語ネイティブが、 こうした問題
に気づかないことは、 ままある話。

それをよいことに、 真っ当な 「 バイリンガル 」 になりすます、
詐欺師 顔負けのしたたかさを発揮する輩も見かける。

日本人の同僚を一層怒らせるのは、 言うを俟たない。

※  日本社会で目につくのは、 逆パターンの「 英語ができるふり 」。

私の知る限り、「 本物の 」バイリンガルたちは、 総じて勉強熱心で、
ひたむきに努力している。

語彙運用の奥深さに知悉しているゆえ、 謙虚に学び続けている。

◆  敬語がおぼつかなければ、日本人顧客の対応は任せられない。

辛うじて電話応対はできても、ビジネス文書を独力で書けない。

となると、事務職系の社会人としての一人前の成果は、ほぼ期待できず。

結果的に、「 変な外人 」 扱いされても不思議はないのである。

極度に中途半端なちゃんぽんより、 モノリンガルの方がベター。

「 セミリンガル 」、「 ダブル・リミテッド 」の果てしない悲哀
を目の当たりにしてしまうと、 こう思わざるをえない。

2022年現在、 実社会の各種手続きは、  国際的に見ても、
手堅い文書主義( 電子文書 含む )が、 依然として顕著。



◆  世間一般の想像以上に、

  母語は、思考の根幹 をなす。

 

人間は、 多くの場合、 言語を用いて考える。

「 思考の土台 」は、 本能的に習い覚えた第一言語、 すなわち母語。

日本語を大切にしなければ、 と強く願う。

【参考】 –  ※  外部サイト

◆  現場の実態をよく知らない、 一部の学者・教育者が、
無責任な邪論を垂れ流している傾向がみられる気がする。

殊に、脳科学者の 茂木健一郎 氏 ( 1962- )のバイリンガル教育
の考え方には、 危険な論説が少なくないと私は考えている。

茂木博士の英語学習法は、 概ね有益と感じるのだが、幼少期
の英語教育となると、 一転して重大な疑問点が浮かび上がる。

いい加減な発言の代表例は、 以下の通り。

  •  バイリンガルの子も「 日本語は日本語 」「 英語は英語 」と
    文脈で判断して 瞬時に切り替えられる ので 最終的には混ざりません。
    だから 「 子どもをバイリンガルにしても 何の問題もない
    というのが 脳科学的な見解ですね
  • 「 英語をやると日本語ができなくなる 」といった理論に対し 〕
    その心配はないでしょうね。  世界を見渡してもバイリンガル環境
    で育つ子どもは ごくごく普通にいる でしょう。

https://president.jp/articles/-/27362?page=4

茂木健一郎   ” 日本人が英語を話せないワケ ”
2019年1月24日付

※  太字・ハイライトは引用者


もう無茶苦茶で、 嘆かわしい。

「 脳科学的な見解 」 ?

過度に一般化( overgeneralize )していないだろうか。

セミリンガルの苦難と痛ましさを、 常日頃から肌で感じ取る立場にいる
当事者であれば、 のけぞりたくなるくらいの稚拙な暴論であると考える。

とんちんかんだわ。

怒りすら覚える。

 

◆  思うに、英語の不得手な日本人が数多い主要因は2つ。

1) 言語的に完全に別物の日英
2) 日本語のみで支障ない日常


英語教育の内容の良し悪しではなく、上記2つが 根本原因

教育はきわめて大事だが、問題の根源はそこにはない。

よく聞く「 受験英語の弊害のせい 」とも、私には到底思えない。

こんな皮相浅薄な論調が、平然とまかり通っているのが信じがたい。

ラテン語・ギリシャ語などを語源の柱とする 印欧語族 では、
英語学習上の手掛かりを、母語から豊富に得やすい


印欧語族

=
  インド・ヨーロッパ語族
the Indo‐European languages 

  • ” French and English are the Indo‐European languages. ”
    ( フランス語と英語は 印欧語族である。)

インド・ヨーロッパ語族系統図


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【出典】  小学館 日本大百科全書 ( ニッポニカ ) より


