プロ翻訳者の単語帳

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On one’s terms

      2019/10/11

〜の示す条件通りに

You’ll do this on my terms.
(こっちの条件でやってもらうぜ。)

などと啖呵(たんか)を切る場面を
映画などで目にする。

格好いいシーン。

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だが、”terms” の意味が分からないと、
せっかくの見せ所もおじゃんになる。

威勢よく相手をやり込めているのに、
ぽかんと見つめられては台無しだ。

◆ 表題の “terms” は、可算名詞 “term” の複数形。

“term” には、名詞と他動詞がある。
語源は、ラテン語「限界」(terminus)。

【発音】tə́ːrm

名詞は非常に多義。
基本的意味だけでも、盛り沢山である。

  • 言葉
  • 期間
  • 任期
  • 条件(複数形)
  • 間柄(複数形)

「条件」を意味する際は、複数形 “terms” が通例。
なぜなら、一般的に「条件」は複数存在するから。

  • “terms of use”
    (使用条件、利用規約)

 「間柄」「関係」も、複数形が原則。
やはり複数存在するのが普通だからである。

“terms” とあれば、「条件」や「間柄」ではなく、
単純に「言葉」の複数形の場合もある。

名詞 “term” には、似通った意味が多く、紛らわしい。

【例】
米映画『愛と追憶の日々』(1983年)の
原題 “Terms of Endearment” の直訳は、
「愛情表現の条件」ではなく、「愛情表現の言葉」が正しい


片や、他動詞 “term” は単純である。

  • 称する、名づける

◆ “on” は、手段の前置詞「~によって」。

◆ “one’s terms” の “one’s” とは、「誰々の」。

“one’s” には、通常は人称代名詞の
所有格を入れる。

すなわち、次のいずれか。

  • my  私の
  • your  あなたの
  • his  彼の
  • her  彼女の
  • their  彼らの
  • our  我々の

“one’s” は、所有格の代表形として、
辞書などで起用される。

具体的には、”one” の所有格が “one’s”。
上記の所有格を代表する。

いわば、所有格のワイルドカードとして使われる。

代名詞でなく、固有名詞や一般名詞でもよい。

  • “on Mary’s terms”
    (メリーの示す条件通りに)
  • “on the company’s terms”
    (その会社の示す条件通りに)

 条件 “terms” は、文面でも口頭でも多用される。

表題のフレーズ “on one’s terms” も同様だが、
<契約>や<注意書き>のような文書でなければ、
このフレーズを目にする機会はそう多くない。

普段は、耳にする機会が上回る印象。

冒頭に記したように、映画のハイライト(見所)
に出てきたりする。

  • こちらの言う通りに
  • 自分の思う通りに

など、様々な言い回しで表現されている。

<その人の示す条件通り> なので、
その人の希望がそのまま反映される
ことが主眼となる。

劇中ならば、我を張る場面で、強い意思が表れる
<決めシーン>として盛り上がるわけである。

日常的に使う人も少なくない。
少し芝居がかって聞こえたりする。

日本語の「俺の言う通り~」と粋がる言葉も、
“on my terms” に重なる。

◆ なお、似た表現に、

  • on one’s own terms
    (自分の思う通りに)

がある。

own” には、形容詞・他動詞・自動詞(まれ)がある。

語源は、古英語「所有された」(āgen)。
【発音】óun

日常的に頻出なのは、形容詞「自身の」「自身で」及び
他動詞「所有する」。

このフレーズの “own” は、

所有格の直後に置き、所有・関係を
強調する<強意>の形容詞 “own”

<強意>の役割なので、表題と趣旨が変わらないのは、
比較すれば分かるだろう。

  • on one’s terms
    (○○の示す条件通りに)
  • on one’s own terms
    (○○自身の思う通りに)

    <我の強さ>が共通点
    → 良くも悪くも

◆ 内容によって置き換えはできないが、その多くは可能。

できれば両方とも押さえておきたい。

  • “I want to live on my terms.”
    “I want to live on my own terms.”
    (自分の思い通りに生きたい。)
  • “Beth lived her entire life on her terms.”
    “Beth lived her entire life on her own terms.”
    (ベスは一生を自分の希望通りに生きた。)
  • “My mother died as she lived: on her terms.”
    “My mother died as she lived: on her own terms.”
    (母の死に方は、その生き方同様、母らしかった。)
  • “You have to do this on my terms.”
    “You have to do this on my own terms.”
    (私の言う条件通りに実行してもらいます。)
  • “I wanted to walk out on my terms
    before my time is up.”
    “I wanted to walk out on my own terms
    before my time is up.”

    (自分の時代が終わる前に、自分らしく去りたかった。)
    (自分の時代が終わる前に、自分なりに幕を引きたかった。)

  • “I’d rather fail on my terms.”
    “I’d rather fail on my own terms.”
    (自分流で失敗する方がましだわ。)
  • “I left the company on my  terms.”
    “I left the company on my own terms.”
    (自分の希望通りにその会社を辞めたんだ。)
  • “To the Japanese, ‘Omotenashi’ comes on their terms.”
    “To the Japanese, ‘Omotenashi’ comes on their own terms.”
    (日本人の言う「おもてなし」とは、日本人に都合のよい内容だらけ。)
    → ある外国人観光客による批判的意見

<同趣旨の表現>

  • “I walked away from the company.”
    (その会社から立ち去った。)
    (その会社を自分から辞めた。)
  • “I found happiness on my terms.”
    “I found happiness on my own terms.”
    (私は幸せを自分らしく見つけた。)
  • “I started living life on my own terms and
    I became comfortable in my own skin.”
    (自分自身の思い通りに生き始めてから、
    ありのままの自分に心地よく感じるようになった。)

定訳はないに等しいので、このように工夫して和訳する。


【関連記事】  ※ 外部サイト

50 Ways To Live On Your Own Terms
(自分の思い通りに生きる50の方法)
2017年9月30日付

 

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