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Back to square one

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振り出しに戻って、出発点に戻って


We’re back to square one.

(最初からやり直しだ。)
(振り出しに戻ったね。)


熱心に取り組んできたプロジェクトが無残にも
失敗に終わった時、厳しい決断を迫られる。

撤退するか、やり直すか。

これまでかけた労力とサンクコストが脳裏を
よぎり、何ともやりきれない思い。

やり直すと決めた場合、新規まき直しである。
その際「振り出しに戻って」と表現したりする。

この決まり表現の英語版が “back to square one“。

使用場面や伴う感情において、日英間に違いはないに等しい。
その上、表現にかなりの共通点が見られる。

そのため、身近で覚えやすく、容易に身につきやすい。

◆  ” square one ” は 「 振り出し 」。

ボードゲーム( 盤上ゲーム ) 由来の比較的新しい
表現である。

こちらには、初出は1960年と書いてある。


from the use of numbered squares in some board 

games.

First Known Use : 1960

【出典】 Origin and Etymology of “square one”

etymology = 語源

【発音】  ètəmɑ́lədʒi


四角のます目 ( square )の最初のます目は1番( one )。

だから、振り出しは “square one”。


ふりだし【振(り)出し・振出】

2. 双六(すごろく)の出発点。
転じて、物事の初め。
( 大辞林 第三版 )

※  語釈該当引用

 

◆  “ square ”  には、 名詞・形容詞・副詞・他動詞・自動詞がある。

【発音】  kwέər

多義な基礎単語である。

語源は、俗ラテン語「正方形にする」(exquadrāre)。
「正方形」は語源そのもの。

基本的意味は、

  • 名詞「正方形」「四角い広場」「2乗(平方)」
    ※ 円形の広場は “circle”
  • 形容詞「正方形の」「直角の」「2乗の(平方の)」
    「公平な」「互角の」
  • 副詞「四角に」「直角の」「公平に」「まっすぐに」
  • 他動詞「四角にする」「直角にする」「互角にする」
  • 自動詞「直角になる」「一致する」「身構える」

【発音】  kwέər

基本的な意味だけでも、これほど挙げられる。

実に多義だが、語源の「正方形」や「四角四面
から派生した意味合いが大方を占める。

【関連表現】
“square off”
https://mickeyweb.info/archives/26399
(対決する構えをとる、対決する、対戦する)


先述のように、本稿では「ゲーム盤のます目」を指す名詞。

日常用途とは言えず、基本的意味には入らないため、
黄枠内には入れていない。

それでも「四角い」イメージは共通するだろう。

◆  ” one ” には、 名詞・形容詞・代名詞がある。

語源は、古英語「1」(ān)。

【発音】  wʌ́n

英単語として、”square” より重要・頻出であるのは、
言うまでもない。

3項目すべて最高ランク。

“square one” では、名詞「1」。

よって、”square one” は、1番目のます目を表す。
2語とも名詞なので、”square one” も名詞扱い。
<2語ワンセット>で不可算名詞である。

◆  ボードゲームに興じる機会はそうそうないため、

「 1番目のます目 」 のみでは使いにくい。

そのため、日常表現にはパターンがある。

LDOCE6(ロングマン)は次の3つを挙げる。
※ 和訳は別

  1. be back to / at square one
    (振り出しに戻っている)
  2. go back to square one
    (振り出しに戻る)
  3. from square one
    (最初から)

“square one” 

the situation from which you started
to do something.
(LDOCE6、ロングマン)

■ [noncount]
the beginning stage or starting point.
Merriam-Webster Learner’s Dictionary

※ “noncount” = 不可算名詞

今回、7点の英英辞典を調べたが、この3フレーズ以外
に取り上げるべきものは見つからなかった。

この3つのうち、最も多用されると考えられるのが、
最初の1と2が兼ねる、”back to square one“。

1は「be動詞」、2は自動詞 “go“(行く)。

調べた7点の英英辞典のうち、5点で項目立て
されている。

5点それぞれ個性的なので、すべてご紹介する。

ざっと一読して、即座に把握できれば、きっと
中級学習者にふさわしい実力に達している。

“back to square one”

a return to the situation you were in at 
the beginning of a project, task, etc.,
because you have made no real progress.
(OALD9、オックスフォード)

If you are back to square one, you have
to start working on a plan from the beginning 
because your previous attempt failed completely.
(CALD4、ケンブリッジ)

■ PHRASE
If you are back to square one, you have to start
dealing with something from the beginning again
because the way you were dealing with it has failed.
(COBULD9、コウビルド)

“back to / at square one”

■ PHRASE
in the same situation that you were in 
before you started to do something,
with no progress made.
(Macmillan、マクミラン)

“go back to square one”

to start over.
(Merriam-Webster)

※ 下線は引用者

“back to” の “back” は、副詞「戻って」。
to” は、方向の前置詞「~に」「~へ」。

よって、”back to square one” は、
「振り出しに戻って」。

これに先ほどの “be動詞” または 自動詞 “go
を加えると「振り出しに戻る」になる。

◆  上掲の下線部をご覧いただきたい。

英英辞典の語釈にも、苦渋に満ちた選択プロセス
が目に浮かぶ。

いわく「 進歩がないから 」「 失敗したから 」。

先に触れた 「 厳しい決断 」 を迫られる原因である。

撤退するか、 やり直すか。

やり直すならば、 ” go back to square one “。

すなわち、 振り出しに戻る。

失敗した結果、蒔き直すしんどさは、
誰しも覚えがあるのではないか。

学生時代の試験勉強でも経験する。

サンクコスト のことなど一切知らなくても、
出直しの苦しみと悔しさは理解できるもの。

功を成し遂げたからでなく、つまずいたがゆえに、
最初の位置に舞い戻るのはきつい。

表現の成り立ちに加え、 使用場面と伴う感情に
共通点があると既述したが、 ここまでのご説明で
納得いただけるのではないだろうか。

◆  以下の例文からも、 当事者の<痛み>が感じ取れる。


渋々やり直したところ、当初の目標を上回る成果に
恵まれたりする。

最終的にどうなるか。

そんなこと、誰にも分からない
未来なぞ、分かるはずないのだ。

吉凶の予測しがたいのが人生で、 「 禍福は糾える縄の如し

とはよく言ったものである。

 

 

 

 

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