◆  他方、 日本語ネイティブの場合、 糸口を得られる機会が極端に少ない。

言語系統が別次元なので、 アルファベットの書き方から学ぶことになる。

日本語は、 3重表記 ( ひらがな、かたかな、漢字 )。

文字表記はおろか、 発音・音節・アクセント・文法・語順  にも、
共通点は見出しにくい。

見事なまでに重なり合わない、 と言っても過言ではない。

類似点すら、 ないないづくし。

◆  おまけに、 英語もじりの和製語が無数定着した挙句、 混乱を招いている。

和製語はユニークな傑作が目立つものの、 英語学習中は邪魔になりがち。

大意をつかむ上では確実に役立つ外来語とはいえ、 いざ英語に適用しようと
すると、大づかみの事前知識の存在が、 かえって難易度を上げる印象がある。

発音と音節についても同様で、 音節の日英比較は ” integrity ” に記した。

ざっくりと意味を把握しやすい特長は便利であるが、 両言語間の文法の
壁を乗り越える力量に欠けるのが、 一般的なかたかな語だと私は考える。

かたかなで学ぶ英語学習法は、 昔から出ては消えての繰り返しで、 正統
な手法として浸透しなかった理由に、 このような理屈があると推察する。

本当に効果があるならば、 日本人の英語力は今とは違う形になっていた。

日英の文法に精通している指導者は、 きっとお勧めしない学習法である。

【参照】   詐欺教材大国の日本、  英文法の参考書 『 一億人の英文法 』

両言語の性質上不利な条件が ずらり勢揃い


英語能力の国際比較に一喜一憂した挙げ句、
教育や入試の中身ばかりに責を帰する姿勢を改め、
我が国特有の背景と不都合な側面を再検討すべきである。

日本語母語話者が、宿命的に課せられた立ち位置
を深掘りすることなくして、英語教育の議論は進まない
と考える。

※  日本語母語話者  =  日本語ネイティブ

 

■  母語が日本語だと、英語習得のハードルは、恐ろしく上がる


日本語の起源 は、 今なお解明されておらず、 孤立言語 とされる。

【参考】   英語は、 5世紀のドイツ語の方言      ※  外部サイト

英独仏を含む印欧語族に、 縁もゆかりもないと論証されている。

  言語間の本質的な違いを、 しっかり認識することが肝要


印欧語族向けの語学力の国際指標 「 CEFR(セファール)
を、 日本人学習者にそのまま当てはめる無謀さが情けない。

【参考】 –  ※  外部サイト

・  CEFRとの対照表  ( 文部科学省 )    ※  リンク切れ
・  CEFRと言語レベル / 動画  ( ブリティッシュ・カウンシル )  5分29秒

大雑把に、印欧語族の英語とドイツ語を 「 兄弟 」 に例えると、
孤立言語で身元不明の日本語は、さながら 「 宇宙人 」。

「 兄弟 」と「 宇宙人 」を単純比較できるか 

異質すぎるわ


Disparity between English and Japanese 



◆  一方、 中国人には英語堪能な方が多いとの反論がある。

確かに、 中国語は日本語と同じく、印欧語族に属さない。

しかし、 日英に比べれば、文法と語順が似通っていることは検証済み。

中国語( Mandarin )を大学の第二外国語で学んだ際、 自ら実感した。


◆  英学界の巨人、 斎藤秀三郎 ( 1866-1929 ) のたまわく、

  • ” English, though a comparatively easy language,
    is far from being so to the Japanese student.
     ”
    ( 英語は比較的平易な言語であるが、日本人学習者に
    とっては、平易から程遠い。 )
  • ” a pronunciation wholly alien to that of his mother-tongue ”
    ( 母語の発音に対し、完全に異質な発音 )


p. 5.  “ PREFACE ”

