プロ翻訳者の単語帳

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On one’s terms

      2021/11/15

〜 の示す条件通りに

You’ll do this  on my terms.
( こっちの条件でやってもらうぜ。)


啖呵( たんか )を切る場面を映画などで目にする。

格好いいシーン。

 うちの条件通りにやれよ 


だが、” terms ” の意味が分からないと、
せっかくの見せ所もおじゃんになる。

威勢よく相手をやり込めているのに、
ぽかんと見つめられては台無しだ。

◆  表題の  ” terms ” は、 可算名詞 ” term ” の複数形。

” term ” には、名詞と他動詞がある。

語源は、ラテン語「 限界 」( terminus )。

【発音】  tə́ːrm  (1音節)

名詞は非常に多義。

基本的意味だけでも、盛り沢山である。

  •  言葉
  •  期間
  •  任期
  •  条件 (複数形)
  •  契約 (複数形)
  •  間柄 (複数形)

◇  「 条件 」を意味する際は、複数形  ” terms ”  が通例

なぜなら、一般的に 「 条件 」 は複数存在するから。

  •  financial terms 
    ( 金銭的条件 )

日頃、よく見聞きするのは、こちら。

規約を変えますよ

規約を変えましたよ

  •  terms of use 
    ( 使用条件、利用規約 )
  •  terms of service 
    ( サービス利用規約 )
  •  terms and conditions 
    ( 諸条件 )    ※  略して、 ” T&Cs “

条件を理解しました


◆  「 間柄 」「 関係 」も、複数形が原則。

やはり複数存在するのが普通だからである。

“terms” とあれば、「 条件 」や「 間柄 」ではなく、
単純に「 言葉 」の複数形の場合もある。

名詞  ” term ” には、 似通った意味が多く、 紛らわしい。

【例】
米映画『 愛と追憶の日々 』( 1983年 )の
原題 ” Terms of Endearment ” の直訳は、
「 愛情表現の 条件 」 よりは 「 愛情表現の 言葉 」。

転じて、恋人などの「 愛称 」「 呼びかけ 」を指す。

” darling “、 ” honey “、 ” sweetheart ”  が典型。

片や、他動詞  ” term ” は単純である。

  •  称する、 名づける

◆  ” on ” は、手段の前置詞「 ~ によって 」。

◆  ” one’s terms ” の ” one’s ” とは、「 誰々の 」。

one’s ” には、通常は人称代名詞の 所有格 を入れる。

すなわち、次のいずれか。

  •  my   私の
  •  your   あなたの
  •  his   彼の
  •  her   彼女の
  •  their   彼らの
  •  our   我々の
  •  its   それの

” one’s ” は、所有格の代表形 として、
辞書などで起用される。

具体的には、不定代名詞( an  indefinite  pronoun
” one ”  の所有格が  ” one’s “。

上記の所有格を代表する。

いわば、所有格のワイルドカードとして使われる。

代名詞でなく、固有名詞 や 無生物 でもよい。

  • “on Mary’s terms”
    ( メリーの示す条件通りに )
  • “on the company’s terms”
    ( その会社の示す条件通りに )

 条件  ” terms ”  は、文面でも口頭でも多用される。

表題のフレーズ ” on one’s terms ” も同様だが、
< 契約 > や < 注意書き >のような文書でなければ、
このフレーズを目にする機会はそう多くない。

普段は、耳にする機会が上回る印象。

冒頭に記したように、映画のハイライト(見所)
に出てきたりする。

  •  こっちの言う通りに
  •  自分の思う通りに

など、様々な言い回しで表現されている。

< その人の示す条件通り > なので、
その人の希望がそのまま反映される
ことが主眼となる。

劇中ならば、我を張る場面で、強い意思が表れる
< 決めシーン >として盛り上がるわけである。

日常的に使う人も少なくない。
少し芝居がかって聞こえたりする。

日本語の「 俺の言う通り ~ 」と粋がる言葉も、
” on my terms ” に重なる。

◆  なお、似た表現に、

  •  on one’s own terms 
    (自分の思う通りに)

がある。

own ” には、形容詞・他動詞・自動詞(まれ)がある。

語源は、古英語「 所有された 」(āgen)。

【発音】  óun  (1音節)

日常的に頻出なのは、形容詞「 自身の 」「 自身で 」
及び 他動詞「  所有する 」。

このフレーズの  ” own ” は、

所有格の直後に置き、 所有・関係 を
強調する< 強意 >の形容詞 ” own “

< 強意 >の役割なので、表題と趣旨が変わらないのは、
比較すれば分かるだろう。

  •  on one’s terms
    ( ○○の示す条件通りに )
  •  on one’s own terms
    ( ○○自身の思う通りに )

    < 我の強さ > が 共通点

    ★★  良くも悪くも  ★★


◆  内容によっては置き換えできないものの、多くは置き換え可能。

できれば、両方とも押さえておきたい。

  • “I want to live on my terms.”
    “I want to live on my own terms.”
    (自分の思い通りに生きたい。)
  • “Beth lived her entire life on her terms.”
    “Beth lived her entire life on her own terms.”
    (ベスは終生、自分を貫いた。)
  • “My mother died as she lived: on her terms.”
    “My mother died as she lived: on her own terms.”
    (母の死に方は、その生き方同様、母らしかった。)
  • “You have to do this on my terms.”
    “You have to do this on my own terms.”
    (私の言う条件通りに実行してもらいます。)
  • “I wanted to walk out on my terms
    before my time is up.”
    “I wanted to walk out on my own terms
    before my time is up.”

    (自分の時代が終わる前に、自分らしく去りたかった。)
    (自分の時代が終わる前に、自分なりに幕を引きたかった。)

  • “I’d rather fail on my terms.”
    “I’d rather fail on my own terms.”
    (自分流で失敗する方がましだわ。)
  • “They dropped out on their terms.”
    “They dropped out on their own terms.”
    (彼らは自分の意思で中退したのです。)
  • “I left the company on my  terms.”
    “I left the company on my own terms.”
    (自分の希望通りにその会社を辞めたんだ。)
  • “To the Japanese, ‘Omotenashi’ comes on their terms.”
    “To the Japanese, ‘Omotenashi’ comes on their own terms.”
    (日本人の「 おもてなし 」とは、日本人に都合のよい内容だらけ。)
    →  ある外国人観光客による批判的意見

< 同趣旨の表現 >

  • “I walked away from the company.”
    (その会社から立ち去った。)
    (その会社を自分から辞めた。)
  • “I found happiness on my terms.”
    “I found happiness on my own terms.”
    (私は幸せを自分らしく見つけた。)
  • “I started living life on my own terms and
    I became comfortable in my own skin.”
    (自分に正直に生き始めてから、
    ありのままの自分に心地よく感じるようになった。)

定訳はないに等しいので、このように工夫して和訳する。


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