『 正則英文教科書 第4冊 ( 第4学年用 ) 』
斎藤 秀三郎 (著)
興文社、  1908年刊

※  斎藤 秀三郎は、世界初の EFL辞典を生んだ 影の立役者
→  辞書は「 紙 」か「 電子版 」



  ◇  英独仏を含む、 大規模な印欧語族 ( インド・ヨーロッパ語族 ) を
母語とする学習者と異なり、  母語が日本語の私たちは、

  手掛かり・足掛かり が全然つかめない

文字表記発音・音節・アクセント・語順  はほとんど重ならない。

舌・唇・歯・呼吸間の相互作用  が大違いで、 発音時の口周りも異次元。

言語面にとどまらず、 物事の見方を左右する、 文化的な違いも天地。

だから、 「 異文化理解力 」  も身につけなければならない。

 

  母語 = 日本語の宿命を担うと、

  英語習得はやたらと難しくなる。


  母語が 「 踏み台 」 になってくれないから

 

やること多すぎ

母語に比べて、 「 言語系統が別次元 」 とは、 こういうこと。

母語に存在せず、 イメージしずらいことだらけなので、
どうあがいても理解できない。

 

◆  再び、 ” no need ”  より再掲。


◆  日本語と英語の埋めがたい差異を踏まえると、 日本語で
英語をどこまでも理解しようとする 思惑そのものがよくない。

日本語は、 英語習得の 「 踏み台 」 になりにくい言語

強引に結びつける熱意自体が、 激しいストレスを作り出す

無理強いして、 嫌がる男女をくっつけようと奮闘するかのよう。

相性悪いんだから、 やめとけ !



初級を卒業し、 基礎単語・基礎文法を修得した 中級者 ならば、

日本語で詳細に解説するような教材よりは、 ぜひ早め早めに

力量相応の 「 生の英語 」 を中心に据える方が、

良好な結果を生む。

さもないと、 まともに英語を使うこともなく、  教材やるだけで人生が終わる。

教材大国ゆえか、 教本に依存したまま寿命が尽きる、 背筋の凍る未来像。

英語教育産業の思う壺。

英語教育業界と教材学習がもたらすリスクも、 ” no need ”  で暴き出した。

◆  加えて、 歴史的な影響も見逃せない。

欧米列強に植民地化されていた旧植民地の周辺諸国とは、
歴史も人口規模も大きく異なるのが日本。

その上、 地理的に孤立した四囲環海の島国なのが、 国土の自然的特色。

陸続きでない距離が外界を遮断し、 一定の安寧が自ずと確保されている。

この相対的隔離性が、 古往今来から外圧をはねのけ、 よかれ悪しかれ、
種種の方面に強力な作用を引き起こしてきた。

なによりも特筆大書すべき史実は、 有史以来、 植民地化されたことなく

外国の長期支配を受けずに済んだ恩恵が、 日本にもたらした結末である。

植民地支配を免れたばかりでなく、 世界帝国に組み込まれたことがない。

帝国秩序の埒外から、 異文化を取り込みつつ、 在来の独自性を維持できた。

もし植民地化されていれば、 思想・言論に厳しい統制が及んでいただろう。

それらを具現化する使用言語に踏み込まれるのは、 もはややむなきに至る。

 


ヨーロッパの植民地主義を逃れた 5か国
( 日本、 タイ、 韓国、 北朝鮮、 リベリア )




【出典】  https://www.vox.com/2014/6/24/5835320/map-in-the-whole-world-only-these-five-countries-escaped-european


※  日本語は追加 ( 拙訳 )

※  複数の異論あり

 

◆  この非情な運命は、 日本の前途に待ち受けていなかった。

徹底的な弾圧・迫害の脅威から無縁で、 他言語を無理強いされなかった。

そのおかげをこうむり、 国家の存続が危ぶまれる深刻な時局との直面
を逃れ、 国民全般の日常に外語が必須となる契機は発生しなかった。

こうして、 異質すぎて調和しがたい外来文化を、 否応なく受け入れる
危機的状況の回避と引き換えに、 当然の代償   として、

強制的ではあれど実用に足る外語習得の時機を逸した。

これが、 日本国民の実相なのである。


  古代いらい日本はたえず先進大陸文化と接触してきた。

しかしその文化受容は  異民族による征服をともなわず
したがって土着文化を根底から破壊するものではなかった。

( 中略 )

外国文化のたえざる受容にもかかわらず、日本は人種的
にも  文化的にもいちじるしく同質的であり続けた

( 中略 )

鎖国下の限定的な外国文化の受容は、国内における文化的
異質性を高めるよりもむしろ独自な日本文化の発展を刺激
する機能をはたした。

「 死の跳躍 」を越えて  西洋の衝撃と日本  』  pp.5-6.
佐藤 誠三郎 (著)
千倉書房、  2009年刊

 

  伝統を保持しつつ、 近代化を達成した日本

は、 国連の中では、 奇跡的な存在である。

同書  まえがき 「 新版の刊行にあたって 」
東京大学大学院法学政治学研究科教授
北岡 伸一 ( 1948- )


※  佐藤 誠三郎 ( 1932-1999 )の1992年刊
同題 名著( 都市出版 ) の新編集・復刊版

※  太字・ハイライトは引用者



◆  また、出生率低下により、 人口減少の局面に入ったといえど、
総人口は1億2600万超で、 世界第11位   を誇る ( 2020年 )。

【 出典 】
総務省、  世界銀行、  国連世界人口白書、  国立社会保障・人口問題研究所

  •  日本の教育人口も教育支出も、 小ぶりな国とは桁違い
  •  明治から150年以上、 堅実に積み重ねてきた教育制度
    →  英語教育の施策や成績も、 本来は同列に論じにくい


【参考】    ※  外部サイト

日本の英語力は非英語圏で53位 韓国や台湾、中国にも後れを取る
2019年11月9日付

◆  身内に英語ネイティブがいたり、職務上、英語が日々必要な方々は、
国民全体から見れば少数派。

諸説入り乱れる小難しい歴史話を抜きにしても、 事実として、
これまでそうだったし、 これからも大して変わらないであろう。

大多数を占める水準には、 今後も至らないと私は推断する。

終始一貫、 他国の直接干渉・本格介入なしでやってこられた、 日本の帰結

である。

大抵の日本人にとって、 受験資格趣味 に関係するだけ。

それが 「 英語の位置づけ 」。

この程度では、日本人全般に  有効な学習動機  にはなりえない。


人生には、 制約要因が付きまとう。

時間・資力・体力 をはじめ、 リソースには限りがある。

無論、 寿命も含まれる。

  自分の人生に不可欠となれば、 優先順位 は上がるが、
  なくてもさほど困らないものに、 敢えて投資しない。


これが、 一般人の合理的な判断であろう。

要は、 生存戦略上、 絶対なくてはならないものではない。

「 受験・資格・趣味に関係するだけ 」の英語の優先順位が、

日本人の生活の中で真に高まる時代は、
ついぞ訪れなかった。

日頃、自ら使う場面がめったに生じない
のだから、
英語が身につくわけない。


使える英語をものにしたければ、英語を使わざるをえない
環境に我が身を置くこと。

おそらく、どんな言葉でもそういうもの。

言語習得の決め手は、持続性。

一度学んだら終わりではなく、 使ってなんぼの世界。

期間限定の学校教育と異なり、 日常生活は恒久的。

人生とは、日常の連続に他ならない。

英語なんぞ使わなくても、 普通に生きていける日本国民の
「 合理的な判断 」に基づく成り行きが、現状の英語レベル。

文部省( 当時 )が、 1989年から推し進めた

コミュニケーション重視の英語学習指導要領

は、こうした環境下では形無しになる。

  •  基本、相手があっての意思疎通と情報伝達
  •  一体、誰との会話を想定しているのかしらん
  •  普段、使わずじまいのコミュニケーション

【参考】 –  ※  文部科学省 公式サイト

平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関する Q&A
< 外国語に関すること >

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs
/qa/__icsFiles/afieldfile/2019/11/18/1422433_001.pdf


とにかく、教育内容の問題よりも、原因はずっと簡単。

幸か不幸か、

 使わなくても、普通に生きていけるから、英語ができない  


これぞ、2つ目の根本原因。

◆  英語は、もとよりコミュニケーションの道具。

受験や資格の目的手段に用いるために、 存在するものではない。
こういう食い違いからして、 教育の在り方に仄暗い陰りが宿る。

一般人が気兼ねなく表現する際、 試験問題など念頭にないはず。

人間と情報をつなぐ単なるツールが英語。
通常、堅苦しく気張らなくてもよい対象。

英語に親しむと、 英語圏の硬軟自在な情報にアクセスしやすくなる。
出会いと可能性が地球規模で増すこともあり、 人生が彩り鮮やかに。

インターネットが普及し、 古今未曾有の度合いで身近に迫る世界。
英語発の情報を自ら取り入れられれば、 この世を見る目が変わる。

【参照】   「自分の世界」が広がる英語、  学びと動機と


◆  ところが、 我が国では 「 英語  →  受験勉強 」 と根を下ろした。

点数で合否が判定される、 つらくしんどい蛍雪の勤め。

上述の日本の歩みに従った首尾として、 不可避の限界  と考える。

◇  独立を貫き通した日本は、 独自の地歩に強みを持つ反面、

いかなる英語教育を施しても不自然さに突き当たってしまう。

◆  このような特性を加味した英語教育に欠かせない視点がこちら。

全国津々浦々の実態を掌握の上、未来への展望を勘案し、
 

  的確な落とし所 を見出し、
焦点を絞った  英語教育


先述の通り、 日本語が母語だと、 英語の初歩に到達するまでに、

「 やること多すぎ 」

それゆえ、 絞らないと。

 

これだけ押さえれば意思疎通は可能 」 な枠組みを、 もっとはっきり大胆に示す

英語に不案内で、 どこから着手すべきか迷う国民に、 明確な道筋と具体例をきっちり明示

誰もが手軽にアクセスできる 「 足掛かり 」 となる素材を、 国のお墨付きとして広く提供

英会話であれば、 使用場面を 「 訪日客の手助け 」 などに最初は限定して、 効果を測定。

過去150年以上に渡って蓄積した知見を活用し、 たたき台は短期・低コストで完成させる。



従来の方針を改め、 現場を熟知する人材の意見を重んじて、 学者はレビューを担当する。

パブリックコメント  を積極的に募り、 専門家以外 の懸念や提案も反映させて、盛り込む。

一般人向けの語学に関しては、 一般人の実生活の態様に疎い学者は必ずしも適任ではない

視座に大差が見られ、 学者に一任する限り、 いつまでも英語教育の抜本策を打ち出せない。

 

だいたい、 「 学者の頭脳 」 は一般人の頭脳ではないので、 着眼点は実用から外れている。

理想・理論を重視するためか、 コスト・時間感覚の独特な方が一定数おられる点も不向き。

先ほど少し触れた日本人学校の先生方の目線の方が確かであり、 はるかに実利的に感じる。

学者主導ゆえ 不首尾な成果が続く  と反省し、 民間人材及び実務家を中心に据えて進める。

学者の明晰な頭脳は、 レビュアー( reviewer ) として発揮される方が適材適所と考える。



所詮、 無理難題で不完全 になるのは自明なので、「 常用漢字 」に倣い、 定期的に手直し

受け手( 聞き手・読み手 )に どうにか
通じれば 「 自信 」と「 喜び 」 が湧く

 


まず相手に通じること
が、 言葉の主眼。

 

自己完結的な語学もあるが、 国民全般が対象の教育の主目的にはなりにくい。

税金をふんだんに投入する以上、 趣味的用途で終わるわけにはいかないのだ。

外部との相互作用がある方がなにかと張り合いになり、 刺激が増えて学べる。

 

何年勉強しても、 通じるレベルに達しないなら、

それは間違いなく 「 悲劇の英語教育 」 である。

 

母語も外語も、 受け手の理解度及び反応に寄り添い、 語彙運用する気遣い

が望ましい。

※  通訳現場で私が心掛けている対処法は、 ” perceive ”  でご紹介

真面目に頑張っても通じないのだから、 つまらない。

喜びが伴わず、 期間限定の 「 お勉強 」 で終わる。

 

当たり前の流れ。

多年に及ぶ、 汗と涙の刻苦勉励が、 あたら台無しに。

非常にもったいなく、  もう悔しくてたまらない。

あんなに頑張ったのに …    あの努力はなんだったんだ …

くじけて、 いじけて、 卑屈な人間が大量発生。

ひどい教育。

「 自信 」 と 「 喜び 」は、 「 生きる力 」 を生み出す。

学習指導要領  で唱えるならば、 こうやって習ってもらえばよい。



◆  しかも、 この種の「 自信 」と「 喜び 」が与える勇気は、 若い人に限らない。

じいさん、ばあさん、おばさん、おじさんをも勇気づけるのが、 意思疎通の達成

見知らぬ訪日客に、苦手な英語で道案内できた暁には、 我を忘れて、ルンルン気分。

とても感謝される人助けであるため、「 生きててよかったな … 」 と感じたりする。

両者ともども、必死に知恵を絞った末、終生忘れがたき出来事になりうるインパクト。

見ず知らず同士が気軽に声掛けできる、安心安全な国柄はもちろん、あらかた穏やか
で懇切丁寧な日本人の心遣いの現れ。

ことによると、 日本の美点が拡散され、 この上ない民間外交のきっかけにもなる。

これくらいの会話力を学校教育で目指し、成就できれば、英語教育の潮目は変わる。

日本人の幸福感に、 快活な刺激を及ぼすことだろう。

【参考】    ※  外部サイト

米大手旅誌の魅力的な世界の大都市ランキング2021、
トップ3を東京・大阪・京都が独占


Condé Nast Traveler Readers’ Choice Awards 2021

The Best Cities in the World ( 大都市部門 )

  • 1位:東京( 日本 )
  • 2位:大阪( 日本 )
  • 3位:京都( 日本 )

https://www.travelvoice.jp/20211006-149800
2021年10月06日付


Japan is a perfect destination for solo travelers, couples,
friends or families.
You feel safe everywhere,  at any time of the day.
Transport is incredibly efficient and reliable,
streets are always clean and there are plenty of lodging
and food options to fit any budget.

Top 9 reasons why foreigners are fascinated by Japan

https://japan.stripes.com/travel/top-9-reasons-why-foreigners-are-fascinated-japan
2022年2月26日付

【 参考和訳 】

「 外国人が日本に魅了される理由、トップ9 」

日本は、一人旅にも、カップルにも、友達同士にも、家族連れにも、
最適な旅行先です。
いつでも、どこでも安心安全です。
交通機関は信じられないほど効率的なので信用できるし、街はいつも清潔。
宿泊施設と食事の選択肢は豊富に用意されており、 どんなご予算にも
見合います。

◆  どうにも際限のない英語学習なのだから、「 これだけ押さえれば意思疎通は可能
な枠組み
のありかを見定めて、 実行できる体制を作ることこそ、 為政者の課題なのでは。

  • 公教育の場合、 現実と巧みに折り合う見識 が、
    なおさら問われる。
  • なぜなら、国内の 地域格差 と 経済格差 に配慮
    しなければならないからである。

regional and economic disparities
geographical and financial disparities
( 下記『 毎日新聞英語版 』 や  ” Japan Times ”
などの 使用語 )

https://mainichi.jp/english/articles/20191028/p2a/00m/0na/013000c
https://mainichi.jp/english/articles/20191101/p2a/00m/0na/002000c
https://www.japantimes.co.jp/news/2019/11/17/reference/outsourcing-english-tests


実に 難問 だらけだが、 灯台下暗しに知らんぷりのまま、
生徒をないがしろにしつつ、  高遠な理想を掲げても、
空転 は必至。

今回の英語民間試験の見直しを迫る流れを導いたのは、
幼稚な憧憬を打ち破る力を擁した、現場の本気である。

【 追記 】
2021年7月、 2025年以降の導入断念を正式公表( 文科省 )

本当は、英語はめちゃくちゃ楽しいのに …


できるようになっていくうれしさは、半端ではない。

あたかも、大好きなペットと話せるようになる喜び。

ペットと違って、 英語の使い手は 15億人 もいる。

英語母語話者( 英語ネイティブ )は、 世界の全人口の 約 5%

つまり、 世界の 95% の人にとって、 英語は母語ではない。

15億人の英語力は様々であることを体感できれば、 気が楽になる。

いつも見慣れている光景に、 新鮮な変化が訪れる。

心地が上向き、心身の調子が向上する感触の楽しさ。

経験すれば分かる。

 

◆  2021年夏、 東京オリンピックの最中に、 YouTube 動画
のコメント欄にあふれた文言が、

Welcome to Japan ! ”  ( ようこそ日本へ ! )。

選手らを歓迎する真心のこもった、 日本からの呼び掛けである。

このたった3語のメッセージが、 びっしり幾重に連なるコメント
欄をいくつも見つけ、 ある種の迫力とおかしみと感銘を覚えた。

かわいい絵文字や顔文字で差別化していたりする。

ほっこりすると同時に、 日本人の実直さを垣間見た。

コロナ禍の中、 遠路はるばる来日してくれた海外選手たち …
どうしても皆様を称えたい、 励ましたい、 感謝を伝えたい …

こういった大勢の日本人の熱い思いが、 英語でコメントする
勇気を奮い立たせたのではなかろうか。

いろいろ調べて、 やっとたどり着いた英語表現かもしれない。

生まれて初めて書いた英文コメントかもしれない。

使い慣れない英語で投稿する興奮と高揚は、いかばかりであろうか。

以上は勝手な推量であり、 これらの裏付けはかなわぬものの、
この際、そんなことはどうでもよろしい。

自発的・内発的な動機や感激が生む、意欲と行動力のすさまじさを、
ぜひとも力説させていただきたいのである。

やはり、 自ら英語を使ってみたいと思う日本人は、大人数いるのだ。

国民のやる気を、無下にあしらっている感のある英語教育を許すまい。

 

◆  ともあれ、 「 英語  →  受験勉強 」 で凝り固まってしまった
土壌が悲しい。

  英語に挫折したトラウマを抱える国民が数知れず
  それどころか、 過半を占める様相を呈している

  日本人に自信喪失をもたらしてきた英語教育
  「 教育 」の趣旨に反する、 国民への裏切り行為


やり方が根本的に間違っている。

  日本人の活力を奪う、 大いなる損失

なんとも歯がゆく、 もったいない。

渦中の英語民間試験については、 稿を改めて考察したい

  結局、 2年後の2021年に、 文科省は導入を断念した  

【参考】    ※  外部サイト

文部科学省、 2025年以降の英語民間試験の 導入断念を正式公表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE29CLA0Z20C21A7000000/
2021年7月30日付

 

教育は 国の発展の基盤 である

経団連

「 これからの教育の方向性に関する提言 」
https://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/003/honbun.html
( 社 )日本経済団体連合会
2005年1月18日付


◆  表題  ” conclusive ” に話頭を戻す。

【発音】  kənklúːsiv
【音節】  con-clu-sive (3音節)

語源は、ラテン語「 閉じる 」( conclūdere )の過去分詞形。

ここから生じた語が、動詞 ” conclude “。

【発音】  kənklúːd
【音節】  con-clude (2音節)


分解すると、

  •  con  →  接頭辞  ” com “「 完全に( completely )」 の異形
  •  clude  →  ” close “「 閉じる( to shut )」と同義
  •  conclude  → 「 完全に閉じる 」から「 終える 」の意

” conclude ” は動詞のみ。

  • 他動詞 「 完成させる 」「 結論する 」「 締結する 」
  • 自動詞 「 話を結ぶ 」「 結論を出す」「 合意に達する 」

「 終える 」の意味合いを保つので、割と分かりやすい。

” conclude ” の重要度・頻出度は、 取り立てて重要でも頻出でもない。

  • 重要度:<3001~6000語以内>
  • 書き言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
  • 話し言葉の頻出度:3000語圏外

形容詞 ” conclusive ” は、” conclude ” から派生している。
よって、格下と推測できるが、実際に全項目ランク外。

  • 重要 :9000語圏外  
  • 書き言葉の頻出:3000語圏外
  • 話し言葉の頻出:3000語圏外

いずれも、LDOCE6( ロングマン )の指標に基づく。

ただし、” conclusive ” と ” conclude ” の両方とも、
Academic Word List >( ※ )入りしている。

※  英語圏の大学教科書の頻出単語570語

おびただしい英単語の中では特筆に値しなくても、
教育・学問分野でそれなりに使われていることを示す。

そうでなければ、弊サイトでは取り上げない。


◆  ” conclusive ” の位置づけは、大したことない。

それでも、キーワードになりがちの形容詞である。

定訳の「 決定的 」 「 最終的 」には既に触れた。

  •  ” conclusive ”
    →  英語の「 形容詞 」( adjective )
  • 「 決定的 」 「 最終的 」
    →  日本語の
    形容動詞 」( adjective verb )

この辺りを説明した後、一気に脇道へ逸れてしまった。

今月2019年11月、英語民間試験延期の余波が連日報道された
ためか、想念がそちらに移ろい、” conclusive ” は 日々に疎し。

本筋から外れ、ぐるりと大回りしたが、読者様にとって
余計な寄り道であったとすれば、大変申し訳ない。

 

◆  「 決定的 」 「 最終的 」とあれば、日本語でも目を引く。

先に指摘したように、強い 存在感 は ” conclusive ” 同様で、
手早く結論を確かめる上で役立つ。

冒頭の記事見出し5本を、再度挙げる。

  • Martian landslides not conclusive evidence of ice
  • X report fails to offer conclusive evidence
  • Conclusive evidence leads to arrest for 2018 rape
  • No conclusive evidence that death penalty has deterrent effect
  • Conclusive Evidence the 9/11 Planes were NOT REAL

すべて実物。

中級学習者 の実力なら、 ひと目で大意をつかめるはず。

” conclusive ” を抜くと文意が変わるが、 差異を把握できるだろうか。

◇  「 見出し 」英語の解説は、ここが秀逸  ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

◆  仕上げは、3大学習英英辞典( EFL辞典 )。

要点にハイライトを引いた。

conclusive

  • showing that something is definitely true.
    OPP:  inconclusive
    ( LDOCE6、ロングマン )
  • proving something, and allowing no doubt or confusion.
    OPPOSITE:  inconclusive
    ( OALD9、オックスフォード )
  • proving that something is true, or ending any doubt.
    Opposite:  inconclusive
    ( CALD4、ケンブリッジ )

    【発音】 kənklúːsiv
    【音節】  con-clu-sive (3音節)


軒並み1文語釈で、 反意語 ( opposite 、opp. ) も一致。

inconclusive ”  は、
否定の接頭辞  ” in ” 「  不・非・無( not )」を
conclusive   に加えたもの。

【発音】  ìnkənklúːsiv
【音節】  in-con-clu-sive (4音節)


「 決定的 」「 最終的 」 を否定するので、
「 決定的でない 」「 最終的でない 」 の意。

既述の通り、 ” conclusive ” は語源に沿う。

多義ではなく、 反意語の意味もシンプル。

次の5つは頻出の言い回し。

辞書にもメディア報道にも、 判で押したように出てくる。

  1. conclusive argument
    ( 決定的な論拠 )
  2. conclusive evidence
    ( 決定的な証拠 )
  3. conclusive findings
    ( 決定的な調査結果 )
  4. a  conclusive proof
    ( 決定的な証拠 )
  5. conclusive results
    ( 最終的な結果 )

それぞれ 「 be動詞 」( 下線部 ) で言い換えた例は、

  1.  “I don’t think this argument is conclusive.”
    (この論拠が決定的とは私は思わない。
  2.  ”The DNA evidence was conclusive.”
    (DNA証拠は決定的だった。)

  3.  “New findings are conclusive.”
    (新たな調査結果は決定的である。)

  4.  “The proof has been conclusive.”
    (証拠は決定的とされた。)
  5.  “The test results were conclusive.”
    (テスト結果は最終的なものだった。)

※  「 be動詞 」  =  be、am、was、been、will be、is、were、are

 

反発買いまくった英語民間試験は、さしずめこんな具合かも。

  • “No one seems to be sure whether the outsourcing
    of English tests would be a conclusive solution to
    Japan’s English-language education system.”

 

 

 

 

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